Pulmonology

Pulmonology · 28

その他の肺感染症

Other pulmonary infections

前提:病態
ニューモシスチス・イロベチイ肺感染症の病理(結核以外)
画像所見
すりガラス影肺空洞

🧠 全体像:免疫不全患者の肺感染症では、が重要である。の型、進行速度、画像パターンから疑い、だけで確定せず、・組織検査を適切に用いる。

ニューモシスチス肺炎(PCP)

・イロベチイによる真菌性肺炎で、主に細胞性免疫が障害された患者に発症する。

リスク

  • HIV感染、特にCD4 T細胞数低下
  • 臓器・、悪性腫瘍
  • 長期・高用量ステロイドや

臨床像

発熱、進行性呼吸困難、感、体重減少を示し、重症では呼吸不全へ進む。HIV関連では亜急性、非HIV免疫不全では急速に重症化しやすい。

診断

検査 所見・役割
酸素化 安静・労作時低酸素、A-aDO₂上昇
血清 高値なら支持するが非特異的
胸部X線 両側・対称性の周囲〜びまん性間質性陰影;初期正常もある
胸部CT 両側、モザイク状分布;嚢胞を伴うことがある
・BAL PCR、蛍光抗体・で病原体を検出。非HIVでは菌量が少なくBALの感度が重要

病原体検出と臨床像を統合する。PCR陽性は定着との区別が必要で、単独を確定検査としない。

治療

  • 第一選択:。HIV関連PCPでは21日間投与する1
  • 軽症〜中等症:可能
  • 中等症〜重症、吸収不良:静注から開始
  • HIV関連で室内気PaO₂ <70 mmHgまたはA-aDO₂ ≥35 mmHgなら、補助的全身性ステロイドを抗PCP薬開始後できるだけ早く追加1
  • 未開始のHIV関連PCPでは、可能であればPCP治療開始後2週間以内にARTを開始1
  • 呼吸不全では酸素・呼吸補助

HIVにおける一次予防

TMP-SMXが第一選択である。

  • ART未開始または開始時:CD4 <200細胞/mm³で開始
  • ART中:CD4 <100細胞/mm³はHIV RNAに関係なく開始、CD4 100〜200細胞/mm³でウイルス血症が持続する場合も開始
  • ARTでCD4 ≥200細胞/mm³が3か月以上持続すれば中止可能。CD4 100〜200細胞/mm³でもウイルス抑制が3〜6か月持続する場合は個別に検討1

アスペルギルス症

の吸入胞子により、宿主背景に応じてアレルギー性、慢性、侵襲性の異なる病態をとる。主な菌種はAspergillus fumigatusAspergillus flavusである。

病型 典型的宿主 主な病態
喘息、嚢胞性線維症 Aspergillusへの過敏反応、、気管支拡張
慢性肺 結核後空洞、COPDなど既存肺 3か月以上進行する空洞・
侵襲性肺 好中球減少、造血・臓器移植、強力な免疫抑制 血管侵襲、壊死、播種

ABPA

  • 喘息悪化、喘鳴、呼吸困難、褐色を伴う
  • 診断には、基礎疾患または適合する臨床・画像像に加え、Aspergillus fumigatus 0.35 kUA/L以上による感作と、原則として総IgE 500 IU/mL以上を確認する。総IgEが500 IU/mL未満でも、ほかの基準をすべて満たす例では例外的に診断しうる
  • さらに、アスペルギルス特異的IgG、末梢血好酸球500細胞/µL以上(過去値でも可)、ABPAに合う画像所見の3項目のうち2項目以上を確認する2
  • CTで中枢性気管支拡張、、移動性浸潤影
  • 無症候例はに全身治療せず、経過と肺障害リスクで判断する
  • 新規診断またはでは経口単剤または単剤を用いる。両者の併用は反復増悪例で検討し、治療依存・難治例では生物学的製剤も専門的に検討する。2

慢性肺アスペルギルス症・アスペルギローマ

  • 慢性咳嗽、体重減少、感、反復喀血
  • アスペルギルスIgGが重要。CTで既存空洞内を移動する、空洞拡大、、結節
  • 単純性で無症候の単一は、空洞径が6〜24か月にわたり進行していなければ経過観察する
  • 症候性・進行性の慢性空は、または等を少なくとも6か月投与し、反応・再発リスクで延長する。3
  • 重大な喀血では、適格なでは外科切除

侵襲性肺アスペルギルス症

発熱、、喀血、頻呼吸から敗血症・多臓器播種へ進む。

  • CT:結節、梗塞、空洞
  • 血清・BAL、BAL培養・PCR、組織でGrocott/Gömöri
  • 治療:またはを第一選択とし、疑いが強ければ検体結果を待たず早期開始する。は代替となる。重症では静注から開始し、安定例ではも選択できる。34
  • 治療期間は通常6〜12週間以上とし、免疫抑制の程度、感染部位、画像・臨床反応で個別化する。薬では相互作用とを確認し、免疫抑制を可能な範囲で調整する。3

鑑別の流れ

flowchart TD
  A["免疫不全患者の発熱・呼吸困難・肺陰影"] --> B{"主な画像・宿主背景は?"}
  B -->|"びまん性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>"| C["PCPを考え<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-D-glucan'>β-D-グルカン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='induced sputum'>誘発痰</span>/BAL"]
  B -->|"結節・ハロー・空洞"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='invasive aspergillosis'>侵襲性アスペルギルス症</span>を考えCT・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='galactomannan'>ガラクトマンナン</span>・BAL"]
  B -->|"慢性空洞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aspergilloma/mycetoma'>菌球</span>"| E["CPAを考えアスペルギルスIgG"]
  B -->|"喘息 + <span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucus plugging'>粘液栓</span>・中枢性気管支拡張"| F["ABPAを考え<span class='jp-term jp-term-diagram' title='specific IgE'>特異的IgE</span>・総IgE"]
  C --> G["重症度に応じTMP-SMX ± 補助ステロイド"]
  D --> H["抗真菌薬を検体結果前から早期開始"]

まとめ

  • PCPは細胞性免疫不全で生じ、・BALの病原体検出と臨床像で診断する。
  • PCPはTMP-SMXが第一選択で、HIV関連中等症〜重症では酸素化基準により補助ステロイドを追加する。
  • はABPA、CPA、IPAで宿主・検査・治療が異なる。
  • IPAは緊急性が高く、疑いが強ければ等を早期開始する。

出典

  1. 1.Pneumocystis Pneumonia: Adult and Adolescent Opportunistic Infections Guidelines(National Institutes of Health・2026)HIV関連ニューモシスチス肺炎の治療期間、補助ステロイド、一次予防、抗レトロウイルス療法開始時期閲覧 2026-08-02
  2. 2.Revised ISHAM-ABPA Working Group Clinical Practice Guidelines for Diagnosing, Classifying and Treating Allergic Bronchopulmonary Aspergillosis/Mycoses(International Society for Human and Animal Mycology・2024)アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断基準と急性期治療閲覧 2026-08-02
  3. 3.Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Aspergillosis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America(Infectious Diseases Society of America・2016)慢性肺アスペルギルス症と侵襲性肺アスペルギルス症の診断、治療薬、治療期間閲覧 2026-08-02
  4. 4.Diagnosis and treatment of invasive pulmonary aspergillosis in critically ill intensive care patients: executive summary of the German national guideline (AWMF 113-005)(German national guideline group・2025)重症患者の侵襲性肺アスペルギルス症ではCTと気管支肺胞洗浄を用いて診断し、ボリコナゾールまたはイサブコナゾールを第一選択とすることを確認した。閲覧 2026-08-09