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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬

パモ酸ピランテル

pyrantel pamoate

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬
商品名(日本)
コンバントリン
科目
Pharmacology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs
承認適応
腸管線虫症
標的微生物
Ascaris lumbricoidesAncylostoma duodenaleNecator americanusEnterobius vermicularis
副作用
頭痛腹痛悪心嘔吐めまい
影響検査値
アミノトランスフェラーゼ

🧠 全体像:は、線虫ののを刺激して虫体を麻痺させるで、腸管の中の成虫だけに効く。ほとんど吸収されず(は1〜3%)、副作用が少なく、1回の内服で済むうえ下剤もいらない。日本では回虫・鉤虫・・が適応で、の第1選択(治療効果は90%以上)、で保険適用がある唯一の薬である。一方で、幼虫には効かないためは2週間後の再投与が必須で、には単回では効きにくく、鉤虫でも世界標準のより単回の治癒率は低い、という限界を一緒に覚える12。

薬効群の中での位置づけ

のは、虫に何をするかで分かれる。日本薬局方の名称はピランテルパモ酸塩で、文献によって「」「ピランテルパモ酸塩」と表記が揺れるが、同じ薬である。

系統 代表薬 作用 国内の位置づけ
ACh受容体作動薬 、 線虫の筋を持続的に刺激して麻痺させる ピランテルが回虫・鉤虫・・で保険適用
() 、 に結合して虫体の糖取り込みを妨げる には有効だが、国内では多くが保険適用外

⭐ 国内でピランテルが前に出るのは、保険適用の範囲と使いやすさによる。国際標準(の第一選択は)とは必ずしも一致しない点に注意する2。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrantel pamoate, PAM'>パモ酸ピランテル</span>を内服"] --> B["腸管内で線虫のL型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nicotinic'>ニコチン性</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetylcholine receptor'>アセチルコリン受容体</span>に作用"]
    B --> C["虫体の筋が持続的に刺激され<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuromuscular transmission'>神経筋伝達</span>が遮断される"]
    C --> D["虫体が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='motor paralysis'>運動麻痺</span>を起こす"]
    D --> E["腸管にとどまれず<br>便とともに排出される"]
    F["幼虫"] -.->|"作用しない"| G["残る → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='pinworm (Enterobius vermicularis)'>蟯虫</span>は2週後に再投与"]

ピランテルとは、線虫のL型を刺激するという同じ機序で働く3。添付文書も、効果は虫体の神経・筋伝達を遮断してを起こすことによると記載する。標的は虫の受容体である。

薬物動態

項目 特徴・数値
吸収 ほとんど吸収されない。にして3時間後の血中に検出されたは0.2〜1.1 μg/mLで、その大部分は代謝物と考えられ、5時間以内にほぼ消失した(外国人データ)
排泄 糞中が大部分(60〜65%、1例では約93%)、尿中は1〜3%。多くは48時間以内

吸収されにくいことは、標的が腸管内の成虫であることと整合する。は成虫に有効で幼虫には無効なため、では再投与が要る12。

適応

国内の効能は「回虫、鉤虫、、の駆除」である1。

寄生虫 国内の 実地での位置づけ
90.8%(177/195) 単回では幼虫に効かず、2週間後に再投与
回虫 93.7%(252/269) 第1選択。治療効果は90%以上
(Ancylostoma duodenale) 97.4%(37/38) 国内で保険適用がある唯一の薬
(Necator americanus) 78.7%(207/263) 同上。単回の効果は限られる
93.3%(83/89) 国内の効能に挙がる線虫(本ノートの対象微生物には含めない)

単回投与の国際比較

単回投与のを統合した解析では、の治癒率は次のとおりだった4。

寄生虫 治癒率(95%信頼区間) 補足
回虫 92.6%(85.6〜96.3) 4剤とも高い
鉤虫 49.8%(29.5〜70.1) 良好だったのは(79.5%)だけ
20.2%(7.3〜44.7) 単回ではどの薬も低い

💡 国内のは添付文書に載る古い国内試験(主に1970年代)の値で、この解析の治癒率とは試験の設計も時代も違うので、数字を直接並べて比べない。

用法・用量

体重1 kgあたりピランテルとして10 mgを1回する。食事の影響を受けず、下剤は不要である1。

体重 錠100 mg ドライシロップ100 mg(小児)
10 kg — 1包
20 kg 2錠 2包
30 kg 3錠 3包
40 kg 4錠 4包
50 kg以上 5錠 5包
  • は、単回投与で終わらせず、2週間後に同量をもう一度投与する。は成虫に有効で幼虫に無効なため、初回治療時点の幼虫が成虫になる2週間後を狙う。同居者を一斉に検査・治療し、手指や爪、下着、寝具を清潔に保つ2。ピランテルで再発を繰り返す例には、を試みる。
  • は、虫卵を確認した例で治療後1か月にを行って効果を判定する。も約1か月後ので虫卵の消失を確かめ、貧血があればを補う。米国CDCはに3日間の投与を推奨している。
  • 米国の一般用医薬品の表示では、ピランテル塩基として11 mg/kg(最大1 g)を1回投与する。国内の10 mg/kgとは数値が違う5。

禁忌・注意

禁忌

禁忌 理由
本剤の成分に対する過敏症の既往 —
ピペラジン系(ピペラジン物)を投与中 両剤の作用が拮抗し、効果が弱まる()1

注意

  • 妊婦:国内は有益性が危険性を上回る場合にのみ投与する。日本寄生虫学会の手引きは、妊婦への安全性が確立していないと述べる2。
  • 小児:国内の電子添文では、、新生児、乳児、2歳未満の幼児を対象としたは行われていない。手引きも2歳未満は慎重投与とする。米国の表示でも、2歳未満または25ポンド未満はの指示がなければ使わない。
  • :少数例に一過性の軽微なAST上昇が報告されている。米国の表示は、肝疾患がある場合は使用前にに相談するとしている。
  • 高齢者:生理機能が低下していることが多いので、減量するなど注意する。
  • では、薬だけでなく家族全員の同時治療と衛生指導がなければでする。

副作用

副作用は少なく、手引きも「ほとんど認めない」とする。

頻度 症状・所見1
1%以上 頭痛、腹痛、悪心・嘔吐
0.1〜1%未満 めまい、下痢、、倦怠感
0.1%未満 発疹
頻度不明 、不眠、AST上昇、そう痒、じんま疹、、多汗

まとめ

は、線虫のを刺激して成虫を麻痺させる、吸収されにくい安全性の高いである。体重1 kgあたり10 mgを1服し、下剤はいらない。日本ではの第1選択(治療効果90%以上)で、で保険適用がある唯一の薬だが、鉤虫には単回の治癒率が低め、には単回ではほぼ効かない。幼虫・卵に効かないのでは2週間後に再投与し、家族を同時に治療する。禁忌はピペラジン系の投与中(作用が拮抗)と過敏症で、妊婦と2歳未満は安全性が確立していないため慎重に判断する。

出典

  1. 1.コンバントリン錠100mg 電子添文(コンバントリンドライシロップ100mg 電子添文を併せて確認)(佐藤製薬(日本の添付文書)・2023)2023年8月改訂(第1版)の電子添文(錠・ドライシロップとも同内容)で、効能が回虫・鉤虫・蟯虫・東洋毛様線虫の駆除であること、用法が体重1 kgあたりピランテルとして10 mgを1回経口投与(錠は20 kgで2錠、30 kgで3錠、40 kgで4錠、50 kg以上で5錠)で下剤を使用する必要がないこと、禁忌が成分への過敏症の既往とピペラジン系駆虫薬(ピペラジンリン酸塩水和物)投与中(駆虫作用が拮抗)であること、妊婦は有益性が危険性を上回る場合にのみ・低出生体重児、新生児、乳児、2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は未実施であること、副作用が頭痛・腹痛・悪心・嘔吐(1%以上)、めまい・下痢・食欲不振・倦怠感(0.1〜1%未満)などであること、国内臨床試験の陰転率が蟯虫症90.8%・回虫症93.7%・ズビニ鉤虫症97.4%・アメリカ鉤虫症78.7%・東洋毛様線虫症93.3%であること、作用機序が虫体の神経・筋伝達の遮断による運動麻痺と考えられていること、健康成人への投与で糞中排泄が大部分で尿中排泄は1〜3%であることを確認した閲覧 2026-11-01
  2. 2.寄生虫症薬物治療の手引き ― 2020 ― 改訂第10.2版(日本寄生虫学会/日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業・2020)本文を閲覧。回虫症ではピランテルパモ酸塩が第1選択薬で90%以上の治療効果があり10 mg/kgを単回服用、食事に関係なく服用でき下剤の併用も不要で、メベンダゾールとアルベンダゾールは有効だが保険適用外、妊婦への安全性は確立されていないこと、鉤虫症では世界的にはアルベンダゾールが第一選択だが日本で保険適用があるのはピランテルパモ酸塩のみで、10 mg/kgを単回投与し約1か月後の糞便検査で虫卵の消失を確認すること、2歳未満の小児には慎重投与で、米国CDCは3日間投与を推奨していること、蟯虫症では駆虫薬が成虫に有効で幼虫に無効なため10 mg/kgを単回服用して2週間後に再度服用し、妊婦あるいは2歳未満の乳幼児への安全性は確立しておらず、再発を繰り返すときはメベンダゾールを試みることを確認した閲覧 2026-11-01
  3. 3.The new anthelmintic tribendimidine is an L-type (levamisole and pyrantel) nicotinic acetylcholine receptor agonist(PLOS Neglected Tropical Diseases・2009)線虫C. elegansの遺伝学的解析で、トリベンジミジンに耐性の変異体がレバミゾールとピランテルにも耐性であることから、レバミゾールとピランテルが線虫のL型ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)作動薬として同じ機序で働くことを確認した(抄録)閲覧 2026-11-01
  4. 4.Efficacy of recommended drugs against soil transmitted helminths: systematic review and network meta-analysis(BMJ・2017)全文(PMC5611648)の表で、パモ酸ピランテルの単回投与による治癒率が回虫92.6%(95%信頼区間85.6〜96.3)、鉤虫49.8%(29.5〜70.1)、鞭虫20.2%(7.3〜44.7)であり、鉤虫で良好な有効性を示したのはアルベンダゾール(79.5%)のみであったこと、虫卵減少率は回虫94.3%、鉤虫71.9%、鞭虫47.5%であったことを確認した閲覧 2026-11-01
  5. 5.Pinworm Medicine (pyrantel pamoate) chewable tablet — Drug Facts(DailyMed (NLM) / Bionpharma Inc.・2026)米国の一般用医薬品の表示で、適応が蟯虫の治療であること、用量がピランテル塩基として11 mg/kg(体重1ポンドあたり5 mg)を1回、最大1 g(4錠)であること、2歳未満または25ポンド未満は医師の指示がない限り使用しないこと、妊娠中または肝疾患がある場合は使用前に医師に相談すること、食事に関係なく服用でき下剤は不要で、家族全員を同時に治療すること、副作用に腹痛、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、めまいがあることを確認した閲覧 2026-11-01