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Drug Atlas · B9 Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬

ペマフィブラート

pemafibrate

分類
Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬
商品名(日本)
パルモディア
科目
Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
承認適応
脂質異常症
禁忌疾患
肝硬変胆石症
副作用
筋肉痛黄疸
監視検査値
クレアチンキナーゼ
相互作用
シクロスポリンA

🧠 全体像:ペマは、など従来のと同じ活性化によるTG低下という土台を共有しながら、への選択性・結合様式を精密に設計し直した「SPPARMα(選択的 モジュレーター)」という新しい世代の薬である。理論上の魅力(γ・δへの交叉活性がほぼ無く、より強力かつ選択的にTGを下げる)にもかかわらず、PROMINENTではTGを大きく下げても心血管イベントは減らなかった——「TGを下げれば心血管イベントが減る」という仮説そのものに疑問を投げかけた薬でもある。もう一つの核心は、以上にOATP1B1・CYP2C8/2C9/3Aの多経路を介してとの相互作用が強いことで、Cmax・ともに10倍前後まで跳ね上がるとなっている。

薬効群の中での位置づけ

分類 代表薬 標的・機序 主な使いどころ
①肝でのコレステロール合成阻害(スタチン) ・・ピタバスタチン 還元酵素阻害 低下の第一選択
⑤作動(TG低下が主体・) 活性化→発現↑ ・膵炎予防
⑤′SPPARMα(選択的モジュレーター) ペマ への選択性を高めた次世代 。心血管イベント抑制効果は証明されていない

⭐ 「TGを大きく下げたのに心血管イベントは減らなかった」——PROMINENT試験が全体に投げかけた問い。 2型糖尿病で・低の患者10,497例で、ペマは比でTGを26.2%低下させたにもかかわらず、心血管複合イベントは1.03(95% CI 0.91-1.15)で有意差がなく、むしろ腎有害事象・が増加した1。

機序

flowchart TD
    A["ペマ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrate'>フィブラート</span>を内服"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear receptor'>核内受容体</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='peroxisome proliferator-activated receptor alpha'>PPARα</span>に高い選択性で結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinoid X receptor (RXR)'>レチノイドX受容体</span>(RXR)と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterodimer'>ヘテロ二量体</span>を形成"]
    C --> D["PPRE配列に結合し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='target gene'>標的遺伝子</span>の転写を変化させる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipoprotein lipase (LPL)'>リポ蛋白リパーゼ</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipoprotein lipase'>LPL</span>)の発現↑・ApoC-III↓"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='very-low-density lipoprotein'>VLDL</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chylomicron'>カイロミクロン</span>中のTGが加水分解される"]
    F --> G["血中TG↓・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='very-low-density lipoprotein'>VLDL</span>↓・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='residue'>残渣</span>コレステロール↓"]
    B -.->|"OATP1B1・CYP2C8/2C9/3Aで肝に取り込まれ代謝される"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciclosporin'>シクロスポリンA</span>がこれらを阻害すると<br>血中濃度が10倍前後まで上昇"]

💡 「選択的」の意味は、だけを狙って他のに触らないという意味であって、代謝経路が単純という意味ではない。 ペマはOATP1B1(取込み)とCYP2C8・CYP2C9・CYP3A(代謝)の複数経路に依存するため、これらすべてを同時に阻害するとの相互作用はより強く出る2。

適応

領域 使いどころ
「(家族性を含む)」——のうちTG高値が主体の病型2

⚠️ 心血管イベント抑制のエビデンスは無い。 2型糖尿病・・低の患者を対象としたPROMINENT試験では、有意なTG低下(-26.2%)にもかかわらずは減らなかった(1.03)1。

用法・用量

経口・1回0.1mgを1日2回(朝夕)から開始し、最大1回0.2mgを1日2回まで2。 30 mL/min/1.73m²未満では低用量から開始・減量または延長が必要で、のリスクが上がる2。分類A肝硬変などでは減量を検討し、増量は慎重に判断する2。実際の用量は腎機能・肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:過敏症、重篤な肝障害・分類B/Cの肝硬変または胆道閉塞、、妊婦または妊娠している可能性のある女性、投与中()、リファンピシン投与中()23
  • ⚠️ との併用は禁忌である。 OATP1B1・CYP2C8・CYP2C9・CYP3Aを阻害され、がCmax約8.96倍・約13.99倍に達する2。リファンピシンも同様にCmax約9.43倍・約10.90倍まで上昇するためである2
  • 30未満ではリスクが上がり、還元酵素阻害薬との併用は慎重に判断する2
  • 投与中は定期的に肝機能検査を行う2

副作用

頻度 内容
注意 上昇、
重篤・まれ (筋肉痛・脱力感・上昇・血中/上昇)、・黄疸(いずれも頻度不明)2
安全性シグナル(PROMINENT試験) 腎有害事象・の増加。一方での発生は減少した1

まとめ

  • ()と同じ作動によるTG低下薬だが、への選択性を高めたSPPARMαという次世代薬。
  • PROMINENT試験ではTGを26.2%下げたにもかかわらず心血管イベントは減らず(1.03)、腎有害事象・が増加した——「TGを下げれば心血管イベントが減る」仮説に疑問を投げかけた。
  • は禁忌。 OATP1B1・CYP2C8/2C9/3Aの多経路阻害によりCmax約9倍・約14倍まで血中濃度が上昇する——より強い相互作用。リファンピシンも同様に。
  • 30未満は低用量・減量が必要でリスクが上がる。重篤な肝障害・・妊娠中は禁忌。

出典

  1. 1.Triglyceride Lowering with Pemafibrate to Reduce Cardiovascular Risk(New England Journal of Medicine・2022)抄録を取得して確認した(Das Pradhan Aほか、N Engl J Med 2022 Nov 24;387(21):1923-1934。DOI 10.1056/NEJMoa2210645 をCrossrefで題名・巻号頁まで照合した)。2型糖尿病で空腹時トリグリセリド200〜499 mg/dL・HDLコレステロール40 mg/dL以下の患者10,497例(66.9%に既往心血管疾患あり、基礎値中央値:空腹時TG 271 mg/dL・HDL-C 33 mg/dL・LDL-C 78 mg/dL)を、ペマフィブラート0.2mg1日2回またはプラセボに無作為割り付けしたこと、4か月時点でプラセボ比でトリグリセリド-26.2%・VLDL-25.8%・残渣コレステロール-25.6%・アポリポ蛋白C-III -27.6%の低下を示したこと、主要評価項目(心筋梗塞・脳卒中・冠動脈血行再建・心血管死の複合)の発生がペマフィブラート群572件・プラセボ群560件でハザード比1.03(95% CI 0.91-1.15)と有意差がなかったこと、腎有害事象と静脈血栓塞栓症の発生増加、非アルコール性脂肪肝疾患の発生減少が安全性シグナルとして認められたことを確認した。閲覧 2026-09-22
  2. 2.パルモディア錠0.1mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(興和)・2024)電子添文(2024年8月改訂・第2版)を取得して確認した。効能又は効果が「高脂血症(家族性を含む)」であること。用法及び用量は成人にペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与し、最大は1回0.2mgを1日2回までであること。禁忌が、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、重篤な肝障害・Child-Pugh分類B又はCの肝硬変のある患者あるいは胆道閉塞のある患者、胆石のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性、シクロスポリン投与中の患者、リファンピシン投与中の患者であること。シクロスポリンとの併用禁忌の理由が「併用により本剤の血漿中濃度が上昇」することで、Cmax約8.96倍・AUC約13.99倍に達すること(リファンピシンはCmax約9.43倍・AUC約10.90倍)。eGFRが30mL/min/1.73m²未満では低用量から開始・減量・投与間隔延長が必要で最大用量は1日0.2mgまでであること、eGFR 30未満では横紋筋融解症リスクがあり腎機能異常患者とHMG-CoA還元酵素阻害薬併用時は慎重に判断すること、投与中は定期的に肝機能検査を行うこと、Child-Pugh分類A肝硬変等では減量を検討し増量は慎重判断が必要であること、重大な副作用として横紋筋融解症(筋肉痛・脱力感・CK上昇・血中/尿中ミオグロビン上昇を特徴とする)、肝機能障害・黄疸(いずれも頻度不明)が挙げられていることを確認した。閲覧 2026-09-16
  3. 3.ネオーラル内用液10%/ネオーラル10mgカプセル/ネオーラル25mgカプセル/ネオーラル50mgカプセル 電子添文(医薬品医療機器総合機構(ノバルティスファーマ)・2026)電子添文の全文(2026年5月改訂・第4版、YJコード 3999004M3021ほか)を取得して確認した。シクロスポリンA(ネオーラル)の禁忌4項目のうち、タクロリムス(外用剤を除く)・ピタバスタチン・ロスバスタチン・ボセンタン・アリスキレン・ペマフィブラートを投与中の患者が併用禁忌に挙がっていること。いずれも相手薬の血中濃度が上昇して副作用が増強する関係にあること。閲覧 2026-09-14