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Microbe Atlas · 細菌

Lactobacillus

乳酸桿菌

分類
G+ 桿菌・非芽胞 / Gram+ rods (non-spore)Lactobacillus
性状
Gram陽性 (G+)桿菌 Bacilli
科目
Medical Microbiology
トピック
2/28: Listeria monocytogenes. Erysipelothrix rhusiopathiae, Lactobacillus and Bifidobacterium genus. Pre- and probiotics5/1: Bacteria causing skin and wound infections (list) and their diagnosis5/5: Normal flora of the oral cavity. Microbes causing infections of the oral cavity (list)
自然耐性薬
バンコマイシン
原因となる疾患
う蝕

🧠 全体像Lactobacillusはこの群の中で唯一「いる方が病気を防ぐ」菌である。腟内では糖を乳酸へ変換してpHを酸性(約3.8〜4.5)に保つことで病原菌の定着を防ぐバリアそのものとして働き、そのが減ることがという病気の成立過程になる——菌の増殖ではなく菌の喪失が病態という、この群の他のメンバーとは逆向きの読み方をする菌である。もう一点、グラム陽性菌でありながらバンコマイシンが本質的に効かないという事実は、の標的そのものを欠くという機序まで含めて覚える価値がある。

微生物学的な特徴

長い、しばしばで、(好気耐性)、、非。糖を発酵して乳酸を産生するの代表属である。

項目 内容
形態 長いを示すことがある
生息部位 口腔、腸管、(エストロゲンの影響でグリコーゲンが豊富な生殖年齢女性で優占する)
培養 下、低pH5.6〜6.5、高濃度グルコース)が。血液寒天培地では5%CO₂・25時間培養で白〜黄色・円形隆起のコロニーを形成し、「ヨーグルト様の匂い」を放つ(溶血なし、一部株はβ溶血)

防御の仕組み:病原性ではなく「守る」機序

Lactobacillusの本質は病原因子ではなく乳酸産生による酸性バリアにある。

⚠️ は「の喪失」が本体。 抗菌薬使用・・パートナーの変化などでLactobacillus優位のフローラが崩れると腟内pHが上昇し、嫌気性菌が優勢な多菌種に置き換わる——これがの病態である。Lactobacillusが増えて病気になるのではなく、減って病気になるという向きを取り違えないこと。

感染経路と日和見感染

Lactobacillus自体は極めて病原性が低い常在菌で、健常人に感染症を起こすことはまれである。感染が問題になるのは次のような状況に限られる。

  • 高度の免疫抑制状態
  • を背景とした歯科処置後の菌血症(心内膜炎)
  • 製剤の投与を受けている重症患者・患者(まれに製剤由来の菌血症が報告される)

起こす疾患

疾患 特徴
(虫歯) Streptococcus mutansなどのViridans streptococciと共に、による酸産生で歯質をする
心内膜炎・髄膜炎・敗血症・蜂窩織炎 いずれもまれな感染。基礎疾患・免疫状態が背景にあることが多い

なおLactobacillusが「起こす」疾患ではなく、Lactobacillus失われることで起こる疾患である点は上記の通り。

診断

  • 検体は脳脊髄液・羊水・滲出液などからの培養
  • または血液寒天培地(ヨーグルト様の匂いが手がかり)で発育を確認する
  • 血液培養で検出された場合、製剤の摂取歴を必ず確認する——製剤由来の一過性の検出と真の菌血症を区別する必要がある

治療と予防

⚠️ バンコマイシンには本質的に効かない。 Lactobacillusは細胞壁の末端が、バンコマイシンの標的であるD-Ala-D-Alaではなく、D-Ala-D-Lactateに置き換わっている種が多く、薬剤の結合標的そのものを欠く。これはVRE()が獲得する構造的には同じ標的改変だが、Lactobacillusでは遺伝子獲得を経ない、種として元から持つである点が異なる。

  • 真の感染が疑われる場合はに基づき、アンピシリンなどバンコマイシン以外の薬剤を選択する
  • としての利用は一般に安全だが、重症患者・易感染性宿主・患者では慎重に判断する

まとめ

  • Lactobacillusは口腔・腸管・腟の常在菌で、糖を乳酸へ変換するの代表属。腟では乳酸産生により酸性バリアを作り病原菌の定着を防ぐ——この群で唯一「守る」役割を持つ菌である。
  • Lactobacillusが増える病気ではなく、減ることで嫌気性菌が優勢になる病気であることを取り違えない。
  • 口腔ではStreptococcus mutansと共にの原因となる——同じ酸産生性が場所によって防御にも病害にもなる。
  • 病原性は低く、感染(心内膜炎・髄膜炎・敗血症)はまれ。
  • グラム陽性菌でありながらバンコマイシンにを持つ(D-Ala-D-Lactate末端によるターゲット欠如)。真の感染にはなど代替薬を用いる。