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Lab values · Published

脳波検査

Electroencephalography

別名
EEGelectroencephalography
臓器系
神経
科目
Medical PhysiologyNeurology
トピック
生理学 8.11:脳波(EEG);睡眠現象。学習と記憶。神経内科 G2-23:臨床神経生理検査:EEG・EMG・ENG・TMS・誘発電位
関連疾患
Bickerstaff脳幹脳炎Unverricht-Lundborg病アンジェルマン症候群若年ミオクロニーてんかん心因性非てんかん性発作神経セロイドリポフスチン症進行性ミオクローヌスてんかん睡眠関連過運動てんかん

🧠 全体像:は、頭皮電極で大脳皮質の同期した電気活動(のの)を捉える生理である1。「異常があること」と「てんかんであること」は同じではない——は焦点の存在を支持する所見にすぎず、臨床発作を伴わなければてんかんの確定診断にはならない。逆に1回の通常が正常でも、てんかんを否定できない。このノートは一般の(覚醒時中心の通常記録・法・判読の基本)を扱い、睡眠段階そのものを条件として使う検査はに委ねる。

何を測っているか/検査原理

頭皮上に電位の偏位を生じさせるには、約10cm²の皮質が同期して放電する必要がある1。記録しているのは個々のニューロンの活動電位そのものではなく、大脳皮質(第3層・第5層)の興奮性・のである1。電極配置は国際10-20法(頭部の解剖学的から10%・20%間隔で配置)で最低21電極を用いる1。判読では単一のに頼らず、referential・bipolar・Laplacianなど複数ので異常放電の局在を確認する1。

実施法と賦活法

法 目的 注意
てんかん性異常(特に)を誘発 脳卒中既往・心筋梗塞既往・移植手術後・()・喘息・・などで
光刺激 ・光誘発性を誘発 —
・ 後頭部優位リズムの反応性(波の抑制)を確認 —
睡眠記録・睡眠遮断 を誘発。睡眠中の記録はどのEEG検査でも重要な構成要素 睡眠段階そのものを定量する場合はへ

(1による。)

判定指標:周波数帯と波形

正常成人では8歳以降、後頭部優位リズムが8.5Hz以上で認められ、前方でより速く後方でより遅い周波数分布を示す1。

周波数帯 範囲 主な出現状況
4Hz未満 深睡眠、乳幼児の正常背景、覚醒時は病的(・)
シータ波 4〜7Hz 傾眠・軽睡眠、小児の正常背景
波 8〜12Hz 覚醒時の後頭部優位リズム(成人で8.5Hz以上)
ベータ波 13〜30Hz 覚醒時の優位活動、鎮静薬の影響を受けやすい

1

(IED)は、で(20〜70ミリ秒)と鋭波(70〜200ミリ秒)に分けられ、いずれも後発の緩徐波を伴うを形成しうる。間欠期を挟まず連続する2発以上の(総0.5秒未満)は多と呼ぶ2。

結果の読み方

パターン 意味
(デルタ・シータ優位) その部位の限局した大脳機能障害を示唆する
びまん性の大脳機能障害(脳症)で最も高頻度にみられる所見
・鋭波・() てんかんの焦点を支持する所見。臨床発作を伴って初めて診断が確定する2
三相波 で高頻度。歴史的には肝性脳症と結びつけられてきたが実際には腎性脳症の方が多い、非特異的な波形。非反応性パターンは死亡率上昇と関連する3
burst-suppression 重度の脳機能抑制(重症脳症、深麻酔、下など)

⚠️ 三相波を肝性脳症に特異的と考えない。 歴史的には肝性脳症と結びつけられてきたが、原文は「実際には腎性の方が肝性より多い」と明記しており、腎不全・電解質異常、薬剤性(・・など)、・・・といったでも出現しうる、非特異的な波形である3。との鑑別が難しい場合は、への反応性が手掛かりになる3。

⚠️ 実施上・判読上の注意

  • 1回の通常(正常)はてんかんを除外しない。 初発発作の小児における初回通常でのIED検出率は18〜56%、成人では12〜50%にとどまる2。検出感度は記録の回数・長さに依存して段階的に上がる——通常を繰り返す、または長時間・アンビュラトリー記録に切り替えることで検出率が上がることが知られている。
  • 良性変異波をとしない。 判読者は良性変異波・を学習しておく必要があり、これを怠ると偽陽性につながる1。傾眠・軽睡眠期に出やすい良性変異波の詳細はで扱う。
  • 判読は専門訓練を受けた者が行う。 臨床神経生理学の訓練を受けた神経内科医が判読すべきとされ、電極は5kΩ以下に保つ1。
  • には禁忌がある。 脳卒中既往・心筋梗塞既往・移植手術後・()・喘息・・ではとなる1。

⚠️ のが正常でも、てんかんは否定できない。 逆に、発作中のに変化が無いことを示せるのがモニタリングで、の確定診断はこれに依る。⭐ 「発作を捉えたうえでに変化が無い」ことが陽性所見という、通常とは逆の使い方をする検査である。

睡眠脳波との使い分け・次に進むべき検査

通常のは覚醒時を中心とした記録で、てんかんの分類・局在診断や意識障害・脳症の評価に使う1。これに対しは、睡眠という状態そのものを大脳皮質活動を読むための条件として使う検査で、では捉えられない焦点性異常の精査や、睡眠中の放電量そのものの定量(小児のてんかん性脳症など)に用いる。呼吸や睡眠段階の判定が必要なら(PSG)に進み、末梢神経・筋の評価が必要なら・へ進む。

まとめ

  • は頭皮電極で大脳皮質の同期したのを記録する生理。約10cm²の皮質の同期放電が必要。
  • 法(・光刺激・睡眠記録・睡眠遮断)で異常を誘発する。には既往などのがある。
  • 周波数帯はデルタ(4Hz未満)・シータ(4〜7Hz)・(8〜12Hz、成人の後頭部優位リズム)・ベータ(13〜30Hz)に分類する。
  • (20〜70ms・鋭波70〜200ms・)は焦点を支持するが、臨床発作を伴って初めててんかんの診断が確定する。
  • 三相波はで高頻度だが非特異的。歴史的には肝性脳症と結びつけられてきたが、実際には腎性脳症の方が多い。
  • 1回の正常はてんかんを除外しない。良性変異波の・判読者の専門性・電極に注意する。
  • 睡眠段階そのものを条件・対象とする検査は、呼吸・睡眠段階の判定が要る場合はPSGに進む。

出典

  1. 1.Electroencephalogram(StatPearls(Rayi A, Murr NI)・2022)脳波検査が頭皮電極で大脳皮質錐体細胞(第3層・第5層)の興奮性・抑制性シナプス後電位の総和を記録すること、頭皮上に偏位を生じさせるには約10cm²の皮質が同期して放電する必要があること、国際10-20法で最低21電極を用いること、正常成人では8歳以降後頭部優位リズムが**8.5Hzで**認められ(原文:"The normal adult resting posterior dominant rhythm of 8.5 Hz in the posterior head regions is noted after 8 years")前方でより速く後方でより遅い周波数分布を示すこと、周波数帯がデルタ波(4Hz未満)・シータ波(4〜7Hz)・アルファ波(8〜12Hz)・ベータ波(13〜30Hz)に分類されること、賦活法として過呼吸・光刺激・開眼閉眼・睡眠記録・睡眠遮断が用いられること、過呼吸は脳卒中既往・心筋梗塞既往・移植手術後・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)・喘息・もやもや病・鎌状赤血球貧血などで相対禁忌であること、適応にてんかんの分類・局在診断、てんかん重積状態の管理、意識障害(中毒性・代謝性脳症を含む)の評価、脳死判定の補助、心停止後の予後評価、くも膜下出血後の遅発性脳虚血の検出、麻酔深度モニタリングが含まれること、判読には複数モンタージュ(referential・bipolar・Laplacian)を用い良性変異波・アーチファクトを学習して偽陽性を避ける必要があること、判読は臨床神経生理学の専門訓練を受けた神経内科医が行うべきであること、電極インピーダンスを5kΩ以下に保つ必要があることを確認した。2022年10月3日最終更新。閲覧 2026-09-02
  2. 2.EEG Abnormal Waveforms(StatPearls / NCBI Bookshelf・2025)棘波(spike)の持続時間が20〜70ミリ秒、鋭波(sharp wave)が70〜200ミリ秒であること、棘徐波複合(spike-and-wave complex)は棘波に続く緩徐波成分がGABA-B受容体を介した電流で形成されること、多棘波(polyspike)は間欠期を挟まず連続する2発以上の棘波で総持続時間0.5秒未満と定義されること、これらが発作間欠期てんかん性放電(IED)としててんかんの診断・焦点局在化に用いられること、初発発作の小児における初回通常脳波でのIED検出率が18〜56%、成人では12〜50%であることを確認した。2025年4月6日最終更新。閲覧 2026-09-02
  3. 3.EEG Triphasic Waves(StatPearls / NCBI Bookshelf・2023)三相波が総持続時間300〜600ミリ秒・出現速度0.5〜2Hzの非特異的高振幅鋭形波で、第1相が陰性、振幅70µV以上となる第2相が陽性最大振幅、第3相が緩徐な陰性偏位という3相構成をとり両前頭中央優位の分布を示すこと、歴史的には肝性脳症と結びつけられてきたがどの代謝性脳症でも出現しうる非特異的な波形であり原文は"in fact, more common with renal than hepatic conditions"と明記していること(腎性脳症・電解質異常・セフェピムやプレガバリン等の薬剤性を含む)、脳膿瘍・脳梗塞・頭部外傷・Creutzfeldt-Jakob病などの構造的異常でも報告されること、非反応性の三相波パターンが死亡率上昇と関連すること、てんかん性発作との鑑別には非鎮静性抗けいれん薬への反応性が手掛かりになること、治療は三相波そのものではなく原因疾患に向けることを確認した。2023年2月1日最終更新。閲覧 2026-09-02