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Lab values · Published

交感神経皮膚反応

Sympathetic skin response

別名
SSR皮膚交感神経反応sympathetic skin response
臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G2-23:臨床神経生理検査:EEG・EMG・ENG・TMS・誘発電位
関連疾患
アミロイドーシスギラン・バレー症候群外傷性脊椎・脊髄損傷糖尿病

🧠 全体像:SSRは「反射が出るか出ないか」を見る検査であり、出た場合の振幅の大小を診断に使う検査ではない。の入力から節前・節後の交感神経性発汗線維、汗腺までを一括して通すため、どの区間が障害されているかは分からない——これがQSARTとの決定的な違いであり、SSRを「簡便だが粗い」検査にしている理由でもある。

何を測っているか

への電気刺激、深吸気、大きな音などのは、で統合されたのちを下行し、節前交感からを経てに至り、手掌・足底の汗腺を活動させる。この汗腺活動に伴うを、手掌・足底に置いた(活性)と前腕または下腿脛部(不関)の電極で記録したものがSSRである1

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arousal stimulus'>覚醒刺激</span><br>電気刺激・深吸気・大きな音など"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior hypothalamus'>視床下部後部</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brainstem reticular formation'>脳幹網様体</span>で統合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral funiculus'>脊髄外側索</span>を下行"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preganglionic fiber'>節前線維</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic ganglion'>交感神経節</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic C fiber'>節後C線維</span>"]
    D --> E["手掌・足底の汗腺が活動"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surface electrode'>表面電極</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='skin potential change'>皮膚電位変化</span>を記録"]

特別な発汗測定装置を要さず、神経学 G2-23:臨床神経生理検査:EEG・EMG・ENG・TMS・で扱うと同じで記録できる。この手軽さが、専用の装置を要するQSARTとの運用上の最大の違いである。

基準値と正常反応

は記録部位でほぼ決まり、刺激部位にはあまり左右されない。手掌記録でおよそ1.3〜1.5秒、足底記録でおよそ1.9〜2.1秒が目安である1。判定には、少なくとも5回の記録の中から最短と最大振幅を採用する。左右同時記録が推奨される。

所見の読み方

基本は「出るか出ないか」を見る検査である。消失を異常所見として読む。 振幅・も測定はするが、振幅は皮膚温・時刻・情動・左右差・年齢など多くの要因で大きく変動し、電気刺激で誘発した振幅のは手掌で約42%、足底で約35%に達する1。そのため多くの検者は、振幅の異常ではなく反射の消失のみを確定的な異常所見として扱う1

反復刺激では反射がすぐに慣れて振幅が減衰するため、刺激は不規則な間隔(おおむね1回/分程度)で与え、刺激様式を変えるときは5分以上あける2。1回反応が出ないだけで「消失」と判定せず、部位や刺激様式を変えて複数回試みる1

SSRのは中枢・を一括して通るため、かをSSR単独では区別できない。 この一点がQSARTとの使い分けを決める。

SSR QSART
測定原理 に対する全体の アセチルコリンによるで隣接部位の発汗量を定量
評価する経路 中枢・を含む全体 のみを選択的に評価
判定の性質 定性的(出るか出ないか) 定量的(発汗量として数値化)
節前・節後の鑑別 単独ではできない QSARTの組み合わせで可能
必要な機器 通常の 専用の装置
位置づけ 簡便な 局在診断・重症度評価向けの精密検査

⚠️ 測定上の注意

  • 加齢で消失しうる。 健常者でも60歳以上ではおよそ半数で下肢のSSRが誘発できない1。高齢者では足底のSSR消失だけを単独で異常と判定しない。
  • 皮膚温が結果を左右する。皮膚温が低いとは延長し、振幅は低下する1
  • はSSRを減弱・消失させる。後も消失する1
  • 角化・浮腫・瘢痕など記録部位の皮膚条件が悪いと判定できない。
  • 検査環境の緊張・物音は自発的な皮膚電位変動を誘発し、評価対象の反応に混入する。室内を静かに保ち、被検者を安静にさせてから記録する。

経時変化とモニタリング

振幅の再現性が乏しいため、な数値の推移を追う検査には向かない。 見るべきは反応の消失の有無であり、以前は出ていた反応が消えたかどうかを追跡する。

臨床的には、糖尿病で足底のSSRが消失する例が多く、QSARTと組み合わせると早期のの検出に有用である1による神経障害やでもSSR異常がみられる1など変性疾患のでも高頻度に異常を示す一方、SSRの異常だけでパーキンソン病を鑑別することはできない。では、上肢・下肢とも消失していれば病変がにあること、上肢のみ反応が保たれていれば病変がそれよりにあることを示唆し、脊椎・のレベル評価に使われる1でもの評価に用いられるが、左右差の所見は一貫しないことが多い1

まとめ

  • SSRはに対する全体のを、通常ので記録する検査である。
  • 判定は振幅ではなく消失の有無が基本。振幅はが大きく単独では異常判定に使わない。反復刺激による慣れを避けるため刺激間隔をあける。
  • が節前・を一括して通るため、局在診断(節前か節後か)はSSR単独ではできない。局在診断が必要ならQSARTを組み合わせる。
  • 健常高齢者でも下肢のSSRが消失しうるため、高齢者の足底消失だけで異常と判定しない。皮膚温・・皮膚の局所条件も結果を左右する。
  • 定量性・再現性に乏しく経過観察には向かないが、簡便さから、変性疾患ののレベル評価、などのスクリーニングに広く使われる。

出典

  1. 1.Sympathetic Skin Response (Chapter 7.1, Recommendations for the Practice of Clinical Neurophysiology)(International Federation of Clinical Neurophysiology(Claus D, Schondorf R)・1999)SSRの標準的な記録法(手掌・足底の表面電極、正中神経・脛骨神経への電気刺激や深吸気・音刺激)、正常潜時が手掌1.3〜1.5秒・足底1.9〜2.1秒であること、少なくとも5回の記録の中から最短潜時・最大振幅を採用すること、上下肢の左右同時記録が推奨されること、刺激を不規則な間隔(約1回/分)にして慣れを避けること、判定は振幅より消失の有無を重視し多くの検者が消失のみを確定的異常とすること、電気刺激で誘発した振幅の日内変動が手掌42%・足底35%と大きいこと、60歳以上の健常者の約半数で下肢のSSRが誘発できないこと、皮膚温低下で潜時延長・振幅低下すること、抗コリン薬や交感神経切除でSSRが消失すること、糖尿病性ニューロパチー・Guillain-Barré症候群・多系統萎縮症・尿毒症性ニューロパチー・脊髄損傷・反射性交感神経性ジストロフィー(複合性局所疼痛症候群の旧称)での臨床的意義と限界を確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.The effect of stimulation technique on sympathetic skin responses in healthy subjects(Clinical Autonomic Research(Chroni E, Argyriou AA, Polychronopoulos P, Sirrou V)・2006)慣れを避けるため電気刺激は不規則な間隔(30〜60秒)で与え、異なる刺激様式間は5分以上あけること、振幅は温度・時刻・情動など複数の要因で変動しやすく解釈が難しいことを確認した閲覧 2026-08-03