臨床薬理学

臨床薬理学 · 15

痛風と高尿酸血症の薬物療法

Gout and hyperuricemia

前提:病態
痛風治療薬・頭痛治療薬

🧠 全体像:ヒトは尿酸を分解する酵素を持たないので、尿酸はの「行き止まり」であり、腎臓からの排泄に頼っている。排泄が落ちる(多くの場合)か産生が増えると尿酸が上がり、が関節に沈着して痛風発作を起こす。薬物療法は2段構えで、①発作の炎症をすぐ抑える(・・ステロイド、最後に)、②炎症が治まったら尿酸を目標値まで下げ続ける(→・→)。

尿酸の出どころと行き先

プリン代謝:尿酸は最終産物

尿酸はの最終産物である。多くのは()で尿酸を水溶性の高いへ分解できるが、ヒトにはこの酵素がない。このため尿酸が血中にたまりやすい。

flowchart TD
  A["PRPP"] -->|"新規合成<br>数段階"| B["IMP"]
  B <--> C["AMP"]
  B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IMP dehydrogenase'>IMP脱水素酵素</span>"| D["GMP"]
  C --> E["アデノシン"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inosine'>イノシン</span>"]
  B --> F
  F -->|"プリン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleoside'>ヌクレオシド</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='phosphorylase'>ホスホリラーゼ</span>"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoxanthine'>ヒポキサンチン</span>"]
  D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanosine'>グアノシン</span>"]
  D -->|"GMPからIMPへ戻る経路"| B
  H -->|"プリン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleoside'>ヌクレオシド</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='phosphorylase'>ホスホリラーゼ</span>"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanine'>グアニン</span>"]
  G -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xanthine oxidase'>キサンチンオキシダーゼ</span>"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xanthine'>キサンチン</span>"]
  J -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xanthine oxidase'>キサンチンオキシダーゼ</span>"| K["尿酸"]
  K -.->|"ヒトでは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricase'>ウリカーゼ</span>が欠損<br>この反応は起こらない"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allantoin'>アラントイン</span>"]
経路 内容 薬理学的な意味
新規合成 から数段階でIMPをつくり、IMPからAMPとGMPへ分かれる —
再利用() とはがを使ってIMP・GMPへ戻し、はAPRTがAMPへ戻す が欠けると再利用できないプリンがすべて尿酸へ流れ、著しいになる()
アデノシン→→、→と分解され、→→尿酸の2段階をが触媒する との標的。遺伝的にこの酵素がないと尿酸は低く、が増える()
尿酸の分解 尿酸→() ヒトでは欠損。欠けている酵素を補うのが・

💡 を止めると、上流のとが増える。は再利用経路でIMPへ戻せるので、尿酸の産生そのものが減る。同じ酵素はのも分解するため、・とを併用するとが蓄積し、重い骨髄抑制を起こす(薬剤性)。

腎臓での尿酸の扱い

尿酸は糸球体で自由にろ過されるが、でその大部分が再吸収され、一部が分泌される。最終的に尿へ出るのはろ過された量の約10%にすぎない。したがって、尿細管の再吸収が少し増えるか分泌が少し減るだけで血中濃度が上がる。

位置 輸送体 はたらき 方向
管腔側(膜) URAT1 尿酸を細胞内へ取り込み、代わりに有機を管腔へ出す 再吸収の主役(主要な)
管腔側 OAT10 尿酸と有機の交換輸送 再吸収
管腔側 SMCT1/2 Na⁺と一緒にモノカルボン酸(乳酸など)を取り込み、URAT1が交換に使うを細胞内に供給する 再吸収を間接的に支える
管腔側 OAT4 尿酸との交換輸送 再吸収
管腔側 NaDC1 Na⁺と一緒にを取り込み、OAT4が交換に使うを供給する 再吸収を間接的に支える
管腔側 hUAT 尿酸を通すチャネルとして想定される分子 再吸収と分泌の両方にかかわる候補
GLUT9 細胞内の尿酸を間質(血液側)へ出す 再吸収の出口(主要な)
OAT1/3 間質の尿酸をと交換で細胞内へ取り込む 分泌の入口
NaDC3 Na⁺と一緒にを取り込み、OAT1/3が交換に使うを供給する 分泌を間接的に支える
管腔側 NPT1/4 細胞内の尿酸を管腔へ出す 分泌
管腔側 ABCG2 ATPを使って尿酸を管腔へくみ出す 分泌
管腔側 ABCC4 ATPを使って尿酸を管腔へくみ出す 分泌
flowchart TD
  A["糸球体でろ過された尿酸"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>の管腔"]
  B -->|"URAT1・OAT10・OAT4<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anion'>陰イオン</span>との交換で取り込み"| C["尿細管細胞内の尿酸"]
  C -->|"GLUT9"| D["間質から血液へ戻る<br>=再吸収"]
  E["血液・間質の尿酸"] -->|"OAT1/3"| C
  C -->|"NPT1/4・ABCG2・ABCC4"| F["管腔へ出る<br>=分泌"]
  B --> G["尿へ排泄<br>ろ過量の約10%"]
  F --> G

⭐ 再吸収の入口URAT1と出口GLUT9が、尿酸の再吸収でもっとも重要な輸送体であり、同時に薬の標的でもある。・・レシヌラドなどのはURAT1を阻害して再吸収を減らす。URAT1やGLUT9の機能を失う遺伝子変異では、逆に血清尿酸が極端に低くなる()。

高尿酸血症と痛風の定義・病態

用語 定義
血中の尿酸値が高い代謝異常
痛風(尿酸性関節炎) 関節に沈着したに反応して、激しい(発作)を繰り返す関節炎

⚠️ 両者は一致しない。尿酸値が正常でも発作は起こりうる(発作中は血清尿酸が一時的に下がることがある)。逆に、があっても無症状のことが多い。

高尿酸血症の成り立ち

視点 分類
原因 一次性:遺伝性疾患・酵素欠損 / 二次性:糖尿病、腫瘍、薬剤性、腎疾患など
機序 尿酸の産生増加(まれ)と/または排泄低下(多い)
実際 上の2つが組み合わさることも多い

痛風発作の起こり方

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum uric acid level'>血清尿酸値</span>の上昇"] --> B["ナトリウムイオンと結合<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monosodium urate, MSU'>尿酸一ナトリウム</span>"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crystallization'>結晶化</span>"]
  C --> D["組織・関節・腎臓へ沈着<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Tophi'>痛風結節</span>・関節・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urolithiasis'>尿路結石</span>"]
  D --> E["結晶が白血球を活性化"]
  E --> F["サイトカイン放出"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute inflammation'>急性炎症</span>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gout flare'>痛風発作</span>"]

💡 結晶を取り込んだマクロファージではが活性化し、IL-1βが大量に放出されて好中球が関節に集まる。は好中球の遊走を、はIL-1βそのものを止めるので、発作治療薬のはこの連鎖の下流に並んでいる。一方、は連鎖の最上流(尿酸値)を下げ、結晶そのものを溶かしていく。

痛風発作の治療

発作治療薬の比較

薬(群) 作用機序 用法(従来の用法) 禁忌・注意 主な副作用
に結合して微小管の重合を阻害し、白血球の遊走と接着を抑える 経口。初回1 mg、1時間後に0.5〜1 mg。維持は1日1.5〜2 mg、その後24時間ごとに0.5〜1 mg 肝・腎疾患や肝・腎不全、阻害薬の併用(毒性が上がる) 治療域が狭い。消化器症状、代謝性アシドーシス、、骨髄抑制
・などの 阻害で炎症を抑える 症状が消えるまで経口で。を併用 消化性潰瘍、肝・腎疾患 消化器症状、腎障害
グルココルチコイド を介して炎症を抑える 経口または 糖尿病、感染症 免疫抑制、皮膚・心血管・代謝への副作用
() IL-1βに対する特異的抗体 皮下注150〜300 mgを3か月ごと 高価なため難治例に限る 免疫抑制

は、臨床で使う量と中毒量が近い薬である。

用量については、従来の用法と現行の推奨がずれる。

出典 の
従来の用法 初回1 mg、1時間後に0.5〜1 mg。維持は1日1.5〜2 mg、その後24時間ごとに0.5〜1 mg
2016年版 発症12時間以内に開始し、初日は1 mg、1時間後に0.5 mg(初日の合計1.5 mg)1
ACR 2020年版 高用量より低用量を強く推奨(効果は同等で副作用が少ない)。米国の承認用量は1.2 mgの1時間後に0.6 mg2

⭐ 昔は「下痢が出るまで毎時間飲む」高用量療法が行われたが、現在は初日の総量を低く抑えるのが標準である。従来の用法の「1時間後に0.5〜1 mg」の上限側と、その後の1日1.5〜2 mgのは、現行の推奨より多い。

⚠️ とは、重い腎障害がある患者では避ける1。はさらに消化性潰瘍・心不全・抗凝固薬の併用でも問題になる。はでは換算30〜35 mg/日を3〜5日間とされる1。は1〜2関節の発作に向くが、打つ前にを穿刺してでないことを確かめる。

について、従来の用法は「皮下注150〜300 mgを3か月ごと」とする。「3か月ごと」は、欧州の添付文書で再投与を12週以上あけるとしていることに対応する(での1回量は150 mg)。の根拠となった試験では150 mgを1回皮下注射し、40 mgの注射より痛みを改善した。欧州での承認は、・・ステロイドがいずれも禁忌の患者に限られる1。100 mgを3日間皮下注する方法も、症例集積で効果が示唆されている1。

⚠️ は、現在感染症がある患者には禁忌である1。

発作治療の流れ

は、発症後できるだけ早く(12〜24時間以内に)始め、症状が消えるまで(1〜2週間)続ける。

段階 従来の順位づけ
第一選択 (+と/またはグルココルチコイド)
第二選択(が禁忌のとき) 経口+グルココルチコイド(経口または関節内)
第三選択(十分な治療でも発作を繰り返す患者)

2016年版の発作治療アルゴリズムは、次のように組み立てられている(括弧内は対応する推奨番号)。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gout flare'>痛風発作</span>"] --> C["第一選択から1つ、または組み合わせを選ぶ(2)"]
  C --> C1["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colchicine'>コルヒチン</span><br>1 mg、1時間後に0.5 mg"]
  C --> C2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='conventional'>従来型</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclooxygenase-2'>COX-2</span>選択的阻害薬<br>必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proton pump inhibitor, PPI'>プロトンポンプ阻害薬</span>"]
  C --> C3["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prednisolone'>プレドニゾロン</span><br>30〜35 mg/日を5日間"]
  C --> C4["ステロイドの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intra-articular injection'>関節内注射</span>"]
  C --> C5["併用療法<br>例:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colchicine'>コルヒチン</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span><br>またはステロイド"]
  C1 --> R["発作の消退"]
  C2 --> R
  C3 --> R
  C4 --> R
  C5 --> R
  C --> X{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colchicine'>コルヒチン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span>・ステロイド<br>経口・注射のすべてが禁忌?"}
  X -->|"はい"| Y["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IL-1 inhibitor'>IL-1阻害薬</span>を考慮(3)"]
  Y --> R
  R --> Z["自己服薬を教育(1)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='urate-lowering therapy, ULT'>尿酸降下療法</span>の開始を考慮(5)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='prophylaxis against attacks'>発作予防</span>薬と一緒に"]

⚠️ 従来の順位づけと現行の推奨の違い。 従来の整理ではを第一選択、+ステロイドを第二選択としている。しかし 2016年版もACR 2020年版も、・・グルココルチコイドを同列の第一選択として扱い、禁忌・併存症・過去の反応・発症からの時間・罹患関節の数で選ぶとしている12。ACRは、他のが使えない患者にIL-1阻害を条件付きで推奨し、経口摂取できない患者ではよりステロイドの注射を強く推奨する2。と全身性ステロイドを重ねると消化管出血の危険が上がるので、併用するなら保護を徹底する。

高尿酸血症の治療(尿酸降下療法)

尿酸降下薬の比較

薬(群) 作用機序 用法 禁忌・注意 主な副作用
。を阻害 経口。低用量で始め、治療量まで少しずつ増量 発作の最中は開始しない(新たな発作を誘発しうる)。ACR 2020年版は発作中の開始を条件付きで認める(後述) 軽い皮疹から重症(スティーヴンス・)までの皮膚障害、まれに、腎障害
の阻害薬 経口 心血管リスクを上げる(下記) 同左
() 。尿酸を分解する 注射 欠損症() アレルギー
腎臓の尿酸輸送体を阻害して再吸収を減らす 経口 尿中尿酸の増加でができやすい(水分を多くとれば予防できる) 同左

アロプリノール

  • 本体とがを阻害する。は腎から排泄されるので、腎機能に合わせて用量を決める。
  • 最重症の副作用は、スティーヴンス・・やなどのである。高いとが危険因子であり、低用量から始める理由の一つになっている2。
  • 遺伝子型-B*58:01はこの過敏症の強い危険因子である。ACRは、保有率の高い東南アジア系(漢民族・韓国・タイ)とアフリカ系米国人では開始前の検査を条件付きで推奨する2。
  • ⚠️ ・との併用で骨髄抑制が起こる(前述)。

フェブキソスタット:心血管リスクの論争

試験 対象 結果
CARES(2018年) 心血管疾患を合併する痛風6,190例、 主要心血管複合評価項目は。しかし(1.22)と心血管死(1.34)が群で多かった。の中止56.6%、追跡脱落45.0%と脱落が多い3
FAST(2020年) 60歳以上でをもつ欧州の6,128例、 主要心血管複合評価項目で(調整0.85)。死亡は群7.2%、群8.6%4

「は心血管リスクを上げる」という従来の記載は、CARESの結果を受けて2019年に米国で追加された枠付きを反映している。その後のFASTでは死亡の増加は見られなかった。現行のACRは、使用中に心血管疾患の既往があるか新たな心血管イベントが起きた患者では、可能なら他のへ変えることを条件付きで推奨している2。

ラスブリカーゼとペグロチカーゼ:「欠けた酵素」を補う

2つはどちらもの製剤だが、使う場面が異なる。

本体 遺伝子組換え を結合した(半減期を延ばした製剤)
主な用途 抗がん薬治療に伴うの予防・治療 他の薬で目標に届かない、重症で生活の質が悪い慢性結節性痛風(推奨10)1
共通の注意 欠損症では禁忌。でができ、アナフィラキシー・投与時反応が起こる 同左。ACRは第一選択にしないことを強く推奨する2

💡 なぜ欠損症で禁忌なのか。 は尿酸をにするときをつくる。欠損の赤血球はを十分につくれずを処理できないので、溶血やが起こる。

尿酸排泄促進薬

代表は、、レシヌラドで、いずれもURAT1を阻害してでの尿酸の再吸収を減らす。

  • 尿中の尿酸が増えるので、の既往がある人には使いにくい。十分な飲水で予防する。
  • 腎機能が落ちると効きにくくなる。は、を 30 mL/分未満では使わないとし1、ACRは3以上ではより阻害薬を強く推奨する2。
  • ⚠️ は重い肝障害のため、多くの国で使用が制限されている。
  • レシヌラドは、阻害薬と併用するである。米国では製造元により市場から撤退した2。
  • 結石予防には従来から十分な水分摂取が勧められてきた。ACRは、の使用時に尿中尿酸を測ることと尿をすることを、いずれも行わないよう条件付きで推奨している(根拠の確実性は非常に低い)2。

尿酸降下療法の進め方

の治療は、が治まってから、さらなる発作を防ぐ目的で行う。の改善(減量、飲酒・飲料・・肉や魚介類の過剰摂取を控える)と薬物療法が柱である。

段階 従来の方針( 2016年版をもとにした整理)
第一選択 を低用量で始め、治療量(または1日最大量800 mg)までゆっくり増量する
第二選択(が禁忌のとき)
第二選択の候補(入手できれば) (、、レシヌラド)
併存症 高血圧・も治療する。血清尿酸を下げるやスタチンが望ましい

の治療アルゴリズムは次のとおりである(括弧内は推奨番号)。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urate-lowering therapy, ULT'>尿酸降下療法</span>の適応あり"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allopurinol'>アロプリノール</span>を使える?"}
  B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allopurinol'>アロプリノール</span>100 mg/日で開始(8)<br>腎機能に合わせて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dose adjustment'>用量調整</span>(9)<br>許される最大量まで緩徐に増量(7)"]
  B -->|"いいえ<br>不耐・禁忌"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='febuxostat'>フェブキソスタット</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricosuric drug'>尿酸排泄促進薬</span>で開始"]
  C --> E{"目標に到達?(6)"}
  E -->|"はい"| F["継続(7)"]
  E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='febuxostat'>フェブキソスタット</span>へ変更<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricosuric drug'>尿酸排泄促進薬</span>へ変更(8・9)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='allopurinol'>アロプリノール</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricosuric drug'>尿酸排泄促進薬</span>の併用も可"]
  G --> H{"目標に到達?(6)"}
  H -->|"はい"| F
  H -->|"いいえ"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xanthine oxidase'>キサンチンオキシダーゼ</span>阻害薬と<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricosuric drug'>尿酸排泄促進薬</span>の併用を考慮(10)"]
  D --> J{"目標に到達?(6)"}
  J -->|"はい"| F
  J -->|"いいえ"| I
  I -->|"血清尿酸が目標に届かない"| K["重症の慢性結節性痛風では<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pegloticase'>ペグロチカーゼ</span>を開始(10)"]

の推奨の中身は次のとおりである1。

項目 推奨
目標値(推奨6) 血清尿酸を6 mg/dL(360 µmol/L)未満に保つ。重症痛風(・慢性・頻回発作)では、結晶が溶けきるまで5 mg/dL未満。長期に3 mg/dL未満にはしない
増量のしかた(推奨7・8) すべてのを低用量から始める。は100 mg/日から2〜4週ごとに100 mgずつ増やす。600〜800 mg/日まで増やすと75〜80%が6 mg/dL未満に届く
目標未達(推奨8・9) かへ変更、またはを併用する。腎障害ではの上限をに合わせ、未達なら、または 30未満を除き(併用可)
(推奨4) 開始後6か月は0.5〜1 mg/日(腎障害では減量)。使えなければ低用量

💡 なぜ「少しずつ」増やすのか。 尿酸値が急に下がると、関節に沈着した結晶の表面が溶けて崩れ、剥がれた結晶が新たな発作を起こす。低用量から始め、予防薬を重ねるのはこのためである。低いは、の過敏症の危険も下げる。

尿酸降下療法:EULAR 2016年版とACR 2020年版の違い

論点 従来の整理・ 2016年版 ACR 2020年版(現行の米国推奨)
開始のタイミング 炎症が治まってから。は発作中が禁忌(新たな発作を誘発しうる)。の本文も発作中の開始を勧めない1 が必要と判断したなら、発作中に開始することを条件付きで推奨(小規模RCTで発作が長引かなかった)2
適応 診断時から検討し、反復発作・・尿酸塩・では適応。40歳未満、8.0 mg/dL超、腎障害・高血圧・・心不全があれば診断時から開始1 ・画像上の・年2回以上の発作で強く推奨。初回発作では原則開始しないが、3以上・9 mg/dL超・があれば開始2
無症候性 言及なし 薬物療法を始めないことを条件付きで推奨2
第一選択 (腎機能正常例) 3以上も含め、2
目標値 6 mg/dL未満(重症は5 mg/dL未満) 6 mg/dL未満を目標に漸増する2
の期間 6か月 3〜6か月。発作が続けば延長2

併存症の治療薬を選ぶ

高血圧やを治療するなら、血清尿酸も下げるやスタチンが望ましいとされる。はURAT1を阻害してを増やす、の中でも例外的な薬である(高血圧)。

併存症・併用薬 2016年版1 ACR 2020年版2
ループ・ 可能なら変更する を可能なら他のへ変える
高血圧 またはを考慮 を優先
スタチンまたはを考慮 を追加・変更しない
— 適応があれば中止しない

💡 には促進作用があり、の薬物療法でも利点として挙げられる(の薬物療法)。ただしACRは、痛風のためにを加えることは勧めていない。

高尿酸血症を起こす薬

薬 機序
() 腎での尿酸分泌を阻害する。代謝物のがURAT1の交換相手としてを促すとも説明される
・(など) 腎でのを増やす(循環血液量の減少での再吸収が亢進し、分泌では尿酸と競合する)
(アスピリン) 低用量(100〜500 mg/日)では尿酸の分泌を阻害して尿酸値を上げる。高用量(3〜5 g/日)では再吸収を阻害してを増やすが、臨床では使わない用量である
細胞傷害性の抗がん薬 腫瘍細胞が一気に壊れ、核酸由来のプリンが大量に尿酸になる()。予防にやを使う

このほか、の薬ではが尿酸を上げ(痛風では禁忌)、は痛風のリスクを上げる。

⚠️ で尿酸がわずかに上がっても、心血管予防の適応があればやめない(上の表のACR推奨)。利尿薬は、心不全などで必要なら続けたうえでを強める。

まとめ

  • 尿酸はの最終産物で、ヒトはを持たない。腎ではろ過量の大部分がURAT1とGLUT9で再吸収され、尿へ出るのは約10%である。
  • の多くは排泄低下で起こる。が沈着し、白血球の活性化とIL-1β放出で発作になる。尿酸値と発作は必ずしも一致しない。
  • 発作は12〜24時間以内にを始め、消えるまで続ける。従来の整理はを第一選択とするが、・ACRは・・ステロイドを同列に置く。は低用量で使い、・P糖タンパク阻害薬との併用と腎障害に注意する。は他剤が使えないときに考える(感染症があれば禁忌)。
  • は、を100 mg/日から腎機能に合わせて漸増し、血清尿酸6 mg/dL未満(重症は5 mg/dL未満)を目指す。開始時はを併用する。
  • 未達や不耐ではか、次に併用、最後に。はCARESで死亡増加が示され、FASTでは示されなかった。・は欠損症で禁忌。
  • は(-B*58:01)と併用に注意する。
  • 発作中の開始は、従来の整理・では避け、ACR 2020年版では条件付きで可とする。
  • 高血圧には、にはスタチンを選ぶ。、利尿薬、、抗がん薬、は尿酸を上げる。
  • 臨床面の詳細は痛風を参照。

出典

  1. 1.2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout(EULAR・2017)全文PDF(オンライン先行版)で、表1の11推奨を確認した。推奨2:発作の第一選択はコルヒチン(発症12時間以内、初日に1 mg、1時間後に0.5 mg)と/またはNSAID(必要ならPPI併用)、経口ステロイド(プレドニゾロン換算30〜35 mg/日を3〜5日)、関節穿刺と関節内ステロイド注射で、重度腎障害ではコルヒチンとNSAIDを避け、強いP糖タンパク/CYP3A4阻害薬(図1の脚注でシクロスポリン・クラリスロマイシン・ケトコナゾール・リトナビル)併用中はコルヒチンを投与しない。本文は経口プレドニゾロン30〜35 mgを5日間とも述べる。推奨3:頻回発作でコルヒチン・NSAID・ステロイドが禁忌ならIL-1阻害薬を考慮し、現在の感染症は禁忌。本文でカナキヌマブ150 mg単回皮下注がトリアムシノロン40 mgより疼痛を改善し、欧州では3剤が禁忌の患者に限って承認されたこと、アナキンラ100 mg皮下注3日間の症例集積があること。推奨4:尿酸降下療法開始後6か月間はコルヒチン0.5〜1 mg/日で予防し、腎障害・スタチン併用では神経・筋毒性に注意。推奨5:尿酸降下療法の適応(反復発作・痛風結節・尿酸塩関節症・尿路結石、40歳未満・8.0 mg/dL超・併存症では診断時から)。推奨6・7:血清尿酸は6 mg/dL未満、重症痛風では結晶が溶けるまで5 mg/dL未満、長期に3 mg/dL未満は推奨しない、すべて低用量から漸増。推奨8:腎機能正常ならアロプリノール100 mg/日で開始し2〜4週ごとに100 mgずつ増量、未達ならフェブキソスタットか尿酸排泄促進薬へ変更または尿酸排泄促進薬を併用、不耐でもこれらを用いる。本文でアロプリノール600〜800 mg/日で75〜80%が6 mg/dL未満を達成したこと。推奨9:腎障害ではクレアチニンクリアランスに合わせて上限を調整し、未達ならフェブキソスタット、またはeGFR 30未満を除きベンズブロマロン(±アロプリノール)。推奨10:他の薬で目標に届かない結晶確認済みの重症慢性結節性痛風にペグロチカーゼ。推奨11:ループ・サイアザイド利尿薬は可能なら変更し、高血圧にはロサルタンかカルシウム拮抗薬、脂質異常症にはスタチンかフェノフィブラートを考慮。図2の脚注¶が「この段階ではアロプリノールと尿酸排泄促進薬の併用も推奨される」とすること、本文が発作中の尿酸降下療法開始を推奨しないと述べることを確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout(American College of Rheumatology・2020)PMC全文(PMC10563586)の表1〜8で、痛風結節・画像上の関節破壊・年2回以上の発作で尿酸降下療法の開始を強く推奨、初回発作では原則開始しないがCKDステージ3以上・血清尿酸9 mg/dL超・尿路結石では開始、無症候性高尿酸血症(6.8 mg/dL超)では開始しない条件付き推奨であること。アロプリノールをCKDステージ3以上も含め第一選択とし、100 mg/日以下(CKDではさらに低用量)・フェブキソスタット40 mg/日以下から漸増すること、高い開始用量とCKDがアロプリノール過敏症症候群の危険と関連すること、CKDステージ3以上ではプロベネシドよりキサンチンオキシダーゼ阻害薬、抗炎症薬による予防を3〜6か月、発作中の尿酸降下療法開始を条件付きで推奨、ペグロチカーゼを第一選択にしないこと。血清尿酸6 mg/dL未満の目標で漸増する治療目標達成戦略を強く推奨。東南アジア系・アフリカ系米国人でのHLA-B*5801検査、心血管疾患の既往や新規イベントがあるフェブキソスタット使用者での他剤への変更(条件付き)。尿酸排泄促進薬使用時に尿中尿酸の測定と尿のアルカリ化を行わない条件付き推奨。発作にはコルヒチン・NSAID・グルココルチコイド(経口・関節内・筋注)を強く推奨し、コルヒチンは低用量を高用量より推奨(米国承認用量1.2 mgの後1時間後0.6 mg)、他剤が使えなければIL-1阻害を条件付き推奨、経口摂取できない患者ではIL-1阻害薬よりステロイドの筋注・静注・関節内注射を強く推奨。ヒドロクロロチアジドの変更、ロサルタンの優先、低用量アスピリンを中止しないこと、フェノフィブラートを追加・変更しないことの条件付き推奨。レシヌラドが製造元により米国市場から撤退したことを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout(The New England Journal of Medicine(CARES、White WB et al.)・2018)抄録(PMID 29527974)で、心血管疾患を合併する痛風患者6,190例の二重盲検非劣性試験で、主要複合評価項目はフェブキソスタット10.8%対アロプリノール10.4%(ハザード比1.03)で非劣性だった一方、全死亡(ハザード比1.22)と心血管死(1.34)はフェブキソスタット群で多かったこと、56.6%が治験薬を中止し45.0%が追跡から脱落したことを確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.Long-term cardiovascular safety of febuxostat compared with allopurinol in patients with gout (FAST)(The Lancet(FAST investigators)・2020)抄録(PMID 33181081)で、60歳以上・心血管危険因子を1つ以上もつ欧州の痛風患者6,128例で、フェブキソスタットは主要心血管複合評価項目についてアロプリノールに非劣性(調整ハザード比0.85)で、死亡はフェブキソスタット群7.2%・アロプリノール群8.6%だったことを確認した。閲覧 2026-09-26