薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B29 Immunosuppressants / 免疫抑制薬

デュークラバシチニブ

deucravacitinib

分類
Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(日本)
ソーティクツ
科目
PharmacologyClinical PharmacologyDermatology
トピック
B29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)02: Psoriasis3-20: Psoriasis - Clinical Forms and Therapy
承認適応
尋常性乾癬乾癬性関節炎
副作用
口内炎
影響検査値
クレアチンキナーゼ

🧠 全体像:は、TYK2の「」に結合して活性化を止めるである。IL-23・IL-12・が共通して使うTYK2を抑え、乾癬の炎症の上流をで遮断する1。JAK1・JAK2・JAK3に依存するシグナルより、TYK2依存のシグナルを約41〜208倍以上低い濃度で抑える(のIC50)選択性が特徴で、1日1回6 mg、食事を問わず飲む。乾癬のでは、だけでなくにも優った23。JAK阻害薬のが記載される一方で、TYK2阻害が同じ有害事象を起こすかは不明とされている。

薬効群の中での位置づけ

乾癬ののうち、内服で使えるの位置づけである。

薬 標的 用法 特徴
TYK2 6 mgを1日1回 IL-23・IL-12・I型IFNのシグナルを遮断する。投与前に結核の評価とB型肝炎の確認が要る
PDE4 30 mgを1日2回 試験の対照薬。の方が16週のPASI 75が高かった

IL-23・IL-17を止める・などの生物学的製剤は注射で、はIL-23の下流で細胞内シグナルを止めるという位置になる(臨床:乾癬)。

機序

flowchart TD
    A["IL-23・IL-12・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type I interferon'>I型インターフェロン</span>が受容体に結合"] --> B["TYK2が活性化される"]
    B --> C["TYK2依存のシグナル伝達<br>炎症・免疫応答"]
    C --> D["乾癬の皮膚炎症<br>(投与でIL-17A・IL-19・βデフェンシンが減る)"]
    X["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deucravacitinib'>デュークラバシチニブ</span>がTYK2の調節部位に結合<br>調節部位と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='catalytic site'>触媒部位</span>の相互作用を安定化"] --> Y["TYK2の活性化を阻害"]
    Y -.->|"活性化を止める"| B

ではなく調節部位に結合して活性化を止める点が、を狙う従来のJAK阻害薬との違いである。では、TYK2依存のシグナルに対するIC50が、JAK1・JAK2・JAK3依存のシグナルに対するIC50の約41分の1〜208分の1以下で、高い選択性が示されている1。乾癬患者の皮膚では、IL-23経路とI型IFN経路で調節される遺伝子の発現が、投与量に応じて減り、IL-17A・IL-19・βデフェンシンも減った1。

薬物動態

項目 内容(外国人健康を含む)
吸収 99%。最高濃度到達は中央値3時間。では最高濃度が24%下がるが、AUCは同程度で、食事の影響は小さい
半減期 約9.9時間(単回6 mg)
分布 81.6%。は140 L
代謝 CYP1A2・CES2・UGT1A9・CYP2B6・CYP2D6。にBMT-153261がある
では可能な限り避ける(米国は推奨されない)。軽度・中等度は調整不要(米国)
透析 循環血中の薬はほとんど除去されない

母乳中にも移行するが、乳児への影響は不明とされる14。

適応

疾患 日本 米国
(日本は・を含む) 既存治療で効果不十分。を含む既存の(を除く)等で効果不十分で10%以上、または難治性の皮疹・膿疱 またはの対象となる成人の中等症〜重症の
2026年5月に効能が追加。等で効果不十分な難治性の状 成人の活動性

米国は、他の強力なとの併用は推奨されないとする。日本も、・との併用の安全性と有効性は確立していない14。

臨床試験:プラセボとアプレミラストとの比較

試験 例数(//) 16週のPASI 75
POETYK PSO-1 332/166/168 58.4%/12.7%/35.1%2
POETYK PSO-2 511/255/254 53.0%/9.4%/39.8%3

2試験とも、がとに対してを示した。

用法・用量

  • 成人に1回6 mgを1日1回する。食事の有無を問わない。砕く・切る・噛むはしない(米国)
  • 治療反応は通常24週以内に得られる。 24週以内に得られない場合は、継続を慎重に判断する(日本)
  • や経口JAK阻害薬との併用は避ける(日本)
  • 投与前に結核の評価(活動性・)を行い、は先に治療する。B型肝炎ウイルス感染の有無も確認する(日本)14

禁忌・注意

禁忌は国で違う。

国 禁忌
日本 重篤な感染症、、成分への過敏症の既往1
米国 またはに対する過敏症の既往のみ。感染症・結核はで扱う4
  • ⚠️ ウイルスの再活性化:帯状疱疹などのヘルペスウイルスの再活性化が報告されている。徴候があれば中断する。B型肝炎ウイルスのキャリアと者では、肝機能検査値やHBV DNAを監視する(日本)
  • ⚠️ ・・が副作用として出る
  • ⚠️ CK上昇・(米国の):著しいCK上昇やが疑われれば中止する。日本の副作用にもが載る
  • ⚠️ 臨床検査(米国):トリグリセリドを定期的に評価し、肝疾患が疑われる患者ではを測る
  • 悪性腫瘍:で報告されている。乾癬の2つのので、悪性腫瘍(を除く)が0.3/100人・年と、一般の乾癬患者・レジストリの0.4〜2.3/100人・年と同程度だった(日本の電子添文)
  • 生ワクチンは行わない。重度のは可能な限り避ける
  • 妊婦は有益性が危険性を上回る場合のみ。小児等を対象としたは実施していない

⚠️ JAK阻害薬のをどう読むか。 米国の添付文書は、関節リウマチでJAK阻害薬がTNF阻害薬より死亡・・血栓症・悪性腫瘍を増やしたことを挙げ、「TYK2阻害が同様の有害事象と関連するかは不明」と書く4。「TYK2に選択的だから安全」とも「JAK阻害薬と同じ危険がある」とも書かれていない。

副作用

区分 日本の電子添文での内容
重大 重篤な感染症(0.3%)、重篤な過敏症(頻度不明)
5%以上
1〜5%未満 、、
1%未満 帯状疱疹、、

感染症の頻度が高い領域は、・ヘルペスである1。

まとめ

  • はTYK2のに結合するで、IL-23・IL-12・I型IFNのシグナルを止める。でJAK1〜3依存のシグナルより約41〜208倍以上TYK2依存のシグナルに選択的
  • 6 mgを1日1回、食事を問わず服用。乾癬とに使い、PASI 75でとに優った(PSO-1で58.4%対35.1%)
  • 禁忌は日本で3項目(重篤な感染症・・過敏症)、米国は過敏症のみ。結核評価・B型肝炎確認・生ワクチン回避が必要
  • 米国のはCK上昇・トリグリセリド・を含む。JAK阻害薬ののうちTYK2阻害でも起こるかは不明
  • 治療反応は24週以内。得られなければ継続を慎重に判断する。・JAK阻害薬との併用は避ける

出典

  1. 1.ソーティクツ錠6mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社・2026)電子添文(2026年5月改訂、第4版、効能変更)の本文を開いて確認した。薬効分類はTYK2阻害剤、販売名ソーティクツ錠6mg、販売開始は2022年11月、劇薬。効能は既存治療で効果不十分な尋常性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症と乾癬性関節炎。乾癬の対象は光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)等で効果不十分で体表面積10%以上、または難治性の皮疹・膿疱を有する患者、乾癬性関節炎は従来型合成DMARD等で効果不十分な難治性の関節症状を有する患者。用法は成人に1回6 mgを1日1回経口投与。治療反応は通常24週以内に得られ、得られなければ継続を慎重に判断する。生物製剤や経口JAK阻害剤との併用は避ける。免疫抑制剤・光線療法との併用の安全性と有効性は確立していない。禁忌は重篤な感染症、活動性結核、成分への過敏症の既往。結核の確認(問診・胸部X線・インターフェロンγ遊離試験等)、帯状疱疹などウイルスの再活性化への注意、B型肝炎ウイルス感染の有無の確認、生ワクチンを行わないことを求める。重度の肝機能障害(Child-Pugh C)では可能な限り避ける。重大な副作用は重篤な感染症0.3%と重篤な過敏症(頻度不明)。その他の副作用は5%以上が上気道感染、1〜5%未満が単純ヘルペス・口腔潰瘍・ざ瘡様皮疹、1%未満が帯状疱疹・毛包炎・血中CK増加。作用機序は、TYK2の機能制御部位に結合し、この部位と触媒部位の相互作用を安定化して、IL-23・IL-12・I型インターフェロンなどで誘導されるTYK2の活性化を阻害すること。全血アッセイのIC50はJAK1・JAK2・JAK3依存のシグナルに比べて約41分の1〜208分の1以下で、IL-17A・IL-19・βデフェンシンが減少した。外国人健康被験者で6 mg単回投与のTmax中央値3.00時間、半減期9.88時間、絶対的バイオアベイラビリティ99%、血漿蛋白結合率81.6%、高脂肪食でCmax 24%減少・AUCは同程度。乾癬の2つの第III相試験(IM011-046、IM011-047)の統合解析で、0〜52週に悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)が0.3/100人・年。閲覧 2026-11-05
  2. 2.Deucravacitinib versus placebo and apremilast in moderate to severe plaque psoriasis: Efficacy and safety results from the 52-week, randomized, double-blinded, placebo-controlled phase 3 POETYK PSO-1 trial(Journal of the American Academy of Dermatology・2023)PubMed(PMID 35820547)の抄録で確認した。第3相POETYK PSO-1試験で、成人の中等症〜重症の局面型乾癬を、デュークラバシチニブ6 mg 1日1回(332例)、プラセボ(166例)、アプレミラスト30 mg 1日2回(168例)に2対1対1で割り付けた。16週のPASI 75は58.4%(194例)対プラセボ12.7%(21例)対アプレミラスト35.1%(59例)で、デュークラバシチニブがプラセボとアプレミラストより有意に高かった。限界は1年間の試験期間と人種的多様性が小さいこと。閲覧 2026-11-05
  3. 3.Deucravacitinib versus placebo and apremilast in moderate to severe plaque psoriasis: Efficacy and safety results from the 52-week, randomized, double-blinded, phase 3 Program fOr Evaluation of TYK2 inhibitor psoriasis second trial(Journal of the American Academy of Dermatology・2023)PubMed(PMID 36115523)の抄録で確認した。POETYK PSO-2試験(52週の二重盲検第3相)で、デュークラバシチニブ6 mg 1日1回(511例)、プラセボ(255例)、アプレミラスト30 mg 1日2回(254例)に2対1対1で割り付け。16週のPASI 75はデュークラバシチニブ53.0%、プラセボ9.4%、アプレミラスト39.8%で、プラセボとアプレミラストに対して優越性が示された。限界は試験期間が1年であること。閲覧 2026-11-05
  4. 4.SOTYKTU (deucravacitinib) tablets, for oral use — Highlights of Prescribing Information(FDA(添付文書)・2026)DailyMed SPL APIで同じsetidのXML(有効日2026年6月30日)を取得し、本文全体を読んで確認した。適応は成人の中等症〜重症の局面型乾癬(全身療法または光線療法の対象)と成人の活動性乾癬性関節炎で、他の強力な免疫抑制薬との併用は推奨されない。用量は6 mgを1日1回経口、食事の有無を問わず、砕く・切る・噛むをしない。投与前に活動性・潜在性結核を評価し、活動性結核には投与せず、潜在性結核は先に治療する。重度の肝機能障害(Child-Pugh C)は推奨されず、軽度・中等度では調整不要。禁忌はデュークラバシチニブまたは添加物に対する過敏症の既往のみ。警告は過敏症(血管浮腫)、感染症、結核、悪性腫瘍(リンパ腫を含む)、横紋筋融解症とCPK上昇、臨床検査値の異常(トリグリセリドの定期的な評価、肝疾患が疑われる患者の肝酵素)、予防接種(生ワクチンを避ける)、JAK阻害に関連しうるリスクで、TYK2阻害がJAK阻害薬で観察された有害事象(関節リウマチでの死亡・主要心血管イベント・血栓症・悪性腫瘍の増加)と関連するかは不明と明記されている。閲覧 2026-11-05