眼科学

眼科学 · ML-23

円錐角膜

Keratoconus

前提:正常
感覚器:眼

🧠 全体像:は、10代から角膜の実質が薄くなって前へ円錐状に突き出し、とが年ごとに強まっていく両眼性(左右差が大きい)の病気である。幹は3つ。①疑う:若い人のが軸も度数も変わり続け、で視力が出なくなる。②見つける:初期はでは何も見えないので、と(特に後面)で見つける。③止めて、補う:進行を止められる治療はだけで、見え方は・・・角膜内リングで補い、それでも足りなければへ進む。早く見つけるほど、移植を必要とする人を減らせる。

円錐角膜とは

は、角膜の一部が限局して薄くなり、そこが前へ膨らむ病気である。膨らんだ部分は急なカーブになるので強いになり、しかも形がいびつなので、では矯正しきれないが生じる。その結果、視力だけでなく見え方の質が大きく落ちる。

項目 内容
性質 通常は両眼性だが左右差が大きい。2015年の世界合意は「真の片眼性のは存在しない」とし、片眼だけに見えるのは素因のある人に眼をこするなどの左右差のある負担が加わるためと説明した1。古典的には炎症を伴わない変性と説明される
突出の場所 角膜の中央からやや下方、とくに下耳側に多い
発症と進行 典型的には10代で始まり、20〜30代にかけて進行する
屈折への影響 とが強まり、見え方の質が低下する

💡 「炎症を伴わない」と教えられてきたが、のでは IL-6・TNF-α・MMP-9 などの炎症性物質が増えており、炎症の成分が病態に関わっている可能性が指摘されている2。

疫学

指標 従来の数字 現在の知見
発生の推定 10万人あたり50〜230人(が研究ごとに違うため幅が広い) 一般人口で10万人あたり50〜230人、15か国5,000万人超ので10万人あたり138人。を使ったアジア・中東・オセアニアの調査では0.9〜3.3%2
10万人あたり54.5人 診断方法で大きく変わる
の希望者 およそ2,000人に1人 で潜在的なを除外することが必須
人種・性別 すべての民族にみられ、男女差はない 男女差はない2
発症年齢と進行 10代で始まり20〜30代まで進行 思春期前に始まることも、40歳を過ぎて進行することもまれではない2

⭐ 数字に幅があるのは、何をもってと診断するかが研究ごとに違うからである。で分かる段階だけを数えると少なく、で軽い変化まで拾うと桁違いに多くなる。画像診断が進むほど「の人」は増え、「移植まで進む人の割合」は下がる。

角膜拡張症の中での位置

角膜が薄くなって突出する病気をまとめて角膜拡張症という。はその中で最も多い。突出の形の違い(断面の輪郭)は角膜の手術の角膜内リングの節でも整理している。

病名 特徴
最も薄いところが最も突出する。中央〜下方
ペルーシド角膜辺縁変性 下方の周辺部が輪部から1〜2 mm 離れて帯状に薄くなり、その上が突出する。発症は30〜50代と遅い2
角膜 角膜全体が薄くに膨らむ。まれで、多くは先天性で小児にみられる
Terrien 辺縁変性 周辺部角膜がゆっくり薄くなる変性。2015年の世界合意では、拡張症ではなく「菲薄化の病気」に分類し、拡張症から外した1。詳しくはーと変性
後の角膜拡張 LASIK・放射状角膜切開術・PRK・SMILE の後に起こる医原性の拡張(後述)

病態:なぜ角膜が弱くなるのか

角膜の強さは「架橋」で決まる

角膜の機械的な強さは、実質のどうしをつなぐ架橋の数で決まる。体の中では、トランスやという酵素が架橋を作っている。

架橋はコラーゲンの階層のどのレベルにもできる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tropocollagen'>トロポコラーゲン</span><br>長さ約300 nm・太さ約1.5 nm の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triple helix'>三重らせん</span>"] -->|"らせんの内部をつなぐ"| B["らせん内架橋"]
    B --> C["分子が集まって束になる<br>(約4 nm)"]
    C -->|"隣り合うらせんの間をつなぐ"| D["らせん間架橋"]
    D --> E["横に並ぶ(1.3〜1.7 nm)・<br>端と端でつながる<br>ミクロフィブリルになる"]
    E -->|"ミクロフィブリルの間をつなぐ"| F["ミクロフィブリル間架橋"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collagen fibers'>コラーゲン線維</span>"]

架橋は年齢とともに自然に増える。角膜が年とともに硬くなるので、高齢者で新たにと診断されることはまれである。ただし40歳を過ぎて進行する例もまれではないことが分かってきた2。

糖尿病では高血糖によるで架橋が加わるので、従来は「糖尿病ではが起こらない(起こりにくい)」と説明されてきた。しかし11件の研究をまとめたでは、糖尿病との間に有意な関連は示されなかった3。糖尿病をの「予防因子」とみなす根拠は乏しく、糖尿病があってもを除外できない。

💡 この「自然の架橋が多い角膜はになりにくい」という考え方こそが、人工的に架橋を増やす治療()の発想の出発点になった。架橋を人工的に起こす手段には、と紫外線がある。臨床で使われるのは紫外線である。

弱くなる仕組みと危険因子

の角膜では、コラーゲンを分解する MMP の活性が高く、その阻害因子が少ない。も加わってコラーゲンが分解され、実質が薄くなる2。遺伝的な素因のある人に、眼をこするといった機械的な負担が加わって発症・進行すると考えられている。

危険因子 内容
眼をこする習慣 進行との関連が示されている。すべての患者に「こすらない」よう指導する21
・喘息・・。かゆみでこするので、アレルギーを抑える(を加える)
家族歴 の家族は発症の危険が高く、角膜形状の異常も多い。家族歴のある家系ではスクリーニングが重要。2015年の世界合意は、とくに若いを危険因子に挙げた1
民族・眼瞼 2015年の世界合意は、アジア系・アラブ系などの民族的要因と、眼瞼弛緩症候群も危険因子に挙げた1
、、、など2
その他 、高い BMI との関連も報告されている2
flowchart TD
    A["遺伝的な素因<br>(家族歴・結合組織の病気)"] --> C["コラーゲンの分解が進む<br>MMP の増加・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative stress'>酸化ストレス</span>"]
    B["機械的な負担<br>眼をこする(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atopy'>アトピー</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vernal keratoconjunctivitis'>春季カタル</span>)"] --> C
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corneal stroma'>角膜実質</span>が限局して薄くなる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>に押されて前へ突出する"]
    E --> F["急なカーブで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>が強まる"]
    E --> G["いびつな形で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='irregular astigmatism'>不正乱視</span>が生じる"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spectacles'>眼鏡</span>で矯正できない<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>"]
    G --> H

症状と所見

段階ごとの所見

段階 所見
初期 軽いだけで、その軸が変わることがある。では異常を指摘できない
中期〜(で見える) 下耳側に多い菲薄化と円錐状の突出、Fleischer 輪、Vogt 線条、上皮の、実質前部の瘢痕、が太く目立つ
最も進んだ段階 Munson 徴候、Rizzuti 徴候
重症例 角膜水腫:急な痛みとを伴う発作として起こる

所見の見方

所見 何が見えるか なぜ起こるか
円錐状の突出 で横から見ると、角膜の中央〜下方が尖った円錐形に前へ張り出す 最も薄いところがに押されて突出する
Fleischer 輪 円錐の基部を取り巻く褐色の輪。コバルトブルーの光で見やすい 上皮に鉄が沈着する2
Vogt 線条 実質の中層〜に並ぶ細い縦の線。眼球を軽く押すと消える のしわ(引き伸ばされた応力線)2
上皮の・実質前部の瘢痕 円錐の頂点に白いがみられる Bowman 層のと。水腫の後の深い瘢痕もある
の目立ち 実質の神経が太く白い線として見える 薄い実質で神経が目立つ
Munson 徴候 下を見ると、下眼瞼の縁が突出した角膜に押されて V 字形に曲がる 高度の突出。重症の拡張でみられるがに特異的ではない2
Rizzuti 徴候 耳側から光を当てると、鼻側の輪部近くに光が円錐で屈折して集まる 突出した角膜がレンズのように光を曲げる
網膜反射の暗い部分 で、の赤い反射の中に円錐に一致する暗い部分(油滴状)が見える 円錐の縁で光が大きく屈折する2
のはさみ状反射 光の帯がはさみのように2方向へ動く

進行したでは、の細い光で角膜の断面が円錐状に前へ尖っているのが分かり、下方視では下眼瞼の縁が角膜に押されて V 字形に曲がる。では赤い反射の中に暗い輪郭が浮かび、角膜水腫の眼では角膜が一面に青白く濁っている。円錐の頂点付近の実質前部には、白い線状・網状の瘢痕を認める。

角膜水腫

⚠️ 角膜水腫は、引き伸ばされたが急に裂け、そこからが実質と上皮へ流れ込んで角膜が突然白く濁る状態である。急な痛み・・強いで受診する。の約3%に起こり、眼をこする習慣と季節性アレルギーが危険因子である2。 OCT で大きなの裂け目と実質の裂隙が分かる。が再び覆えば浮腫は数か月で引くが、深い瘢痕を残しやすい。の一般的な考え方はを参照。

いつ疑うか

は進行が始まる前、視力が落ちる前に見つけることが目標である。次の手がかりがあれば、を行う。

手がかり 意味
の軸と度数が変わり続ける 定期検査のたびにのの軸が違い、度数がどんどん増える
左右でが違う 病気の左右差を反映する
で矯正できない を疑う(との違いは視力・屈折と)
視力もも下がる 屈折の変化だけでは説明できない
若い 10代〜20代
家族歴 家族にがある

典型的な病歴は「を何度も作り直し、最初は見えたが、そのうち見えなくなる」というものである。片眼がはるかに強く侵されていることが多く、よいほうの眼を隠したときに初めて視力の悪さに気づくことがある2。

💡 初期のによるはやコンタクトレンズで簡単に矯正できる。しかし進行すると、合う矯正を見つけることがどんどん難しくなる。夜景を見たとき、正常では街の灯りが点として見えるが、が進むにつれて灯りが縦に流れて尾を引き、最後には光がにじんで形が分からなくなる。の数字より先に、見え方の質が崩れていくのである。

⚠️ を希望する人の中に、症状の無い初期の()が混じっている。見逃して LASIK を行うと角膜拡張を起こす。手術前には必ずコンタクトレンズを一定期間外してから形状解析とトモグラフィーを行う2。

検査と診断

検査法の一覧

初期のはでは見つからない。に使う検査は次の4つである。

検査 何を測るか で見るもの
Placido 輪(同心円の光の輪)の反射像から、角膜前面のカーブを色の地図にする 輪の反射像が下方で詰まって卵形にゆがむ。マップで下方の化
Scheimpflug 回転する細隙光のから、角膜の前面・後面・厚さを立体的に測る(トモグラフィー) 後面の突出(エレベーション)、最薄点の偏位、厚さの変化率の異常
Orbscan 細隙光ので前面・後面・厚さを測る 同上
収差測定 眼の光学系のゆがみ(収差)を測る 収差の増加、とくに垂直コマ収差

では、Placido 輪の反射像を撮ると正常では等間隔の同心円になるが、では突出部で輪の間隔が狭く詰まり、輪全体が卵形にゆがむ。形状解析の原理はも参照。

地図の読み方

地図 典型的な異常
マップ() 46 D を超える化、下方が急で上方が平ら(下方/上方比1.2以上)、蝶ネクタイ形の放射軸が21°を超えて傾く2
エレベーションマップ 前面・後面に孤立した「島状」の突出。後面のエレベーションはの検出に感度・特異度が高い(では劣る)2
厚さのマップ 最薄点が中央からずれる、周辺から最薄点へ向かって厚さが急に減る
上皮厚マップ( OCT) 円錐の頂点で上皮が薄く、その周りが輪状に厚い「ドーナツ形」2

💡 なぜ後面が大事か。上皮は下の実質の凹凸を埋めるように厚みを変えるので、前面のカーブだけを見ると初期の変化が上皮に隠される。後面は上皮に隠されないので、最初の変化が現れやすい。Placido 輪の形状解析は角膜前面の約60%しか測れず、周辺部の病気(ペルーシド角膜辺縁変性など)を見落としやすい2。

形状解析の実例

左眼の形状解析の地図を2枚比べると、見方が分かる。

指標 1枚目 2枚目
最も急な経線の 43.67 D(91°) 49.65 D(38°)
最も平らな経線の 41.99 D(1°) 43.41 D(128°)
平均角膜 42.83 D 46.53 D
角膜 1.69 D 6.24 D
表面の規則性の指数 0.80 1.38
表面の非対称性の指数 0.91 1.73
予測される視力 20/25〜20/30 20/30〜20/40
色の分布 全体が黄緑で、下方に橙色のな領域がある 赤〜橙のな領域がをくように取り巻き、非対称でゆがんだ模様

2枚目ではな経線のが50 D に近づき、は6 D を超え、規則性・対称性の指数がともに悪化している。化・の増加・非対称化が、形状解析で見るの変化である。

眼圧測定の注意

角膜が薄く柔らかいので、Goldmann の値は実際より低く出る。角膜の形の影響を受けにくい測定器を使い、低い値を鵜呑みにしない2。

診断基準

2015年のと角膜拡張症の世界合意は、の診断に必須の所見を3つとした1。

必須の所見 検査
後面の突出(異常な後面エレベーション) トモグラフィー
異常なの分布 厚さのマップ
臨床的な、炎症を伴わない角膜の菲薄化 ・トモグラフィー

この合意は2026年に第2版が公表され、定義・診断・・進行の基準・治療が改めて検討されている。

病期分類

分類 何で分けるか 位置づけ
Amsler-Krumeich 分類 屈折(・の度数)、角膜、角膜の透明性(瘢痕)、で I〜IV 期に分ける 1947年に提案された古典的な分類。角膜中央の前面のカーブと頂点の厚さだけを見るので、後面の変化をし、早期例を捉えにくい4
ABCD 分類 前面・後面のカーブ、最薄部の厚さ、視力の4項目を別々に0〜4期で評価する Scheimpflug 装置に組み込まれた現在の分類。点数の変化で進行も記録できる24

ABCD 分類の各項目の閾値は次のとおりである4。A と B は最薄点を中心とする直径3.0 mm の範囲ので、値が小さいほどカーブが急である。

期 A 前面の B 後面の C 最薄部の D 最高矯正
0 7.25 mm より大きい 5.90 mm より大きい 490 µm より厚い 20/20
I 7.05 mm より大きい 5.70 mm より大きい 450 µm より厚い 20/20 未満
II 6.35 mm より大きい 5.15 mm より大きい 400 µm より厚い 20/40 未満
III 6.15 mm より大きい 4.95 mm より大きい 300 µm より厚い 20/100 未満
IV 6.15 mm 未満 4.95 mm 未満 300 µm 以下 20/400 未満

瘢痕の有無は「−(なし)」「+(軽度)」「++(中等度〜高度)」で付け加える。たとえば「A2 B3 C1 D2 +」のように書くと、前面より後面の変化が強いことが一目で分かる。

💡 ABCD 分類が4項目をまとめずに別々に点数化するのは、前面・後面・厚さ・視力が同じ速さで悪くなるわけではないからである。とくに B(後面)は最初に変化しやすく、C(厚さ)はクロスリンキングの適否に直結する。

進行の定義と経過観察

⭐ を決めるいちばんの分かれ目は「進行しているかどうか」である。

2015年の世界合意は、進行を記録するための最低条件として、次の3項目のうち2つが一貫して認められることとした12。

  1. 角膜前面の化
  2. 角膜後面の化
  3. 菲薄化、または周辺から最薄点に向かうの変化率の増加

変化は時間をおいて一貫して認められ、測定機器のばらつき(誤差)を超えていなければならない。の低下を伴うことが多いが、進行と判定するのに視力・の変化は必須ではない。どれだけ変われば進行かの具体的な数値は機器ごとに違うため合意では定めず、若い患者ほど検査の間隔を短くすること、続けて測るときは可能な限り同じ機器を使うことで一致した1。米国眼科学会の診療指針は、どれだけ変われば進行とするかの統一された数値の定義はまだ無いと明記したうえで、最大角膜の増加、前面・後面の化、菲薄化、やの増加を進行の根拠として挙げている2。

経過観察の考え方 内容
間隔 従来は年1回だったが、クロスリンキングで進行を止められるようになった今は3〜6か月ごとが妥当。若い患者はさらに頻回に2
特に密に見る人 17歳未満、最大角膜が55 D を超える人2
年齢と進行 での化は30歳を過ぎると遅くなるが、もともと角膜が高い人は30歳を過ぎても進行しうる2
毎回の検査 視力、外眼部、、形状解析とトモグラフィーによる角膜の形と厚さ
家族 家族歴のある家系では、家族にも形状解析を行う

💡 小児では進行が速いので、診断したらすぐにクロスリンキングを行うべきだという意見もある。一方、米国眼科学会の診療指針は偽陽性の例を不要に治療しないよう、治療の前に進行を確かめるのが妥当としている2。

治療

治療の全体像

治療は病気の重さと進行の速さで選ぶ。大切なのは、治療が2系統に分かれていることである。

系統 目的 手段
見え方を補う 今の形のまま、よく見えるようにする 、コンタクトレンズ、角膜内リング、トーリックレンズ、
進行を止める これ以上薄く・急にしない (進行を止められる唯一の治療)

やコンタクトレンズは、視力がよくても病気の進行には影響しない。視力が十分に出ていても角膜は薄くなり続けうるので、進行していればクロスリンキングを考える2。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratoconus'>円錐角膜</span>と診断<br>形状解析・トモグラフィーで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='baseline / reference value'>基準値</span>を記録"] --> B["眼をこすらない指導<br>アレルギーの治療"]
    B --> C{"経過観察で<br>進行しているか"}
    C -->|"進行している"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corneal cross-linking'>角膜クロスリンキング</span><br>(照射時の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stromal thickness'>実質厚</span> 400 µm 以上)"]
    C -->|"進行していない"| E["3〜6か月ごとに経過観察"]
    D --> F["見え方を補う"]
    E --> F
    F --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spectacles'>眼鏡</span>で十分に<br>見えるか"}
    G -->|"見える"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spectacles'>眼鏡</span>"]
    G -->|"見えない"| I["ハードレンズ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hybrid'>ハイブリッド</span><br>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scleral lens'>強膜レンズ</span>"]
    I --> J{"レンズで<br>十分に見えるか"}
    J -->|"見える"| K["レンズを続ける"]
    J -->|"見えない・装用できない<br>(角膜中央は透明)"| L["角膜内リング"]
    J -->|"見えない・装用できない<br>(中央の瘢痕・高度の菲薄化)"| M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corneal transplantation (keratoplasty)'>角膜移植</span><br>(可能なら DALK)"]

眼鏡とコンタクトレンズ

初期はで矯正できる。ある研究では71%がで20/40まで矯正でき、別の研究では58%が20/40以上に達した2。が強まると、の裏にたまる涙の層(レンズ)が角膜の凹凸を埋め、なめらかな屈折面を作るので視力が戻る。

レンズ 位置づけ
ソフトレンズ(球面・トーリック) 軽症なら快適に使える
ハードレンズ(酸素透過性) で20/30に届かなくなったときの主力。英国の研究ではレンズ装用者の91%がハードレンズで、93%が20/30以上に届いた2
レンズ 中央がハード、周辺がソフト。ハードレンズが合わない人の選択肢
ピギーバック ソフトレンズの上にハードレンズを重ね、快適さを高める
角膜を覆わずに跳び越え、に乗る。レンズが中心からずれる進行例で特に役立ち、移植を遅らせる・避けられることがある2

レンズの種類・合わせ方・合併症の詳細はコンタクトレンズによるとその合併症で扱う。

⭐ 米国眼科学会の診療指針は、を考える前にレンズやなどの特殊なレンズを試すよう勧めている2。

角膜クロスリンキング

CXL は、(ビタミン B2)と紫外線 A でのコラーゲンに新しい架橋を作り、角膜を硬くして進行を止める治療である。Seiler らが1990年代後半に考案し、2003年に臨床報告が出た。手順(→点眼→照射)と合併症の一覧は角膜の手術で扱う。ここでは、なぜ効くのかを掘り下げる。

リボフラビンという物質

性質 内容
歴史 1927年にハンガリーの Pál György が発見し、1935年に Richard Kuhn が初めて合成した。に多いので最初はラクトフラビンと呼ばれ、のちにリビトールの鎖が結合していることが分かってと名づけられた
構造 3つの環からなる複素環(イソアロキサジン環)にリビトールの鎖がつく
性質 黄色で水に溶けにくく、光を当てると蛍光を発する。の組織ではの形で存在する
光への弱さ 光を浴びるとリビトールの鎖が外れ(光分解)、ビタミンとしての働きを失う

のは、約360 nm に最も高いピーク、約440 nm に2番目のピークをもち、500 nm を超えると急に吸収が小さくなる。照射に使う紫外線 A(原法の論文では370 nm、米国眼科学会の診療指針の記載では365 nm で、どちらも紫外線 A の波長域2)は、この最大の吸収ピークに合わせてある。

光重合で架橋ができる仕組み

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='riboflavin'>リボフラビン</span>を実質に浸透させる<br>(浸透するのは前方の約200 µm)"] --> B["紫外線 A を照射<br>370 nm 付近"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='riboflavin'>リボフラビン</span>が励起され<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='singlet oxygen'>一重項酸素</span>などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive oxygen species'>活性酸素</span>が生じる"]
    C --> D["自然の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lysyl oxidase'>リシルオキシダーゼ</span>経路を活性化"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='histidine'>ヒスチジン</span>どうしが<br>イミダゾロンで共有結合"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular matrix'>細胞外基質</span>のカルボニル基が<br>活性化されて架橋する"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='riboflavin'>リボフラビン</span>の分解で生じる<br>2,3-ブタンジオンが<br>実質タンパクのカルボニル基と架橋"]
    D --> H["コラーゲンの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amino group'>アミノ基</span>の間に<br>新しい共有結合"]
    E --> H
    F --> H
    G --> H
    H --> I["線維内・線維間の結合が安定<br>角膜が硬くなる"]

照射中の角膜はでに染まり、蛍光を発する。模式的に描くと、照射前は並んだの間の橋渡し(架橋)がまばらで、照射後は線維の間の架橋が密になる。

架橋は主にの表面と、その周りのタンパク質のにでき、影響を最も強く受けるのは前方の約200 µm の実質である。

紫外線は奥へ行くほど弱まる

で満たされた角膜では、紫外線 A は前方で吸収されて急速に弱まる。表面で3 mW/cm² の照射は、深さごとに次のように減る。

深さ 表面に対する割合 照射強度
0 µm 100% 3.00 mW/cm²
100 µm 50% 1.49 mW/cm²
200 µm 25% 0.74 mW/cm²
300 µm 12% 0.36 mW/cm²
400 µm 6% 0.18 mW/cm²
500 µm 3% 0.09 mW/cm²
600 µm 2% —

⭐ ここから2つのことが分かる。①効果は前方の約200 µm に集中する(200 µm で強度は4分の1)。②角膜が400 µm 以上あれば、奥の内皮に届く紫外線は表面の6%以下に弱まる。だから従来の方法では照射時の厚400 µm 以上が安全の条件で、400 µm 未満はを防ぐため禁忌とされる2。薄い角膜では、ので一時的に角膜を膨らませて400 µm に届かせる方法がある。

架橋すると角膜はどう変わるか

変化 内容
硬さの増加 ブタ角膜ので、同じ伸び()に必要な力(応力)が架橋後に大きくなる。10%で未処理は約1.2×10⁵ Pa、架橋後は約2.0×10⁵ Pa。架橋した角膜片は持ち上げても弯曲を保つが、未処理の角膜片はだらりと垂れる
線維の太さ の径が有意に太くなり、的な安定性が増す。で約12%、後部実質で約4.5%増え、効果はで大きい(ソフトで像の線維の断面を1本ずつ測定した値)
酵素への抵抗性 コラーゲンとが MMP などのに分解されにくくなる
水分 実質の水分量が減り、浮腫が起こりにくくなる
のアポトーシス 照射から24時間以内に、照射範囲のがアポトーシスで消える。上皮を削っただけでは細胞は全層に残るが、1.8 mW/cm² ではの細胞が消えて後部に残り、4 mW/cm² では照射範囲の全層で消える

💡 のアポトーシスの深さが照射強度で変わることは、紫外線が奥の内皮まで届いてはいけない理由をそのまま示している。

結果

項目 内容
進行の停止 の約98%で拡張が安定し、最大角膜が58 D を超える進行例ではその後も進行しうる、と整理されてきた。2003年の最初の臨床報告から早期例・進行例のいずれでも進行を止めたと報告されている2
角膜の平坦化 角膜が1.0〜2.5 D 下がる。米国の(205人)では1年後に最大角膜が平均1.6 D 下がり、偽治療群では進行が続いた2
その他の変化 やエレベーションの値が減ることがある。が減り、視力・が改善し、収差が減る。薄い角膜ほど変化が大きい
形の整い方 薄い角膜では、菲薄化と突出の進行を止めるだけでなく、突出部が局所的に整う効果も期待できる。その結果コンタクトレンズを合わせやすくなる
内皮 内皮細胞数が一時的に減るが、通常6か月で戻る2

⚠️ 失敗(治療後も進行すること)の危険因子として、35歳以上、術前の20/25未満、術前の最大角膜58 D 超が挙げられてきた。ただし最近の研究では、58 D を超える進行例でも2年間は視力と角膜の形が安定したと報告されている2。進行例では58 D を超えると進行が続きうる、という従来の注意は残しつつ、進行例も治療の対象になると考える。

項目 内容
適応 進行性の角膜拡張症:、ペルーシド角膜辺縁変性、後(LASIK・放射状角膜切開術)の角膜拡張。Terrien 辺縁変性も対象に挙げられてきたが、2015年の世界合意は拡張症ではなく菲薄化の病気に分類している1
年齢 米国 FDA の承認は14〜65歳の進行性と後の拡張2。2015年の世界合意は、進行しているなら年齢の上限・下限を設けないとした1
禁忌 照射時の400 µm 未満。実質の瘢痕、重い、角膜が薄くなる自己免疫疾患。HSV 角膜炎の既往は紫外線で再活性化しうるので慎重に2(ヘルペス角膜炎はヘルペス角膜炎)
後の拡張 安定させるが、より効果は弱い2

⭐ クロスリンキングは、長期にわたっての進行を防ぎ、止められる現時点で唯一の治療である。視力が落ちてからではなく、進行が分かった早い段階で行うほど得るものが大きい2。

角膜内リング

角膜内リングは、透明なの弧をのの深い層に埋め込み、中央を平らにして突出の頂点を中央へ寄せる。角膜の形を整えるが、進行は止めない。中央が透明で厚さ400 µm 以上の角膜が対象で、・を上げ、コンタクトレンズを合わせやすくする2。米国で承認されている製品名から INTACS とも呼ばれる。製品・禁忌・合併症の詳細は角膜の手術で扱う。

💡 クロスリンキングとリングを組み合わせると、進行を止めながら形を整えられる。どちらを先に行うか、同じ日に行うかについては合意が無い2。

トーリック後房レンズ

角膜の形が安定した後に残るとは、を矯正できる眼内のレンズで補う方法がある。を残したままの後ろ()に入れる内レンズや、で入れる矯正である。ただしでは角膜の測定値が不安定でも含むので、の度数計算が難しい。進行が止まっていること、の大部分が規則的であることが前提になる。

角膜移植

レンズで十分な視力が得られない、レンズを装用できない、中央に瘢痕がある場合はを行う。

項目 従来の数字 現在
移植が必要になる割合 10〜20% 歴史的にを要したのは20%未満。画像診断で軽症例まで見つかるようになり、実際に移植まで進む割合はずっと低い。米国のの移植件数は減っている2
術式 が中心 内皮が健全なら、実質だけを替える DALK を選ぶことが多い。2015年の世界合意の調査では、のの60%超で何らかの前部が(少なくとも試みとして)行われていた1

DALK は宿主の内皮を残すので内皮型が起こらず、より外傷で眼球が破裂する危険も低い2。は、深い瘢痕、極端に薄い角膜、が破れた水腫の後などで選ぶ。移植の手技・の詳細は角膜の手術へ。

屈折矯正手術後の角膜拡張

で角膜を削ると角膜は薄く弱くなり、手術後にと同じような拡張が起こることがある(医原性の角膜拡張)。

状況 仕組み
放射状角膜切開術の後 放射状の切開で弱くなった角膜が膨らみ、だんだん化する
LASIK の後 フラップの下に残る実質(削られていない実質)が250 µm 未満になると起こりやすい
LASIK の繰り返し の戻り(リグレッション)に対して追加矯正を重ねると、さらに薄くなる
LASIK・PRK の後にが悪化し続ける PRK では少ない。術前に見逃されたがあった可能性が高い

米国眼科学会の診療指針では、術前に危険因子の無い眼での手術後の角膜拡張は10万眼あたり PRK 20、LASIK 90、SMILE 11と報告されており、LASIK は PRK の約4.5倍多い。危険因子は、残る実質床が予想より薄い、フラップが厚い、強いを矯正した、術前にがあった(とくに若い人)である。ただし危険因子が無くても起こりうる2。手術の選び方は角膜を参照。

💡 PRK・SMILE で LASIK より少ないのは、フラップを作らず、残る実質床が厚いからである2。

円錐角膜以外へのクロスリンキング

架橋で角膜が酵素に強くなることを利用して、拡張症以外にもクロスリンキングが試みられている。いずれも標準治療ではなく、一次治療(抗菌薬・抗真菌薬など)の代わりにはならない。

対象 ねらい 評価
の融解 酵素による分解を抑える 融解を止める試み
重症の 通常の治療に反応しない重症例で、緊急のを避ける 補助的な治療
移植を遅らせる・避ける が減り、術後1か月は透明性が上がって痛みが減るが、6か月を過ぎると効果が薄れて術前の状態に戻る

で期待される仕組みは4つである。

  1. 紫外線 A の照射との光活性化で病原体の量を減らす
  2. 角膜が酵素による消化に強くなり、病原体と毒素の広がりを抑える
  3. 炎症を抑える
  4. の痛みの反応が弱まり、痛みが和らぐ

の症例では、付近の角膜に白い浸潤を認め、 OCT の水平断では病変部で表面から304 µm の深さまでがされ、垂直断で測ったは644 µm と厚くなっていた。病理標本では紫紅色に染まる分岐した菌糸が多数見え、の地図は大きくゆがんでいた。そのものの診断と治療は、細菌性は、はを参照。

まとめ

  • は、10代で始まりが限局して薄くなって円錐状に突出し、とが進む両眼性(左右差大)の角膜拡張症である。突出は下耳側に多い。
  • は診断方法で大きく違う(10万人あたり50〜230人、で138人、形状解析を使うと0.9〜3.3%)。男女差はない。
  • 角膜の強さは架橋で決まり、架橋は年齢とともに増える。眼をこする習慣(・)、家族歴、などの結合組織・遺伝性疾患が危険因子で、「こすらない」指導が基本。
  • 初期はで見えない。進むと Fleischer 輪・Vogt 線条・瘢痕・目立つ、進行例で Munson 徴候・Rizzuti 徴候、重症例で角膜水腫(約3%、急な痛みと)。
  • 疑う手がかりは、若い人での軸と度数が変わり続ける、左右差、で矯正できない、家族歴。の前には必ず除外する。
  • はと Scheimpflug トモグラフィー。後面エレベーション、厚さの分布、上皮厚のドーナツ形、垂直コマ収差を見る。圧平は低く出る。
  • 2015年の世界合意の必須所見は、後面の突出・異常な厚さ分布・非炎症性の菲薄化。分類は古典的な Amsler-Krumeich 分類から、前面・後面・最薄部厚・視力を別々に評価する ABCD 分類へ。
  • 進行は、前面の化・後面の化・菲薄化(厚さ変化率の増加)のうち2つで記録する(数値の統一定義は無い)。経過観察は3〜6か月ごと、17歳未満と55 D 超はより密に。
  • 治療は「見え方を補う」(→ハードレンズ・・→角膜内リング→)と「進行を止める」(クロスリンキング)の2系統。
  • クロスリンキングはと紫外線 A(吸収ピーク約360 nm に合わせる)でを作り、コラーゲンに架橋を作る。効果は前方約200 µm に集中し、400 µm の深さで紫外線は6%に弱まるので、照射時の400 µm 未満は禁忌。約98%で安定し、角膜が1〜2.5 D 下がる。
  • 角膜内リングは形を整えるが進行は止めない。移植が必要な割合は従来の10〜20%より今はずっと低く、内皮が健全なら DALK を選ぶ。
  • 後の角膜拡張は、残存実質床250 µm 未満・・の見逃しで起こり、LASIK で PRK・SMILE より多い。
  • クロスリンキングは重症の・で補助的に試みられるが標準治療ではなく、では効果が6か月で失われる。

出典

  1. 1.Global consensus on keratoconus and ectatic diseases(Cornea・2015)本文(出版社全文のWayback保存版)で、36人の専門家によるDelphi法の合意であること、診断に必須の所見が異常な後面の突出(拡張)・異常な角膜厚分布・臨床的な非炎症性の菲薄化の3つであること、真の片眼性円錐角膜は存在せず片眼の臨床像は眼をこするなど左右差のある環境要因によること、Terrien辺縁変性は拡張症に分類しないこと、進行の定義が前面の急峻化・後面の急峻化・菲薄化または周辺から最薄点への厚さ変化率の増加のうち2つ以上の一貫した変化で、変化は時間的に一貫し測定系のばらつきを超える必要があり、裸眼・矯正視力の変化は必須でないこと、具体的な数値は機器ごとに異なり定めなかったが若年者ほど検査間隔を短くし同じ機器を用いること、危険因子(Down症候群、とくに若い血縁者、眼アレルギー、アジア系・アラブ系などの民族要因、眼をこする、眼瞼弛緩症候群、アトピー、Marfan症候群などの結合組織疾患、Ehlers-Danlos症候群、Leber先天黒内障)、こすらないよう指導することが非手術的管理の最重要の手段であること、進行する円錐角膜のCXLに年齢の上限・下限を設けないこと、角膜内リングは他の手技より用いられる頻度が低いこと、角膜移植のうち何らかの前部層状角膜移植(少なくとも試み)が60%超で行われていることを確認した閲覧 2026-09-29
  2. 2.Corneal Ectasia Preferred Practice Pattern®(American Academy of Ophthalmology・2024)AAO配布のPDF本体(2024年6月版)で、円錐角膜はかつて思春期に始まり40歳ごろまで進行するとされたが思春期前の発症や40歳以降の進行もまれでないこと、両眼性で非対称が多いこと、有病率は一般人口10万人あたり50〜230人で男女差がなく、メタ解析では10万人あたり138人、角膜形状解析を用いた調査では0.9〜3.3%であること、眼をこする習慣・アトピー・Down症候群などとの関連、角膜水腫が約3%に起こること、歴史的に全層角膜移植を要したのは20%未満で画像診断の進歩により実際の移植率はさらに低いこと、屈折が不安定な患者で角膜拡張を疑い形状解析とトモグラフィーで評価すること、所見(Munson徴候・Vogt線条・角膜神経の目立ち・Fleischer輪・瘢痕・網膜反射の暗い部分)、パワーマップで46 Dを超える急峻化・下方/上方比1.2以上・放射軸の21°を超える傾き、後面エレベーションの感度と特異度、前眼部OCTの上皮厚がドーナツ状になること、垂直コマ収差、圧平眼圧が低く出ること、2015年の合意による進行の最低要件(前面の急峻化・後面の急峻化・菲薄化または周辺から最薄点への厚さ変化率の増加のうち2つ)とABCD分類、統一された進行の定義は無いこと、17歳未満と最大角膜屈折力55 D超で経過観察を密にすること、経過観察は従来の年1回からCXL導入後は3〜6か月ごとが妥当とされること、眼鏡・ソフト・ハード・ハイブリッド・ピギーバック・強膜レンズの位置づけ、CXLが進行性円錐角膜に推奨される治療で原法は365 nmの紫外線Aとリボフラビンを用いること、FDA第III相試験で1年後に最大角膜屈折力が1.6 D低下したこと、CXLで角膜が1.0〜2.5 D平坦化すること、照射時の実質厚400 µm未満が禁忌であること、CXL失敗の危険因子(35歳以上・矯正視力20/25未満・最大角膜屈折力58 D超)と、58 D超でも2年間安定したとする最近の報告、角膜内リングの適応と進行を変えないこと、DALKは内皮型拒絶がなく全層角膜移植より眼球破裂の危険が低いこと、屈折矯正手術後の角膜拡張の頻度(10万眼あたりPRK 20・LASIK 90・SMILE 11)と危険因子(残存実質床が薄い・フラップが厚い・高度近視・術前の潜在性円錐角膜)を確認した閲覧 2026-09-29
  3. 3.Diabetes Mellitus and Keratoconus: A Systematic Review and Meta-Analysis(Cornea・2022)PubMed抄録(PMID 36219212)で、8件の症例対照研究と3件のコホート研究を統合したメタ解析の結論として、現在の文献は糖尿病と円錐角膜の有意な関連を支持しないことを確認した閲覧 2026-09-29
  4. 4.ABCD: A new classification for keratoconus(Indian Journal of Ophthalmology・2020)PMC全文(PMC7856970)で、Amsler-Krumeich分類は1947年の提案で角膜中央の前面曲率と頂点の厚さだけで評価し、後面の変化を無視し早期例を捉えにくいと批判されていること、ABCD分類がA(最薄点を中心とする3.0 mm域の前面曲率半径)・B(同じく後面曲率半径)・C(最薄部角膜厚)・D(最高矯正遠見視力)の4項目を0〜4期に分け、瘢痕の有無(−・+・++)を付記すること、各期の閾値(0期:A>7.25 mm・B>5.90 mm・C>490 µm・D=20/20、I期:>7.05・>5.70・>450・<20/20、II期:>6.35・>5.15・>400・<20/40、III期:>6.15・>4.95・>300・<20/100、IV期:<6.15・<4.95・≤300・<20/400)を確認した閲覧 2026-09-29