Anesthesiology

Anesthesiology · A-19

呼吸器薬理学

Pharmacology of the Respiratory System

前提:病態
選択的β2刺激薬およびその他の気管支拡張薬気管支抗炎症薬・鎮咳薬・去痰薬ムスカリン受容体遮断薬

🧠 全体像:呼吸器薬は、を広げる薬、炎症を抑える薬、分泌物や咳を調整する薬、感染・血栓を治療する薬に分け、喘息ではICSを軸に、COPDでは症状と増悪歴を軸に選択する。

気道薬の全体像

代表薬 主作用 重要な注意
β₂刺激薬 振戦、頻脈、低K血症、乳酸上昇
遮断による気管支拡張 口渇、尿閉、への曝露
気道炎症・増悪を抑制 嗄声、口腔カンジダ。吸入後
全身性ステロイド の炎症を抑制 高血糖、感染、筋力低下、せん妄
作用を阻害 に注意
COPDのと増悪を抑制 下痢、悪心、体重減少、不眠・抑うつなど
PDE阻害、アデノシン拮抗 治療域が狭く、不整脈・痙攣。一律に使用しない
生物学的製剤 抗IgE、抗IL-5/5R、抗IL-4Rα、抗TSLP 重症喘息の特定炎症経路を抑制 表現型・に基づき専門医が選択

短時間作用性β₂刺激薬(short-acting beta₂-agonist:SABA)、長時間作用性β₂刺激薬、を区別する。

喘息の長期治療

喘息ではSABA単独治療を行わず、成人・思春期患者は全員、ICSを含む治療を受ける。LABAをICSなしで単独使用しない。

flowchart TD
    A["喘息を診断し吸入手技・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adherence'>アドヒアランス</span>を確認"] --> B["優先経路:低用量ICS・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='formoterol'>ホルモテロール</span>を頓用"]
    B --> C{"症状・増悪が持続するか"}
    C -->|"いいえ"| D["低用量を維持し定期再評価"]
    C -->|"はい"| E["ICS・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='formoterol'>ホルモテロール</span>維持・頓用療法へ段階上げ"]
    E --> F{"なお不良か"}
    F -->|"はい"| G["専門評価・表現型判定・LAMAや生物学的製剤"]
    F -->|"いいえ"| D
  • 優先トラックのStep 1〜2:必要時のみ低用量ICS・として使う。
  • ステップ3〜4:ICS・を維持薬かつ薬とするMART(maintenance-and-reliever therapy)を用いる。
  • MARTに使えるICS/LABAは配合剤に限る。他のLABA配合剤を吸入に流用しない。
  • ステップ5:診断、吸入手技、曝露、併存症を再評価し、専門医がLAMA追加や表現型別生物学的製剤を検討する。

急性喘息増悪

反復吸入SABA、必要に応じた、酸素、早期全身性ステロイドを用いる。重症では硫酸Mg静注を検討する。鎮静薬、、抗菌薬を一律投与せず、、意識低下、、増悪するなら挿管を遅らせない。

COPDの安定期治療

気管支拡張後の(FEV₁/FVC)0.7未満で持続性を確認する。FEV₁による重症度と、症状・前年の増悪歴によるABE群は別々に評価する。

旧ABCD患者群分類は初期薬物治療の分類としては用いず、2026年GOLDのABE群を用いる。特にE群は、前年の中等度またはが1回以上あれば該当する。

GOLD 予測FEV₁
GOLD 1 80%以上
GOLD 2 50〜79%
GOLD 3 30〜49%
GOLD 4 30%未満
症状と前年増悪 初期薬物療法の基本
A 0〜1かつCAT 10未満、かつ中等度・なし
B 2以上またはCAT 10以上、かつ中等度・なし LABA+LAMA
E 前年に中等度またはが1回以上 LABA+LAMA。300/µL以上ならLABA+LAMA+ICSを考慮

ICSは肺炎リスクを伴うため、COPDで全員に用いない。喘息合併、増悪歴、数、感染歴を考慮する。禁煙、ワクチン、呼吸リハビリ、吸入手技確認は薬物療法と同じく重要である。

ではなく、FEV₁が予測値50%未満の型で、吸入治療後も増悪、特に入院を要する増悪が続く場合に追加を検討する。開始後は体重、消化器症状、不眠、気分変化やを確認する。

COPD急性増悪

SABA単独またはSAMA併用を反復し、全身性ステロイドを短期間使用する。など細菌感染を示唆する場合や人工呼吸が必要な場合は抗菌薬を検討する。酸素は通常SpO₂ 88〜92%へ調整し、血液ガスでCO₂貯留を確認する。

分泌物・咳の薬

  • ・粘液調整薬は一部の慢性で症状や増悪を減らし得るが、十分な水分、加湿、体位、吸引の代わりではない。
  • は原因治療を優先し、分泌物貯留、呼吸抑制、誤嚥リスクを考慮する。
  • オピオイドは難治性呼吸困難の緩和に使うことがあるが、目的と監視を明確にし、急性低換気を悪化させない。

感染症・肺血栓塞栓症に用いる薬

肺炎では重症度、感染場所、耐性菌リスク、培養を踏まえて経験的抗菌薬を開始し、結果と臨床反応に応じて化する。では病原体・発症時期に応じて抗ウイルス薬を検討する。

が中心で、例では全身血栓溶解、、外科的を多職種で検討する。やステロイドでは血栓による閉塞を治せない。

まとめ

  • 喘息はICSを含む治療が必須で、優先経路はICS・頓用またはMARTである。
  • COPDは重症度とABE群を分けて評価し、B・E群ではLABA+LAMAが基本となる。
  • 吸入薬は薬剤選択だけでなく、デバイス、吸入手技、、副作用の反復評価が治療効果を左右する。