麻酔・集中治療

麻酔・集中治療 · A-18

血管収縮薬と強心薬

The main vasopressors and inotropes

前提:病態
カテコールアミン
前提:正常
心臓のポンプ機能・心拍出量の調節
疾患
薬剤の血管外漏出

🧠 全体像:は「低血圧なら同じ薬」ではなく、低下には、低心拍出にはを選び、、心エコー、、乳酸を再評価しながら最少で原因治療へつなぐ。

受容体と循環作用

受容体 主な細胞内経路 主作用
α₁ Gq 動静脈収縮、上昇
β₁ Gs 、心拍数、の増加
β₂ Gs 気管支拡張、骨格筋血管拡張
V₁a Gq 収縮
flowchart TD
    A["循環不全を認識"] --> B["容量・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular tone'>血管緊張</span>・心機能を評価"]
    B --> C{"主に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular tone'>血管緊張</span>低下か"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vasoconstrictor'>血管収縮薬</span>を選択"]
    C -->|"いいえ"| E{"低心拍出と低灌流か"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inotropic agent'>強心薬</span>を検討"]
    E -->|"いいえ"| G["閉塞・出血・不整脈などを再検索"]
    D --> H["MAP・心拍出・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral perfusion'>末梢灌流</span>を再評価"]
    F --> H
    H --> I["原因治療と減量"]

主な血管収縮薬

薬剤 主な作用 主な適応 重要な注意
ノルアドレナリン α₁優位、β₁も作用 敗血症性・ショックの第一選択 、不整脈、
アドレナリン α₁、β₁、β₂ アナフィラキシー、心停止、 頻脈、不整脈、乳酸上昇、高血糖
V₁a ノルアドレナリン必要量が増えるショックへの追加 心筋・腸管・、低Na血症
α₁ 頻脈を避けたい選択症例 低下、
ドパミン ドパミン・β・α作用 など限られた症例 頻拍性不整脈が多く、腎保護目的には使わない

💡 ドパミンの「低用量・中用量・高用量」は文書ごとに区切りが違うので、数値を引くときは出典を添える。 現行の米国添付文書(PLR様式、Revised 4/2024)12.2 は、5 µg/kg/分未満=D1・D2受容体(腎・腸間膜・冠血管を拡張)/5〜10 µg/kg/分=β₁(心拍数・収縮力↑)/10 µg/kg/分超=α₁(血管収縮・昇圧)と3段に分け、を成人・小児とも2〜5 µg/kg/分、上限を50 µg/kg/分とする1。⚠️ 旧様式の同成分ラベルは低用量を0.5〜2 µg/kg/分とし拡張するに脳血管も挙げており、日本の電子添文(イノバン注)には受容体別の用量帯という書き方そのものが無く、用法は1分間あたり1〜5 µg/kg(最大20 µg/kg)である2。詳しくはドパミンのノートを参照。

主な強心薬

薬剤 機序 特徴 注意
β₁優位、β₂ 心拍出を増やし、血管抵抗をやや下げる 頻脈、虚血、低血圧
PDE3阻害 強心・血管拡張、低下 低血圧、不整脈、で蓄積
Ca感受性増強、Kチャネル作用 強心・血管拡張 低血圧、不整脈。敗血症で一律に用いない

「を増やす低用量ドパミン」はAKIの予防・治療に有効ではない。は収縮力を増やす一方、酸素消費と不整脈を増やし得るため、低心拍出・低灌流が確認された症例に限る。

敗血症性ショックでの選択

  1. 初期輸液と感染源治療を進め、ノルアドレナリンを第一選択とする。3
  2. を待って開始を遅らせず、適切な太いから短期間開始してを頻回確認する。
  3. 初期MAP目標は通常65 mmHgとし、、、薬剤副作用で個別化する。血圧だけでなく乳酸、、尿量、心機能を合わせ、高いMAP目標を一律に追わない。4
  4. ノルアドレナリン必要量が増える場合はを追加し、それでも不十分ならアドレナリンを追加する。
  5. 心機能低下があり、十分な容量・血圧にもかかわらず低灌流が続けば、ノルアドレナリンにを追加するか、アドレナリン単剤を検討する。

適応で大きく異なるアドレナリン投与

状況 成人の基本投与
アナフィラキシー 1 mg/mL製剤を0.5 mg、大腿外側へ筋注し、必要なら5分後に反復
心停止 1 mg静注または。非ショック適応では速やかに、VF/pVTでは第3ショック後、その後3〜5分ごと
ショックでの 希釈した投与を血行動態に合わせて漸増

アナフィラキシーの初期治療をで代用しない。アドレナリンは熟練した環境で厳重監視下にする。

安全な投与と評価

  • 連続心電図、頻回の血圧測定、尿量、乳酸推移、、皮膚温を追跡する。
  • 高用量または長期投与では動脈ラインとを検討する。
  • 部位の疼痛、蒼白、腫脹を確認し、時は投与を止めて吸引・局所治療を行う。
  • 目標MAP達成だけで満足せず、心拍出、、微小循環、臓器機能を再評価する。
  • 出血、心タンポナーデ、、肺塞栓、心筋梗塞などの原因治療をで先送りしない。

まとめ

  • 低下には、低心拍出にはを病態に合わせて選ぶ。
  • の第一選択はノルアドレナリンで、反応不十分なら、次いでアドレナリンを検討する。
  • は灌流をつなぐ治療であり、反応と副作用を監視しながら原因治療後に減量する。

出典

  1. 1.DOPAMINE HYDROCHLORIDE injection(Hikma Pharmaceuticals USA Inc.(米国添付文書・DailyMed)・2024)印字された改訂表示が「Revised 4/2024」の米国添付文書(PLR様式)。12.2 Pharmacodynamics が用量帯を逐語で「At <5 mcg/kg/minute, dopamine HCl activates dopamine D1 and D2 receptors in the renal, mesenteric, and coronary vasculature causing vasodilation」「At 5 to 10 mcg/kg/minute, dopamine HCl activates beta-1 receptors enhancing heart rate and contractility」「At >10 mcg/kg/minute, dopamine HCl activates alpha-1 receptors causing vasoconstriction and increased blood pressure」と3段に分けること、2.2 の開始用量が成人・小児とも2〜5 mcg/kg/分で上限が50 mcg/kg/分であること、4 の禁忌が逐語「Dopamine is contraindicated in patients with pheochromocytoma」の1項目のみであることを確認した。⚠️ 旧様式(PLR前)の同成分ラベルは低用量を0.5〜2 mcg/kg/分とし拡張する血管床に脳血管を含めるので、用量帯の数値は文書の版に帰属させる必要がある閲覧 2026-09-17
  2. 2.イノバン注100mg 電子添文(2026年3月改訂・第4版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA。テルモ株式会社)・2026)電子添文の本文を取得して確認した。冒頭の作成又は改訂年月は2026年3月改訂(第4版)。6. 用法及び用量は逐語で「通常ドパミン塩酸塩として1分間あたり1〜5μg/kgを点滴静脈投与し、患者の病態に応じ20μg/kgまで増量することができる。」であり、米国添付文書のような受容体別の用量帯の記載は無い。4. 効能又は効果は急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)。2. 禁忌は褐色細胞腫又はパラガングリオーマの1項目のみで、未治療の頻脈性不整脈又は心室細動は9.1.2(特定の背景を有する患者に関する注意)に置かれる閲覧 2026-09-17
  3. 3.Norepinephrine in Septic Shock: A Systematic Review and Meta-analysis(Western Journal of Emergency Medicine・2021)敗血症性ショックでノルアドレナリンは他の昇圧薬より死亡や目標MAP到達を改善する確証はないが、不整脈を減らしたことを確認した。閲覧 2026-08-20
  4. 4.A plea for personalization of the hemodynamic management of septic shock(Critical Care・2022)敗血症性ショックではノルアドレナリンを第一選択とし、灌流・血流評価に基づき昇圧薬と強心薬を個別化することを確認した。閲覧 2026-08-20