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Drug Atlas · B7 Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬

レルカニジピン

lercanidipine

分類
Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬
商品名(EU)
Zanidip
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
B7: Ca++-channel blockers and other vasodilators18: Ischemic heart disease
承認適応
高血圧症
禁忌疾患
慢性心不全(未治療)肝硬変(重度の肝機能障害。英国の禁忌)
副作用
末梢性浮腫頭痛顔面紅潮動悸

🧠 全体像:レルカニジピンは、脂溶性が高く、の高いである。半減期は8〜10時間と短いが、細胞膜への分配が大きいので作用は24時間続き、1日1回でよい。と比べて足のむくみ()が少ないことが試験で示された。ただしCYP3A4で強く代謝される薬で、・・で血中濃度が跳ね上がるため、これらとの併用は禁忌である。日本のPMDAの電子添文検索でも、米国のopenFDAの添付文書検索でも、この成分の品目を確認できなかった(2026年11月6日時点)。英国の(SmPC)などで学ぶ薬である。

薬効群の中での位置づけ

薬 特徴 位置づけ
短時間作用型の一部で、の患者の心血管リスクの増加が示唆された 狭心症・高血圧
半減期が長く1日1回。が多い 日本・米国で広く使われる
が高い 高血圧
レルカニジピン 脂溶性が高く、細胞膜に分配。浮腫が少ない。CYP3A4の影響が大きい 英国などで使われる。日本・米国では品目を確認できなかった

の薬物療法のトピックのの節も参照する。

機序

flowchart TD
    A["レルカニジピン<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dihydropyridine calcium channel blocker'>ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬</span>)"] --> B["心筋・平滑筋への<br>カルシウムの流入を阻害"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>を直接弛緩<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='total peripheral resistance, TPR'>総末梢血管抵抗</span>が下がる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive effect'>降圧作用</span>"]
    A --> E["細胞膜への分配が大きい"]
    E --> F["血漿の半減期が短くても<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive effect'>降圧作用</span>が長く続く"]
    A --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular selectivity'>血管選択性</span>が高い"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='negative inotropic effect'>陰性変力作用</span>がない<br>血管拡張が緩徐で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reflex tachycardia'>反射性頻脈</span>は少ない"]

英国のSmPCは、レルカニジピンがので、心筋と平滑筋への膜を通るカルシウムの流入を阻害し、の直接の弛緩でを下げてすることを説明している。血漿中の半減期は短いが、膜へのが高いためは長く続き、が高いのでがない。血管拡張がゆっくり起こるので、急な低血圧やはまれである。は主に(S)体による1。

薬物動態

項目 内容
吸収 10〜20 mgので完全に吸収され、最高(10 mgで3.30 ng/mL、20 mgで7.66 ng/mL)は投与の約1.5〜3時間後1
が強く、食後の患者では約10%。空腹のでは約3分の1に下がる。の後(2時間以内)に服用すると経口の利用可能性が4倍に増えるので、食前に服用する
分布 血清蛋白質結合率は98%を超える
代謝・排泄 CYP3A4で広範に代謝され、尿・糞便に未変化体は出ない。主にになり、投与量の約50%が尿中に出る
半減期 は8〜10時間。治療効果は24時間続く

⭐ 食事の影響が大きく、でも吸収が増える。 食前(少なくとも15分前)に服用する。他のと同様、(ジュース)で全身への利用可能性が上がり、が強まる。

適応

  • 成人の軽症〜中等症の(英国)1。
  • 日本のPMDAの電子添文は確認できない(2026年11月6日時点)。

単剤で十分に管理できない人は、β遮断薬()・利尿薬()・ACE阻害薬(または)への併用でも使える。

用法・用量

  • 推奨量は10 mgを1日1回、食前少なくとも15分にする。個々の反応に応じて20 mgまで増やせる。
  • 増量は緩やかに行う。最大のが現れるのに約2週間かかる。は20〜30 mgで頭打ちになり、それ以上では副作用が増えるだけで効果は上がりにくい。
  • 高齢者:は不要とされるが、開始時は特に注意する。軽度〜中等度の腎・:開始に特別な注意が必要で、20 mgへの増量は慎重に行う。肝障害ではが強まりうるので、用量の調整を考える。
  • 小児:18歳までの安全性と有効性は確立していない1。

禁忌・注意

英国の禁忌は次のとおりである1。

禁忌(英国) 理由・補足
本剤またはへの過敏症
未治療の
、または1か月以内の心筋梗塞
重度の
重度の(糸球体ろ過量30 mL/分未満。透析を含む)
強いCYP3A4阻害薬(・・・・トロレアンドマイシン・など)との併用 との併用でのAUCが15倍、Cmaxが8倍に増えた
との併用 併用でレルカニジピンのが3倍になり、のAUCが21%増えた
(ジュース)との併用 代謝が阻害されて利用可能性が上がり、が強まる
  • (のない患者)、:注意して使う。
  • :短時間作用型のの一部で心血管リスクの増加が示唆されており、レルカニジピンは長時間作用型だが注意が必要。まれに痛や狭心症を起こし、既存の狭心症が悪化したり、心筋梗塞が起こったりすることがある。
  • :レルカニジピンで、の(トリグリセリド濃度の上昇による)が報告されている。感染性の腹膜炎と間違えて不要な入院や抗菌薬投与をしないよう、この関連を知っておく。中止後に消えやすい。
  • CYP3A4の(フェニトイン・・カルバマゼピン・リファンピシン):が下がりが弱まるので、血圧をより頻繁に測る。
  • アルコール:のの作用を強めるので避ける。
  • β遮断薬:との併用で、レルカニジピンのが50%下がった(肝血流の低下による)が、安全に併用できる。
  • CYP3A4の基質(・・・・):併用に注意する。

副作用

英国のSmPCによれば、最も多い副作用は・頭痛・・頻脈・である1。

頻度(英国) 内容
多い(1〜10%) 頭痛、頻脈・、、
少ない(0.1〜1%) めまい、低血圧、・悪心・上腹部痛、発疹・そう痒、筋肉痛、多尿、無力症・疲労
まれ 過敏症、傾眠・失神、狭心症、嘔吐・下痢、蕁麻疹、頻尿、胸痛
頻度不明(市販後) 、のした、、

💡 足のむくみは、より少ない。 閉経後の高血圧の女性92例の試験では、効果に差がなくても、4〜8週後の下肢の体積の増加が群で60.4±8.6 mL、レルカニジピン群で5.3±8.1 mLと、群で有意に大きく、浮腫の所見(33.3%対9.8%)や下肢の腫れの症状(63.9%対22%)も群で多かった2。男性22例のでも、血圧の低下は同程度なのに、下肢の体重増加はのほうが大きかった3。

まとめ

  • 脂溶性が高くの高い第3世代の。は8〜10時間だが作用は24時間続き、1日1回。
  • 10 mgを食前に1日1回、20 mgまで。の後では吸収が4倍になる。
  • 強いCYP3A4阻害薬・・は。未治療の心不全、・1か月以内の心筋梗塞、重度の肝・も禁忌(英国)。
  • よりが少ない。患者ではのに注意する。
  • 日本・米国では品目を確認できず、英国のSmPCなどで確認する薬である。

出典

  1. 1.Zanidip 10 mg tablets — Summary of Product Characteristics (SmPC)(Recordati Industria Chimica e Farmaceutica S.p.A.(electronic medicines compendium、英国)・2021)emcの最終更新2021年7月6日の英国SmPCで、適応が成人の軽症〜中等症の本態性高血圧症であること、用法が食前少なくとも15分に10 mgを1日1回で20 mgまで増量できること、禁忌が過敏症・左室流出路閉塞・未治療のうっ血性心不全・不安定狭心症または1か月以内の心筋梗塞・重度の肝機能障害・重度の腎機能障害(糸球体ろ過量30 mL/分未満。透析を含む)・強いCYP3A4阻害薬・シクロスポリン・グレープフルーツとの併用であること、ケトコナゾールとの併用でS体のAUCが15倍・Cmaxが8倍になること、絶対バイオアベイラビリティが約10%で高脂肪食の後では4倍になること、終末消失半減期が8〜10時間で作用は24時間続くこと、腹膜透析患者での混濁した排液、最も多い副作用が末梢性浮腫・頭痛・顔面紅潮・頻脈・動悸であることを確認した。閲覧 2026-11-06
  2. 2.Quantification of leg oedema in postmenopausal hypertensive patients treated with lercanidipine or amlodipine(Journal of Hypertension(Lund-Johansen P ら)・2003)抄録(PMID 12714876)で、閉経後の高血圧の女性92例にレルカニジピン10〜20 mg/日またはアムロジピン5〜10 mg/日を投与した無作為化試験で、降圧効果に有意差がない一方、下肢の体積の増加がアムロジピン群60.4±8.6 mL対レルカニジピン群5.3±8.1 mLと有意に大きく、浮腫の所見(33.3%対9.8%)と下肢の腫れの自覚症状(63.9%対22%)もアムロジピン群で多かったことを確認した。全文は読んでいない。閲覧 2026-11-06
  3. 3.Heterogeneous effect of calcium antagonists on leg oedema: a comparison of amlodipine versus lercanidipine in hypertensive patients(Journal of Hypertension(Pedrinelli R ら)・2003)抄録(PMID 14508205)で、未治療の軽症〜中等症の高血圧の男性22例を対象にしたアムロジピン10 mgとレルカニジピン20 mgの単盲検クロスオーバー試験で、血圧の低下が同程度でも、下肢の体重の増加がアムロジピンのほうがレルカニジピンより有意に大きかったことを確認した。全文は読んでいない。閲覧 2026-11-06