薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A13 Antigout drugs / 痛風治療薬 · 必修

コルヒチン

colchicin

分類
Antigout drugs / 痛風治療薬
商品名(EU)
Colchicum-Dispert
科目
Pharmacology
トピック
A13: Drugs used for treatment of gout. Drugs for headache syndromes
副作用
下痢
監視検査値
血算クレアチニン
相互作用
クラリスロマイシン
対象疾患
Dressler症候群ベーチェット病家族性地中海熱偽痛風急性心膜炎結節性血管炎結節性紅斑全身性エリテマトーデス痛風
原因となる疾患
横紋筋融解症

🧠 全体像の中で唯一尿酸値を一切動かさない薬である。に結合して好中球の遊走とNLRP3を止めるという、そのものを標的にした機序のため、に加えなどが病態の中核にあるへ適応が広がる。もう一つの治療域の狭さで、CYP3A4・P-gpの両方で代謝・排出されるため、これらを阻害する薬(が典型)との併用は血中濃度を跳ね上げ、致死的なを起こしうる。

薬効群の中での位置づけ

の治療は「尿酸を下げる」のではなく「炎症を止める」のが目的で、3つの選択肢のうちは独自のを持つ。

選択肢 機序 特徴・使い分け
結合→微小管重合阻害→抑制 NSAID・ステロイドが使いにくい例の代替。治療域が狭い。痛風以外の疾患にも応用が利く
NSAIDs(など) COX阻害 の古典的な第一選択肢。腎障害・消化管出血・心不全では慎重に
グルココルチコイド 広範な抗炎症作用 を除外してから使用。腎・消化管に配慮が要る場面で選びやすい

は慢性期の)とは役割が違う。 ULT開始・増量時は尿酸値の急激な変動で発作が誘発されやすいため、として併用するが、自体が尿酸を下げているわけではない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colchicine'>コルヒチン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubulin'>チューブリン</span>に結合"] --> B["微小管の重合を阻害"]
    B --> C["好中球の遊走・貪食・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='degranulation'>脱顆粒</span>が障害される"]
    B --> D["NLRP3<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammasome'>インフラマソーム</span>の組み立てが阻害される"]
    D --> E["IL-1βの産生・放出↓"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monosodium urate crystal'>MSU結晶</span>部位への好中球集積↓"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute inflammation'>急性炎症</span>反応が鎮静化"]

💡 微小管は細胞内の「線路」に相当する。 これが壊れると好中球は結晶がした部位へ移動できず、細胞内の形成もその一つ)もうまく組み立たない。尿酸値そのものには一切作用しないため、だけで痛風を「治す」ことはできない。

薬物動態

項目 値・特徴
約45%(が大きい)
代謝 主にCYP3A4で代謝される
排出 P-gp(P糖蛋白)の基質であり、腸管・腎からの排出にP-gpが関与する
分布 白血球を含む組織へ広く分布し蓄積するため、血漿中の消失(半減期約9〜11時間)よりも作用は長く持続する
排泄 腎・胆汁の両経路で排泄される。腎・肝機能のいずれが低下しても蓄積しうる

⚠️ CYP3A4とP-gpの両方に依存するという代謝経路の性質が、この薬の危険な相互作用の正体である。 どちらか一方でも強力に阻害されれば血中濃度が跳ね上がり、狭い治療域をすぐに超える。

適応

領域 使いどころ
リウマチ・代謝 の治療。NSAID・ステロイドが使いにくい場面の代替
のための慢性連日投与が中心治療
循環器 :NSAIDsとの併用で再発予防効果を高める
・血管炎 :粘膜・皮膚・状のコントロール
皮膚 :反復・遷延例でNSAIDs不十分時の追加選択肢

用法・用量

PO。:現行の標準は少量頻回投与(例:発作早期に1回量を内服し、以後は添付文書の間隔で少量を追加)で、下痢が出るまで頻回投与を続ける2009年以前の高は行わない。FMFなどの:慢性連日投与を継続する。の再発予防:NSAIDsと組み合わせて数か月継続する。実際の用量は適応・腎肝機能・併用薬で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:重度腎障害または重度肝障害と、などの強力なP-gp/CYP3A4阻害薬の併用(血中濃度上昇による重篤な中毒。死亡例の報告がある組み合わせ)
  • ⚠️ 治療域が非常に狭く、は致死的になりうる。 特異的なは存在しない
  • 腎機能・肝機能に応じた減量が必要(両方が低下している例は特にハイリスク)
  • スタチン系薬との併用はのリスクを高めうる
  • 静注は重篤な組織毒性のため用いない

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢・悪心などの消化器症状(であり、初期の中毒徴候にもなる)
注意 脱毛、末梢神経障害
重篤・まれ 骨髄抑制、(特にスタチン併用時)、、過量・重度腎肝障害+阻害薬併用時の

まとめ

  • に結合し微小管重合を阻害する。尿酸値は一切変えない。
  • 好中球の遊走とNLRP3を抑えることで、からFMF・まで疾患に幅広く使える。
  • CYP3A4とP-gpの両方に依存する代謝のため、強力な阻害薬(など)との併用、特に腎肝機能低下例では致死的中毒のリスクがある。
  • 治療域が狭くは致死的。特異的はない。
  • 急性発作の治療は現在、少量頻回投与が標準で、下痢が出るまでの大量投与は行わない。
  • 下痢・消化器症状は高頻度かつ。骨髄抑制・は重篤なとして現れる。