眼科学

眼科学 · ML-46

硝子体の疾患と硝子体手術

Disorders of the vitreous and vitreoretinal surgery

前提:正常
眼:水晶体・角膜・脈絡膜・強膜・硝子体

🧠 全体像:は、とコラーゲンと水でできた血管も神経もない透明なゲルで、網膜に3か所(・乳頭縁・周囲)で強く付いている。そのがして剥がれる()、中に異物がたまる(・閃輝性融解)、血液や炎症細胞が入り込む(・)ことで病気になる。成人の眼はがなくても機能するので、濁った・網膜を引っ張るはで「吸って切って」取り除き、最後に空気・ガス・で網膜を内側から押さえる。

の分類と治療はで、黄斑円孔・・は界面の疾患で扱う。ここではそのものの病気と、の器具・適応・タンポナーデ・合併症を中心に扱う。

硝子体の構造

成分と性質

項目 内容
成分 、コラーゲン、水
形 ゲル
光学 透明
血管・神経 含まない

眼球から取り出したは、布の上に置いても形を保つ透明なゲルの塊で、中に小さな白い粒が浮かぶ。コラーゲンの細線維が骨組みをつくり、その間をの網が埋めて水を抱え込む。

💡 血管も神経もないので、の中で起きた出血は吸収に時間がかかり、の病気そのものは痛みを起こさない。濁りや剥離は「」「かすみ」として気づかれる。

網膜との付着

  • 健康な眼では、周辺のは網膜のにゆるく付いている。
  • 付着が強いのは次の3か所である。
付着部 強さ 牽引されたときの病気
非常に強い 周辺の、
の縁 強い 乳頭上の出血、
の周囲 強い 、黄斑円孔

は、をまたぐ幅3〜4 mm の帯である。の前(毛様体扁平部の後部)から後ろ()にかけて広がり、ここではが生涯はがれない。

の中には次の構造がある。

構造 内容
Berger 腔 後面と前面の間のすき間
Wieger 前面が後面に輪状に付く所
Cloquet 管 乳頭からの後ろへ向かう管(のの通り道)
乳頭周囲・ がで付く所

硝子体は必要か

はたらき 内容
透明 光の通り道
眼の発生 眼球の成長に不可欠
柔軟な骨格 眼球の形を保ち、衝撃を和らげる
・網膜を酸化から守る
網膜と強く付く ・乳頭縁・周囲 → 網膜の病気の起点にもなる

💡 成人ではを取り除いて灌流液・ガス・オイルに置き換えても眼は働く。「網膜を引っ張る」「光を遮る」というの害が役割を上回るとき、が成り立つ。

硝子体の診察

方法 内容
周辺部とを見るには必須
前部の・色素・出血を見る。前置レンズや三面鏡などの接触レンズを角膜に当てると、と眼底を立体的に見られる
直像 手持ちの。拡大は大きいが視野が狭い
倒像 検者が頭に光源を付け、手持ちのレンズで横になった患者の眼底を広く立体的に見る
B モード超音波 出血やで眼底が見えないとき、の・剥離・を探す

での後ろを照らすと、剥がれた後部が光の帯の中に斜めに走る細い線として見える。超音波の原理は眼組織の透明性とで、法の総覧は眼科の診断法で扱う。

先天性の硝子体網膜異常

疾患 内容
のの血管系(など)が退縮せずに残る。現在は「胎生血管系遺残」とも呼ぶ
コラーゲンの異常 の骨組みであるコラーゲンの遺伝的な異常
コラーゲン異常の代表。の異常、強い、を起こしやすい

眼底では、から前方のへ伸びるを認める。で赤く光る瞳孔の中を、黒いの影が斜めに横切って見えることもある。の血管の名残が退縮せずに残った所見である。

の血管の退縮は発生学で、としての鑑別はで扱う。

硝子体の変性

星状硝子体症と閃輝性硝子体融解

の中に光る粒が浮かぶ病気で、名前も見た目も似ているが、成分と動き方が違う1。には「雪のようなきらめき」を意味するラテン語の古い別名もあり、閃輝性融解と取り違えやすい。

項目 閃輝性融解
粒の成分 カルシウムとリン脂質(カルシウムと脂質の複合体) コレステロールの結晶
の状態 ゲルは保たれる している
粒の動き 眼を動かすと一緒に揺れ、元の位置に戻る。沈まない したの中を自由に動き、眼を止めると下方に沈む
見た目 黄白色の小さなの粒が無数に浮かぶ(夜空の星のよう) 金色〜多色にきらめく平たい結晶(スームのよう)
背景 加齢。およそ200人に1人、55歳以上の片眼に多く、男性に多い ・・・外傷など、強く障害された眼。両眼性が多い
症状 多くは無症状で視力への影響は小さい ・を起こしうる

の眼底を見ると、無数の黄白色の光る粒が手前に散らばり、奥の眼底の赤い反射がぼやけて見える。閃輝性融解では、での後ろに金色にきらめく多数の小さな粒が浮かぶ。

💡 は本人はほとんど困らないのに、診察する側は粒に邪魔されて眼底が見えにくく、も判定できないことがある。のスクリーニングでは、や OCT を使う必要がある1。

後部硝子体剥離

は加齢でし、網膜から剥がれる。の頻度は、50歳未満で約10%、70歳を超えると約63% とされる。の眼では早く起こる。米国眼科学会の指針では、は通常45〜65歳に起こる2。

flowchart TD
    A["早期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liquefaction'>液化</span><br>ゲルの中に小さな液の袋(ラクナ)"] --> B["広範な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liquefaction'>液化</span><br>液の袋が融合して大きな空洞に"]
    B --> C["部分的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior vitreous detachment'>後部硝子体剥離</span><br>後部皮質の穴から液が網膜の前へ流れ出る"]
    C --> D["完全な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior vitreous detachment'>後部硝子体剥離</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>が前方へ虚脱し網膜から離れる"]

米国眼科学会の指針は、OCT で見たの病期を次のように示す。病期は必ずしも順番どおりに進むとは限らない2。

病期 所見
1 の周りで分離し、には付いている
2 黄斑から完全に分離
3 広く分離し、乳頭には付いている
4 完全な

⚠️ 急性のの症状(・)で来た人の5.4〜8%にが見つかる2。症状と対応は・とにある。

硝子体への非増殖性の侵入

ゲルの中に外から細胞や血液が入り込む病気である。

の原因として BRVO と並べて「RPD」と書かれることがあるが、この組み合わせでの原因になる網膜外のといえばであり、その英語の略語 PDR の文字が入れ替わったものと考えられる。ここではとして扱う(RPD という略語は眼科ではを指すこともあり、それはの原因ではない)。

侵入するもの 代表
炎症細胞の浸潤 、ぶどう膜炎()
血液() 外傷、、網膜外(網膜の表面から側)へ伸びる(、)

硝子体出血

flowchart TD
    A["急な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>・<br>黒い雪・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='floaters'>飛蚊症</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>して眼底を見る"]
    B --> C{"眼底が見えるか"}
    C -->|"見える"| D["原因を探して治療<br>(裂孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neovascularization (new vessels)'>新生血管</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous occlusion'>静脈閉塞</span>)"]
    C -->|"見えない"| E["B モード超音波<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal tear'>網膜裂孔</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal detachment'>網膜剥離</span>・腫瘤を探す"]
    E --> F{"何が見つかったか"}
    F -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal tear'>網膜裂孔</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal detachment'>網膜剥離</span>"| G["速やかに治療<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitrectomy'>硝子体手術</span>など)"]
    F -->|"異常なし"| H["出血が消えるまで<br>多くは毎週の診察<br>裂孔を疑えば1〜2週以内に超音波を再検"]
  • 自然に起こるは、の最初の徴候のことがある。を伴うでは、3分の2に少なくとも1つのがあり、その3分の1は複数で、約88%が上方にある2。
  • 眼底が見えなければ B モード超音波で裂孔・・腫瘤を探す。両眼のや就寝時に頭を高くすると、出血が下に沈んで見やすくなることがある2。
  • 超音波の裂孔の検出感度は44〜100% と報告にばらつきがある。「超音波で異常なし」でも裂孔を否定しきれないので、出血が引くまで密に診る2。
  • に伴う濃いには、早期(多くは7日以内)のを考えてよい。超音波で裂孔が見えて眼底が見えないときは速やかに介入する2。

💡 糖尿病の患者のは、網膜のからの出血をまず考える。の治療はの治療で、は障害で扱う。

硝子体手術

手術室の構成

は、次の機器と人で行う。

構成要素 役割
手術顕微鏡 眼の中を拡大して見る
装置 カッターの切除速度と吸引、灌流の圧を制御する
レーザー装置 眼内(裂孔の周り、のある網膜)
眼内照明(ライトパイプ) 眼の中に光を入れる
・助手 は顕微鏡をのぞき、手で器具を操作する
患者 仰向けで、頭を固定する

適応

の適応は広い。

適応 目的 詳しく扱う回
黄斑円孔 牽引を外し、を剥がしてガスで閉じる 界面の疾患
膜をはがす 同上
感染したを取り除き、検体を採る
外傷・ 異物の摘出、出血・牽引の除去 鋭的と
糖尿病() ・・の処理 の治療
濁ったの除去と原因の治療 —
牽引を外し、を抜いて裂孔を閉じる
悪性緑内障 がへ誤って流れ込む悪循環を断つ 緑内障 II

原理:吸って切る

はコラーゲンの線維が網膜につながっているので、ただ吸い出すと線維ごと網膜を引っ張って裂孔を作ってしまう。そこで吸引で少しだけ吸い込んだゲルを、ギロチンのように刃で細かく切り落としながら取り除く。

カッターの構造は次のとおりである。

  • 細い金属の管で、先端は閉じ、側面に開口部がある。
  • 管の中を刃が高速で往復し、開口部に吸い込まれたを切る。切除速度は毎分の回数で表し、現行の装置では毎分5,000〜10,000回以上に達する(「毎秒10,000回」と書かれることがあるが、単位は毎分である)。
  • 吸引は調節できる。

カッターは径が細いほど(数字が大きいほど)傷が小さい。23G・25G などの小切開の器具では、開口部の大きさと位置が径ごとに工夫されている。

ポートの位置:毛様体扁平部

器具は毛様体扁平部から眼内に入れる。ひだ部との間の扁平部は、網膜もなく血管も少ないので、ここにの小さな穴(切開)を開ければ、網膜を傷つけず、出血も少なく眼の中に入れる。

小切開の手術では、から数 mm 離れたに細い管(ル)を3本刺し、1本に灌流の管をつなぐ。

flowchart TD
    A["毛様体扁平部に3本のポート"] --> B["灌流:眼内に液を流し<br>眼球の形と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>を保つ"]
    A --> C["眼内照明:光を入れる"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>カッター:吸引と切除"]
    B --> E["中心部の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>を切除"]
    C --> E
    D --> E
    E --> F["後部<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous membrane'>硝子体膜</span>を網膜からはがす<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triamcinolone'>トリアムシノロン</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>を見やすく)"]
    F --> G["病変の処理<br>膜の剥離・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subretinal fluid'>網膜下液</span>の排出・眼内<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photocoagulation'>光凝固</span>"]
    G --> H["周辺部の裂孔を確認"]
    H --> I["液体と空気を置換し<br>ガスまたは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='silicone oil'>シリコーンオイル</span>を注入"]

を切除した後にを注入すると、透明な後部に白い粒が付いて見やすくなる3。

タンポナーデ物質

の最後に、眼内を空気・ガス・で満たして網膜を内側から押さえ、裂孔や円孔をふさぐ。これをタンポナーデという。

物質 眼内に残る期間 特徴
空気 数日 最も短い
SF6 ガス 約2〜3週 膨張性のガス。中程度の期間
C3F8 ガス 約6〜8週 膨張性のガス。長く残る
長期(抜く手術が必要) 吸収されない。難しいに使う

期間は米国眼科学会の指針による3。ガスは自然に吸収されてに置き換わるが、は吸収されないので、後で抜く手術が要る。

ガス

  • ガスは浮かぶので、押さえたい場所が上になる体位を術後に保つ(黄斑なら下向き、上方の裂孔なら座位)。
  • ガスが残る間は視界がほとんど見えず、が小さくなるにつれて上から見えるようになる。

⚠️ ガスが残っている間は、飛行機に乗る・高地へ行くことを避ける。気圧が下がるとガスが膨張してがし、特に緑内障の人では永続的なを起こしうる。全身麻酔ではがガスの泡に入り込んで膨張させるので、少なくとも空気との置換の最後の10分は使わない3。

シリコーンオイル

(ポリジメチルシロキサン)は、水より軽く、が高い透明な油で、粘度1,000 と 5,000 センチのものがある4。

項目 内容
適応 巨大裂孔による、進行した、糖尿病などの、の不成功例、後のを伴う4
はたらき 大きさによらず網膜の欠損を押さえ、増殖性の細胞や物質がを自由に動くのを抑える
見え方 オイルを通して見えるが屈折が変わる(では化、では)
術後の体位 オイルは水より軽く前方へ浮くので、仰向けを長く続けない(特にでは、浮いたオイルがへ出てに触れる)
除去 吸収されないので、網膜が安定したら抜く手術が要る

の合併症4

合併症 内容
・緑内障 オイルがへ出て隅角をふさぐ、したオイル滴が隅角に詰まる。多くは点眼で抑えられ、オイルを抜けば戻りうる
オイルが細かい滴に分かれ、や隅角に見える
角膜症 のオイルがに触れ、・を起こす
オイルがの後面に接する
の再発、 基礎疾患の重さも関わる

合併症の頻度は報告によって8〜40%と幅がある4。

💡 ガスとオイルの使い分けは「どれだけ長く押さえたいか」と「患者が体位を保てるか・飛行機に乗る必要があるか」で決まる。短く押さえれば済む裂孔や黄斑円孔はガス、長い支えが要る重症例や体位を保てない人ではを選ぶ。

硝子体手術の合併症

合併症 内容
最も多い。の80%超が数年のうちにを要するほどになる3
・ 術中の裂孔は3〜17%(多くは下方)、術後のは多くの報告で1〜5%3
ガスの膨張、、ステロイド
まれだが失明につながる
再発 膜・円孔・剥離の再発、

⚠️ 術後に強い痛み・充血・急なが出たら、とを疑ってすぐ受診させる。の対応はで扱う。

まとめ

  • は・コラーゲン・水からなる透明なゲルで、血管も神経もない。周辺の皮質はにゆるく付き、(をまたぐ幅3〜4 mm、非常に強い)・乳頭縁・周囲で強く付く。
  • 眼の発生に不可欠で、柔軟な骨格・の役割があるが、成人では取り除いても眼は働く。
  • 診察は、(接触レンズ)、、眼底が見えなければ B モード超音波。
  • :(胎生血管系遺残)、コラーゲン異常()。
  • (カルシウム+リン脂質、沈まない、加齢・片眼・無症状)と閃輝性融解(コレステロール、したの中で沈む、障害された眼)。
  • は50歳未満で約10%、70歳超で約63%、で早い。→広範な→部分剥離→完全剥離。急性の症状では5.4〜8%に裂孔。
  • への侵入:炎症細胞()と血液(外傷・・網膜外)。を伴うの3分の2に裂孔。眼底が見えなければ超音波、陰性でも出血が引くまで密に診る。
  • ()の適応:黄斑円孔、、、外傷・、糖尿病、、、悪性緑内障。
  • 原理は吸引と切除:先端が閉じ側面に開口部のある管の中を刃が高速で往復する(毎分5,000〜10,000回以上)。吸引は調節できる。毛様体扁平部の3ポート(灌流・照明・カッター)から入る。23G・25G の小切開。
  • タンポナーデ:空気(数日)、SF6(2〜3週)、C3F8(6〜8週)、(除去が必要)。ガスが残る間は飛行機・高地を避け、を使わない。オイルの合併症は・・角膜症・。
  • 手術の最大の合併症は(の80%超)。ほかに・、、。

出典

  1. 1.Asteroid Hyalosis (AH)(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)2026年7月21日更新版で、星状硝子体症は硝子体のコラーゲン線維の間にカルシウムと脂質の複合体が浮かぶ病態でおよそ200人に1人にみられ、通常は55歳以上の片眼に起こり男性に多く、加齢と関連し糖尿病との関連は一貫しないこと、粒子は眼球運動とともに動くが下方に沈まないこと、通常は無症状で視力への影響は小さいが眼底検査や眼底写真の妨げになること、閃輝性硝子体融解はコレステロールの結晶が液化した硝子体の中を自由に動き、眼を止めると下方に沈み、硝子体出血・慢性ぶどう膜炎・網膜剥離・外傷などで強く障害された眼に起こり、両眼性が多いことを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Posterior Vitreous Detachment, Retinal Breaks, and Lattice Degeneration Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology(Kim SJ ほか。Ophthalmology 2025;132:P163-P196)・2025)AAO公式PDFの本文で、後部硝子体剥離の病期(1=中心窩周囲の分離で中心窩には付着、2=黄斑から完全に分離、3=広く分離し乳頭に付着、4=完全な後部硝子体剥離)がOCTで観察でき直線的に進むとは限らないこと、後部硝子体剥離は通常45〜65歳に起こること、急性の後部硝子体剥離の初診時に網膜裂孔が5.4〜8%に見つかり硝子体出血の量と裂孔の可能性が相関すること、自然発生の硝子体出血は後部硝子体剥離の初発徴候になりえ、硝子体出血を伴う例の3分の2に少なくとも1つの裂孔があり、その3分の1は複数で約88%が上方にあること、中間透光体の混濁で周辺部が見えなければBモード超音波で裂孔・網膜剥離・腫瘤を探し、両眼帯や就寝時の頭位挙上が出血の沈降を助けること、眼底が全く見えず超音波が陰性の例は出血が消えるか周辺部を診られるまで多くは毎週診察し、裂孔が疑われれば1〜2週以内に超音波を再検すること、超音波の裂孔検出感度は44〜100%と報告にばらつきがあること、濃い硝子体出血に対する早期硝子体手術(多くは7日以内)は合併症が少なく考慮してよく、超音波で裂孔が見えて眼底が見えないなら速やかに介入することを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Idiopathic Macular Hole Preferred Practice Pattern(American Academy of Ophthalmology(Kim SJ ほか。Ophthalmology 2025;132:P234-P269)・2025)AAO公式PDFの本文で、タンポナーデ物質として空気(数日)・SF6(2〜3週)・C3F8(6〜8週)・シリコーンオイル(長く残るが除去が必要)があること、術後に眼圧が上がりうるため高地への移動を避けるよう指導し、重く持続する眼圧上昇は特に緑内障の患者で永続的な視力低下を起こしうること、全身麻酔では空気と液体の置換の少なくとも最後の10分は亜酸化窒素を避けること、有水晶体眼の80%超に数年以内に臨床的に問題になる白内障が生じること、術中の網膜裂孔は3〜17%で多くは下方、術後網膜剥離は多くの報告で1〜5%であること、硝子体切除後にトリアムシノロンを注入して後部硝子体を見やすくすることを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.Silicone oil complications in vitreoretinal surgery(Romanian Journal of Ophthalmology・2022)PMC全文(PMC9773106)の序論で、シリコーンオイルはポリジメチルシロキサンで粘度1,000と5,000センチストークスのものがあり、水より軽く、表面張力が高いこと、有水晶体眼では遠視化、無水晶体眼では近視化の屈折変化を起こすこと、網膜の欠損を大きさによらずタンポナーデし、増殖性の細胞や物質の移動を制限すること、適応が巨大裂孔による網膜剥離・進行した増殖硝子体網膜症・糖尿病などの牽引性網膜剥離や硝子体手術の不成功例・穿孔性外傷後の増殖硝子体網膜症を伴う網膜剥離であること、術後はオイルが角膜に達しないよう体位をとること(原文は "dorsal position" と書き、向きは曖昧)、合併症として緑内障(眼圧上昇)・網膜剥離の再発・角膜症(帯状角膜症を含む)・低眼圧・白内障・乳化(前房へのオイル滴)があり頻度は8〜40%と報告に幅があること、オイルによる眼圧上昇は多くが緑内障点眼で抑えられオイル除去で戻りうることを確認した。閲覧 2026-09-29