Pulmonology

Pulmonology · 20

気管支喘息

Bronchial asthma

前提:正常
過敏反応(I〜IV型)呼吸器:気道部(気道平滑筋・杯細胞)
疾患
気管支喘息誘発性喉頭閉塞
症状
呼気性喘鳴
検査値
呼気一酸化窒素濃度

🧠 全体像は、慢性気道炎症を背景に、時間と強さが変動する喘鳴、呼吸困難、、咳と、を示す疾患である。診断は症状だけでなく、の変動をに証明し、治療はを含むレジメンを基本とする。

病態生理

アレルギー性・優位の喘息では、吸入アレルゲンなどにより、肥満細胞がヒスタミン・を放出し、が好酸球性炎症を促す。ただし、すべての喘息がアレルギー性または優位とは限らない。気道は次の3要素で狭窄する。

  1. 炎症メディエーターによる収縮
  2. による気道壁浮腫

増悪の誘因にはアレルゲン、運動、、大気刺激物、感染、ストレス、アスピリン・などがある。、肥満などは症状やコントロールを悪化させうる併存症として評価し、喘息症状との関連がある場合に治療する。

flowchart TD
  A["アレルゲン"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 inflammation'>2型炎症</span>優位例:肥満細胞・Th2・好酸球"]
  I["感染・運動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cold air'>冷気</span>・刺激物"] --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway epithelium'>気道上皮</span>刺激・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway hyperresponsiveness'>気道過敏性</span>・非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 inflammation'>2型炎症</span>"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 inflammation'>2型炎症</span>メディエーター"]
  J --> K["神経反射・非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='type 2 inflammation'>2型炎症</span>メディエーター"]
  C --> L["気道炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway hyperresponsiveness'>気道過敏性</span>"]
  K --> L
  L --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoconstriction'>気管支収縮</span>"]
  L --> E["気道壁浮腫"]
  L --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucus hypersecretion'>粘液過分泌</span>"]
  D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='variable expiratory airflow limitation'>変動性呼気流制限</span>"]
  E --> G
  F --> G
  G --> H["喘鳴・咳・呼吸困難・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chest tightness'>胸部絞扼感</span>"]

気道過敏性とリモデリング

は、運動、などへの過剰な反応である。抗炎症治療で軽減する。

慢性炎症が持続するとが起こる。

  • の肥大・過形成
  • ・線維化
  • 粘液腺増生と粘液産生増加

進行するとの可逆性が低下し、を生じうる。

臨床像

  • 夜間・早朝、運動時、誘因曝露後に悪化する咳
  • 変動する呼吸困難、頻呼吸、
  • 喀痰増加
  • 増悪前の胸部不快感、不安感など
  • は無症状になりうる

喘息の「重症度」は治療開始前の印象だけでなく、良好なコントロールを維持するのに必要な治療強度からに判定する。日常診療では、コントロール良好、部分コントロール、不良と増悪リスクを評価する。

診断

flowchart TD
  A["変動する喘鳴・咳・呼吸困難"] --> B["診察・既往・誘因と鑑別を確認"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator'>気管支拡張薬</span>反応"]
  C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='variable airflow limitation'>変動性気流制限</span>を証明?"}
  D -->|"はい"| E["喘息と診断し表現型・リスクを評価"]
  D -->|"いいえ"| F["症状時再検・PEF変動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='challenge test'>負荷試験</span>"]
  F --> G["必要に応じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway hyperresponsiveness'>気道過敏性</span>・FeNO・アレルギー評価"]
  G --> E

肺機能検査

検査 喘息を支持する所見 注意点
FEV₁低下、FEV₁/FVC低下、気管支拡張後の有意な改善 成人ではFEV₁またはFVCがベースラインから12%以上かつ200 mL以上増加する所見が喘息を支持する 1
1日2回・2週間の平均が成人10%超、小児13%超 との比較が重要。固定した正常値や絶対値だけでは体格差を補正できないため、単独で診断・重症度判定を行わない 1
等でFEV₁が通常20%以上低下 感度は高いが特異度は限定的。重症では禁忌に注意
運動 運動後の を評価
診断補助・重症例の詳細評価

気流変動は検査時に正常なことがある。診断確定前に可能なら証拠を記録する。

炎症・アレルギー評価

  • :感作を示すが、症状との因果は病歴と統合する。
  • 呼気濃度:2型気道炎症とICS反応性の手掛かり。単独で確定診断しない。
  • 末梢血・喀痰好酸球:表現型と生物学的製剤選択に有用。
  • 特異的は重篤反応のリスクがあり、専門施設で限定的に行う。

治療原則

非薬物療法

  • 喫煙・を回避する。
  • 刺激物、個々に確認されたアレルゲン・薬剤誘因を減らす。
  • 吸入手技とを毎回確認する。
  • ワクチン、体重管理、、併存する鼻炎・などを管理する。
  • 書面による喘息行動計画を共有する。

段階的薬物療法の原則

現行GINAでは短時間作用性β₂刺激薬(SABA)単独治療を推奨しない。成人、思春期、6〜11歳の小児では全例にICSを含む治療を用い、就学前児でも喘息と判断した多くの例でICSを組み込む。成人・思春期では必要時低用量ICS-を優先する。1

段階 成人・思春期で優先する治療の考え方
1〜2 必要時低用量ICS-による
3 低用量ICS-
4 中用量ICS-
5 専門医で診断と表現型を再評価し、や表現型別生物学的製剤を検討

ICS-が使えない場合は、維持ICSまたはICS/LABAを用い、必要時にはICS-SABA配合薬、またはSABA使用時にICSも確実に投与する経路を選ぶ。すべてのICS/LABA配合剤をにできるわけではなく、には含有製剤を用いる。LABAをICSなしで使用しない。薬剤選択・段階調整では、先に診断、吸入手技、、誘因、併存症を再評価する。1

主ななどのICSである。追加選択肢には、などのなどの生物学的製剤がある。はICSより抗炎症効果が弱く、神経精神系有害事象を説明する。

急性増悪の初期対応

  • 重症度、会話、呼吸数、脈拍、SpO₂、PEF/FEV₁、意識を迅速に評価する。
  • 吸入SABAを開始し、初期1時間はしながら症状、酸素化、肺機能を再評価する。軽症増悪ではICS-も選択肢になる。高用量SABAによるを増悪悪化と誤認しない。2
  • 室内気SpO₂が92%未満なら制御酸素を開始し、成人・思春期・6〜11歳では92〜95%を目標にする。
  • 中等症・重症では全身性ステロイドを早期投与する。成人ではまたは40〜50 mg/日を通常5〜7日間用いる。1
  • 中等症・重症ではを追加し、集中的な初期治療への反応が乏しい重症例などで静注を検討する。
  • 鎮静薬を避け、肺、、意識障害、CO₂上昇は切迫として救急・対応する。
  • 抗菌薬、胸部X線を全例へに用いない。アナフィラキシーを伴う場合はアドレナリンより先に投与する。1

まとめ

  • 喘息は慢性気道炎症とを特徴とし、・浮腫・が症状を作る。
  • 診断には症状のと、等による気流変動の証明が必要である。
  • 成人・思春期・6〜11歳では全例にICSを含む治療を行い、就学前児でも喘息と判断した多くの例でICSを組み込む。SABA単独とLABA単独を避ける。
  • 吸入手技・・誘因・併存症を確認してから段階的に強化し、安定後は減量も検討する。

出典

  1. 1.Global Strategy for Asthma Management and Prevention(Global Initiative for Asthma・2026)成人喘息の気管支拡張薬反応基準と成人・小児のPEF変動閾値、ICS含有治療と抗炎症性リリーバー、成人・思春期の段階治療、急性増悪時の酸素目標と全身性ステロイド投与を確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.Acute Asthma Exacerbations: Management Strategies(2024)喘息急性増悪の初期1時間に短時間作用性β2刺激薬を反復投与しながら再評価すること閲覧 2026-08-09