眼科学

眼科学 · ML-03

眼組織の透明性と眼科超音波検査・生体計測

Functional anatomy III: transparency of ocular tissues and ultrasound diagnostics

前提:正常
感覚器:眼音響インピーダンスと音の反射率

🧠 全体像:眼科の診断は「見えたものを記述する」学問であり、角膜・・が光に対して透明であることが前提になっている。その透明性が失われたとき(濃い、、、小児の非協力)に、光の代わりに音で眼の中を見るのが眼科超音波である。眼の組織は音に対してもほぼ「透明」で、音は少しだけ吸収され、境界面で一部が反射し、残りは奥へ進む。この反射を断層像にするのが(診断)、1本の線上の距離として測るのが(生体:→)、でだけを顕微鏡並みに見るのがである。弱点は「ガス・石灰化・の奥が見えない」「眼窩の奥は届かない」の2点で、ここから先はCT・MRIの出番になる。

1. 光で見えないとき、何で眼の中を見るか

眼の透明性という前提

眼の診察(・・OCT)はすべて、光が角膜→→→を散乱せずに通り、網膜まで届いて戻ってくることを利用している。透明性を支える仕組みは組織ごとに異なり、どれか一つが崩れると光学的な検査が成り立たなくなる。

透光体 透明である理由 透明性が失われる例
角膜 で、実質のが規則正しいをなして光の散乱を打ち消す。内皮のポンプが実質の含水量を低く保つ ・瘢痕、による
細胞・タンパクをほとんど含まない 前房出血、、強い
で、細胞内小器官を失ったにが高濃度で整然と並ぶ (とくに成熟・過熟)
水分が約99%の透明なゲル 、、

💡 角膜とは同じI型コラーゲンでできているが、角膜は規則的な配列で透明、は不規則な配列で白く不透明である。組織の詳しい構造は組織学:眼、透光体の原理と画像検査はの解剖と画像検査で扱う。

光学的検査の代わりが必要になる状況

眼科の診断は主に形態の変化(何が見えるか)を記述するので、眼の中を覗けなければ、光学的検査に代わる方法が必要になる。

状況 光学的検査ができない理由 代わりの検査
濃い で光が遮られ眼底が見えない (奥にや腫瘍がないか)
が血液で濁る (出血の奥にがないか)
・前房出血 から光が入らない 、
小児など協力が得られない ・開瞼が保てずやが不十分 (病的変化がないかの確認)
眼窩の病変 眼球の外にあり、もともと光では見えない (眼窩前部のみ)、CT・MRI

CT・MRIにも利点はあるが眼科で使う機会は少なく、日常診療で毎日使われるのは超音波である。すぐにその場で行え、眼科医自身が臨床上の疑問を持ちながら検査できるからである。

2. 音に対して「透明」な眼:基本原理

眼の組織は一般に音波に対しても「透明」である。音のエネルギーはわずかしか吸収されず、音響的な性質が変わる境界面(角膜、の前面・後面、網膜・、腫瘤の表面など)で一部が反射し、残りは奥へ進む。反射して戻ってきた音波をに変えて並べると、眼球と眼窩の一部を動画としてリアルタイムに描出できる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transducer'>探触子</span>が短い超音波パルスを送る"] --> B["眼内をほとんど減衰せずに進む<br>(眼組織は音に対してほぼ透明)"]
    B --> C["境界面で一部が反射し<br>残りはさらに奥へ進む"]
    C --> D["戻ったエコーを<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transducer'>探触子</span>が受信する"]
    D --> E{"表示のしかた"}
    E -->|"1本の線上の距離と強さ"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='A-mode'>Aモード</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='axial length'>眼軸長</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber depth'>前房深度</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens thickness'>水晶体厚</span>を測る"]
    E -->|"明るさの点として断面に並べる"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='B-mode ultrasonography'>Bモード</span><br>眼内・眼窩前部の形態を診断する"]

反射の強さは境界の両側のの差で決まる。差が小さければ音は通り抜け、差が大きいと強く反射して奥へ届かなくなる()。物理の詳細はと音の反射率、の用語は、全身のの原理はの原理とを参照。

3. 周波数の選び方

眼は「浅く小さい」臓器

⭐ 超音波は周波数が高いほど分解能が上がるが、深くまで届かなくなる。眼は体表にある小さな臓器なので深部を見る必要はなく、そのかわり高い分解能が必要になる。このため腹部超音波(3〜5 MHz)よりずっと高い周波数を使う。

周波数 位置づけ 見える範囲
10 MHz以上 眼で十分な分解能を得るための最低ライン —
10〜20 MHz 眼科で最も普及している(・) 眼球全体と眼窩前部
35〜50 MHz のみ。は届かず検査できない

💡 35〜50 MHzまで周波数を上げるとの細かな構造まで見えるかわりに、には届かなくなる。高い分解能との交換条件がそのまま検査の使い分けになる。

flowchart TD
    A["何を見たいか"] --> B{"眼底が光学的に見えるか"}
    B -->|"見える"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slit-lamp microscope'>細隙灯顕微鏡</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fundus examination (fundoscopy)'>眼底検査</span>・OCT"]
    B -->|"見えない"| D{"見たいのは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior segment'>前眼部</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior segment'>後眼部</span>か"}
    D -->|"角膜〜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary body'>毛様体</span>・隅角"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ultrasound biomicroscopy'>超音波生体顕微鏡</span><br>35〜50 MHz"]
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>・網膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span><br>眼窩前部"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='B-mode ultrasonography'>Bモード</span><br>10〜20 MHz"]
    F --> G{"眼窩の奥・骨・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular foreign body'>眼内異物</span>が問題か"}
    G -->|"はい"| H["CT・MRI"]

装置と記録画面の読み方

眼科用の超音波装置は、表示用の画面と操作つまみを備えた本体に、目的に応じた細長いペン型のを差し替えて使う。の記録には、所見を正しく読むために次の情報が表示される。

表示される情報 意味
左右の別 右眼か左眼か(右眼はOD、左眼はOSと表示される)
の種類 周波数(例:20 MHzの)
方向の時計表示 12時(上方)・3時・6時(下方)・9時の時計の上に、の標識が向く方向と面を示す。左眼では3時が耳側、9時が鼻側
受信信号の増幅度(dB)。高くすると弱いエコー(の)まで写り、低くすると強い反射体だけが残る
表示する明るさの幅(dB)
深さ補正 深い位置ほど減衰する信号を深さに応じて増幅し直す設定

💡 を上げるとの細かなや薄い膜まで見え、下げるとのような反射の強い膜だけが残る。膜状エコーが「薄いか、網膜か」を見分けるときに役立つ。

4. 眼科超音波の二つの目的

目的 主なモード 内容
診断 ・角膜疾患・などで中が見えないとき、眼内・眼窩の形態変化を描出する。病変の反射の強さ、形、周囲の結合組織との関係が重要な情報になる。診断の一部としてもできる(炎症での肥厚、腫瘍の大きさ、の太さ)
生体 、、を測る。主な用途は前の計算

5. Bモード:診断

Bモードを行う臨床場面と「知りたいこと」

⭐ は「何かの奥に何が隠れているか」を問う検査である。場面ごとに問いがはっきりしている。

場面 知りたいこと
の奥(・網膜)に何があるか
出血の奥にが隠れていないか
剥離の奥に腫瘍がないか(腫瘍による続発性の剥離の除外)
協力が得られない患者(小児など) 何か病的な変化がないか
の肥厚か、眼窩のか
の炎症 炎症の活動性、の肥厚
母斑か黒色腫か
の小児 治療後の経過観察
またはの位置(・偏位)、
の有無
手術合併症 術後に中が見えないときの眼内の状態

所見の実例:後部硝子体剥離と硝子体の炎症

左眼をで、を高め(105 dB)にして撮った断面では、次の所見を認める。

  • 眼球後部のに沿って、の中に薄く波打つ膜状のエコーが浮かんでいる。これがから離れた後部、つまりである。
  • 全体に細かい点状のエコーが散らばり、の炎症(細胞・)を示す。
  • の後方には、による明るくざらついたエコーが広がる。

の膜状エコーを見たら、それがか網膜かかを見分けることが最も大切である1。

所見 剥離
膜の形・反射 細く滑らかな膜で、反射は弱い(を下げると消えやすい) 厚く折れ曲がった明るい膜で、反射が強い(を下げても残る) 厚く丸いドーム状の隆起
付着部 完全な剥離ではに付着しない に付着する ・渦静脈・視神経の付着部で区切られ、通常はに付着しない
の 通常はより低い と同じ高さ(100%) 高い二峰性のM字形
眼球運動での動き(後運動) よく揺れる 限られる ほとんど動かない
臨床的意味 加齢でよく起こる。の原因になり、を伴うことがある 手術が必要。へ ・術後・炎症で起こる

💡 を併用すると、の膜はと同じ高さのを示すのに対し、のは低い1。この「反射の強さ」の差がの見た目の差の裏付けになる。

計測を伴う診断

は形を見るだけでなく、診断の一部として長さも測れる。

するもの 臨床的な意味
の厚さ 炎症(例:)でが厚くなる。・強膜炎も参照
腫瘍の大きさ(厚さ・) 母斑と黒色腫の鑑別、治療法の選択、経過での増大の判定
の太さ などでが太くなる。の鑑別へ

眼内腫瘍:母斑か黒色腫か

のでは、超音波の2つの所見が黒色腫への転化を予測する。3,806例の母斑の解析では、転化の予測因子として超音波での厚さ2 mm超と音響的空洞(腫瘍内部の反射が低く、内部が暗く抜けて見える所見)が挙がり、これにOCTの、、自発蛍光でのオレンジ色素、直径5 mm超を加えた6因子(覚え方TFSOM-DIM)が多いほど転化しやすかった2。

危険因子 何で見るか
厚さ2 mm超 超音波
OCT
などの症状 視力検査
オレンジ色素
音響的空洞 超音波
直径5 mm超

危険因子が0個なら5年での転化は約1%だが、1個で約11%、2個で約22%、3個で約34%に上がる2。成人のの全体像は成人の、の経過観察(石灰化による強い反射とが特徴)は小児の眼腫瘍で扱う。

外傷と術後

  • :やが偏位・していないか、がないかを確認する()。
  • :受傷後にのやの肥厚が増えていないかでを疑う()。
  • 手術合併症:術後に出血やで中が見えないときの眼内の評価に使う。

⚠️ が疑われる眼をで押すと、眼内容が脱出するおそれがある。創が閉じるまでは超音波を避けるか、上から圧をかけずに慎重に当てる。の検出や骨折の評価はCTが中心になる(鋭的外傷・)。

6. Aモード:生体計測

Aモード波形の読み方

は、から眼の奥へ向かう1本の線の上で、境界面ごとのエコーを(縦の線)として表示する。横軸が距離(mm)、縦軸がエコーの強さである。正しく眼軸に沿って測れていると、次のが並ぶ。

記号 の位置 次のまでの区間
C 角膜 (角膜〜前面)
L1 前面 (前面〜後面)
L2 後面 (後面〜網膜)
R 網膜 ここまでが。その奥の不規則な多数のは

計測値の実例

実際の例では、同じ眼を10回測り、21.69〜22.19 mmの値が得られた(平均22.00 mm、0.16 mm)。採用した1回の値は次のとおりである。

項目 値
22.12 mm
3.04 mm
4.51 mm
14.57 mm

💡 3区間を足すと 3.04 + 4.51 + 14.57 = 22.12 mm となり、に一致する。は・・の和である。成人ののは平均約24 mmなので3、22 mm程度は短め(寄り)の眼である。

⭐ は多くの計算式で最も重要なで、の1 mmはでおよそ2.5〜3 Dに相当する(初期のSRK式 P = A − 0.9K − 2.5AL の係数2.5がその目安)3。はそのまま術後の屈折誤差になるので、10回の測定値に0.5 mmの幅があるのは、度数にして1 D以上の差になりうる大きなばらつきであり、測定をくり返して外れ値を除く理由である。

接触式・浸水式・光学式

方法 特徴
接触式 を角膜に直接当てるので角膜を圧迫し、を不定に短く測ってしまう。精度は検者の技量と経験に大きく左右される4
式 を角膜に触れさせず、液体を介して測るため一貫性と精度が高い4
光学式生体(光干渉法) 非接触で速く、検者に依存しない。できればまでの距離を測れる。式より術後屈折が目標に近い4

⭐ 現在、の測定には光干渉を使う光学式の方法がより多く使われる。超音波のが必要になるのは、光が通らないほど濃いや、ができない患者である4。

💡 光学式は光がで反射した位置までの「屈折上の」を測るため、がの斜面にある眼でも正確で、眼でも超音波より測りやすい。は手術しない側の眼も含めて両眼で測り、左右差を確かめる4。

7. 眼内レンズ度数計算

目的と入力するデータ

ではしたを取り除き、を入れる。目的は、その眼に合った度数のを選び、術後に最適な屈折(狙った屈折値)を得ることである。

入力データ 意味
必須。または光学式で測る
角膜(K値) 必須。角膜計・生体装置・装置などで測る
新しい計算式で追加する
新しい計算式で追加する

💡 K値は角膜の「」そのものではなく、角膜前面のから求めた角膜の(D)である。角膜は眼全体のの約3分の2を担うので、K値の誤差も度数計算に大きく響く。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cataract surgery'>白内障手術</span>の予定"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='axial length'>眼軸長</span>を測る<br>(通常は光学式、測れなければ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='A-mode'>Aモード</span>)"]
    A --> C["角膜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractive power'>屈折力</span>(K値)を測る"]
    B --> D["必要に応じて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior chamber depth'>前房深度</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lens thickness'>水晶体厚</span>を追加"]
    C --> D
    D --> E["計算式で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular lens power'>眼内レンズ度数</span>を求める"]
    E --> F{"角膜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='astigmatism'>乱視</span>が大きいか"}
    F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toric intraocular lens'>トーリック眼内レンズ</span>の度数と軸を計算"]
    F -->|"いいえ"| H["球面度数の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular lens'>眼内レンズ</span>を選ぶ"]
    G --> I["狙った術後屈折に近づける"]
    H --> I

計算式の世代

測ったデータを計算式に入れると、適切なが得られる。従来はとK値だけを使うが中心だったが、現行の計算式は光学理論・レイトレーシング・を組み合わせ、・・などを追加して精度を上げている4。

計算式 とK値のほかに使う
SRK/T、Hoffer Q、Holladay 1 なし
Haigis
Olsen 、
Barrett Universal II、Hill-RBF 、、
Holladay 2 、、年齢、、術前屈折
Kane 、性別、、

トーリック眼内レンズ

⭐ 角膜が球面から大きくずれている(角膜が大きい)ときは、の度数と挿入軸を計算する。小さなは角膜のでも矯正できるが、大きなではを考える4。の全体は疾患とで扱う。

8. 眼科超音波の利点と欠点

利点

利点 説明
すぐに行える 外来でその場で検査できる
2 mm以上の形態変化なら有用な情報が得られる ・腫瘤・肥厚など
眼科医自身が行う 臨床上の疑問を持ったまま検査でき、問いと答えがかみ合いやすい
副作用がなく、再現しやすい くり返して経過を比べられる。一般に禁忌はない
患者への説明に役立つ 断面を見せながら病状を説明できる

欠点:すべてを見通せるわけではない

障害物・限界 何が起こるか 典型例
ガス 超音波をほぼし、奥が見えない 眼瞼の、後ののガス
石灰化 音の一部を反射し一部を吸収するため、奥が暗く抜けて見えにくい の石灰化、
眼内の音の伝わり方を乱し、像を妨げる 手術後の充填眼
眼窩の奥 届かず検査できない の病変 → CT・MRI

💡 の中ではがより遅いため、と同じで換算すると超音波はを実際より長く測ってしまう1。眼のは光学式の方が測りやすい4。で使うガスやオイルについては疾患とを参照。

⚠️ 眼窩の後部は超音波で評価できない。や視神経の圧迫が疑われて眼窩前部に異常がないときも、それで病変を否定せず、CT・MRIで眼窩全体を確かめる。

9. 超音波生体顕微鏡

何が見え、何に使うか

は、35〜50 MHzのでを細かく描出する検査である。

項目 内容
描出できる構造 角膜、、、、、、。さらに・・網膜・の前方部分
主な適応 腫瘍と嚢胞の鑑別、の機序の評価
周波数 35〜50 MHz

💡 の裏(・)は光では見えないが、超音波ならを通して見える。隅角と・・・の位置関係を断面で確かめられるので、の機序の評価に使われる。閉塞隅角やの詳細は緑内障 IIで扱う。

症例から学ぶ:前房の腫瘤

血管に富むの腫瘍:で、周辺部から隅角にかけて、表面に血管を伴う赤みを帯びた隆起性の腫瘤を認め、近くの・上強膜の血管も拡張している。では腫瘤の前面しか見えず、の裏やへどこまで広がっているかは分からない。

転移(肺癌):で、からへ盛り上がる大きなの腫瘤を認める。内部は均一な中等度のエコーで満たされ、液体を含む嚢胞のようなではない。腫瘤の横にはより小さな結節状のエコーも見える。

💡 どちらの症例でも問いは「嚢胞か腫瘍か、どこまで広がっているか」である。内部がなら嚢胞、が詰まっていればの腫瘍と考え、への浸潤の範囲と大きさを測ってにつなげる。の腫瘤の見分け方は・を参照。

10. 検査の使い分けのまとめ

検査 周波数・原理 見える範囲 主な用途
10〜20 MHzの超音波 眼球全体と眼窩前部 透光体の奥の診断、腫瘍、外傷、
10 MHz前後の超音波 1本の線上 ・・、腫瘍の内部反射
光学式生体 光干渉 眼軸上 測定の第一選択
35〜50 MHzの超音波 (深さ数mm) 腫瘍と嚢胞の鑑別、隅角・、
CT・MRI X線・磁気共鳴 眼窩全体、骨、頭蓋内 眼窩の奥の病変、、骨折

眼科検査機器の総覧は眼科の診断法で扱う。

まとめ

  • 光学的な眼科検査は角膜・・・の透明性を前提とし、これが失われたとき(、、、非協力)に超音波が代わりになる。
  • 眼の組織は音に対してもほぼ透明で、境界面で一部が反射する。眼は浅く小さいので高い分解能が必要で、10 MHz以上、通常10〜20 MHzを使い、35〜50 MHzではしか見えない。
  • は診断用で、「奥に何が隠れているか」を問う(・の奥の、剥離の奥の腫瘍、、外傷、)。
  • は薄く反射が弱く自由に揺れ、は厚く反射が強くに付着する。
  • 母斑では超音波での厚さ2 mm超と音響的空洞が黒色腫への転化の危険因子である。
  • は生体用で、角膜・前面・後面・網膜のから・・を測り、その和がになる。
  • はとK値(角膜)を基本に計算式で求め、角膜が大きければを選ぶ。現在の測定は光学式が主で、接触式は角膜圧迫で短く測りやすい。
  • 超音波は速く、副作用がなく、再現性があり、患者への説明にも役立つが、ガス・石灰化・の奥と眼窩の奥は見えない。
  • はの裏や隅角・を描出し、腫瘍と嚢胞の鑑別やの評価に使う。

出典

  1. 1.Echography (Ultrasound)(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)網膜剥離は両側で視神経乳頭に付着する厚い折れ曲がった膜で、Aモードで脈絡膜・強膜と比べ100%の高さのスパイクを示し後運動は限られること、完全な後部硝子体剥離は視神経乳頭に付着せず、通常は細く滑らかな膜で、スパイクは通常100%未満、後運動は良好であること、脈絡膜剥離は強膜岬・渦静脈・視神経の強いぶどう膜強膜付着に区切られた丸い隆起で通常は視神経乳頭に付着せず、垂直に通るAモードでM字形の二峰性スパイクを示すこと、シリコーンオイル中では音速が遅いため眼軸長が誤って長く測られることを確認した閲覧 2026-09-29
  2. 2.Choroidal Nevus Imaging Features in 3,806 Cases and Risk Factors for Transformation into Melanoma in 2,355 Cases: The 2020 Taylor R. Smith and Victor T. Curtin Lecture(Retina・2019)Europe PMCの抄録で確認した。脈絡膜母斑が黒色腫へ転化する予測因子は、超音波での厚さ2 mm超(HR 3.80)と音響的空洞(HR 2.10)、OCTの網膜下液、視力低下(20/50以下)、自発蛍光でのオレンジ色素、写真での直径5 mm超で、覚え方はTFSOM-DIM。因子が増えるほど5年での転化率が上がる(0個1%、1個11%、2個22%、3個34%)閲覧 2026-09-29
  3. 3.Biometry for Intra-Ocular Lens (IOL) Power Calculation(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)初期のSRK式が P = A − 0.9K − 2.5AL であること、眼軸長は現在の多くの計算式で最も重要な変数で眼内レンズ度数をおよそ2.5〜3倍の割合で変えること、成人有水晶体眼の眼軸長が平均約24 mmであること、光学式生体計測が眼軸長測定の標準であること、シリコーンオイル中の音速(1050 m/sまたは980 m/s)は硝子体より遅く補正が必要なことを確認した閲覧 2026-09-29
  4. 4.Cataract in the Adult Eye Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology・2021)AAO公式PDFの全文で確認した。Bモード超音波は濃い白内障などの中間透光体混濁で後眼部が見えないとき、または眼内腫瘤・網膜剥離・後部ぶどう腫の検出に適する。接触式Aモードは角膜を圧迫して眼軸長を不定に短く測り術者依存性が高く、浸水式は角膜に触れないため一貫性が高い。光学式生体計測は浸水式より術後屈折が目標に近く、術者に依存せず、固視できれば中心窩まで測れ、後部ぶどう腫やシリコーンオイル眼でも有利だが、一部の濃い白内障や固視不能ではAモードが必要。眼軸長は両眼で測って比べる。度数計算式(Barrett Universal II、Haigis、Hill-RBF、Hoffer Q、Holladay 1・2、Kane、Olsen、SRK/T)は角膜屈折力と眼軸長を基本入力とし、角膜乱視が大きいときはトーリック眼内レンズを考慮する閲覧 2026-09-29