脳神経内科学

脳神経内科学 · G2-07

筋緊張の調節と障害

G2-07: Control and disorders of muscle tone

前提:正常
固有受容反射脊髄の運動機能・脊髄反射・脊髄離断と脊髄ショック筋機能の脊髄上位による調節・姿勢反射
疾患
Meige症候群ジストニアスティッフパーソン症候群進行性脳脊髄炎、硬直とミオクローヌスを伴う
症状
筋強直筋緊張低下痙性麻痺

🧠 全体像:筋緊張は安静時にへ示す抵抗で、・と下行性調節の結果である。亢進を・・に分け、低下では末梢性とを考える。

調節機構

flowchart TD
    A["筋伸張"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscle spindle'>筋紡錘</span> Ia<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afferent fiber'>求心線維</span>"]
    B --> C["脊髄<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha motor neuron'>α運動ニューロン</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homonymous'>同名</span>筋収縮:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stretch reflex'>伸張反射</span>"]
    E["γ運動ニューロン"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscle spindle'>筋紡錘</span>感度を調節"]
    F --> B
    G["皮質・脳幹<span class='jp-term jp-term-diagram' title='descending tracts'>下行路</span>"] --> C
    H["小脳・大脳基底核"] --> G

筋緊張は患者が脱力した状態で関節を異なる速度でし、抵抗、可動域、疼痛を評価する。腱反射、、筋力、も併せる。

筋緊張亢進

型 特徴 主な局在・原因
1 の抵抗増加、、 路:脳卒中、脊髄障害、など
速度に依存しない全可動域の抵抗。・ 大脳基底核、Parkinson病
持続性または間欠性のパターン化した反復性姿勢・運動 遺伝性、薬剤性、構造性、変性疾患など
検者のに不随意に抵抗または協調 、認知症

は単なる「高緊張」ではなく運動異常であり、で誘発・増悪し、隣接する筋群へ活動が波及する(motor overflow)を伴うことがある。

💡 の機序は「(Ib)による抑制」と説明されることが多いが、この説明には異論がある。 ・脊髄背側半切したネコを用いた学的研究では、折りたたみナイフ反射の反射パターンは(Ib線維)にも二次終末(II群線維)にも一致せず、両者はこの反射の主要なではないとされている。伸張・のいずれにも反応する(III・IV群)が媒介する可能性が同じ研究グループの後続論文で報告されている2。この知見はネコのに基づくものであり、ヒトでの直接的な検証ではない点に注意する。

⚠️ modified Ashworth scaleのは「中等度」にとどまる。 33件の研究(参加者1065例)を対象にしたでは、は下肢でICC=0.686・κ=0.360、上肢でICC=0.781・κ=0.625であり、上肢の方が下肢より良好だが全体としては中等度にとどまる3。診察所見だけでの重症度を厳密に追跡することには限界があると理解する。

筋緊張低下

は、末梢神経、、筋の障害でみられ、筋力低下・・を伴いうる。では失調とともに低緊張を示すことがある。急性のもなど初期には弛緩性となり、その後へ移行しうる。

重症筋無力症の本態は筋力低下で、筋緊張が日内に高低を反復する病態とは捉えない。は中枢神経のであり、を一律に障害するわけではない。

まとめ

  • は、は速度非依存性である。
  • は・運動を生む運動異常として評価する。
  • 筋緊張だけでなく筋力、反射、萎縮、失調を組み合わせて局在する。

出典

  1. 1.Pathophysiology of spasticity: implications for neurorehabilitation(BioMed Research International・2014)総説の本文で、痙縮(spasticity)は伸張反射の亢進による速度依存性の筋緊張増加と定義され、上位運動ニューロン症候群(UMNS)の一要素にすぎないこと、中枢性の急性障害(外傷・脳卒中)から痙縮出現までに遅延があることは単純な脱抑制(release phenomenon)だけでは説明できず、脊髄・脳内の可塑的変化(特に固定不動による除反応性低下=postactivation depressionの減弱)が関与することを確認した閲覧 2026-08-27
  2. 2.Neural mechanisms underlying the clasp-knife reflex in the cat. I. Characteristics of the reflex(Journal of Neurophysiology・1990)除脳・脊髄背側半切したネコを用いた電気生理学的研究で、伸張・等尺性収縮に対する折りたたみナイフ反射(clasp-knife reflex)の反射作用は、ゴルジ腱器官(Ib線維)や二次終末(II群線維)の反応特性とは一致せず、両者は折りたたみナイフ反射の主要な媒介者ではないと結論したこと(自由神経終末〈III・IV群求心線維〉が媒介する可能性を後続論文で報告)を確認した(ネコを用いた動物実験)閲覧 2026-08-27
  3. 3.Inter- and intra-rater reliability of the Modified Ashworth Scale: a systematic review and meta-analysis(European Journal of Physical and Rehabilitation Medicine・2018)33件の実証研究(参加者1065例)を対象にした系統的レビュー・メタ解析で、modified Ashworth scaleの評価者間信頼性は下肢でICC=0.686・κ=0.360、上肢でICC=0.781・κ=0.625と、上肢の方が下肢より良好であるものの全体として中等度にとどまることを確認した閲覧 2026-08-27