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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 症候群

Cogan症候群

Cogan syndrome

別名
コーガン症候群
臓器系
免疫・膠原病耳鼻咽喉科眼科循環器
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 22:急性・慢性感音難聴耳鼻咽喉科 24:人工内耳と植込み型補聴器
上位概念
血管炎(大血管炎・中血管炎・小血管炎)
鑑別疾患
メニエール病梅毒
合併症
大動脈弁閉鎖不全症
続発疾患
感音難聴
治療薬
プレドニゾロンメトトレキサートインフリキシマブ
症状
耳鳴めまい

🧠 全体像は、(眼)と様の感音難聴・回転性めまい・(内耳)という、一見な2つの臓器の炎症が組み合わさって初めて成立する疾患である。CHCC 2012分類では血管径を問わず任意の太さの血管を侵しうるの代表疾患の一つ(もう一方は)とされ、という全身血管炎の顔も併せ持つ。診療上最も重い一点は、難聴は治療が遅れると不可逆になりうるため、全身ステロイドの開始を先延ばしにしないことである。

定義と病型

(非)と様の感音難聴・回転性めまい・)の組み合わせで定義され、典型型と非典型型に分けられる1

項目 典型型 非典型型
の発症間隔 3〜90日以内(2年以内) 2年を超える
炎・・ぶどう膜炎・など
全身血管炎・の頻度 相対的に低い 相対的に高く、予後も悪い

との鑑別が診断名そのものに組み込まれている。 であることが定義の一部であり、梅毒・後天梅毒いずれもを来しうる)を血清学的に除外することが診断の前提になる。

病態

自己免疫機序による血管炎と考えられており、CHCC 2012のに分類される2は「罹患する血管径が一定しない」こと自体が定義になる区分で、は角膜・内耳という微小循環レベルの炎症から、大動脈という大血管の炎症までを同一疾患の中で来しうる点が他の血管炎と異なる。

flowchart TD
    A["自己免疫機序による炎症<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='variable-vessel vasculitis'>可変血管炎</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stroma'>角膜実質</span>の血管新生・炎症"]
    A --> C["内耳・前庭の微小血管炎"]
    A --> D["大血管(大動脈)の炎症"]
    B --> E["非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luetic'>梅毒性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial keratitis'>間質性角膜炎</span>"]
    C --> F["感音難聴・回転性めまい・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tinnitus'>耳鳴</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Ménière&#39;s disease'>メニエール病</span>様)"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aortitis'>大動脈炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aortic regurgitation'>大動脈弁閉鎖不全症</span>・<br>冠動脈起始部病変・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aortic aneurysm'>大動脈瘤</span>"]

臨床像

  • 眼:、眼痛、を伴う非。多くは両側性。
  • 内耳:様の発作性回転性めまい、、進行する感音難聴。急速に進行し両側性となることが多い。
  • 全身:発熱、体重減少、関節痛などの非特異的炎症症状が30〜80%にみられる1
  • ⚠️ は発症から数週〜数年の幅で遅れて出現しうる合併症で、患者の約10%に生じ、は本症の主要な死因である。 大動脈近位部拡張、、冠動脈起始部病変、胸を来しうる1。非典型型でこの全身血管炎・大動脈病変の頻度がより高い1

診断

臨床診断が基本で、非様のの組み合わせから疑う。

  1. 梅毒血清学検査で梅毒によるを除外する。
  2. で感音難聴の進行をに確認する。
  3. 大動脈病変の評価:(拡張期雑音)の聴取、を疑う所見があれば心エコー・CTA/MRAで大動脈径・弁機能を評価する。
  4. ・CRP)は非特異的だが全身炎症の活動性の目安になる。
  5. との鑑別が重要で、片側性・非炎症性の経過や角膜病変を欠くことがを支持する所見になる。

治療

⚠️ 難聴は治療開始が遅れると不可逆になりうるため、診断を確定させてから治療を始めるのではなく、疑った時点で全身ステロイドの開始を遅らせない。 第一選択は高用量ステロイドで、急性期は500 mg〜1 g/日を3日間の、または経口1 mg/kg/日以上を用いる1。それでもステロイド治療下で37〜54%が難聴を残すとされ、早期治療がなお不完全な救済手段であることを踏まえて対応する1

  • 難治例・ステロイド減量困難例メトトレキサート、JAK阻害薬などのを追加する1
  • TNF阻害薬した報告があり、難治例の選択肢となる1
  • リツキシマブは蝸牛機能の温存に有望とされ、を要する事態を回避できる可能性がある1
  • :高度〜が薬物治療に反応しない場合に適応となり、植込み後のは82.5〜94%に達する1
  • を合併する例は、炎症の鎮静化を図りつつ・大動脈置換などの外科的介入のタイミングを個別に検討する。

まとめ

  • は非様の(感音難聴・回転性めまい・)の組み合わせで定義され、CHCC 2012ではと並ぶに分類される。
  • 典型型(眼・耳症状が2年以内に発症)と非典型型(2年超、または)に分かれ、非典型型は全身血管炎・大動脈病変の頻度が高く予後も悪い。
  • ⚠️ 難聴は治療開始が遅れると不可逆になりうるため、疑ったら全身ステロイドの開始を遅らせない。 それでも37〜54%が難聴を残す。
  • 約10%にを合併し、本症の主要な死因になる。
  • 難治例には・TNF阻害薬を追加し、が薬物治療に反応しなければを検討する。

出典

  1. 1.2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides(Arthritis & Rheumatism (American College of Rheumatology)・2013)CHCC 2012分類が血管径を問わず任意のサイズ・種類の血管を侵しうる可変血管炎(variable vessel vasculitis)という区分を設け、代表疾患としてベーチェット病とCogan症候群の2疾患を挙げていることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Cogan Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)典型型Cogan症候群は眼症状と前庭聴覚症状が3〜90日以内(2年以内)に発症するのに対し非典型型は発症間隔が2年を超えるか強膜炎・ぶどう膜炎など間質性角膜炎以外の眼病変を伴うこと、心血管合併症(大動脈炎・大動脈瘤・大動脈弁穿孔・冠動脈病変を含む)が約10%に生じ本症の主要な死因であること、全身症状は30〜80%にみられること、治療は高用量ステロイド(メチルプレドニゾロン500 mg〜1 g/日を3日間、または経口プレドニゾン1 mg/kg/日以上)が第一選択だがステロイド治療下でも37〜54%が難聴を残すこと、難治例にはメトトレキサート・アザチオプリン・シクロホスファミド・シクロスポリン・JAK阻害薬を用い、TNF阻害薬(インフリキシマブ)が奏効しリツキシマブが蝸牛機能温存に有望であること、高度〜重度難聴で薬物治療に反応しない例には人工内耳を検討し植込み後の語音明瞭度が82.5〜94%に達すること、有病率50万人に1人未満で1945年以降世界で約250例の報告にとどまる稀少疾患であり平均発症年齢25歳(5〜63歳)・小児例の診断時年齢中央値12歳・性差なくおおむね白人の若年成人に多いこと、非典型型は典型型より全身血管炎・大動脈病変を伴いやすく予後不良となる傾向があることを確認した。閲覧 2026-08-11