眼科学

眼科学 · ML-61B

近視の予防と進行抑制

Prevention of myopia and inhibition of myopia progression

前提:正常
視覚の生理学

🧠 全体像:学童期のは「眼球が伸びすぎる病気」である。いったん伸びた眼軸は戻らないので、で見えるようにするだけでなく、伸びる速さを落とすことが目標になる。手段は——①屋外で過ごす(予防の土台)、②網膜の周辺に性のぼけを作る・コンタクトレンズ・、③点眼、④研究段階の赤色光・の手術——で、早く始めて長く続けるほど将来のと失明の危険が減ると考えられている。

の定義・光学・分類の詳細は視力・屈折と、レンズそのものはコンタクトレンズとその合併症で扱う。ここでは「なぜの進行を抑えるのか」と「何が効き、何が効かないか」をまとめる。

なぜ近視を「予防」するのか

💡 の度数と合併症の危険は直線的ではなく、強くなるほど急に上がる。1 D でも進行を減らす価値があるのはこのためである。

近視の定義と分類

とは、調節を休ませた状態で、平行光線が網膜より手前で像を結ぶである。原因は次の3つに分けられる。

原因 何が起きているか の型
眼球が長すぎる 眼軸が伸びて網膜が焦点より後ろへ下がる (学童期のの大部分)
角膜のが強すぎる 角膜が突出してが増える (など)
のが強すぎる が厚く・丸くなる、核の (核など)

IMI は、調節を休ませた状態の等価球面度数(球面度数+円柱度数の半分)でを次のように定めている(定義の詳細は視力・屈折と)。

区分 等価球面度数 意味
前 +0.75 D 以下で、−0.50 D より弱い(プラス寄り) まだではないが、年齢・現在の屈折・危険因子からになる見込みが高い小児
軽度 −0.50 D 以下で、−6.00 D より弱い と診断する範囲
−6.00 D 以下 眼底合併症の危険が高い範囲

⚠️ 不等号の向きに注意する。マイナスの度数では「−6.00 D 以下」がより強いを指す。前は「+0.75 D から −0.50 D の手前まで」という正視寄りの幅であり、正視の子どもでも年齢に比べてのが少なければの予備群とみなす。

⭐ 前という区分がある理由は、発症前から介入するためである。屋外活動やによる発症予防の試験は、この段階の小児を対象にしている。

疫学:学校に上がると増える

  • 6歳未満のは約5%にとどまり、アジアでも同程度である。
  • 6歳を過ぎると急に増える。就学と近業(読書・勉強)の増加が引き金になる。
  • 多民族の小児を追跡した CLEERE などの疫学研究では、米国の10歳で11.6%、オーストラリアの13歳で11.9%、オランダの9歳で11.4%がであった。
  • 中国では18歳までに約80%がになる。東アジアの都市部では、高校生の大部分がである。

💡 同じでも、教育の強度と屋外で過ごす時間での頻度は大きく変わる。遺伝だけでは説明できない急増は、環境要因が主役であることを示している。

病態:網膜のぼけが眼球の伸びを決める

眼球の成長は、網膜に映る像の「ぼけ方」によって調節されている()。から、次のような網膜からへの信号の連鎖が明らかにされている。

flowchart TD
    A["視覚信号<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperopia'>遠視</span>性のぼけ → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='axial elongation'>眼軸伸長</span>を促す<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>性のぼけ → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='axial elongation'>眼軸伸長</span>を抑える"] --> B["網膜<br>ぼけの向き(符号)を読み取る"]
    C["調節"] <--> A
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal pigment epithelium'>網膜色素上皮</span><br>液体とイオンの輸送"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span><br>厚さが変わる"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sclera'>強膜</span>のリモデリング<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular matrix'>細胞外基質</span>の組み替え"]
    F --> G["線維性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sclera'>強膜</span>:ゆっくり伸びる<br>軟骨性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sclera'>強膜</span>:成長する"]
    G --> H["眼軸が伸びる速さ"]
    I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>"] --> H
    H --> A

各段階ではたらく分子は次のとおりである。

段階 起きること 関わる分子
網膜 ぼけの符号(性か性か)をする アセチルコリン()、ドパミン、インスリン、グルカゴン、、、GABA、
液体とイオンを輸送し、信号をへ伝える サイトカイン、(骨形成タンパク、TGF-β、、VEGF)
厚くなると網膜を前へ押し、伸びを抑える方向にはたらく
を組み替え、厚さと伸びやすさを変える TGF-β、塩基性、、合成、MMP 活性
眼軸 の深さが変わる も伸びに影響する
  • ヒトのは線維性で、ゆっくり「伸びる()」ことで眼軸が長くなる。ニワトリなど軟骨性のをもつ動物ではそのものが成長する。
  • 網膜の周辺部のぼけも伸びを決める。動物では周辺の性のぼけがを誘発し、性のぼけが化を起こし、を壊しても同じ反応が起こる1。
  • 従来ののでを矯正すると、中心には焦点が合うが、には性のぼけが残る1。

💡 この仕組みが治療の設計図になる。に性のぼけをわざと作るレンズ、網膜のドパミン放出を増やす明るい光(屋外)、を遮断する——いずれもこの信号の連鎖のどこかに働きかけている。

効かない方法

次の方法は、進行を抑える効果がないか、あっても最小である1。

方法 評価
(わざと弱い) 進行を抑えない。むしろ進めるか効果なし。もう勧めない
ピンホール 効果なし
ブルーライト遮断 効果なし
・ 効果なしか臨床的に意味のない小ささ
日中装用のソフト・ 効果なし

⚠️ 「度を弱めにするとが進まない」という昔の俗説は否定されている。見えにくいを渡すことは、視機能を落とすだけで何の利点もない。

進行抑制の方法

flowchart TD
    A["学童期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>・前<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>"] --> B["全員に:屋外活動 1日2時間<br>近業を30分ごとに区切る"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>と診断されているか"}
    C -->|"前<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lifestyle advice'>生活指導</span>と定期的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refraction test'>屈折検査</span><br>発症予防の薬物療法は研究段階"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>"| E["光学的治療<br>焦点ずれ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spectacles'>眼鏡</span>・二重焦点ソフトコンタクト・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthokeratology'>オルソケラトロジー</span>"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-dose atropine'>低濃度アトロピン</span>点眼"]
    E --> G{"半年〜1年で進行が続くか"}
    F --> G
    G -->|"続く"| H["濃度の変更・光学的治療との併用"]
    G -->|"止まる"| I["成長が落ち着くまで継続<br>中止は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tapering'>漸減</span>して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recoil'>反跳</span>を避ける"]

環境要因:屋外活動

  • 屋外で過ごす時間が長い子どもほどになりにくい。・・無作為化試験・のすべてがこれを支持し、1日40〜80分の屋外時間を分けて加えた介入試験でが減った1。
  • 以前は「発症は防ぐが、すでにの眼の進行は抑えない」と考えられていたが、その後の介入試験とでは、進行も年0.13〜0.17 D 抑えられた。現在は1日2時間の日光曝露が発症と進行の両方を和らげると考えられている1。
  • 効いているのは光の明るさで、1000 lux を超える光が保護的とされる。屋外は木陰・帽子・サングラスでも数千 lux あり、100〜150 lux 程度の屋内とは桁が違う1。
  • 近業は、30分以上続けないよう休憩で区切ることが勧められる。薄暗い環境での読書も進行に関わりうる1。
  • ビタミンD:屋外活動との関係を説明する候補として研究されてきたが、血中濃度は屋外時間の指標にすぎない可能性があり、ビタミンDの補充でを防ぐという根拠は確立していない。
  • 屋内の照明:教室や家庭の照明を明るくする介入が研究されているが、屋外の明るさには遠く及ばない。

💡 COVID-19 の外出制限の時期に、6〜8歳を中心にの進行が世界的に加速した。屋外時間が最も減った時期に最も増えたことは、屋外活動の効果を裏づける「自然の実験」になった。

光学的治療:眼鏡

  • 焦点ずれを組み込んだレンズ:中心の約9 mm で遠くをはっきり見せ、その周りに小さな(レンズレット)を多数並べてに性のぼけを作る。
    • DIMS レンズ(約1 mm の小レンズを約400個、+3.50 D)は、2年間の無作為化試験での進行を約55%抑えた1。
    • HAL レンズ(非球面の小レンズをに配置)は、2年間でより進行を0.80 D、を0.35 mm 抑えた1。
    • どちらも、やめた後の(急な進行)は認められなかった。周辺視で見え方がわずかにぼけるのが主な訴えである1。
  • を下げる拡散レンズ:網膜の信号が強すぎると伸びが進むという仮説に基づき、微小な拡散点でを少し下げる。北米の小児で効果が示された新しい方法である1。
  • 従来の二重焦点・は、の調節の遅れを減らす狙いで使われたが、効果は乏しい(上の「効かない方法」)。

光学的治療:コンタクトレンズ

種類 仕組み 効果の目安 注意点
ソフト・ハード 通常の矯正 抑制効果なし ―
抑制用の二重焦点・多焦点ソフトコンタクト 中心で遠くを矯正し、周りの輪で性のぼけを作る 二重焦点の1日使い捨てレンズで3年間の進行を屈折59%・眼軸52%抑制。多焦点では加入度の強いレンズだけが有意 小児でも装用管理ができること。感染の危険
夜間に逆幾何学形状のハードレンズを装用して角膜中央を平らにし、日中はで見える 2年でを約0.25 mm 抑制 中止でしうる。

これらの数値は WSPOS のによる1。

  • は角膜中央の上皮を薄くし、を厚くすることで、およそ −6 D・ −1.75 D までを矯正する。の角膜がになり、に性のぼけができることが抑制の機序と考えられている。
  • ⚠️ 小児のでは、のが1万あたり13.9と、日中装用のハードレンズ(1.2)より高く、連続装用ソフトレンズに近い1。夜間に装用するレンズであることを本人と保護者に説明し、洗浄・保存(水道水を使わない)を徹底する。詳しくはコンタクトレンズとその合併症。

薬物療法:アトロピン

は非選択的なである。はだけでなく網膜とにもあり、抑制の効果は調節の麻痺によるものではなく、網膜からへの信号を介すると考えられている1。

濃度 主な知見
1% シンガポールの試験(ATOM1)で2年間の進行を約77%抑え、治療眼の眼軸はほぼ伸びなかった による、による障害。中止後のが大きい
0.5%・0.1% 効果は大きいが、瞳孔が3 mm を超えて広がり、多くの子どもに近用加入のが必要 副作用で続けにくい
0.05% 香港の小児で1年間の進行が −0.27 D( −0.81 D) が約1 mm 広がる。多くの子どもで許容範囲
0.025% 同じ試験で −0.46 D ―
0.01% 同じ試験で −0.59 D。欧米の第3相試験では3年間で進行を0.24 D、を0.13 mm 抑えた 効果が小さい。反応しない子どもが多い
  • 香港の小児438人を対象とした Yam らの無作為化試験では、0.05%・0.025%・0.01% の順に効果が大きく(屈折の変化 −0.27・−0.46・−0.59 D、 −0.81 D。の伸び 0.20・0.29・0.36 mm、 0.41 mm)、効果は濃度に依存した。の低下とも濃度に依存したが、視力と見え方に関する生活の質は損なわれなかった2。
  • 北米と欧州の小児を対象とした Zadnik らの3年間の第3相試験では、0.01% は屈折の進行・・反応者の割合のすべてでに勝ったが、0.02% はを満たさず、だけを抑えた。重篤な眼の有害事象はなかった3。
  • 欧米の試験の効果がアジアの試験より小さい理由として、の色素(はメラニンに結合して長く留まる)、年齢、点眼液の組成(pH・)、学校での屋外活動政策の有無が挙げられている1。
  • 院内で調製したは、製剤ごとに濃度・分解産物・pH のばらつきが大きいことが問題になっている1。
  • 香港の試験を延長した結果では、2年目以降も 0.05% の効果が 0.01% の約2倍で、中国系の小児では 0.05% が最適な濃度とされた。3年目に中止した群の多くは治療の再開を要し、5年間続けた 0.05% の群が最も進行が少なかった1。

発症予防:非の4〜9歳(親が)を対象とした香港の LAMP2 試験では、2年間の発症率が 0.05% で28.4%、0.01% で45.9%、で53.0%であり、0.05% だけが有意に発症を減らした。発症を遅らせる効果であって、完全に防ぐものではない1。

⚠️ :を急にやめると、進行が一時的に速まる。治療期間が短い・年齢が低い・もとのが強いほどが大きく、濃度の高い薬ほどゆっくりする必要がある。や光学的治療との併用で和らげられる1。

⚠️ 副作用:・のぼやけ・アレルギー性の結膜炎・眼瞼炎。による紫外線の入射でが増えるおそれが理論上指摘されてきたが、1%・低濃度の試験参加者を10〜20年追跡した研究ではやその他のの増加はなかった1。高濃度では調光レンズや近用加入のが必要になる。

承認状況(地域で異なる):

  • 日本では 0.025% 点眼が「の進行抑制」を効能として承認され(添付文書の初版は2024年12月)、2025年4月に販売が始まった。用法は1回1滴、1日1回就寝前である4。
  • 承認の根拠になった国内の第2/3相試験では、5〜15歳で等価球面度数 −1.0〜−6.0 D のの小児299人を 0.025%・0.01%・に割り付け、24か月の等価球面度数の変化は 0.025% で −1.01 D、で −1.64 D(差 0.64 D)であった。主な副作用は(9.0%)であった4。
  • 米国では、Zadnik らの試験の時点で小児の進行に承認された薬物療法は無かった3。
  • 多くの国では点眼は抑制の承認を受けておらず、院内調製品などのになっている1。

その他の薬

薬 作用 位置づけ
ピレンゼピン M1選択的な。眼用ゲルとして試された の進行をある程度抑えたが、実用化されなかった
7- 薬の内服。のコラーゲンを増やすとされる 一部の国で使われてきたが、根拠は限られる
を下げれば眼軸の伸びが抑えられるという仮説で試された の進行を抑える効果は示されなかった

光治療:赤色光治療

  • 家庭で波長650 nm の弱い赤色光を1回3分、1日2回、週5日のぞき込む方法で、中国の無作為化試験では1年間でと屈折の進行を大きく抑え、が厚くなった。眼軸が短くなる例も報告されている1。
  • ⚠️ 安全性には議論がある。治療後の残像はよくある副作用で、網膜の障害(と OCT の異常)の症例報告もある(中止後に回復した)。米国の測定では、一部の機器を3分間連続で見ると網膜の最大許容に近いか超えた。中国では2024年7月から、高リスクのとして登録されるまで機器の販売が停止された1。
  • 安全性の系統的レビューは、治療前と治療中の・OCT と、家庭での視力と残像時間の確認を求めている1。機器ごとの安全性評価の基準がまだ統一されていないことが大きな課題である。

手術療法

いずれもの進行を対象とした方法で、小児の一般的な抑制には使わない。

方法 内容 位置づけ
後部 伸びて薄くなったのの外側に帯状の補強材を当てる 進行性の・で一部の施設が行う。質の高い根拠は乏しい
強化注射 の後ろにや高分子を注入して硬くする 実験段階
の 角膜の架橋(と紫外線)をに応用し、伸びにくくする の段階

実際の進め方

  • 学童期のは、下の(など)で正確な度数を測り、可能ならも測って経過を追う(視力・屈折と)。
  • 年齢が低い・親が・進行が速い(年0.5 D 以上など)子どもほど、積極的な介入の対象になる。
  • 光学的治療とは併用でき、単独で進行が続く年長児では併用で効果が報告されている1。
  • 治療は眼の成長が落ち着く10代後半まで続くことが多く、やめるときは段階的にする。

まとめ

  • 学童期のは軸性で、眼軸は戻らない。2050年に世界の約半数が・約1割がになると推計され、は・・・緑内障の危険を高める。
  • IMI の定義:は等価球面度数 −0.50 D 以下、は −6.00 D 以下、前は +0.75 D から −0.50 D の手前まで(危険因子のある小児)。
  • 6歳未満のは約5%で、就学後に急増する。東アジアでは18歳までに約8割。
  • 網膜が像のぼけの向きを読み取り、→→のリモデリングを経て眼軸の伸びを決める。の性のぼけは伸びを促し、性のぼけは抑える。
  • 効かない:、ピンホール・ブルーライト遮断、二重焦点・累進、通常のコンタクトレンズ。
  • 効く:屋外活動(1日2時間、1000 lux 超)、焦点ずれ、抑制用ソフトコンタクト、(小児の角膜炎リスクに注意)、(濃度依存。0.05% が最も効果的、0.01% は効果が小さい)。
  • は急にやめるとする。承認状況は国ごとに異なり、日本では 0.025% 点眼がの進行抑制で承認されている。
  • 赤色光治療は効果が報告される一方、の報告と機器の安全基準の問題がある。の手術・注射・架橋はを対象とした研究段階の方法である。

出典

  1. 1.Myopia Consensus Statement 2025(World Society of Paediatric Ophthalmology and Strabismus・2025)2025年5月の確定版全文(2025年4月28日付の草案と照合)で次を確認した。低矯正・ピンホール眼鏡・ブルーライト遮断眼鏡・二重焦点眼鏡・累進屈折力眼鏡・日中装用の単焦点ソフト/ハードコンタクトレンズは効果がないか最小であること。屋外活動は発症を防ぎ、5件の介入試験で1日40〜80分の屋外時間の追加が近視を減らしたこと、介入試験とメタ解析で進行も年0.13〜0.17 D抑え、1日2時間の日光曝露が発症と進行の両方を和らげうること、1000 lux超が保護的で屋外(木陰・帽子・サングラスでも)は屋内より明るいこと。30分以上続く近業を休憩で区切る提案と薄暗い環境での読書の関与。周辺部の遠視性ぼけが眼軸伸長を促し近視性ぼけが抑える動物実験の知見。焦点ずれを組み込んだ眼鏡レンズ(DIMSは2年で進行を約55%抑制、HALは2年で0.80 D・0.35 mm抑制)と中止後のリバウンドが見られなかったこと、コントラストを下げる拡散レンズ。二重焦点ソフトコンタクトレンズ(3年で屈折59%・眼軸52%抑制)、多焦点ソフトコンタクトレンズ(高加入のみ有意)。オルソケラトロジーが2年で眼軸伸長を約0.25 mm抑え、中止後にリバウンドがありうること、小児の微生物性角膜炎の推定リスクが1万患者年あたり13.9であること。アトロピンの効果が調節を介さない網膜から強膜への経路によると考えられること、1%アトロピン(ATOM1)が2年で進行を77%抑えたこと、0.5%・0.1%で瞳孔が3 mmを超え近用加入の眼鏡が多く必要になったこと(ATOM2)、低濃度アトロピンの濃度依存性と香港の延長試験で0.05%が0.01%の約2倍の効果で最適濃度とされ中止群の多くが再開を要したこと、非近視の小児で0.05%だけが2年間の発症率を下げたこと(LAMP2)、欧米の試験の結果のばらつきと虹彩色素・点眼液の組成・学校の屋外活動政策という説明、光学的治療とアトロピンの併用で上乗せ効果があること、欧米の試験の結果のばらつき、院内調製品の濃度のばらつき、多くの国で未承認で適応外使用されていること、中止後のリバウンド(短い治療期間・低年齢・強い近視で大きく、漸減や光学的治療の併用で和らげうること)、長期追跡で白内障の増加がなかったこと。赤色光治療の効果、網膜障害の症例報告と一部機器が最大許容曝露量に近いか超えたこと、中国で2024年7月からクラスIII医療機器の登録まで販売が停止されたこと、安全性の系統的レビューが治療前後の眼底写真・OCTと家庭での視力・残像時間の確認を求めていること。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Low-Concentration Atropine for Myopia Progression (LAMP) Study: A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial of 0.05%, 0.025%, and 0.01% Atropine Eye Drops in Myopia Control(Ophthalmology・2019)抄録(PubMed 30514630)で、香港の4〜12歳の小児438人を0.05%・0.025%・0.01%アトロピンとプラセボに割り付け、1年間の等価球面度数の変化が−0.27・−0.46・−0.59・−0.81 D、眼軸長の伸びが0.20・0.29・0.36・0.41 mmで濃度依存性の効果を示し、調節力の低下と瞳孔径の拡大も濃度依存的で、視力と視覚関連の生活の質は損なわれなかったことを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Efficacy and Safety of 0.01% and 0.02% Atropine for the Treatment of Pediatric Myopia Progression Over 3 Years: A Randomized Clinical Trial(JAMA Ophthalmology・2023)抄録(PubMed 37261839)で、小児の近視進行に承認された薬物療法が無いと背景に述べたうえで、北米と欧州5か国の3〜16歳の小児576人を対象とした3年間の第3相試験で、0.02%アトロピンは主要評価項目(進行0.50 D未満の眼の割合)と屈折の進行を有意に改善せず眼軸伸長だけを抑え、0.01%アトロピンは反応者の割合・屈折の進行(差0.24 D)・眼軸伸長(差−0.13 mm)のすべてでプラセボより優れ、重篤な眼の有害事象がなかったことを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.リジュセアミニ点眼液0.025% 添付文書(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)2026年3月改訂の添付文書(第2版、初版は2024年12月作成、販売開始2025年4月)で、アトロピン硫酸塩0.025%点眼の効能・効果が近視の進行抑制、用法・用量が1回1滴1日1回就寝前であること、国内第2/3相試験で5〜15歳・等価球面度数−1.0〜−6.0 Dの近視患者299例を本剤・0.01%・プラセボに割り付け、24か月後の等価球面度数の変化が本剤−1.006 D、プラセボ−1.643 D(群間差0.637 D)で優越性が検証され、主な副作用が羞明9.0%であったことを確認した。閲覧 2026-09-29