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Drug Atlas · 15 Metabolic drugs / 代謝作用薬

ベンズブロマロン

benzbromarone

分類
Uricosuric drugs / 尿酸排泄促進薬
商品名(日本)
ユリノーム
商品名(EU)
Narcaricin
科目
Clinical Pharmacology
トピック
15: Gout and hyperuricemia
承認適応
痛風
禁忌疾患
尿路結石症
副作用
黄疸倦怠感悪心
監視検査値
尿酸アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)

🧠 全体像:は、腎臓のに存在するURAT1を選択的に阻害するである。糸球体から濾過された尿酸のを強力に抑え、尿中への排泄を促すことで血清尿酸値を下げる。主としてのや痛風に用いられる。第一選択の(、)に次ぐ選択肢、あるいは併用薬として位置づけられる。などの致死的な肝障害リスクが報告されており、厳重な肝機能モニタリングが必須であるほか、尿中尿酸濃度のによるリスクを防ぐため、十分な飲水との併用が重要となる。

薬効群の中での位置づけ

は、作用機序により「尿酸生成抑制薬」と「」の2群に大別される。

系統 代表薬 主な 特徴と使い分け
尿酸生成抑制薬 、 阻害 。・排泄低下型の双方に有効。合併例でも使用可能
URAT1阻害(強力) に適する。より強力で中等度腎障害(eGFR 30以上)でも有効だがに警戒12
URAT1阻害、OAT阻害 古典的薬剤。作用は弱めで時の(ペニシリン排泄遅延など)に注意
ドチヌラド URAT1選択的阻害 新世代の選択的阻害薬。OAT1/3やBCRPへの影響が少なく肝障害リスクが軽減

欧米では重篤な肝不全の懸念から市場から撤退した国が多い(米国では未承認)が、日本や欧州の一部(EULARガイドライン)では、単剤で目標値に届かない場合や不耐例において、厳重な安全管理のもとで重要な選択肢として維持されている2。

機序

腎臓での尿酸の取り扱いは、、での再吸収、分泌、および再吸収後分泌という複雑な過程を経る。

flowchart TD
    A["糸球体で尿酸が濾過される"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary urine'>原尿</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>S1〜S2分画を通過"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brush border membrane'>刷子縁膜</span>(管腔側)のURAT1<br>(SLC22A12)を介して細胞内へ再吸収"]
    C --> D["側底膜側のGLUT9を介して血管内へ戻る"]

    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='benzbromarone'>ベンズブロマロン</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> F["URAT1の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='substrate-binding site'>基質結合部位</span>に直接結合"]
    F --> G["URAT1による尿酸取り込みを強力に阻害"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary urine'>原尿</span>中からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urate reabsorption'>尿酸再吸収</span>が著明に低下"]
    H --> I["尿中への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uric acid excretion'>尿酸排泄</span>量が増加"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum uric acid level'>血清尿酸値</span>が低下"]

金井・遠藤らの研究により同定されたURAT1(SLC22A12)は、管腔側からの尿酸取り込みを担う主要な交換体である3。はの数十倍から百倍強力なURAT1を持ち、細胞内へのを効果的に遮断する。

薬物動態

項目 特徴
吸収 後、消化管から速やかに吸収される
代謝 肝臓のチトクロームP450(CYP2C9など)により広範に水酸化・脱臭素化代謝を受ける。代謝物にも一部活性があるが、活性中間体の生成が肝毒性の原因と推定されている
排泄 代謝物として主に胆汁および糞中に排泄され、一部が尿中に排泄される
半減期 血漿中は約3〜4時間(代謝物を含む終末相は約12〜13時間)
腎機能との関係 eGFR 30 mL/min/1.73m²以上であれば良好な尿酸降下作用が保たれる2

適応

  1. 痛風
  2. (特に量が低下している、または単剤で目標尿酸値 < 6.0 mg/dLに未達の症例)

用法・用量

痛風では、成人にはとして通常1日1回25 mgまたは50 mgのから開始し、その後として1回50 mgを1日1〜3回(1日50〜150 mg)する1。急激な尿酸値低下によるの誘発を防ぐため、初期投与量は25 mg(50 mg錠の半錠など)の低用量から開始して漸増することが望ましい。

禁忌・注意

  • 肝障害のある患者・妊婦または妊娠している可能性のある女性:等の重篤な肝障害を悪化・誘発するおそれがあるため肝障害のある患者は禁忌であり、で催奇形作用が報告されているため妊婦・妊娠している可能性のある女性も禁忌である1。
  • 定期的な肝機能検査の義務:投与開始前に肝障害のないことを確認し、投与開始後少なくとも6か月間は必ず定期的な肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン等)を実施することが欄で義務づけられている(6か月以降も定期的に継続)1。、悪心・嘔吐、感、黄疸などの初期症状が出現した場合は直ちに服薬を中止し受診するよう患者に徹底指導する。
  • ・高度の:量が著増するため、のある患者、または結石の既往がある患者には原則として投与を避ける(禁忌)。また、eGFR 30 mL/min未満の高度腎障害患者では効果が期待できないため避ける2。
  • 予防(飲水励行と):尿酸は(pH 5.5以下)で極めて不溶化ししやすい。結石形成を防ぐため、十分な水分摂取(1日尿量2,000 mL以上を目安)を促し、必要に応じてやクエン酸塩製剤を併用して尿pHを6.2〜6.8の範囲に維持する。
  • 痛風急性発作期の投与:急性発作中に新規に本剤を開始すると、血中尿酸値の動により発作が増悪・長期化する。発作が完全に鎮静化するまで投与開始を見合わせる。

副作用

  1. ・重篤な:頻度は極めて稀であるが死亡例が報告されている最大の事項である1。投与初期からの定期追跡を怠らない。
  2. ・:尿中尿酸濃度のに伴うの形成。血尿や激痛を呈する。
  3. の誘発:治療開始初期ののに伴う一過性の関節炎。
  4. 消化器症状:胃部不快感、悪心、下痢など。

まとめ

  • は、のURAT1を阻害して尿酸の再吸収を抑える強力なである。
  • のや、の効果不十分例で用いられる。
  • 最も重要な副作用はであり、投与開始後少なくとも6か月間は月1回以上の肝機能モニタリングが不可欠である。
  • リスクを低減するため、保有者には投与せず、十分な水分摂取との併用を行う。

出典

  1. 1.ユリノーム錠25mg/ユリノーム錠50mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/トーアエイヨー株式会社・2025)電子添文(2025年10月改訂・第3版)で、ベンズブロマロンが腎近位尿細管(URAT1)での尿酸再吸収を抑制し尿酸排泄を促進すること、痛風および高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の改善に適応を持ち通常成人25または50 mg/日から開始し維持量50〜150 mg/日(1日1〜3回)とすること、劇症肝炎等の重篤な肝障害に関する警告(主に投与開始6か月以内に発現し死亡例あり、投与開始前および開始後少なくとも6か月間は定期的な肝機能検査が必須)、肝障害のある患者・腎結石を伴う患者・高度腎機能障害患者・妊婦または妊娠している可能性のある女性への禁忌を確認した。閲覧 2026-11-02
  2. 2.2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout(Annals of the Rheumatic Diseases・2017)痛風管理に関するEULAR推奨において、第一選択のキサンチンオキシダーゼ阻害薬で目標尿酸値に未達または不耐の場合にベンズブロマロン等の尿酸排泄促進薬への変更または併用を推奨し、eGFR 30 mL/min以上であれば中等度腎障害でも使用可能であること(eGFR 30未満では避ける)を確認した。閲覧 2026-10-30
  3. 3.Molecular identification of a renal urate–anion exchanger that regulates blood urate levels(Nature・2002)ヒト腎臓の近位尿細管刷子縁膜に局在する尿酸トランスポーターURAT1(SLC22A12)を同定し、ベンズブロマロンがURAT1を極めて強力に直接阻害して尿酸の尿細管再吸収を抑制することを分子レベルで解明したことを確認した。閲覧 2026-10-30