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Drug Atlas · B21 Bronchodilators / 気管支拡張薬 · 必修

アミノフィリン

aminophylline

分類
Bronchodilators / 気管支拡張薬
商品名(日本)
ネオフィリン
商品名(EU)
Phyllocontin
科目
Clinical PharmacologyPharmacology
トピック
32: AsthmaB21: Selective β2-stimulants and other bronchodilators
副作用
悪心嘔吐頻脈動悸痙攣振戦
影響検査値
カリウム
相互作用
アデノシンクラリスロマイシンジピリダモールシプロフロキサシンシメチジン

🧠 全体像:は、薬であるにを結合させて水溶性を高めた注射用製剤である。難溶性のを可能にしたことで、かつてはやのにおける救急薬として広く用いられた。しかし、吸入や全身性ステロイドと比較して気管支拡張の追加効果が乏しく、不整脈や痙攣など狭い治療域に起因する重篤な中毒リスクが大きいため、現行の国際ガイドラインではに対する静注投与は推奨されない12。一方、非選択的作用を有するため、負荷における重篤なや虚血発作に対する速やかな拮抗処置、あるいはに伴う抵抗性房室ブロックに対する解除薬として確固たる役割を保っている3。

薬効群の中での位置づけ

はに属する・中枢興奮薬であり、構造上はとの2対1複合体(二物)である4。

【水溶性の改善と成分比】
テオフィリン(水に難溶) + エチレンジアミン(塩形成) = アミノフィリン(水溶性が約20倍に向上)
※製剤中、無水テオフィリン換算で約79〜85%に相当する

呼吸器領域における位置づけは時代とともに大きく変化した。 薬、吸入長時間作用性、が普及し、急性期には吸入の反復吸入と全身性ステロイドが確立した現在、静注の位置づけはしている。

領域・病態 過去の臨床的位置づけ 現行ガイドライン・現代医学における位置づけ
の 救急搬送時の第一線薬 推奨されない(SABA吸入・全身性ステロイドが第一選択。追加効果に乏しくが高い)2
COPD 標準的な追加 推奨されない(重大な心血管・中枢神経副作用のため)1
心筋時の副作用解除 補助的 標準的拮抗処置(・アデノシン誘発のや過度な血圧低下を解除)
の房室ブロック 試験的 条件付き考慮(虚血部での内因性アデノシン放出によるに拮抗、Class IIb)3

機序

で解離したが主たるを発揮する。

flowchart TD
    subgraph Drug["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aminophylline'>アミノフィリン</span>静注"]
        A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aminophylline'>アミノフィリン</span>"] -->|"解離"| B["遊離<span class='jp-term jp-term-diagram' title='theophylline'>テオフィリン</span>"]
    end

    subgraph Pathways["主要機序"]
        B --> C["非選択的PDE阻害"]
        B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenosine receptor antagonism'>アデノシン受容体拮抗</span><br>(A1・A2A<span class='jp-term jp-term-diagram' title='receptor blockade'>受容体遮断</span>)"]
    end

    subgraph Actions["生体反応"]
        C --> E["細胞内cAMP・cGMP上昇"]
        E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchial smooth muscle relaxation'>気管支平滑筋弛緩</span><br>(気管支拡張)"]
        E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphragmatic contraction'>横隔膜収縮</span>力増強・呼吸刺激"]

        D --> H["内因性アデノシン作用遮断"]
        H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchospasm'>気管支攣縮</span>の解除"]
        H --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='SA/AV nodal conduction'>房室結節伝導</span>抑制の解除"]
        H --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dipyridamole'>ジピリダモール</span>作用の拮抗"]
    end
  1. 非選択的(PDE)阻害: や炎症細胞のPDE(主にPDE3・PDE4・PDE5)を阻害し、細胞内cAMPおよびcGMP濃度を上昇させる。これにより(PKA)経路等を介してを弛緩させる。また力を高め、を刺激する。

  2. 作用: アデノシンA1およびA2A受容体にする。アデノシンによるやのを強力に遮断するため、負荷時の副作用解除や、虚血に伴う徐脈の改善に働く。

  3. 抗炎症作用: 低濃度域で(HDAC2)を活性化し、ステロイドの転写抑制を補助する。

薬物動態

は後、血中で直ちにとに完全解離する4。

  • 換算:製剤中の約79〜85%が無水に相当する。
  • 分布:は約0.5 L/kg。血液脳関門や胎盤を通過し、母乳中へも移行する。蛋白結合率は約40%。
  • 代謝:約90%が肝臓のCYP1A2(一部CYP2E1、CYP3A4)で代謝される。喫煙、加齢、肝疾患、併用薬により代謝活性が大きく変動する。
  • 排泄:未変化体(約10%)および代謝物が尿中に排泄される。
  • 半減期:で約7〜9時間。喫煙者ではCYP1A2誘導により約4〜5時間に短縮する一方、肝硬変、心不全、高齢者、高熱持続時には20時間以上に延長しうる。
  • 治療域:有効血中濃度域は5〜15 μg/mLである。20 μg/mL以上で消化器・が出現し、25〜30 μg/mL超でやの危険が急増する。

適応

承認上の適応

  • 、喘息性気管支炎、、肺気腫における呼吸困難の緩解

臨床現場における実際

  1. ()時の拮抗: やアデノシンによる中に重篤な、過度な低血圧、が生じた際、遮断薬として速やかに静注投与される。
  2. に伴う徐脈・: 内因性アデノシン過剰放出に起因する遅延に対し、抵抗性の場合に考慮される3。
  3. での制限: 吸入SABAや全身性ステロイドが確立した現在、有効性と安全性の観点から救急管理における静注投与は国際ガイドライン上推奨されない12。

用法・用量

専用であり、はである4。

  • 緩徐な: 急速静注は急激な血中濃度上昇によるショック、心停止、重積痙攣を招く。必ず補液で希釈し、20〜30分以上かけて緩徐に注入するか、を行う。
  • 服用歴の確認: 経口製剤の服用有無を確認し、既に血中濃度が存在する患者への不用意な負荷投与を避ける。
  • TDMの実施: 血中濃度を測定し、範囲(5〜15 μg/mL)を維持する。

禁忌・注意

禁忌

  1. 過敏症の既往: はやアナフィラキシー、の原因となる。単剤にアレルギーがなくても、本剤はとなる4。
  2. 重篤な:心筋刺激作用により悪化の恐れがある。

慎重投与

  • 痙攣素因・てんかん:中枢抑制機構が遮断されが低下する。
  • :心筋を増大させる。
  • 甲状腺機能亢進症:交感神経刺激作用が増強する。
  • 肝障害・心不全・高齢者:クリアランス低下のため減量と頻回のTDMを要する。

相互作用

副作用

  • 消化器:悪心、嘔吐、腹痛。初期中毒の最も鋭敏な徴候。
  • 中枢神経:頭痛、不眠、手指の振戦。重症例では難治性の痙攣()。
  • 循環器:、頻脈、。急速静注で血圧急降下・心停止。
  • 電解質:細胞内移行による低下()。
  • 皮膚:による、紅斑、。

まとめ

項目 特徴・要点
構造 + (水溶性向上のための注射用複合体)
主要機序 非選択的PDE阻害(cAMP上昇)、
代謝経路 肝臓のCYP1A2(喫煙・薬剤による変動大)
治療域 5〜15 μg/mL(TDM必須、20 μg/mL以上で中毒、は絶対禁止)
現行ガイドライン 喘息・COPDのには推奨されない(SABA・ステロイドが第一選択)
特異的役割 ・アデノシン負荷心筋シンチ時の等の解除、急性に伴う遅延の解除
特有の禁忌 過敏症(・アナフィラキシーの原因)

出典

  1. 1.Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 2026 Report(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD)・2026)中等症から重症のCOPD急性増悪に対するメチルキサンチン(テオフィリンまたはアミノフィリン)の静注投与は、重大な副作用プロファイルのため推奨されないことを確認した。閲覧 2026-10-31
  2. 2.Global Strategy for Asthma Management and Prevention(Global Initiative for Asthma (GINA)・2026)急性喘息増悪に対する静注アミノフィリン・テオフィリン投与は、SABAおよび全身性ステロイドと比較して有効性が不十分であり、重篤な心毒性・中枢毒性のリスクが高いため救急管理において推奨されないことを確認した。閲覧 2026-10-31
  3. 3.2018 ACC/AHA/HRS Guideline on the Evaluation and Management of Patients With Bradycardia and Cardiac Conduction Delay(American College of Cardiology / American Heart Association / Heart Rhythm Society・2019)急性下壁心筋梗塞に伴う房室結節レベルの症候性2度・3度房室ブロックにおいて、アデノシン拮抗作用を期待したアミノフィリン静注が考慮されうること(Class IIb, LOE C-LD)を確認した。閲覧 2026-10-31
  4. 4.AMINOPHYLLINE INJECTION, SOLUTION [Hospira, Inc.](U.S. National Library of Medicine (DailyMed) / Hospira, Inc.・2026)テオフィリンとエチレンジアミンの2:1複合体(無水テオフィリン換算で約79%含有)であり、エチレンジアミン過敏症が禁忌であること、静注速度が速すぎると重篤な低血圧・不整脈・痙攣を惹起しうること、CYP1A2による代謝と薬物相互作用、血中濃度モニタリングの重要性を確認した。閲覧 2026-10-31