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Drug Atlas · B7 BMP/activin pathway inhibitors / BMP・アクチビン経路阻害薬

ソタテルセプト

sotatercept

分類
Vasodilators / 血管拡張薬
商品名(EU)
Winrevair
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
Pulmonary hypertension
承認適応
肺高血圧症
副作用
頭痛めまい皮疹歯肉出血

🧠 全体像:ソタテルセプトは、B7に並ぶ既存の(・・、・、、)とは根本的に作用機序が異なる。これらが血管を「弛緩」させるのに対し、ソタテルセプトは「」として、の異常な増殖・リモデリングそのものを促すBMP/経路の不均衡を是正する。既存薬が症状(血管トーン)に効くのに対し、ソタテルセプトは疾患の下流にある構造的なに介入する初のPAH治療薬として位置づけられる。

薬効群の中での位置づけ

B7の既存薬は、いずれもNO–cGMP経路・経路・という血管トーンを調節する経路に作用する。ソタテルセプトはこれらのどれにも当てはまらない、まったく別の生物学的経路(BMP/シグナル)を標的とするため、新しいlearning.group(BMP/activin pathway inhibitors/BMP・経路阻害薬)として位置づける。

経路 代表薬 作用
・ ETA/拮抗による血管弛緩
NO–cGMP経路 ・ cGMP増加による血管弛緩
・ 作動による血管弛緩とわずかな
BMP/経路 ソタテルセプト により異常なを抑制

⭐ PAHの病態は「血管が縮む」だけでなく「血管壁が増殖してリモデリングする」ことも本質である。 既存の3経路薬(・NO–cGMP・)は主に血管弛緩(トーンの調節)を介して作用するのに対し、ソタテルセプトはBMPR2機能低下と優位という、PAHの発症・進行を駆動するの不均衡そのものに介入する点で異なる。

機序

flowchart TD
    A["正常ではBMP経路が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>の<br>増殖を抑制する方向に働く"] --> B["BMPR2機能低下(特発性・遺伝性PAHで頻出)"]
    B --> C["BMP経路による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inhibitory signal'>抑制シグナル</span>が弱まる"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activin'>アクチビン</span>A等のTGF-βスーパーファミリーリガンド"] --> E["ActRIIA受容体に結合し増殖促進シグナルを伝達"]
    C --> F["BMPと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activin'>アクチビン</span>のバランスが増殖優位へ傾く"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary vascular smooth muscle'>肺血管平滑筋</span>・内皮の異常増殖とリモデリング"]
    H["ソタテルセプト(ActRIIA<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span>+IgG1 <span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc fusion protein'>Fc融合蛋白</span>)"] --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activin'>アクチビン</span>Aなどのリガンドを『<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decoy receptor'>おとり受容体</span>』として捕捉"]
    I -.->|"ActRIIAへの結合を妨げる"| E
    I -.->|"増殖促進シグナルを減弱させ<br>BMP/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activin'>アクチビン</span>の均衡を回復"| F

💡 「トラップ()」という。 ソタテルセプトは受容体そのものを遮断する拮抗薬ではなく、受容体のを模した可溶性のとして血中を漂い、本来ActRIIAに結合するはずのリガンド(Aなど)を先に捕まえてしまう。標的は受容体ではなくリガンド側であり、この点がなど既存の受容体拮抗薬と機序上異なる。

適応

既存の背景治療(・/sGC刺激薬・)を受けているPAH(WHO第1群)成人に対する追加治療として、・の改善、およびPAHによる入院・・死亡を含むリスクの低減を目的に用いる1。米国添付文書の適応欄は背景治療の薬剤数を限定していないが、承認根拠のSTELLAR試験では組入例の61.3%が3剤併用を受けていた2。FDAは2024年3月26日にBLA 761363を承認した3。ERS(欧州呼吸器学会)の2026年版指針は、既にPAH治療を受けていて追跡時のリスクが中間低・中間高・高リスクの患者への追加を高い確実性で推奨しており、これはB7既存3経路の治療で目標リスクに到達できない場合のとして位置づけられる。低リスク患者については試験に含まれた該当患者が少なく確実性が低いため推奨自体が出されていない4。

用法・用量

0.3mg/kgを皮下注射し、3週ごとに0.7mg/kgへ増量する。ヘモグロビン・血小板の変動に応じたが必要で、初回5回投与前(値が不安定な間はそれ以降も)にヘモグロビン・血小板を毎回測定し、その後も定期的にモニタリングする1。投与を受ける患者は専門施設で定期的な追跡と適切な検査を含めて管理する4。

禁忌・注意

  • 添付文書に禁忌・の記載は無い1
  • ⚠️ (ヘモグロビン上昇)と血小板減少が対になって起こりうる。 ヘモグロビン上昇は血栓塞栓症リスクを、血小板減少は出血リスクをそれぞれ高めうるため、投与前・投与中の血液検査モニタリングが必須である1
  • ⚠️ やとの併用時は重篤な出血のリスクが高まるとされる1

副作用

頻度 内容
高頻度(≥10%かつ比+5ポイント以上) 感染症、、、下痢、頭痛、皮疹、ヘモグロビン増加、めまい、紅斑、1
注意 血小板減少に伴う

まとめ

  • ソタテルセプトはActRIIAのとIgG1 Fcを連結したで、Aなどのリガンドを「」として捕捉し、BMP/経路の増殖促進シグナルを抑える「」である。
  • 既存のB7薬(・NO–cGMP経路薬・)が血管トーンの弛緩に作用するのに対し、ソタテルセプトはを駆動するの不均衡そのものに介入する点で機序が異なるため、新しいlearning.group(BMP/activin pathway inhibitors)として区別する。
  • 既存の背景治療を受けているPAH成人への追加治療として、2024年3月26日にFDAがBLA 761363を承認した3。STELLAR試験では24週時点のを40.8m改善し、・死亡のリスクを0.16まで低減した2。
  • 開始0.3mg/kgから3週ごとに目標0.7mg/kgへ増量する皮下注射で、ヘモグロビン・血小板の定期モニタリングが必須。禁忌・の記載はないが、と血小板減少が対になって起こりうる。
  • ERSの2026年更新指針は中間低〜高リスク患者への追加を高い確実性で推奨し、専門施設での管理を求めている。低リスク患者への推奨は確実性不足のため見送られている。

出典

  1. 1.WINREVAIR- sotatercept-csrk kit(Merck Sharp & Dohme LLC(DailyMed 掲載)・2026)ソタテルセプトがヒトアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)の細胞外ドメインとヒトIgG1のFcドメインを連結したホモ二量体型組換え融合蛋白であり、アクチビンAを含むTGF-βスーパーファミリーのリガンドに結合してアクチビンシグナル伝達を阻害し血管組織の増殖促進・抑制シグナルの均衡を回復させる薬であること、適応がPAH(WHO第1群肺高血圧症)成人での運動耐容能・WHO機能分類の改善とPAHによる入院・肺移植・死亡を含む臨床的増悪リスクの低減であること、用法が開始用量0.3mg/kgの皮下注射から3週ごとに目標用量0.7mg/kgへ増量すること、初回5回投与前および値が不安定な間はヘモグロビン・血小板を毎回測定しその後も定期的にモニタリングすること、添付文書に禁忌・枠組み警告の記載が無いこと、頻度10%以上かつプラセボ比5ポイント以上高い有害事象として感染症・鼻出血・毛細血管拡張・下痢・頭痛・皮疹・ヘモグロビン増加・めまい・紅斑・歯肉出血が挙げられることを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Phase 3 Trial of Sotatercept for Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension(The New England Journal of Medicine・2023)STELLAR試験(WHO機能分類II・III度のPAH患者323例を対象とした第3相無作為化プラセボ対照試験。組入基準は90日以上の安定した背景治療を受けていることのみで薬剤数は限定されず、実際の組入例では61.3%がエンドセリン受容体拮抗薬・PDE5阻害薬/sGC刺激薬・プロスタサイクリン経路薬の3剤併用を受けていた)で、ソタテルセプト0.7mg/kgを3週ごとに皮下投与する群がプラセボ群に対し、主要評価項目である24週時点の6分間歩行距離を40.8m(95%信頼区間27.5〜54.1、p<0.001)改善したこと、副次評価項目9項目中8項目(WHO機能分類・肺血管抵抗などを含む)で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示したこと、臨床的増悪または死亡のリスクを追跡期間中央値32.7週でハザード比0.16(95%信頼区間0.08〜0.35、p<0.001)まで低減したことを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.BLA 761363 Approval Letter — Winrevair (sotatercept-csrk)(U.S. Food and Drug Administration・2024)承認書の全文を取得して確認した。FDAが2024年3月26日付(署名日)でBLA 761363(Merck Sharp & Dohme社、2023年7月26日付申請)を承認し、ソタテルセプト(Winrevair)をPAH(WHO第1群肺高血圧症)成人の運動耐容能増加・WHO機能分類改善・臨床的増悪リスク低減を適応として認めたこと、45mg・60mgのバイアル製剤として販売が許可されたことを確認した。閲覧 2026-09-29
  4. 4.European Respiratory Society clinical practice guidelines update for the treatment of pulmonary arterial hypertension(European Respiratory Society・2026)抄録で確認した(全文は未取得)。既にPAH治療薬を受けていて追跡時に中間低・中間高・高リスクの患者へソタテルセプトの追加を推奨し、その根拠を無作為化比較試験に基づく高い確実性としていること、低リスクの患者については確実性が低く試験に含まれた該当患者も少ないため推奨を出していないこと、ソタテルセプトを受ける患者は肺高血圧症専門施設で定期的な追跡と適切な検査を含めて管理すべきとしていること、追跡時のRHCについても中間低・中間高・高リスクで治療上の帰結が見込まれる場合に行うことを提案し、低リスクでは確実性が非常に低いため推奨を出していないことを確認した。閲覧 2026-09-21