眼科学

眼科学 · ML-45

硝子体網膜界面の疾患

Disorders of the vitreoretinal interface

前提:正常
眼:水晶体・角膜・脈絡膜・強膜・硝子体感覚器:眼

🧠 全体像:界面の疾患は、加齢で縮んだが網膜から「きれいに離れられなかった」ときに起こる病気の一群である。が黄斑から牽引なく離れれば、ただの()で終わる。黄斑に貼り付いたまま周りだけ離れると、が引っ張られてになり、引きちぎられると黄斑円孔になる。一方、網膜の表面に膜が張って縮むのが()である。どれも OCT で「の膜がどこに付き、の形がどう崩れているか」を見て診断し、治療が要ればで牽引を外す。

のしくみとの解剖の詳細はで、の器具とタンポナーデ物質はの疾患とで扱う。疾患としての整理は・黄斑円孔・にある。

硝子体と網膜の接点

疾患とは、の病気と網膜の病気が互いに結びついていることを表す言葉である。の変化が網膜を引っ張り、網膜の病気を起こす。

構造 位置と意味
をまたぐ帯。が網膜に最も強く付く。引かれると周辺の
Wieger 前面が後面に付く輪
Cloquet 管 乳頭からの後ろへ前後に走る管(のの名残)
Martegiani 輪 の縁でが付く輪

が網膜に強く付いているのは、・・黄斑の3か所である1。周辺ので引かれれば(の出発点)、黄斑で引かれれば・黄斑円孔になる。

後部硝子体の性質

  • 後部は網膜と生理的に接している。透明なので、正常なら患者にも眼科医にも見えない。
  • 加齢でが(離水)し、同時に網膜から剥がれる()。剥がれた膜や線維の束が網膜に影を落とすのがである。
  • 牽引:が網膜を引っ張ること。
  • :その牽引が黄斑にかかること。

はゆっくり進む。まず黄斑の周りで部分的に離れても黄斑には付いたまま残り、やがて黄斑から離れ、最後にから離れて完成する。乳頭から離れるときに急な・が起こり、乳頭の前にWeiss 輪(乳頭への付着部の名残の輪)が浮かぶ1。この「黄斑から離れる」段階でつまずくと、黄斑の病気になる。

flowchart TD
    A["加齢で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liquefaction'>液化</span>・収縮"] --> B["黄斑の周りから<br>後部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>が離れ始める"]
    B --> C{"黄斑の付着は<br>どうなったか"}
    C -->|"牽引なく離れた"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior vitreous detachment'>後部硝子体剥離</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='floaters'>飛蚊症</span>・Weiss 輪)"]
    C -->|"付いたまま・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>の形は正常"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreomacular adhesion'>硝子体黄斑癒着</span><br>(加齢の所見)"]
    C -->|"付いたまま・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>が歪む"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreomacular traction'>硝子体黄斑牽引</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>が裂ける"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='full-thickness macular hole'>全層黄斑円孔</span>"]
    E --> I["多くは自然に<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior vitreous detachment'>後部硝子体剥離</span>へ"]

硝子体と硝子体網膜界面の検査

検査 見えるもの
しての後ろに光を当てると、前部の白い線維の束や膜がきらめいて見える。出血やもここで見る
超音波(B モード) 眼底が見えないとき(出血・)に使う。の中に、眼球後壁から離れた薄い弧状の膜のエコー(剥がれた後部)が浮かび、同時に表示した A モードでは膜の位置に低い振幅のが立つ
OCT 界面の診断の中心。後部が細い線として描かれ、どこで網膜に付いているか、の形がどう変わったかが分かる

💡 後部は透明で、ではほとんど見えない。OCT がなかった時代は黄斑円孔の病期をの所見から推測していたが、今は OCT でと網膜の関係を直接見て分類する。

硝子体黄斑界面の3つの状態

OCT で見ると、黄斑と後部の関係は次の3つに分かれる。区別の鍵は「付いているか」と「の形が崩れているか」の2点である。

状態 定義 OCT の所見
後部が黄斑から牽引なく離れている 後部が網膜から離れた波打つ細い線としてに浮かぶ。の陥凹は正常
後部が黄斑に付いているが牽引はない 後部が黄斑の周りの網膜表面に斜めに付き、の陥凹は正常な形を保つ
後部が黄斑に付き、牽引でが歪む 両側から降りてきた後部がに集まって引き上げ、の陥凹が消えて網膜の中にの空間()ができる

IVTS 分類

2013年、国際研究グループは、OCT の解剖所見だけに基づく分類を示した2。

用語 定義 細分
の周りではが離れ、の付着が残るが、の形は乱れていない。ほぼ常に正常なの加齢の結果 —
異常なに、の解剖学的な歪み(・・・)を伴う 1500 µm 以下=、1500 µm 超=。他の黄斑疾患を伴えば
からまで、網膜の全層が途切れたの病変 によるもの=一次性、それ以外の病態によるもの=二次性。円孔の大きさと牽引の有無で細分

⚠️ は病名ではなく加齢の所見である。治療の対象になりうるのは、の形が歪んだからである。

硝子体黄斑牽引の経過と治療

  • 症状はと(ものが歪んで見える)で、両眼で見にくい・を訴えることもある1。
  • 付着が1500 µm 以下の牽引では視力が安定していることが多く、1〜2年で23〜47%が自然に外れる。外れると視力も症状もよくなる(ができなければ)1。
  • 付着が1500 µm を超える広範な牽引、黄斑の剥離を伴うもの、初診時の視力が悪いものは、手術なしでは改善しにくい1。
  • 治療はで後部を黄斑から外す。手術は緊急ではなくに行い、症状と生活への支障で決める1。
  • 眼内に膨張性ガスを注射して牽引を外す気体融解も試みられたが、DRCR 網膜ネットワークの無作為化試験は・が予想より多く早期に中止された1。
  • を酵素で溶かして後部を網膜から外すのは、欧州で2013年に(400 µm 以下の黄斑円孔を伴うものを含む)の治療薬として承認されたが、販売元が商業上の理由で販売を永久に止め、2023年8月に欧州の承認は取り下げられた(の公開情報による)。いまは選べる治療ではなく、歴史的な選択肢として知っておけばよい。

特発性黄斑円孔

黄斑円孔は、のに穴があく病気である。特発性のものは、後部がを引っ張って裂くことで起こる。眼底では、に境界のはっきりした丸い赤い欠損として見える。円孔が大きくなると、縁にによる灰色の輪(カフ)を伴うことがある3。

疫学と症状

  • 女性に多く、通常55歳以降に起こる。罹患の男女比は約3.3対1である。の黄斑円孔は20〜30代の若い男性に多く、円孔も大きい3。
  • 片眼に円孔ができた人の反対眼にも5年で10〜15%に円孔ができる。反対眼に完全ながあれば危険は低い3。
  • 症状はとで、円孔が大きくなるとになる。は保たれる。

Gass 分類(病期)

Gass はで黄斑円孔ができる過程を4期に分けた。OCT の所見もこの観察を裏づけている3。

病期 眼底と OCT の所見 視力
1-A(切迫円孔) の陥凹が消え、に100〜200 µm の黄色の斑。後部はに付いたまま周りが浅く離れ、牽引でが水平に裂けてができる 20/25〜20/80
1-B(切迫円孔) 200〜350 µm の黄色の輪。がへ広がるが、網膜の屋根は保たれ、後部は付いたまま 20/25〜20/80
2 400 µm 未満の小さな全層欠損。しばしばで、欠損の縁の一部が後部に引かれた弁として残る 20/25〜20/80
3 400 µm 以上の。後部は黄斑から離れ(乳頭には付いていることがある)、円孔の上に弁蓋が浮かぶ。円孔の縁にの輪と網膜内の浮腫・嚢胞 20/100〜20/400
4 400 µm を超えるに、Weiss 輪を伴う完全な。縁の・網膜内浮腫・嚢胞、が多い 20/100〜20/400

OCT で各期を並べると、次のように見える。

  • 1期:後部がの頂点に付き、がテント状に引き上げられる。中心に大きな縦長の空洞があり、周りにも小さな嚢胞が並ぶが、表面(屋根)はつながっている。
  • 2期:の片側の屋根が裂けて全層の欠損ができ、裂けた縁の弁がまだ後部に付いて引き上げられている。両側の縁の中に嚢胞がある。
  • 3期:全層の円孔の上方に、後部に乗った小さな組織片(弁蓋)が浮かぶ。後部は網膜から離れている。
  • 4期:円孔が大きく開き、縁が盛り上がって中に嚢胞を抱える。後部ははるか前方にある。

💡 1期はまだ全層の欠損がないので「切迫円孔」と呼ぶ。切迫円孔の40〜50%が数週〜数か月でへ進み、2期の約75%は3期・4期へ進む。一方、が自然にから離れて完全に元に戻るものもある3。

flowchart TD
    A["1-A:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='yellow spots'>黄色斑</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudocyst'>偽嚢胞</span>・後部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous membrane'>硝子体膜</span>は付着"] --> B["1-B:黄色輪<br>屋根は保たれる"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>から<br>自然に離れたか"}
    C -->|"離れた"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fovea'>中心窩</span>が元に戻る"]
    C -->|"離れない"| E["2期:400 µm 未満の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='eccentric'>偏心性</span>の全層欠損"]
    E --> F["3期:400 µm 以上<br>弁蓋が浮かぶ"]
    F --> G["4期:完全な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior vitreous detachment'>後部硝子体剥離</span><br>Weiss 輪"]

IVTS 分類での黄斑円孔

IVTS 分類では、を OCT で測った大きさと、の有無で表す2。大きさは円孔の最も狭い部分の水平径で測る4。

大きさ 最も狭い部分の水平径
小 250 µm 以下
中 250〜400 µm
大 400 µm 超

Gass 分類はの所見と進み方で、IVTS 分類は OCT で測った大きさと牽引の有無で分けるので、物差しが違い一対一には対応しない。両者の定義を並べると、おおよそ次のように読み替えられる。

Gass 分類 IVTS 分類で言い換えると
1期(切迫円孔) 全層の欠損がないので円孔ではなく、
2期(400 µm 未満) 小〜中ので、あり
3期(400 µm 以上) 大の(400 µm ちょうどなら中)。後部は黄斑から離れているが、乳頭などには付いたまま残ることがあり、完全なではない
4期 で、なし(完全な)。大きさは多くが大

💡 IVTS 分類が大きさを重視するのは、円孔が小さいほど手術で閉じやすく、視力も戻りやすいからである。治療の選び方に直結する物差しになっている。

診断と鑑別

  • で黄斑と界面を見て、周辺部の網膜も倒像で調べる。Amsler チャートで歪みとを確かめる3。
  • Watzke-Allen 試験:円孔の上に細い光の帯を当てると、では患者が「光の線が途切れて見える」と答える。偽陰性も少なくない3。
  • OCT で円孔の有無・大きさ・やの合併を確かめる。病期の決定と経過観察の中心になる。
鑑別する病変 見分けどころ
分層黄斑円孔 網膜の一部の層だけの欠損。全層ではない
が縮んでの周りを寄せ、丸い陥凹が円孔のように見える。網膜の欠損はなく、視力はよい(20/30 以上)
の嚢胞が円孔に似る
その他 、下の()、日光

とは、接触レンズでの診察か OCT で確実に区別できる3。

自然経過

  • 未治療のの視力は悪い。多くは20/100〜20/400 まで落ちて安定し、は保たれる3。
  • 3〜11%は自然に閉じ、そのときは視力が大きく戻ることがある3。

治療

米国眼科学会の指針での病期別の管理は次のとおりである3。

病期 管理 経過観察
1-A・1-B 経過観察 新しい症状がなければ2〜4か月ごと。症状が出たらすぐ受診、片眼ずつAmsler チャートで自己点検
2 (小さな円孔・視力のよい例では経過観察も) 診断から数週〜数か月のうちに手術
2 気体融解(小さな円孔で有望な小規模の症例集積がある。ただし下記のとおり DRCR の試験では有効でなかった) 術後1〜2日、1週
3・4 診断から数週〜数か月のうちに手術
  • 切迫円孔(1期)を予防的に手術してもへの進行は減らないとする従来の研究がある一方、近年のの研究ではを外すことが有益でありうるとされる。DRCR 網膜ネットワークの試験では、気体融解は有効でなかった3。
  • 円孔は大きくなるほど、また期間が長いほど閉じにくい。早く見つけて早く手術するほども術後視力もよい。発症6か月未満で400 µm 以下の新しい円孔は、約90%がで閉じる3。

の手順

flowchart TD
    A["毛様体扁平部に3本のポート<br>(灌流・照明・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>カッター)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>を切除し<br>後部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous membrane'>硝子体膜</span>を黄斑から外す"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal limiting membrane'>内境界膜</span>を染色して<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='forceps'>鉗子</span>で剥がす"]
    C --> D["周辺部の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal tear'>網膜裂孔</span>を確認"]
    D --> E["液体と空気を置き換え<br>ガスを注入(タンポナーデ)"]
    E --> F["術後の体位<br>(大きい円孔ではうつ伏せが有益なことがある)"]
    F --> G["OCT で円孔の閉鎖を確認"]
  • では、後部を黄斑から外して牽引を解き、を取り除いた後に病的な・黄斑の癒着をはがす。
  • の剥離はを上げ、視力を損なわない3。はになって細胞が増えるので、残すと牽引が残り、閉じない・再び開く原因になる。
  • タンポナーデ:空気(数日)、SF6(2〜3週)、C3F8(6〜8週)、(長く残るが抜く手術が必要)。でも閉じるが、ガスの方が解剖学的にも視力でも成績がよい3。
  • 術後の体位:かつては10〜14日のうつ伏せを指示していたが、1〜3日でも、うつ伏せをしなくても(仰向けを避ければ)同程度に閉じるという報告が多い。400 µm を超える大きな円孔では、うつ伏せが有益かもしれない3。

⚠️ 眼内にガスが残っている間は、高地への移動や飛行機に乗ることを避ける。ガスが膨張してがし、特に緑内障の人では永続的なを起こしうる。全身麻酔で手術するときはに注意する3。

手術の成績と合併症

  • のは91〜98%、閉じた後の視力の中央値は約20/40 である3。
  • 閉じた後の OCT では、の陥凹が戻り、網膜の層がつながる。の(の層)に小さな乱れが残ることがあり、閉じた後もゆがみや見えにくさが残りうる。
  • 閉じた円孔の最大10%が後で再び開く。を剥がすと少ないかもしれない3。
  • :の80%超が数年のうちに臨床的に問題になるを生じる。そのためとの同時手術を選ぶもいる3。
  • 術中の(3〜17%、多くは下方)と術後の(多くの報告で1〜5%)3。

黄斑上膜(網膜前膜)

は、黄斑の網膜の内面に張るの性の膜である。ERM とも呼ぶ。膜が縮むと網膜にしわを寄せ、黄斑を歪ませる。

原因

型 内容
特発性 はっきりした原因がない。加齢が最も確かな危険因子
続発性 ・の後、・外傷・・の後、病(・)、ぶどう膜炎などの炎症

膜は、のあとに網膜表面に残ったの細胞()や、の細胞が増え、に変わって縮むことでできると考えられている1。

所見

  • 眼底:薄いものは網膜の表面がセロファンのようにきらめく()。厚いものは白い線維性の膜で下の網膜が見えにくい。膜が縮むと、黄斑を中心に放射状のひだが寄り、が黄斑の方へ引き寄せられてする。
  • OCT:網膜の内面に高反射の線(膜)が乗り、表面が細かく波打つ。網膜は厚くなり、の陥凹が消える。
  • 膜の収縮で、網膜のひだ・血管の牽引・黄斑の偏位、嚢胞、分層円孔、ときにができる1。

症状と経過

  • 、、両眼で見にくい、。読書のときに片眼を閉じて歪みを避ける人が多い1。
  • 多くは安定している。5年の経過で進行29%、退縮26%、不変39% だった。症状が出てから手術しても、すぐ手術した場合と成績は変わらない1。
  • 片眼ずつAmsler チャートで定期的に自己点検させ、歪みが増えたら受診させる。

治療

  • 治療はで、を切除したあと、で膜を網膜表面からはがす。も一緒に剥がすと再発が少ないとする報告がある1。
  • 手術はで、・・がどれだけ生活に支障があるかで決める。約80%が2段階以上視力改善する1。
  • では術後にが進みやすい1。

3つの病気の比較

項目 特発性黄斑円孔
病態 後部が黄斑を前方へ引く 牽引でが裂ける 網膜表面の膜が縮んでに引く
OCT に付く後部、 全層の欠損、弁蓋 内面の高反射の膜、網膜の肥厚、陥凹の消失
症状 、 、、 、、
は自然に外れうる 多くは20/100〜20/400 で安定、まれに 多くは安定
治療 経過観察か 2〜4期は++ガス 症状が強ければで膜をはがす

まとめ

  • は・・黄斑で網膜に強く付く。加齢で・剥離し、黄斑から牽引なく離れれば(・Weiss 輪)で終わる。
  • 診察は(前部の線維)、B モード超音波(眼底が見えないとき、浮かぶ後部)、そして界面の診断の中心となる OCT。
  • IVTS 分類(OCT のみ):=付着あり・正常(加齢の所見)、=の歪みあり(1500 µm 以下は、超は)、=からまで全層の欠損(一次性・二次性、大きさは小 250 µm 以下・中 250〜400 µm・大 400 µm 超)。
  • のは1〜2年で23〜47%が自然に外れる。・・視力不良は手術を考える。
  • 特発性黄斑円孔は55歳以降の女性に多く、反対眼にも5年で10〜15%。Gass 分類:1-A・1-B(切迫円孔、屋根あり)→2期(400 µm 未満の全層欠損)→3期(400 µm 以上、弁蓋)→4期(完全な)。
  • 1期は経過観察(へ進むのは約半分で、残りはが自然に離れて元に戻る)、2〜4期は++。新しい小さな円孔は約90%閉じ、全体のは91〜98%。ガスが残る間は高地・飛行機を避ける。の80%超に。
  • は網膜内面の性の膜。特発性(加齢)と続発性(裂孔・剥離・手術・血管病・炎症)。セロファン様の反射・放射状のひだ・血管の、OCT で内面の高反射の膜と陥凹の消失。多くは安定し、症状が強ければにで膜をはがす。

出典

  1. 1.Idiopathic Epiretinal Membrane and Vitreomacular Traction Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology(Ophthalmology 2025)・2025)AAO公式PDFの本文で、網膜前膜は神経網膜の内面にできるシート状の線維細胞増殖で、特発性と、網膜裂孔・網膜剥離・内眼手術・外傷・光凝固・冷凍凝固の後にできる続発性があり、網膜血管病や炎症に多いこと、硝子体は硝子体基底部・視神経乳頭・黄斑で最も強く付着し、後部硝子体剥離は黄斑、最後に乳頭から離れて完成し、乳頭から離れるときに飛蚊症・光視症が起こり Weiss 輪が見えること、網膜前膜はセロファン様の薄い膜から白い線維性の厚い膜まであり、収縮すると網膜のひだ・血管の牽引・黄斑の偏位・嚢胞・分層円孔・全層円孔を起こすこと、症状は視力低下・変視症・両眼で見にくい・複視であること、5年で進行29%・退縮26%・不変39%で多くは安定し、症状が出てから手術しても成績は劣らないこと、1500 µm以下の硝子体黄斑牽引は1〜2年で23〜47%が自然に外れること、1500 µmを超える広範な牽引・黄斑剥離・視力不良では手術なしに改善しにくいこと、DRCR網膜ネットワークの気体硝子体融解の試験は網膜剥離・裂孔が予想より多く早期中止されたこと、硝子体手術は待機的で約80%が2段階以上視力改善すること、手術では硝子体・網膜前膜・しばしば内境界膜を鉗子で剥がし、内境界膜剥離で再発が少ないとする報告があること、有水晶体眼では術後に白内障が進みやすいことを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.The International Vitreomacular Traction Study Group classification of vitreomacular adhesion, traction, and macular hole(Ophthalmology(International Vitreomacular Traction Study Group、Duker JS ほか)・2013)PubMedの抄録(PMID 24053995)で、IVTSがOCTだけに基づく解剖学的分類を作ったこと、硝子体黄斑癒着は中心窩周囲の硝子体分離と残った付着があり中心窩の形態が乱れていないものでほぼ常に正常な加齢の結果であること、硝子体黄斑牽引は異常な後部硝子体剥離に中心窩の解剖学的な歪み(偽嚢胞・黄斑分離・嚢胞様黄斑浮腫・網膜下液を含みうる)を伴うもので、付着径1500 µm以下を限局型・1500 µm超を広範型、他の黄斑疾患を伴えば併存型とすること、全層黄斑円孔は内境界膜から網膜色素上皮まで全層が途切れた中心窩病変で、硝子体牽引によるものを一次性・それ以外によるものを二次性とし、OCTで測った円孔径と硝子体黄斑牽引の有無で細分することを確認した。抄録のみで全文は未取得。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Idiopathic Macular Hole Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology(Kim SJ ほか。Ophthalmology 2025;132:P234-P269)・2025)AAO公式PDFの本文で、特発性黄斑円孔は女性に多く通常55歳以降に起こり、反対眼に5年で10〜15%が生じること(完全な後部硝子体剥離があれば危険は低い)、罹患の男女比が約3.3対1で外傷性円孔は20〜30代の若い男性に多いこと、Table 1のGass病期(1-A:中心窩陥凹の消失と100〜200 µmの黄色斑、1-B:200〜350 µmの黄色輪で網膜の屋根は保たれる、2:400 µm未満の小さな全層欠損でしばしば偏心性、3:400 µm以上の全層円孔で後部硝子体は黄斑から離れ弁蓋を伴う、4:400 µm超で Weiss 輪を伴う完全な後部硝子体剥離)と各病期の視力、切迫円孔の40〜50%が全層円孔へ進み、ステージ2の約75%がステージ3・4へ進むこと、未治療では多くが20/100〜20/400で安定し周辺視野は保たれ、3〜11%が自然閉鎖すること、鑑別に偽円孔・分層円孔・嚢胞様黄斑浮腫などがありWatzke-Allen試験が使えること、Table 2の管理(ステージ1は2〜4か月ごとの経過観察、ステージ2〜4は硝子体手術、ステージ2で気体硝子体融解も選択肢で、脚注で小さな円孔に有望な小規模症例集積があるとすること)、切迫円孔の約50%は全層円孔へ進み残りは硝子体が自然に離れて中心窩が正常に戻るか赤い点になること、予防手術は進行率を変えないとした従来の研究に対し近年の硝子体手術の研究では牽引の解除が有益でありうるとし、DRCR網膜ネットワークのProtocol AG・AHの試験で気体硝子体融解は有効でなかったこと、発症6か月未満で400 µm以下の円孔の約90%が硝子体手術で閉じること、内境界膜剥離が閉鎖率を上げること、タンポナーデは空気(数日)・SF6(2〜3週)・C3F8(6〜8週)・シリコーンオイル(除去が必要)でガスの方が成績がよいこと、うつ伏せ姿勢は400 µmを超える円孔で有益かもしれないこと、閉鎖率91〜98%で術後視力の中央値は約20/40、閉じた円孔の最大10%が再開すること、有水晶体眼の80%超に数年以内に白内障が生じること、術中の網膜裂孔3〜17%・術後網膜剥離は多くの報告で1〜5%であることを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.Macular Hole(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)2026年7月21日更新版で、IVTS分類の全層黄斑円孔の大きさを、最も狭い部分の水平径で小(250 µm以下)・中(250〜400 µm)・大(400 µm超)に分けることを確認した。閲覧 2026-09-29