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Microbe Atlas · 真菌

Sporothrix schenckii

分類
二形性真菌 / Dimorphic fungiSporothrix
科目
Medical Microbiology
トピック
4/6: Superficial and sub-cutaneous mycoses
原因となる疾患
リンパ管炎

🧠 全体像Sporothrix schenckiiは同じ二形性真菌でも、Histoplasma capsulatumらの「吸入→肺→全身」という全身性4菌種とは軸が違う——バラのとげや土いじりによる皮膚の(“rose gardener’s disease=”)で感染し、局所からリンパ管に沿って上行する結節性病変を作るの代表菌である。地理ではなく(園芸・農作業)が診断の入口になる。

微生物学的な特徴

  • 環境中形態(25℃・カビ形):菌糸に分生子の房飾り(rosette)とを持つ。
  • 組織内形態(37℃・酵母形):酵母(4〜6 μm)。
  • 全身性二形性真菌症4菌種(Histoplasma capsulatumCoccidioides immitisBlastomyces dermatitidisParacoccidioides brasiliensis)と同じ温度依存的二形性を持つが、感染経路が吸入ではなくである点が本質的に異なる。

病原性の仕組み

  • 土壌・植物(バラのとげ、コケ類、干し草、腐敗植物)に付着した分生子・菌糸断片がに皮膚へ接種され、体温で酵母形へ転換する。
  • 接種部位にを起こした後、菌がリンパ管に沿って近位へ広がりに沿って連続的に結節を形成する——“sporotrichoid spread”と呼ばれるこの拡がり方は、Nocardia brasiliensisMycobacterium marinum)、でも見られる共通パターンで、の枠組みとして併せて覚えておく価値がある。
  • 組織中では(asteroid body、酵母を好酸性物質が取り囲むSplendore-Hoeppli現象)が見られることがあるが、組織中の菌体数自体は乏しく(“paucity of organisms”)、の感度は他の二形性真菌より低い。

感染経路と疫学

  • 土壌(庭)、バラのとげ、コケ類(スファグナムモス)、樹皮など植物に存在し、により感染する(rose gardener’s disease)。
  • 曝露:園芸従事者、造園業、農業従事者、花卉市場関係者。
  • ネコからの感染も報告される(特にブラジルで集団発生が確認されており、ネコは重い菌量を保有しヒト・他のネコへ伝播しうる)——皮膚外傷(ネコの咬傷・引っかき傷)を介した人獣共通感染症としての側面もある。
  • 世界中に分布するが熱帯・亜熱帯気候でより高頻度。

起こす疾患

病型 頻度・宿主 特記事項
皮膚 最多(約75%) 接種部位の無痛性結節→、その後リンパ管に沿って上行性に新たな結節が
一部の患者 リンパ管への拡がりを伴わず局所にとどまる
ホームレス・者に多い 分生子の吸入による稀な病型。急性/慢性の経過をとる
播種性・骨関節 免疫不全患者(AIDS等) 多発皮膚病変、関節・骨への播種

診断

  • 培養が最も感度の高い確定診断法——25℃で、37℃で酵母形への転換を確認する
  • :組織中の菌体数が少なく感度が低い。を認めることがある
  • 皮膚を混じた
  • (スポロトリキン):疫学調査向けで急性期診断には使いにくい

治療と予防

病型 治療
皮膚(リンパ管型・固定型) が第一選択。 資源下ではも低コストの代替として使われる
肺・骨関節・播種性 によるの後、へ step-down
妊婦 は避け、を検討する
  • 予防は園芸・造園作業時の手袋着用など、とげ・土壌との直接接触を避けることが中心。ワクチンはない。

まとめ

  • 全身性二形性真菌症4菌種と同じ温度依存的二形性(25℃菌糸/37℃)を持つが、感染経路は吸入ではなくという点で軸が異なるの代表菌。
  • バラのとげ・コケ類・土いじりによる接種(“rose gardener’s disease”)が典型的な感染機転で、ネコを介した人獣共通感染も報告される。
  • 接種部位からリンパ管に沿って結節が連続的に出現するsporotrichoid spreadが臨床像の核——Nocardiaと共通する拡がり方として鑑別に活きる。
  • は菌体数が少なく感度が低いため、培養が確定診断の主力
  • 治療は皮膚病変にまたは飽和溶液、肺・骨関節・播種性病変には導入後にへ移行する。