眼科学

眼科学 · ML-09

角膜屈折矯正手術

Refractive surgery of the cornea

前提:正常
感覚器:眼レンズの式

🧠 全体像:角膜は眼ののおよそ3分の2を担う「いちばん強いレンズ」なので、その前面のカーブを変えればの度数を眼に刻み込める。なら中央を平らにし、なら中央をにする。歴史は「切って形を変える(放射状角膜切開術)」から「光で分子を削る(エキシマレーザーの光切除)」へ進み、いまは表層切除(PRK・LASEK)、フラップを作る LASIK、フラップを作らない小切開レンチクル抽出術 SMILE を使い分ける。どの方法でも、削りすぎれば角膜が薄くなって前へ膨らむ(角膜拡張)。だから適応の見極め、とくにを術前に除外することが最も重要である。

屈折矯正の歴史

眼鏡からの流れ

時代 できごと
13世紀 ムラーノとピサのガラス吹き職人がを作り、の矯正に使った
15世紀 でを初めて矯正した
その後 Newton と Descartes が光学の基本法則を築き、レンズの度数を理論的に扱えるようになった

そのものの考え方は視力・屈折と、は調節・・・、以外の非な矯正はコンタクトレンズとその合併症で扱う。

手術による矯正の始まり

年 人物 内容
1890 Fukala 透明なを摘出して屈折を変える手術。だけが対象
1894 Bates(米国) 角膜の切開でを変えようとした初期の試み
1898 Lans(ドイツ) との治療。角膜に熱を加えてカーブを変える考え方(熱角膜形成術)の起点1
1949 Barraquer 角膜の一層を切り取って削り直す角膜切削形成術。LASIK の原型
1953 佐藤勉 角膜の前面と後面に切開を入れる手術
1979 Fyodorov、Yenaliev 前面だけに放射状の切開を入れる方法を体系化
1982 Werblin 提供角膜から削ったレンズ片を角膜表面に縫い付ける術
1983 Bores(米国) 放射状角膜切開術 RK を米国に導入
1994 Durrie 熱角膜形成術による矯正

💡 Fukala のは、現在の「屈折目的の透明()」の先祖である。角膜を触らずに眼の中のレンズで矯正するという発想は、後述の内レンズにつながる。

放射状角膜切開術 RK

原理

角膜の中央を残して周辺に放射状の深い切開を入れると、切開部がで外へ膨らみ、そので中央部が平らになる。中央が平らになれば角膜のが弱まり、が減る。矯正量は切開の本数・深さ・長さと、中央の切らない領域(光学域)の径で調整し、年齢などの患者要因でも変わる1。

flowchart TD
    A["角膜周辺に放射状の深い切開"] --> B["切開部が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>で外へ膨らむ"]
    B --> C["中央部の角膜が平らになる"]
    C --> D["角膜の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractive power'>屈折力</span>が弱まる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>が減る"]
    C --> F["切開は完全には癒合しない"]
    F --> G["長期にわたる<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperopia'>遠視</span>化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diurnal variation'>日内変動</span>"]
    F --> H["外傷で切開線から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='globe rupture'>眼球破裂</span>"]

所見

  • で、透明な中央光学域を囲んで角膜周辺に8本ほどの細い線状の瘢痕が放射状に並ぶ。
  • を受けた眼では、放射状の切開線に沿って角膜が裂けて開き、の入口になる。切開は何年たっても角膜全層の強さを取り戻さないためである。

PERK 研究

放射状角膜切開術を標準化した手技で前向きに評価したが PERK 研究(Waring ら、1985年と1992年に主要な結果を報告)である。10年後の成績は次のとおりだった2。

項目 10年後の結果
対象 −2.00〜−8.75 D の。8本の求心性切開
目標±1.00 D 以内 60%
化 術後6か月から10年で43%の眼が1.00 D 以上側へ移動。中央光学域の径と関連
視力20/20以上 53%
の2段階以上の低下 3%
遠用の・コンタクトレンズが不要 両眼手術者の70%

この研究から明らかになった放射状角膜切開術のを整理すると次のようになる。

問題 内容
矯正できる範囲が狭い 予測どおりに効くのはおよそ−4.0 D までの
予測性と安定性が悪い 同じ手術でも効き方がばらつき、術後も側へ動き続ける
術中穿孔 切開が深すぎるとへ穿孔し、の危険がある
永続する瘢痕 角膜に放射状の瘢痕が一生残る
瘢痕での光の散乱で、夜間のまぶしさ・光の筋が出る
角膜への 切開線が周辺に達すると血管が入り込む
に弱い の衝撃などで切開線から眼球が破裂する

⚠️ 放射状角膜切開術は現在、表層切除・LASIK・SMILE にほぼ置き換わった1。ただし過去に受けた人は今も外来に来る。切開線から破裂しうる眼として外傷時に注意し、の計算が狂いやすいことも覚えておく(疾患と)。

エキシマレーザー

開発の歩み

年 人物 内容
1975 Velazco がハロゲン原子と反応して励起状態の分子を作ることを示した
1976 Hoffmann フッ化アルゴン ArF 分子のレーザー
1983 Srinivasan と Trokel 外科への応用。Trokel(ニューヨーク)と Marshall(ロンドン)が・基礎研究
1988 McDonald(ニューオーリンズ)、Seiler(ベルリン) ヒトへの最初の治療

名前の「エキシマ」は「励起された二量体」の略である。とハロゲンは普段は結合しないが、放電で励起されたときだけ一瞬結合し、へ戻るときに紫外線を放つ。

眼科で使うレーザーの波長

エキシマレーザーは、眼科の他のレーザーと比べて圧倒的に波長が短い。

レーザー 波長 nm 領域
Nd:YAG 1064
ン 647.1 (赤)
577〜630 (黄〜赤)
アルゴン 514.5 (緑)
アルゴン 488 (青)
エキシマ 193〜351 紫外線(角膜手術は ArF の193 nm)

💡 やのレーザーは組織を熱で凝固・破壊するが、193 nm の紫外線は角膜の表面ごく浅くで吸収され、を直接切る。この違いが「冷たいレーザー」と呼ばれる理由である。

作用機序:光切除

光切除は光化学的な反応で、光分解ともいう。

数値 意味
光子1個のエネルギー 6.4 eV ArF レーザーの193 nm の光子がもつエネルギー
炭素と水素の結合 4.3 eV 角膜のタンパク質を作る分子の
作用の深さ 約1 µm 光がごく浅い層で吸収され尽くすので、その下へは影響がほとんど及ばない

光子のエネルギーがを上回るので、照射された分子は熱を生まずにばらばらに分解され、小さな断片として表面から吹き飛ぶ。

flowchart TD
    A["エキシマレーザー光<br>193 nm・6.4 eV"] --> B["マスクやスキャンで<br>照射範囲を決める"]
    B --> C["角膜の表層で吸収"]
    C --> D["分子の結合が切れる<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='binding energy'>結合エネルギー</span> 4.3 eV を上回る)"]
    D --> E["組織が断片となって吹き飛ぶ<br>=光切除"]
    E --> F["周囲への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thermal injury'>熱損傷</span>がほとんどない<br>1回の作用は約1 µm の深さ"]

ArF エキシマレーザーの特徴

  • 高エネルギーの193 nm の光子
  • の紫外線 C の領域
  • 光切除効果
  • ナノ秒単位の照射で熱が広がらない(「冷たいレーザー」)
  • 1回の作用の深さが約1 µm
  • 角膜を彫刻するように形を変えられる

でエキシマレーザーを当てたヒトの毛髪を見ると、照射部分だけがきれいな溝として削り取られ、切り口の縁は鋭く、周囲に焦げや溶けた跡がない。同じように照射した角膜でも、円形の切除域が縁のくっきりしたとして彫り込まれ、別の照射では交差する帯状の模様がそのまま正確に刻まれる。これが「角膜の彫刻」の実際の姿である。

レーザー手術の設備と切除の形

レーザー手術は、装置と、手術顕微鏡を備えたエキシマレーザー装置の組み合わせで行う。術前に角膜の形をカラーマップで調べ、屈折値と合わせて切除の設計図を作る。

屈折異常ごとの切除パターン

矯正の種類 どこを削るか 角膜の形の変化
中央部を最も深く、周辺へ向かって浅く削る 中央が平らになり、が弱まる
中央を残し、を輪状に削る 相対的に中央が盛り上がりになって、が強まる
性(トーリック) 最も屈折の強い経線に沿って楕円形・帯状に多く削る 強い経線だけが平らになり、が減る

角膜の断面を模式的に描くと、の切除では中央が状に深く、の切除では中央の両脇が状に掘り下げられ、中央は元の高さのまま残る。立体的な角膜モデルで見ても、治療後は頂上が平らな台地状に、治療後は頂上が小さく尖った形になる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractive error'>屈折異常</span>の種類は?"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperopia'>遠視</span>"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='astigmatism'>乱視</span>"]
    B --> E["中央を深く削る<br>→ 中央が平らに"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midperiphery'>中間周辺部</span>を輪状に削る<br>→ 中央が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steep'>急峻</span>に"]
    D --> G["強い経線に沿って削る<br>→ 経線ごとの差が減る"]

💡 は1 D 矯正するごとに削る量が増えるので、角膜が薄い人やほど残る角膜が少なくなる。これが後で述べる適応の制限の根本である。

⭐ 収差を測って切除を設計する方法(収差ガイド)は、「鷹の眼の視力」をうたって1990年代末から広まった。しかし2020年のCochraneレビューでは、収差ガイドと従来の切除とで有意な差は示されていない1。

エキシマレーザーによる術式

術式 角膜の何を扱うか 要点
PRK 上皮を除去し、実質の表面を直接削る 表層切除の原型。上皮は約20%エタノール・器具・レーザーで除去する1
非接触 PRK(経上皮 PRK) 上皮の除去から実質の切除までレーザーだけで行う 器具が角膜に触れない
術 屈折ではなく、表層のや凹凸を削り取る ーの表層、などの治療
LASIK 角膜の表層をフラップとしてめくり、その下の実質を削って戻す 痛みが少なく視力回復が早い。現在最も多く行われる角膜1
LASEK 上皮だけを薄いシートとしてめくり、削ったあと戻す PRK の変法。エタノールで上皮を緩める
フェムト秒 LASIK LASIK のフラップを刃ではなくフェムト秒レーザーで作る フラップの径・深さ・ヒンジ幅を設定できる

表層切除(PRK・LASEK)

を取り除いてから、Bowman 層と実質の表面を直接削る。LASEK は、希釈したエタノールで上皮を緩め、鼻側か上方にヒンジを残して上皮を巻き上げ、照射後に戻す方法である1。術後は上皮が再生するまでをのせる。

利点 欠点
フラップを作らないので、後方の実質が多く残り、フラップの合併症がない 上皮が治るまで痛みが強く、視力の回復が遅い
角膜が薄めの眼や、外傷を受けやすい職業・スポーツの人に向く 上皮下の(ヘイズ)が出ることがある

深い切除のときや、過去に角膜手術を受けた眼では、上皮下のを減らす目的でを短時間塗布する()1。

上皮の接着と基底膜

表層切除で上皮をはがすと、上皮と実質をつなぐ基底膜の接着構造も失われる。上皮は次のような仕組みで下の組織に固定されている。

構造 位置と役割
上皮の底面にある。細胞内のが集まる
係留フィラメント から透明板を貫いて緻密板へ伸びる細い線維
透明板と緻密板 合わせて。などの接着タンパク質が上皮を支える
網状板 緻密板の下の層。が走る。(透明板+緻密板)と網状板を合わせて基底膜とよぶ
と係留斑 緻密板から下へ伸びるが、Bowman 層の中の係留斑に錨のように刺さる

💡 上皮そのものは数日で覆い直すが、との接着が元通りになるには時間がかかる。そのあいだは上皮がはがれやすく、に似た状態が起こりうる。また上皮の下で線維芽細胞が活性化すると、上皮直下に細胞成分の多いが盛り上がるように増生し、これが臨床的な(ヘイズ)として見える。組織標本では、状に整然と並ぶ実質の上に、上皮下のが不規則に積み重なる。

LASIK

角膜の表層をヒンジ付きのフラップとしてめくり、その下の実質をエキシマレーザーで削ってからフラップを戻す。表面の上皮と Bowman 層を残すので、痛みが少なく翌日から見える。

flowchart TD
    A["角膜にマーキング<br>(フラップを戻す位置の目印)"] --> B["吸引リングを装着<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>を上げて眼球を固定"]
    B --> C["フラップ作成<br>マイクロケラトームの刃<br>またはフェムト秒レーザー"]
    C --> D["フラップをヒンジ側へめくる"]
    D --> E["実質床をエキシマレーザーで切除<br>瞳孔中心に合わせる"]
    E --> F["フラップを戻し<br>層間を洗浄して位置を確認"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slit-lamp'>細隙灯</span>でフラップの位置と<br>層間の異物がないことを確認"]

機械式のマイクロケラトームでは、吸引リングで固定した角膜の上を、振動する刃をもつ本体が一方向に進み、角膜表層を薄く切り分けて端にヒンジを残す1。ヒンジが残らずフラップが完全に切り離された状態をフリーキャップといい、元の位置に戻すため事前のマーキングが欠かせない。フラップが不完全・偏心・穴あきなら、その場でレーザーを中止してフラップを戻し、後日に表層切除などを検討する1。

SMILE(フラップを作らない方法)

小切開レンチクル抽出術 SMILE は、フェムト秒レーザーでの中にレンズ状の組織片(レンチクル)を切り出し、小さな切開からで抜き取る。エキシマレーザーもフラップも使わない。米国では2016年に承認され、2018年に球面−1.00〜−10.00 D、円柱−0.75〜−3.00 D へ適応が広がった1。

その他の屈折矯正手術

1990年代末から、角膜を削らない方法やを使う方法が広がった。

方法 原理 位置づけ
熱角膜形成術・角膜形成術 角膜のコラーゲンを熱やで収縮させ、中央をにする ・用。退行しやすく、現在はまれ1
角膜内リング 透明な弧状のリングを実質のに埋め込み、中央を平らにする 矯正にはまれで1、主にの形を整えるのに使う
屈折目的の透明 で透明なを取り、に置き換える 強度の・や年齢で。調節は失われる
内レンズ(型・) 自分のを残したまま眼内にレンズを追加する 角膜を削れないに
・多焦点(トーリック) で遠近両方を見えるようにする ・と組み合わせる

熱角膜形成術の所見:角膜のに、白い小さな凝固斑が2つずつ組になって、瞳孔を囲む輪状に並ぶ。

角膜内リングの所見:瞳孔を囲むの実質内に、透明な細い弧状のリングの輪郭が見え、リングの端に挿入部の小さな切開が残る。

との手術は疾患と、の治療は、は角膜の手術で扱う。

適応と禁忌

は健康な眼に行う任意の手術なので、適応の判断はほかの手術より厳しい。

禁忌

米国眼科学会の現行の指針では、次の場合は角膜を行わない1。

分類 禁忌
屈折 屈折が安定していない
角膜 などの角膜拡張症、菲薄化、浮腫、実質炎・性角膜炎、広範な
角膜の厚さ 予定の切除量に対して角膜が薄すぎる
眼の病気 視機能を損なう、コントロール不良の緑内障
外眼部 コントロール不良の眼瞼炎・・/アレルギー
全身 コントロール不良の自己免疫疾患・
心理 コントロール不良の精神疾患(不安・抑うつを含む)、非現実的な期待

相対禁忌

機能的に片眼しか見えない人、矯正しても視機能が上がらない眼の病気、極端に・平坦な角膜、を疑わせる角膜形状、強い、視機能に影響する・内皮のジストロフィー、HSV・VZV 角膜炎の既往、コントロールが不十分な、緑内障、ぶどう膜炎の既往、糖尿病、妊娠・授乳、自己免疫疾患、一部の全身薬(、、、など)、21歳未満1。

⚠️ 最も重大な合併症は角膜拡張(術後に角膜が薄くなって前へ膨らみ、のようなとが進む)である。LASIK では残存実質床を最低250 µm 残すことが提案されているが、拡張を確実に防ぐ絶対値はない。術前の角膜形状の異常と、組織変化率40%以上も危険因子である1。術前ので潜在的なを見逃さないことが最大の予防になる。

💡 なぜ健康な眼に厳しいのか:やコンタクトレンズで十分見える人にとって、手術で得るものは「で見える便利さ」だけである。失うものが視力そのものになりうる以上、リスクの小さい人だけに行う。

合併症

時期・種類 合併症 主な術式
屈折の結果 ・、効果の戻り(退行)、、、年齢での近用の必要 すべて
見え方の質 、光の周りの輪(ハロー)・光の筋、とくに夜間。の低下 すべて
角膜表面 の発症・悪化、の低下、 すべて(LASIK で目立つ)
創傷治癒 上皮下の(ヘイズ)・瘢痕 表層切除
フラップ フラップのしわ、ずれ、外傷でのフラップ、層間への上皮の、びまん性層間角膜炎 LASIK
感染 ・潰瘍・穿孔(角膜炎)、HSV 角膜炎の すべて
構造 角膜拡張 LASIK で最も問題、表層切除・SMILE でも起こる
薬剤 ステロイド点眼による・緑内障・ すべて
測定 角膜が薄くなるため、の値が実際より低く出る すべて

LASIK と表層切除の合併症の一覧は米国眼科学会の指針に基づく1。

⚠️ を受けた人のは低めに測られるので、緑内障を見逃さないようを必ずで確認する。また将来のでの度数計算がずれやすいため、術前の角膜と屈折の記録を患者に渡しておくことが勧められている1。

術式の選び方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractive correction'>屈折矯正</span>を希望"] --> B{"屈折が安定し<br>眼と全身に禁忌がないか"}
    B -->|"いいえ"| X["手術しない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='spectacles'>眼鏡</span>・コンタクトレンズ"]
    B -->|"はい"| C{"角膜形状は正常で<br>十分な厚さがあるか"}
    C -->|"いいえ:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratoconus'>円錐角膜</span>の疑い"| Y["角膜を削る手術は禁忌<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratoconus'>円錐角膜</span>の評価へ"]
    C -->|"いいえ:薄いだけ"| D["表層切除<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phakic eye'>有水晶体眼</span>内レンズ"]
    C -->|"はい"| E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>は角膜手術の範囲内か"}
    E -->|"はい"| F["PRK・LASEK・LASIK・SMILE<br>を生活と角膜で選ぶ"]
    E -->|"いいえ:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high myopia'>強度近視</span>"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phakic eye'>有水晶体眼</span>内レンズ<br>・屈折目的の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens extraction'>水晶体摘出</span>"]

まとめ

  • 角膜は眼のいちばん強いレンズで、は中央を平らに、はを削って中央をにして矯正する。
  • 放射状角膜切開術は周辺の放射状切開で中央を平らにしたが、PERK 研究で予測性の悪さと10年続く化(43%が1 D 以上)、瘢痕・・穿孔・外傷時の破裂が明らかになり、現在はレーザー手術に置き換わった。
  • エキシマレーザーは ArF の193 nm(紫外線 C)で、光子のエネルギー6.4 eV が分子の結合(4.3 eV)を上回るため、熱を出さずに約1 µm ずつ組織を削る(光切除、「冷たいレーザー」)。
  • 術式は、表層切除(PRK・非接触 PRK・LASEK)、フラップを作る LASIK(マイクロケラトームまたはフェムト秒レーザー)、フラップを作らない SMILE、屈折でなくを削る術。
  • 表層切除は実質が多く残りフラップ合併症がないが、痛み・回復の遅れ・ヘイズがある。LASIK は回復が早いがフラップ合併症と拡張の危険が大きい。
  • 禁忌は不安定な屈折、などの角膜拡張症、角膜の厚さ不足、視機能を損なう、コントロール不良の緑内障・外眼部疾患・自己免疫疾患・精神疾患、非現実的な期待。
  • LASIK の残存実質床は最低250 µm が目安だがな安全値はない。術前ので潜在的なを除外するのが最大の予防。
  • 術後はが低く測られ、の度数計算がずれやすい。のと術前データの記録が大切。

出典

  1. 1.Refractive Surgery Preferred Practice Pattern®(American Academy of Ophthalmology・2023)AAO配布のPDF本体(2022年9月承認・2024年更新版)で、角膜屈折矯正手術の禁忌(屈折が不安定、円錐角膜などの角膜拡張症・菲薄化・浮腫・実質炎・神経栄養性角膜炎・広範な血管侵入、予定切除量に対し角膜厚が不足、視機能を損なう白内障、コントロール不良の緑内障・外眼部疾患・自己免疫疾患・精神疾患、非現実的な期待)と相対禁忌(21歳未満、機能的単眼、HSV・VZV角膜炎の既往、妊娠授乳など)、LASIKの残存実質床は最低250 µmが提案されるが拡張を防ぐ絶対値はなく組織変化率40%以上も危険因子であること、表層切除はLASIKより後方実質が多く残りフラップ合併症がない一方で痛みと視力回復の遅れと上皮下混濁があること、上皮は約20%エタノール・機械的・レーザーで除去し、深い切除ではマイトマイシンC(適応外使用)で混濁を減らすこと、LASIKは吸引リングで眼圧を上げてマイクロケラトームまたはフェムト秒レーザーでヒンジ付きフラップを作ること、SMILEが2018年に球面−1.00〜−10.00 D・円柱−0.75〜−3.00 Dへ適応拡大されたこと、放射状角膜切開術の合併症(グレア、日内変動、進行性の遠視化、穿孔、微生物性角膜炎、眼内炎)とそれが表層切除・LASIK・SMILEに置き換わったこと、熱角膜形成術の起源がLans 1898年であり伝導性角膜形成術は現在まれにしか使われないこと、角膜内リングは現在近視矯正にはまれにしか使われないこと、2020年のCochraneレビューで波面収差ガイドと従来型の切除に有意差がないこと、LASIKが最も多く行われる角膜屈折矯正手術であること、FDAがSMILEを2016年に低〜中等度近視で承認したこと、SMILEも角膜拡張を完全には防がないこと、LASIK後の合併症一覧(圧平眼圧計での見かけの眼圧低下、HSV角膜炎の再燃、ステロイドによる高眼圧・緑内障・白内障、フラップのしわ・外傷性脱臼・上皮迷入・びまん性層間角膜炎など)、術前の角膜曲率と屈折の記録を患者に渡すことが推奨されることを確認した閲覧 2026-09-29
  2. 2.Results of the prospective evaluation of radial keratotomy (PERK) study 10 years after surgery(Archives of Ophthalmology・1994)抄録(Europe PMC、PMID 7945032)で、8本の求心性切開による放射状角膜切開術を−2.00〜−8.75 Dの近視に行った9施設の研究で、10年後に60%が目標の±1.00 D以内、術後6か月から10年で43%の眼が1.00 D以上遠視側へ移動し、遠視化は中央の非切開域の径と関連したこと、裸眼視力20/20以上が53%、矯正視力の2段階以上の低下が3%、両眼手術者の70%が遠用の眼鏡・コンタクトレンズを使っていなかったことを確認した閲覧 2026-09-29