眼科学

眼科学 · ML-58

小児の眼腫瘍

Ocular tumours in childhood

前提:病態
RB遺伝子・p53遺伝子・APC遺伝子(腫瘍抑制遺伝子)

🧠 全体像:小児の眼腫瘍は「良性か悪性か」と「眼窩・眼瞼・・のどこか」で整理する。良性の多くは・血管腫のような局所の腫瘤か、(・Sturge-・)のである。悪性は・・の3つで、中心はである。は RB1 の2つのアレルが両方失われて起こり、とで見つかる。を乳児期に繰り返し確かめて早く見つければ、高所得国ではほぼ全員が生き残る。治療の目標は「生命→眼球→視力」の順で、を減らすことが一貫した方針になる。

小児の眼腫瘍の見取り図

部位 良性 悪性
眼窩・眼瞼 、血管腫・、()、 、の
() の播種
()
眼を含む Sturge-(緑内障) ―

💡 小児の眼腫瘍で最初に考えるべきことは、「命にかかわる腫瘍か」である。成人の(成人の)の中心が悪性黒色腫とであるのに対し、小児ではがそれに当たる。眼窩の腫瘍のは、の鑑別はで扱う。

良性腫瘍

類皮嚢胞

は、に皮膚の成分が骨の縫合線に取り込まれてできる先天性の嚢胞で、小児の眼窩・眼瞼周囲の良性腫瘤として代表的である。典型例では、眉毛の外側の皮下に、表面の皮膚が正常で痛みの無い、なめらかな丸い膨らみを認める。

血管腫・リンパ管腫

病変 所見
血管腫 乳児の眼瞼の皮下に、青紫色のやわらかい腫れを認める。下眼瞼に生じると、下眼瞼全体が青紫色に膨らむ
() の下に赤い出血を伴う病変として見えることがある。嚢胞内の出血で急に大きくなることがある

⚠️ 乳児期の眼瞼の腫瘤は、をふさいだり眼球を押してを起こしたりして、の原因になる。視覚の発達期にある子どもでは、見た目の問題だけとして放置しない()。

von Hippel-Lindau病

(VHL)では、網膜に血管腫(症。組織学的には血管芽腫)ができる。

特徴 内容
部位 多くは周辺部の網膜
流入・流出血管 腫瘍へ向かう太くした動脈と静脈が、乳頭から周辺部の腫瘍まで対になって走る
腫瘍の見え方 の、橙赤色の丸い隆起
滲出 網膜に黄白色のが集まる
合併症 滲出が増えるとのに至る
対応 家系内の保因者を含めて眼底のスクリーニングを行い、小さいうちに見つける

💡 眼底で「異様に太い血管が2本、並んで周辺へ伸びている」ときは、その先にを探す。血管の太さは腫瘍を流れる血流の多さを表している。

Sturge-Weber症候群

Sturge-は、顔面のと脳のを伴うである()。

臓器 所見
眼 緑内障
皮膚 顔面の(片側の額から頬にかけて広がる赤紫色の平坦な斑)
神経系 の血管異常、脳の石灰化、けいれん発作、知的障害、

MRI で脳の血管異常を評価する。母斑が額と上眼瞼にかかる子どもは、を定期的に測る(小児緑内障の手術は小児・成人の緑内障手術)。

神経線維腫症1型(von Recklinghausen病)

は眼と眼窩に3つの特徴的な病変を作る。

眼窩周囲の叢状神経線維腫

特徴 内容
部位 皮下
皮膚 色素が濃い
時期 早期から現れる症状
結果 眼瞼・顔面の変形、、

典型例では、片側の額から上眼瞼にかけて、色素の濃いたるんだ皮下の腫瘤が垂れ下がり、上眼瞼が瞳孔を覆うほどのを起こす。上眼瞼の外側がS字状に下がる形になることが多い。

Lisch結節

は、を含むのである。の表面に、ドーム状のが多数散らばる。青いでは橙褐色の結節として目立ち、褐色のでは周囲より淡い色の小さな隆起として見える。

年齢 出現する割合
2.5歳 30%
30歳 100%

緑内障を合併することもある。

💡 は視力に影響しないが、年齢とともにほぼ全員に現れるので、の診断の手がかりとして価値が高い。でを観察するだけで見つかる。

視路神経膠腫

視神経または視交叉にできる(。)で、の15〜20%に生じる。単発のとの違い(の例は視力が長く保たれやすい)ととの画像の鑑別はで扱う。

MRI では、の視神経がに太くなった腫瘤として、また視交叉が膨らんだ腫瘤として描出される。

小児の眼窩の悪性腫瘍

悪性腫瘍は・・の3つが代表である。前2者は眼窩に、は眼内に生じる。

腫瘍 眼との関係 臨床の要点
眼窩に原発する 小児の眼窩原発悪性腫瘍の代表。数日〜数週で進むと眼瞼の腫れで気づかれる
() 副腎などのから眼窩の骨へ転移する と眼瞼の皮下出血。眼の所見から全身の腫瘍が見つかることがある
網膜に原発し、進行すると眼外・眼窩へ進展する 次節で詳しく扱う

⚠️ 子どものが急に進むときは、眼窩炎と決めつけずに悪性腫瘍を考え、画像検査と専門施設への紹介を急ぐ(の鑑別はの鑑別)。このほか白血病の眼窩・眼内への浸潤も小児の眼のとして鑑別に入る。

網膜芽細胞腫

は、小児で最も多い眼内の悪性腫瘍である。

疫学

項目 値
頻度 出生1万6,000〜2万人に1人
ハンガリーの新規発症 年4〜6例
世界の新規発症 年5,000〜8,000例
片眼性と両眼性 診断時に約60%が片眼性、約40%が両眼性1

文献で報告された0〜4歳の100万人あたりの発症数を国別に塗り分けると、10未満(オーストラリアなど)、11〜13(米国など)、14〜16(ブラジル)、17〜19(インド)、20超(メキシコなど)と国によって差がある。

生存率の推移と国による格差

先進国では5年生存率が大きく改善した。米国の SEER の集計では5年生存率が93%を超える。英国の推移は次のとおりである。

英国の5年生存率 1963〜67年 1998〜2002年
片眼性 85% 97%
両眼性 88% 100%

改善の理由としては、と化学療法の普及が考えられている。生命がほぼ助かるようになった国では、治療の目標が眼球の温存、視力の温存、生活の質の向上、二次がんを減らすことへ広がった。

一方、国によって5年生存率は大きく違う。その背景には、医療、診断が早いか遅いか、使える治療、文化の違いがある。同じでも、早く気づかれた子どもは眼内の小さな腫瘍の段階で見つかる(MRI で眼内に限局した腫瘤)が、遅れた子どもは眼瞼が腫れてが狭くなり、MRI で腫瘍が眼球の内部をほぼ埋め尽くした段階で見つかる。

世界のの研究グループが2017年に診断された4,064例(149か国)を3年追跡した前向き研究では、3年が国の所得水準ではっきり分かれた2。

国の所得水準 3年 診断時の眼外進展(cT4)
高所得国 99.5% 0.8%
高中所得国 91.2% 5.4%
低中所得国 80.3% 19.7%
低所得国 57.3% 42.9%

同じ研究では、はすべての子どもで、静脈化学療法も98.8%で利用できた2。生存を悪くする独立した因子は、低所得国に住むこと、cT4 の進行腫瘍、3歳までの診断時年齢の高さであった2。

💡 基本的な治療が世界中でほぼ使えるのにが大きく違うのは、診断の遅れで眼外へ広がってから治療が始まるからである。は早く見つければ治る腫瘍なので、低所得国でを上げる鍵は新しい治療よりもにある。

遺伝学

RB1 遺伝子と pRB

項目 内容
遺伝子 RB1。13番染色体(13q14)
構造 27のエクソンと26のイントロン
産物 核内リン酸化タンパク pRB。エクソンの一部がポケット領域A・Bをコードする
機能 細胞周期の調節
変異の型 点変異から欠失まで

💡 pRB はリン酸化されていない状態で転写因子 E2F と結合し、細胞が から S期へ進むのを止めている。CDK4 などが pRB をリン酸化すると E2F が離れて細胞周期が進む。両方の RB1 が失われるとこのブレーキが無くなり、網膜の未熟な細胞が増え続ける。

Knudson の二段階説

腫瘍ができるには、同じ網膜細胞で RB1 の2つのアレルが両方とも不活化される必要がある。

変異 起こる場所
1つ目 生殖細胞系列(全身の細胞がもつ)または体細胞
2つ目 網膜の体細胞
flowchart TD
    A["RB1 の2つのアレルが正常"] --> B{"1つ目の変異は<br>どこで起きたか"}
    B -->|"生殖細胞系列"| C["全身の細胞が<br>片方の RB1 を欠く"]
    B -->|"網膜の体細胞"| D["1個の網膜細胞だけが<br>片方の RB1 を欠く"]
    C --> E["多くの網膜細胞のどれかに<br>2つ目の変異が起これば発症"]
    D --> F["同じ細胞に<br>2つ目の変異が重なる必要がある"]
    E --> G["遺伝性:両眼性・多発性・早期発症<br>他臓器の腫瘍のリスクも高い"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-hereditary'>非遺伝性</span>:片眼性・単発<br>診断が遅め"]

遺伝性と非遺伝性

項目 遺伝性
1つ目の変異 生殖細胞系列 体細胞
眼 90〜95%が両眼性(従来の整理)。近年の総説では約80%が両眼性、10〜15%が片眼性3 片眼性
発症年齢 多くは1歳未満 遅めに診断される
家族歴 陽性は10〜20%(多くは) 無い
他の腫瘍 の腫瘍、二次性の、黒色腫のリスクが高い 一般と同程度
子どもへの遺伝 RB1 変異を伝える確率は50% 伝えない

でみた全体の内訳は、家族性の遺伝性(親から受け継いだ)約10%、の遺伝性(その子に新たに起きた)約30%、の()約60%である。遺伝性の多くは家族歴を欠くであることが分かる。近年の総説でも、遺伝性は全体の30〜40%で、の75%が、25%が家族性とされる3。

両眼性はをもつと考えてよく、片眼性でも約15%はをもつ1。変異の保因者は子ども1人ごとに50%の確率で変異を伝える1。

⭐ 「片眼性だから遺伝しない」とは言えない。片眼性でもでを確かめるまでは、反対眼の診察と家族のスクリーニングを続ける。

分子遺伝学の新しい知見

知見 内容
網膜腫 RB1 が失われるとまず増殖しない良性の網膜腫ができ、そこからゲノムの不安定性が増すにつれてへ進む(2008年の報告)
RB1 変異 約90%は RB1 変異をもち、MYCN の増幅を伴わない
MYCN 増幅 RB1 変異の無い MYCN 増幅型が約2%、MYCN 増幅と RB1 変異の両方をもつものが約10%(2013年の報告)。近年の総説では、RB1 変異の無い MYCN 増幅型は片眼性の1.4%とされる3
BCOR 変異 約10%(2012年の報告。ゲノムとの解析から新しい治療標的を探した研究)

💡 RB1 変異の無い MYCN 増幅型は、RB1 の2ヒットという古典的な図式に当てはまらない。で血液にも腫瘍にも RB1 変異が見つからない片眼性の例では、この型を考える。この型は遺伝せず、反対眼の発症・家族への遺伝・二次がんのリスクを持たない3。

症状と初発所見

最も多い初発所見はで、次がである。ただし国によって初発所見が大きく違う。

報告 国 年 症例数 主な初発所見(%)
Abramson ら 米国 1998 1,265 56、24、8
Wallach ら スイス 2006 139 48、20
Zhao ら 中国 2011 470 73
Chang ら 台湾 2006 56 71、赤目18、14
Ali ら スーダン 2011 25 眼球の腫大56、32
Owoeye ら ナイジェリア 2006 20 85
Saiju ら ネパール 2006 30 43、眼外腫瘤33
Boubacar ら マリ 2009 55 55、38、6、2

高所得国ではとで見つかるのに対し、アフリカの国々では眼球の腫大・・眼外腫瘤という、腫瘍が眼外へ広がった段階の所見で見つかる。

2017年に診断された4,351例(153か国)のでも、紹介理由は62.8%、10.2%、7.4%の順であった4。診断時年齢の中央値は高所得国で14.1か月、低所得国で30.5か月で、高所得国では98.5%が眼内にとどまり転移は0.3%であったのに対し、低所得国では49.1%が眼外へ進展し、18.9%が転移していた4。低所得の国ほど家族歴のある例が少なく、多くの患者が子どもをもつ年齢まで生き延びられないためと考えられている4。

初発所見 見え方 意味
瞳孔が白く光る。片眼だけ、または写真のフラッシュで片方だけ白く写る の大きな腫瘍が瞳孔から見える
片眼がずれる。が左右で違い、片眼だけ反射が暗い・欠ける 黄斑の腫瘍でができない
赤目・眼球の腫大・ 充血、眼瞼の腫れ、眼球が前へ出る 進行したまたは眼外進展

⚠️ の子どもには必ずして眼底を診る。の原因が黄斑のであることがあり、だけを治療して腫瘍を見逃してはならない()。

スクリーニング:赤色反射

を次の機会に確かめる。

  • 出生後
  • 生後1・3・6か月
  • 定期健診のたび
  • 親が子どもの眼の見た目を心配したとき

は、暗い部屋で30〜45 cmほど離れたところから直像の光を子どもの両眼に同時に向け、瞳孔から返る光を見る検査である(Brückner試験)1。正常では両眼とも同じ明るさの赤橙色に光る。白い反射・暗い反射・左右差があれば異常で、眼科へ紹介する。の方針でも、新生児室を出る前とその後のすべての定期健診でを調べ、異常があれば直ちに小児の診察に慣れた眼科医へ紹介するとされる1。

早期発見のために、住民向けの啓発も行われている。グアテマラの施設のポスターは、白く光る子どもの瞳を描き、「子どもの眼に光るものがあっても、それは特別な力の印ではない。がんかもしれない」と呼びかけ、は早く見つければ治り、視力と命を守れること、眼が光るときはできるだけ早くを受診することを伝えている。スマートのアプリ CRADLE は、撮った写真から瞳孔の白い反射を自動で見つけ、白い側と正常な側を枠で示す。

診断

診断は、下の(乳幼児では全身麻酔下の診察)とで決まり、MRI で広がりを評価する。

眼底所見

網膜から盛り上がる、白色〜色の結節状の腫瘤を認める。腫瘍の表面や内部に拡張した血管が走る。腫瘍が側へ育つと中に白い塊が浮かび()、網膜の下へ育つとのと網膜下播種を伴う1。

超音波検査

検査 用途 所見
A・超音波 の腫瘍 の眼内腫瘤の中に石灰化を示す強い反射点があり、後方にを伴う。では腫瘤内で高いが並ぶ
UBM の腫瘍、の前 に腫瘍細胞が見える眼で、・前面・隅角の腫瘍塊を描出する。毛様体扁平部への浸潤も分かる。注射の位に腫瘍が無いことを確かめる

超音波で石灰化による高反射点とを伴うの眼内腫瘤を認めれば、小児ではほぼと診断できる1。UBM の検討では、臨床的にはへの進展が判断できなかった眼で毛様体扁平部への浸潤が描出され、病理で確かめられた例も報告されている。の原理は眼組織の透明性と超音波で扱う。

MRI と、CT を避ける理由

⚠️⭐ CT は撮らない。 CT は石灰化をよく写すが、のある子どもを放射線に曝して二次がんのリスクを高めるので、原則として避け MRI を使う1。小児期の CT によるがのちの白血病・のリスクと関わることは、英国の(2012年)でも示された。

MRI は欧州画像研究グループの2012年の指針に沿って撮り、次の4点を評価する。

評価項目 見るもの
・など、腫瘍に似た病気との区別
視神経 より後ろの視神経への浸潤
への浸潤
の腫瘍()。での腫瘤を探す

⚠️ が疑われる眼に生検の針を刺さない。腫瘍細胞が眼外へ播種する危険がある1。

鑑別

を起こす病気には、、、、、などがある。鑑別の詳細はにまとめる。

分類

の分類は治療法とともに変わってきた3。

分類 作られた目的 現在の位置づけ
Reese-Ellsworth分類(1963年) のあとに眼球を温存できるかの予測 歴史的な分類。化学療法の時代には合わない
国際眼内分類 IIRC、Murphree 2005 静脈化学療法の時代のの分類。群A〜E 現在の主な分類の1つ
Shieldsらの分類 ICRB(2006年) IIRC と同じく群A〜E。群Eなどの定義が異なる 現在の主な分類の1つ
AJCC 第8版 cTNMH TNM に(H)を加えた 眼内・眼外の両方を扱う
国際 病理所見と転移を含めた病期(0〜IV) 後・眼外に広がった例の生命予後に使う

国際眼内網膜芽細胞腫分類 IIRC

群 リスク 定義
A きわめて低い 視機能を脅かさない小さな独立した腫瘍。すべての腫瘍が3 mm以下で網膜内にとどまり、から3 mm以上、視神経から1.5 mm以上離れている。・網膜下播種が無い
B 低い 群Aに入らない大きさ・部位の腫瘍。・網膜下播種が無い。は腫瘍の基部から5 mm以内
C 中等度 限局したまたは網膜下播種と、大きさ・部位を問わない独立した網膜腫瘍。播種は局所的で細かく限られる。は1まで
D 高い びまん性のまたは網膜下播種。眼内に広く散らばった病変、広範な「脂ぎった」、板状の網膜下播種、1を超える
E きわめて高い 次の1つ以上。不可逆的な、大量の眼内出血、無菌性の眼窩炎、前部より前の腫瘍、に接する腫瘍、びまん、またはの前段階

群C・Dでは、播種の場所で亜群を付ける。

亜群 播種の場所
a
b 網膜下
c と網膜下

各群の眼底の典型像は次のとおりである。

群 眼底の典型像
A 網膜内の小さな病変で、眼底では目立ちにくい
B がのる、境界明瞭な白色のドーム状の腫瘤。周囲に播種が無い
C 大きな白色の腫瘤の縁に、限局した白い点状の播種
D 白色の大きな腫瘤の前に、白い粒状のが散らばる。または網膜下に板状の播種が広がり、網膜が剥がれる
E の充血を伴う、眼瞼の腫れ、角膜がした眼など、や眼の外にまで異常が及ぶ

IIRC と ICRB の違い

群 IIRC ICRB
A 3 mm以下、から3 mm・視神経から1.5 mm以上離れる 3 mm以下
B 群A以外で播種が無い。は基部から5 mm以内 3 mmを超える、または黄斑(から3 mm以内)・乳頭近く(乳頭から1.5 mm以内)、または腫瘍縁から3 mm以内の
C 限局した細かい播種、1まで 腫瘍から3 mm以内の網膜下播種・
D びまん性播種、1を超える 腫瘍から3 mmを超える網膜下播種・
E 解剖学的・機能的に破壊された眼(上表) 眼球の50%を超える腫瘍、、出血による、後方の視神経・2 mmを超える・・眼窩・への浸潤

2つの分類は群B〜Dの違いは小さいが、群Eの定義の違いが大きい。たとえば破壊的な所見を伴わずに眼球の50%を超える腫瘍は、ICRB では群Eだが、IIRC では播種の程度によって群B〜Dになりうる3。治療成績を比べるときは、どちらの分類かを確かめる必要がある。なお ICRB では播種の亜群を数字で表し、1が網膜下、2が、3が両方である3。

💡 は静脈化学療法が効きにくい。そのため Munier らが2012年にの安全な手技を報告し、以後、を形で塵状・・(真珠状)に分けて扱うようになった3。

AJCC 第8版 cTNMH

AJCC 第8版(2017年)は、の TNM に(H)を加えた cTNMH を導入した3。c はを示す。

区分 定義
cT1 網膜内の腫瘍で、がどの腫瘍の基部からも5 mm以内
cT1a 腫瘍が3 mm以下で、とから1.5 mmより離れている
cT1b 腫瘍が3 mmを超える、または乳頭・から1.5 mm以内
cT2 ・・網膜下播種を伴う眼内の腫瘍
cT2a が腫瘍の基部から5 mmを超えて広がる
cT2b または網膜下播種がある
cT3 進行した眼内の腫瘍
cT3a またはの前段階
cT3b ・毛様体扁平部・・・・・への浸潤
cT3c やを伴う
cT3d 前房出血または大量の
cT3e 無菌性の眼窩炎
cT4 視神経を含む眼窩へ広がった眼外の腫瘍
cT4a 画像での視神経への浸潤・視神経の肥厚・眼窩組織への浸潤を認める
cT4b やとして臨床的に明らかな眼外進展
cN1 耳前・・頸部のリンパ節転移
cM1a・cM1b 組織で確かめていない遠隔転移。a は骨髄・肝など、b は画像での中枢神経浸潤(を除く)
pM1a・pM1b 組織で確かめた遠隔転移。a は骨髄・肝など、b は・髄液
HX 生殖細胞系列の RB1 変異の有無が不明
H0 高感度の血液検査で RB1 の両アレルが正常
H1 両眼性、頭蓋内の原始性腫瘍(三側性)、の家族歴、または分子検査で確かめた生殖細胞系列の RB1 変異

摘出眼には病理学的分類 pTNM もあり、浸潤の広さ(3 mmを超える)、より後ろの視神経浸潤、浸潤の深さなどで pT1〜pT4 に分ける3。

💡 がんのに「」が入ったのはが初めてである3。は反対眼の発症・・二次がんのリスクを通じて予後を左右するからである。前述の国際研究でも、眼外進展は cTNMH の cT4 として集計されている2。

治療

目標とチーム

治療計画は、医・眼科医・放射線治療医・放射線診断医からなるで立てる。治療の目標は病気をして次のことを達成することである。

  1. 患者の生命を救う
  2. 眼球を救う
  3. できるだけ視力を残す
  4. 治療による晩期ののリスクを最小にする

優先順位は生命・眼球・視力の順である1。は親とともに決める。両眼性の子どもでは、片眼を摘出しても反対眼を温存しなければならず、両眼に多発する腫瘍(多数の白色腫瘤、石灰化した白い斑、が混在する)を同時に管理することが難しい。

治療法の一覧

分類 方法 主な対象・要点
局所治療 経瞳孔温熱療法 小さな腫瘍、療法のあとの
局所治療 (3回の凍結・融解) 周辺部の小さな腫瘍
化学療法 :
化学療法 :、 。の無い片眼性の群B〜Eでは一次治療に使われる3
化学療法 全身:、、 療法、両眼性、眼外進展の危険がある例
放射線 (ヨウ素125、ルテニウム106のプラーク) 局所の腫瘍、再発
放射線 他の治療で制御できない例に限る
放射線 の範囲を減らす選択肢
手術 群D・E、温存治療が効かない例

治療の標的は、①腫瘍そのもの、②、③播種の3つであり、それぞれに届く治療を選ぶ。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoblastoma'>網膜芽細胞腫</span>と診断<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='multidisciplinary team'>多職種チーム</span>と親で方針決定"] --> B{"眼外進展や<br>転移の疑いがあるか"}
    B -->|"ある"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic chemotherapy'>全身化学療法</span>を中心とした<br>眼外病変の治療"]
    B -->|"ない"| D{"眼球を温存できる<br>見込みがあるか"}
    D -->|"ない(進行した群D・E)"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enucleation'>眼球摘出</span><br>病理で危険因子を評価"]
    D -->|"ある"| F["化学療法で腫瘍を小さくする<br>全身・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intra-arterial injection'>動注</span>"]
    F --> G["残った腫瘍に局所治療<br>温熱療法・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cryotherapy'>冷凍凝固</span>・小線源"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous seeding'>硝子体播種</span>が残れば<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intravitreal chemotherapy'>硝子体内化学療法</span>"]
    G --> I{"制御できたか"}
    H --> I
    I -->|"できた"| J["麻酔下の定期診察で再発を監視"]
    I -->|"できない"| E
    E --> K{"病理学的危険因子があるか"}
    K -->|"ある"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adjuvant chemotherapy'>補助化学療法</span>"]
    K -->|"ない"| J

化学減量療法と局所治療

で腫瘍を小さくし、小さくなった腫瘍をレーザー・温熱療法・で破壊する方法を療法と呼ぶ1。腫瘍が薄いほど局所治療が効くので、まず化学療法で縮める。局所治療は腫瘍細胞を直接壊すだけでなく、を壊して抗がん薬が眼内に入りやすくする1。

  • 経瞳孔温熱療法:瞳孔を通してレーザーで腫瘍を温める。の腫瘍に使う。
  • :の外から冷凍プローブを当て、凍結と融解を3回繰り返して腫瘍細胞を壊す。治療後、白色の腫瘍は、周囲を黒い色素の縁取りで囲まれた萎縮した瘢痕へ変わる。
  • :(ヨウ素125、ルテニウム106)を並べたプラークを、腫瘍の真裏のに縫い付け、一定期間置いて腫瘍に集中して照射する。治療後の腫瘍は、色素の縁取りを伴う白い退縮した塊として残る。米国学会の眼腫瘍タスクフォースが、ぶどう膜悪性黒色腫とのプラーク治療の合意指針(2014年)を出している。

動注化学療法

から入れたマイクロカテーテルをからまで進め、眼に直接抗がん薬を流す方法である。日本で始まった頸動脈からの注入法を、Abramson らがへのな注入に改良した1。が中心で、・を加える施設もある1。では、から分かれたにカテーテルの先端が入り、眼球へ向かう血管が造影される。

一次治療としてを行った例では、を伴う大きな腫瘍が、治療後に石灰化した白色の退縮した塊へ変わる(Abramson ら 2015)。

⚠️ では、の閉塞性症や脳卒中の懸念が指摘され、による全身のもまだ定まっていない1。

硝子体内化学療法

静脈化学療法やのあとに残った・再発したに対して、細い針(30〜32ゲージ)で毛様体扁平部から中へ(20〜30 µg)または(20 µg)を注射する1。

工夫 理由
UBM でに腫瘍が無いことを確かめる 腫瘍を針で眼外へ運ばないため
逆流を防ぐ手技 薬と腫瘍細胞が針穴から漏れないため
をする(2〜3回の凍結・融解) 針の通り道に付いた腫瘍細胞を殺すため

この安全な注射法(逆流防止と刺入経路の)は Munier らが2012年に報告した。合併症として・・・・感染、薬の毒性によるとの萎縮がある1。

眼球摘出

項目 内容
適応 群D・Eの進行した眼、温存治療で進行する眼。現在は片眼性の群Dでもで温存を試みることが多く、摘出の中心は視機能の見込みの無い群E・眼外進展・難治例である(を群Dの標準とする国もなお多い)3
手術の要点 視神経をできるだけ長く(10 mmを超える断端が目安3)切除して断端に腫瘍が残らないようにする。眼球に穴を開けないよう操作は最小限にする
病理 視神経・・への浸潤を調べる
遺伝学 摘出眼からな腫瘍組織を採り、RB1 の変異を調べる
眼窩を入れて眼窩の発育を保ち、成長に合わせてを作り替える

病理学的危険因子(への広範な浸潤、より後方の視神経浸潤、浸潤、浸潤)があれば、眼外での再発を減らすためを考える1。摘出後はに覆われたの上にを装用し、正面から見て反対眼とほとんど区別できない外観になる。

外照射を避ける理由

1990年代まではが治療の中心であったが、遺伝性の子どもでに二次がんが多いことが分かり、化学療法が第一選択に代わった1。は二次がんのリスクを3倍を超えて高め、特に1歳未満で照射した場合に影響が大きい1。は眼窩の発育不全も起こす1。近年の総説では、生殖細胞系列例で照射後の二次がんが50歳までに53%に達するとされ、は後に顕微鏡的な腫瘍の遺残がある例や、化学療法が使えない・効かない進行例の最後の手段に限られる3。

⚠️ 遺伝性の子どもは、全身の細胞が RB1 を片方しかもたないので、放射線で2つ目の変異が起こりやすい。「放射線をできるだけ使わない」方針が、CT を避けることとを避けることの両方に共通している。

遺伝カウンセリングと家族のスクリーニング

対象 対応
すべての患者 可能なら RB1 のでの有無を確かめる。家族に遺伝カウンセリングを行う
をもつ患者 両眼の再発・新規発症を頻回に診察し、5歳までは6か月ごとに頭部と眼窩の MRI でなどの腫瘍を調べる3。子どもに変異を伝える確率は1人ごとに50%
変異をもつ患者の家族 家族にもを勧める
変異を受け継いだが腫瘍の無いきょうだい・子ども 1歳までは毎月、その後5歳までは3か月ごとに眼底を診察する3
腫瘍組織が無く、血液で変異が見つからない患者 見つからないの可能性(1〜1.5%)が残るので、5歳まで反対眼を診察し、子どもも経過観察する3
でが見つからない患者 反対眼の再発の診察は変異陽性例ほど頻回でなくてよく、通常の眼科診察でよい1。ただし腫瘍組織で変異を確かめられていない場合は上の行のとおり

治療で腫瘍が退縮したあとは、1年目は3か月ごと、その後3年間または7歳までは6か月ごと、以降は毎年(できれば生涯)診察する3。

でが確かめられた患者は、のちに別のがんのリスクが高く、両眼の診察との腫瘍の定期的な MRI が要る1。の家族歴がある将来の親には、を強く勧める1。

二次がんと三側性網膜芽細胞腫

遺伝性のは、次の腫瘍のリスクが高い。

flowchart TD
    A["生殖細胞系列の RB1 変異"] --> B["全身の細胞が<br>片方の RB1 しかもたない"]
    B --> C["網膜:両眼性・多発性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoblastoma'>網膜芽細胞腫</span>"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pineal gland'>松果体</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trilateral retinoblastoma'>三側性網膜芽細胞腫</span>"]
    B --> E["骨・軟部組織・皮膚:<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteosarcoma'>骨肉腫</span>・肉腫・黒色腫"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='external beam radiotherapy'>外照射</span>・CT の放射線"] --> G["2つ目の変異が起こりやすくなる"]
    G --> E
    B --> H["子どもへ50%の確率で遺伝"]

⚠️ を治した子どもの経過観察は眼だけでは終わらない。遺伝性のでは、骨の痛みや腫れ、皮膚の新しい色素病変を見たら二次がんを疑う。

症例から学ぶ

  • 療法と経瞳孔温熱療法で眼球と視力を温存した例:の黄斑の近くに、がのった大きな白色のドーム状腫瘍(IIRC 群B)があった。化学療法で腫瘍を縮めて温熱療法を加え、2年あまり後には腫瘍は色素を伴う平坦な萎縮瘢痕に変わり、視力は両眼とも1.0を保った。播種の無い腫瘍なら、大きくても療法と局所治療で眼球と良い視力を残せることがあることを示す。
  • 周辺部の小さな腫瘍にを行った例:の小さな白色の腫瘍は、のあと色素の縁取りを伴う萎縮した瘢痕へ変わった。小さな腫瘍は局所治療だけで制御できる。
  • 遅れて見つかった例:早期に気づかれた子どもはだけで、MRI では眼内の小さな腫瘍にとどまっていたのに対し、遅れた子どもは眼瞼が腫れ、腫瘍が眼球の内部をほぼ埋め尽くしていた。この段階を過ぎると眼外へ広がる。診断の早さが生死と眼球の温存を分ける。

まとめ

  • 小児の眼腫瘍は良性(、血管腫・、の)と悪性(、、)に分けて整理する。
  • は太い流入・流出血管を伴う周辺部のと滲出・、Sturge-はと緑内障、は・(2.5歳で30%、30歳で100%)・(15〜20%)が眼の要点である。
  • は小児で最も多い眼内悪性腫瘍で、出生1万6,000〜2万人に1人。RB1(13q14)の2つのアレルが同じ網膜細胞で失われて起こる(Knudson の二段階説)。
  • 遺伝性(約40%。多くは)は両眼性・早期発症で、子どもへ50%の確率で遺伝し、の腫瘍・・黒色腫のリスクが高い。片眼性でも約15%は遺伝性である。変異を受け継いだ子どもは1歳まで毎月、5歳まで3か月ごとに眼底を診る。
  • 初発所見は高所得国ではと、低所得国では・眼外腫瘤が多い。出生後・生後1・3・6か月・定期健診・親の心配時にを確かめる。
  • 診断は眼底(麻酔下)と超音波の石灰化で決まる。CT は避けて MRI(視神経・・)、生検はしない。
  • 分類は IIRC と ICRB が群A〜Eで、特に群Eの定義が違う。IIRC の播種の亜群は a・b・c。AJCC 第8版 cTNMH は腫瘍を網膜内の cT1・眼内の cT2・進行眼内の cT3・眼外の cT4 に分け、 H を H0・H1・HX で加えた。
  • 治療の目標は生命→眼球→視力の順で、で決める。(・・)、(・)、()、局所治療(温熱療法・・小線源)、(長い視神経、病理と)を組み合わせる。は二次がんのため避ける。
  • 3年は高所得国99.5%に対し低所得国57.3%で、差の主因は診断の遅れと眼外進展である。

出典

  1. 1.Retinoblastoma(American Academy of Ophthalmology(EyeWiki)・2026)2026年7月21日更新版で、診断時に約60%が片眼性・約40%が両眼性であること、両眼性は生殖細胞系列変異と推定され片眼性の約15%にも生殖細胞系列変異があること、生殖細胞系列例が全体の3分の1強であること、RB1変異の保因者は子ども1人ごとに50%の確率で変異を伝えること、超音波で石灰化を示す高反射点と後方の音響陰影を伴う高エコーの眼内腫瘤は小児の網膜芽細胞腫をほぼ確定させること、赤色反射検査を暗い部屋で約30〜45 cm(1〜1.5フィート)離れて直像検眼鏡または検影器で行うこと、CTは生殖細胞系列変異のある患者を放射線に曝して二次がんのリスクを高めるので原則として避けMRIを優先すること、MRIで視神経浸潤・眼外進展・三側性網膜芽細胞腫を評価すること、腫瘍播種の危険から生検を行わないこと、治療の優先順位が生命・眼球・視力の順であること、外照射で二次がんのリスクが3倍を超えて高まり(特に1歳未満)、1990年代に二次がんのリスクから治療の中心が外照射から化学療法へ移ったこと、化学減量療法と局所治療・動注化学療法(眼動脈にカテーテルを入れメルファランを中心にトポテカン・カルボプラチンを使う)・硝子体内化学療法(メルファラン20〜30 µgまたはトポテカン20 µgを毛様体扁平部から注射し刺入部を冷凍凝固する)の要点、眼球摘出では視神経をできるだけ長く切除し、脈絡膜への広範な浸潤・篩状板より後方の視神経浸潤・強膜浸潤・前房浸潤を病理学的危険因子として補助化学療法を考えることを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.The Global Retinoblastoma Outcome Study: a prospective, cluster-based analysis of 4064 patients from 149 countries(The Lancet Global Health(Global Retinoblastoma Study Group)・2022)PubMedの抄録(PMID 35839812)で、2017年に診断された未治療の4,064例(149か国・260施設)を3年追跡した前向き研究であること、3年生存率が高所得国99.5%・高中所得国91.2%・低中所得国80.3%・低所得国57.3%であったこと、診断時の眼外進展(cTNMH分類のcT4)が高所得国0.8%・高中所得国5.4%・低中所得国19.7%・低所得国42.9%であったこと、眼球摘出はすべての子どもで、静脈化学療法は98.8%で利用できたこと、生存の悪化に独立して関わる因子が低所得国での居住・cT4の進行腫瘍・3歳までの診断時年齢の高さであったことを確認した(抄録のみを閲覧)。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Retinoblastoma – A comprehensive review, update and recent advances(Indian Journal of Ophthalmology・2024)PMC11232864の全文で、遺伝性網膜芽細胞腫が全体の30〜40%を占め、その約80%が両眼性・10〜15%が片眼性であり、生殖細胞系列変異の75%は新生突然変異・25%が家族性であること、RB1変異の無いMYCN増幅型が片眼性の1.4%を占め反対眼・家族・二次がんのリスクを持たないこと、三側性網膜芽細胞腫が両眼性の10%未満に生じ75%が松果体部であること、Reese-Ellsworth分類が外照射への反応の予測に基づくこと、IIRC(2005)とICRB(2006)の群A〜Eの定義と、群Eの定義の違い(眼球の50%を超える腫瘍はICRBでは群E、IIRCでは播種の程度により群B〜D)、AJCC第8版のcTNMHの各区分(cT1a〜cT4b、cN、cM1a・b、pM1、HX・H0・H1)の定義と遺伝的素因を病期に入れた最初のがんであること、国際網膜芽細胞腫病期分類(病期0〜IV)、眼球摘出で10 mmを超える長い視神経断端を得て遺伝子検査用の組織を採り病理で高リスク所見を調べること、生殖細胞系列変異をもつが腫瘍の無い子どもを1歳まで毎月・その後5歳まで3か月ごとに診ること、腫瘍組織が無く血液で変異が見つからない場合は未検出の生殖細胞系列変異のリスクが1〜1.5%残るため5歳まで反対眼を診て子どもも経過観察すること、一次動注化学療法が生殖細胞系列変異の無い片眼性の群B〜Eの第一選択として使われること、眼球摘出は視機能の見込みの無い片眼性の群E・眼外進展・難治例に適応され低中所得国では片眼性の群Dでもなお標準であること、外照射は生殖細胞系列例で50歳までに53%の二次がんのリスクがあるため避けられ、眼球摘出後の顕微鏡的遺残や最後の救済手段に限られること、生殖細胞系列例では5歳まで6か月ごとに頭部と眼窩のMRIを繰り返すこと、腫瘍の退縮後は1年目は3か月ごと・その後3年間または7歳までは6か月ごと・以降は毎年診ることを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.Global Retinoblastoma Presentation and Analysis by National Income Level(JAMA Oncology(Global Retinoblastoma Study Group)・2020)PubMedの抄録(PMID 32105305)で、2017年に診断された未治療の網膜芽細胞腫4,351例(153か国・278施設)の横断研究であること、診断時年齢の中央値が30.5か月で84.7%が低中所得国の患者であったこと、紹介理由が白色瞳孔62.8%・斜視10.2%・眼球突出7.4%の順であったこと、高所得国では診断時年齢中央値14.1か月で98.5%が眼内にとどまり転移は0.3%であったのに対し、低所得国では中央値30.5か月で49.1%が眼外進展、18.9%が転移を示したこと、低所得の国ほど家族歴のある例の割合が小さく、その理由として多くの患者が子どもをもつ年齢まで生き延びられないためと考えられていることを確認した。閲覧 2026-09-29