Medical Microbiology

Medical Microbiology · 5/28

肝炎の病原体とその伝播、および微生物学的診断

Pathogens of hepatitis and their transmission, as well as microbiological diagnosis

微生物
Campylobacter jejuniHepatitis D virus

🧠 「肝炎」を起こす微生物はA〜E型の肝炎ウイルスだけではない——細菌・寄生虫によるという「隠れた」を忘れないことが本トピックの核心である。 の病態生理・臨床像の詳細は3/34(A・E型)3/35(B・C・D・G型)に譲り、本ノートは①伝播経路と検査室診断の一覧比較、②見落としがちな細菌性・、③血清診断の基本原則——ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay, 酵素結合測定法)でスクリーニングし、陽性ならで確認する2段階方式——に焦点を当てる。

ウイルス性肝炎:伝播経路と検査室診断の一覧

ウイルス ゲノム 伝播経路 慢性化率 検査室診断
A型肝炎 (+) 感染(汚染食物・水) 2〜6週 なし 血清IgM抗体の検出
B型肝炎 部分二本鎖DNA 血液・性的接触・周産期 4〜26週 約10% HBsAgまたは抗HBc抗体の検出
C型肝炎 (+) 血液;使用がリスク因子 2〜26週 約80% HCV RNAのPCR検査;用の第3世代ELISA
D型肝炎 環状欠損(−) 血液(HBVと同じ経路——HBVが必須の随伴感染) HBVと同じ で5%、では最大70% IgM・IgG抗体、血清HDV RNA、肝組織内HDAgの検出
E型肝炎 (+) 感染 2〜8週 なし HEV RNAのPCR検査;血清IgM・IgG抗体の検出

💡 各ウイルスの病態生理・臨床像・治療・予防の詳細は3/34(A・E型)と3/35(B・C・D・G型)を参照。 本表はあくまで「伝播経路と診断法をひと目で比較する」ための一覧である。

診断の原則:ELISAでスクリーニング→ウエスタンブロットで確認

  • ELISA:感度の高いとして第一段階に用いる。
  • :ELISA陽性例を確定するための、より特異度の高い
  • この「高感度スクリーニング→高特異度確認」の2段階方式は、HIV検査(5/27)と同じ考え方である。

細菌性肝炎

肝炎はウイルス性が大半を占めるが、以下の細菌も全身感染の一部としてを起こしうる。

病原体 特記事項
Neisseria meningitidisN. gonorrhoeae の一部として肝機能異常を伴うことがある
Borrelia burgdorferi ライム病の播種期に肝機能異常を伴うことがある
Salmonella sp. など全身感染の経過中に肝炎を伴う
Brucella sp. 腫性肝炎を起こしうる
Campylobacter jejuni 全身感染時に肝機能異常を伴うことがある

寄生虫性肝炎

病原体 特記事項
Trypanosoma cruzi の経過中に・肝炎を伴うことがある
Leishmania sp. で肝脾腫を伴う
Plasmodium sp. マラリアの経過中に肝機能異常を伴う
Entamoeba histolytica と実質性炎症を直接起こす——寄生虫による肝炎の中で最も臨床的に重要

まとめ

  • (A〜E型)の伝播経路は「感染(A・E)」と「血液・体液感染(B・C・D)」に大別され、慢性化率もこの2群で大きく異なる——詳細は3/343/35を参照。
  • 血清診断はELISAによるスクリーニングとによる確認という2段階方式が基本。
  • 肝炎の原因はウイルスに限らない——NeisseriaBorreliaBrucellaCampylobacterなどの細菌も全身感染の一部としてを起こしうる。
  • 寄生虫でもTrypanosoma cruziLeishmaniaEntamoeba histolyticaが肝炎・の原因となり、特にE. histolyticaは臨床的に重要である。