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Lab values · Published

クリオグロブリン

Cryoglobulin

別名
寒冷グロブリンcryoglobulinクリオクリット
臓器系
免疫・膠原病血液
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 S-47:血管炎内科学 R-07:小血管炎
関連疾患
クリオグロブリン血症シェーグレン症候群血管炎(大血管炎・中血管炎・小血管炎)膜性増殖性糸球体腎炎

🧠 全体像は低温で可逆的にし、加温するとする免疫グロブリンである。この検査の成否は患者の病態以上に採血・搬送の手技に左右される——採血から血清分離までのどこかで37℃を下回ると、体内では確かに存在するが検体の中で先に沈んでしまい、偽陰性として失われる。Brouet分類(I型・II型・III型)で背景疾患を絞り込み、陽性であれば紫斑・関節痛・脱力の三徴とC3温存下でのC4選択的低下を手掛かりにを疑う。

何を測っているか

は、血清を4℃前後に冷却すると可逆的にし、37℃にするとする免疫グロブリン(単独またはIg同士の複合体)の総称である。Brouet分類は、単クローン性・の組合せで3型に分ける。

組成 代表的な背景疾患
I型 単クローン性Ig(IgMまたはIgG)単独 など・形質細胞腫瘍
II型(混合型) 単クローン性IgM型IgG HCV感染が背景疾患の大半を占める1
III型(混合型) IgM型IgG 症候群などの1

💡 II型・III型(混合型)が血管炎を起こすのは活性のためである。 IgM成分がIgGのを認識して免疫複合体を作り、これが血管壁に沈着してを活性化する。I型は単クローン性Ig単独で免疫複合体を作らず、という物理的な機序で症状を起こす点がII・III型と本質的に異なる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cryoglobulin'>クリオグロブリン</span>陽性"] --> B{"単クローン性成分は単独か"}
    B -->|"はい"| C["I型<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple myeloma, MM'>多発性骨髄腫</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoproliferative diseases'>リンパ増殖性疾患</span>を検索"]
    B -->|"いいえ(RF活性を伴う複合体)"| D{"単クローン性成分を含むか"}
    D -->|"含む"| E["II型(混合型)<br>HCV感染を検索"]
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyclonal'>多クローン性</span>のみ"| F["III型(混合型)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic infection'>慢性感染</span>症を検索"]

基準値と単位

基準は「陰性(検出せず)」であり、健常者の血清には存在しない。陽性の場合は定性判定に加え、クリオクリット(血清をして得た物の体積比、%表記)で定量する。は施設・測定法で幅があり、報告書の基準を優先する。

標準化が確立していない検査である。 後述する採血温度や観察期間などの測定条件による差が大きく、同一検体でも施設間で結果が乖離しうる。

高値の意味

高値(陽性)だけが臨床的に意味を持ち、低値という概念は存在しない(検出せず=陰性)。

機序 代表的な状況 次に確認すること
I型:単クローン性Igの過剰産生 M蛋白・の有無(視力障害、粘膜出血)
II型:HCV関連の混合型 HCV感染 HCV RNA定量、肝機能、C4
III型:に伴う混合型 症候群 自己抗体、原疾患の活動性評価

⚠️ II型・III型が陽性なら血管炎の一亜型であるを疑う。 代表的な三徴は・関節痛・脱力で、型の糸球体腎炎やを合併する2

補体はC4がC3に比べて不釣り合いに強く低下する。 混合型を持続的に活性化するため、C3はほぼ正常〜軽度低下にとどまる一方でC4は測定感度以下になるまで低下しうる。IgM型高値を伴うことが多く、この組合せは他の性腎炎(など)との鑑別点になる3

I型は物理的機序()で症状を起こし、血管炎型の三徴や高値・を伴わない点でII・III型と区別できる。

⚠️ 測定上の注意

  • ⚠️ 採血から血清分離までの全過程を37℃に保つ。 は体温以下でし始めるため、室温搬送や冷蔵検体では分離前にが失われ偽陰性になる。採血管は事前に37℃へ温め、37℃を保ったまま輸送・凝固・まで行う。この温度管理を満たさないことが偽陰性の最も一般的な原因である2
  • クリオクリットは血清を4℃で最長7日間観察し、毎日の有無を確認したうえで、7日目に37℃へしてすることを確認して判定する。III型は血中濃度が低く形成に数日を要することがあり、観察期間を短く切り上げると陽性を見逃す2
  • 💡 とは別の検査である。 は赤血球膜上の抗原を認識するIgM抗体で、低温下で赤血球を凝集させ溶血や末梢のチアノーゼを起こす。は血清中で・複合体形成してする点が異なり、両者は検体の扱いも対応する疾患も別である。
  • 検体の再凍結・融解の繰り返しは避ける。融解のたびにが進み、定量値が不安定になる。

経時変化とモニタリング

II型・III型のは、背景疾患の治療とともに推移を追う。HCV関連例では抗ウイルス療法でウイルスが排除されるとクリオクリット値が低下し、重症例・臓器障害例ではリツキシマブの併用でも同様の低下がみられる1

⭐ 単回の陽性・陰性だけでなく、クリオクリット値・C4・価の推移を組み合わせて疾患活動性を追うことが実務的である。治療後にクリオクリットが低下してもゼロにならないことは珍しくなく、の改善と合わせて評価する。

まとめ

  • は低温で可逆的にする免疫グロブリンで、Brouet分類のI型(単クローン性、)とII・III型(混合型、活性を伴う、HCVやが背景)に分ける。
  • 測定の成否は検体の取扱いで決まる。 採血から血清分離まで37℃を維持しないと偽陰性になり、クリオクリット判定には4℃で最長7日間の観察が必要。
  • II型・III型陽性はを示唆し、・関節痛・脱力の三徴、糸球体腎炎、を来す。
  • 補体はC4がC3より不釣り合いに強く低下するパターンを示し、高値を伴う。
  • とは別の検査であり、混同しない。
  • 背景疾患の治療(抗ウイルス療法、リツキシマブ)に伴うクリオクリット値の推移でモニタリングする。

出典

  1. 1.Cryoglobulinemic vasculitis and glomerulonephritis: concerns in clinical practice(Chinese Medical Journal・2019)採血から血清分離までの全過程を37℃に保つことが必須であり、これを満たさないことが偽陰性の最も一般的な原因であること、クリオクリット判定には血清を4℃で最長7日間観察して毎日沈殿の有無を確認し7日目に37℃へ再加温して再溶解を確認する必要があること、III型は濃度が低く沈殿形成に数日を要しうるため観察期間の不足が診断見落としにつながること、混合型クリオグロブリン血症では皮膚紫斑・関節痛・末梢神経障害・腎浸潤を来し血清C4低値がC3低値より高頻度でリウマトイド因子陽性と関連することを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Rheumatoid Factor, Complement, and Mixed Cryoglobulinemia(Clinical and Developmental Immunology・2012)II型混合性クリオグロブリン血症ではIgM型リウマトイド因子高値を伴い、古典経路の持続的な活性化によりC3がほぼ正常〜軽度低下にとどまる一方でC4は不釣り合いに強く低下し測定感度以下になることも珍しくないことを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Cryoglobulinemia: An update on classification, pathophysiology, clinical presentation, and management(Journal of Internal Medicine・2026)Brouet分類のI型は単クローン性IgMまたはIgG単独でリンパ増殖性疾患・多発性骨髄腫などに、II型は単クローン性IgM型リウマトイド因子+多クローン性IgGでHCV感染(背景疾患の大半)に、III型は多クローン性IgM型リウマトイド因子+多クローン性IgGで膠原病や他の慢性感染症に関連することを確認し、HCV関連混合性クリオグロブリン血症では抗ウイルス療法やリツキシマブによる治療でクリオクリット値が低下することを確認した。閲覧 2026-08-04