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Lab values · Published

Na排泄分画

Fractional excretion of sodium

別名
FENaナトリウム排泄分画
臓器系
腎・泌尿器
科目
Internal MedicineAnesthesiology
トピック
内科学 N-02:尿細管間質性疾患・嚢胞性腎疾患麻酔科学 B-01:ICUにおける急性腎障害の病態・診断・治療内科学 L-36:急性腎障害
関連疾患
急性腎障害

🧠 全体像:FENaは血清や尿から直接読む値ではなく、糸球体で濾過されたNaのうち尿へ排泄された割合を推定する算出値である。1%未満で、2%超でという数字だけを覚えても実務では外れることが多く、利尿薬・などの偽陰性の条件を先に確認してから読む指標だと理解しておく方が実用的である。主に・腎性鑑別で使う。

何を計算しているか

濃度は尿の濃縮度(水分の再)に左右されるため、その値だけでは尿細管がNaをどれだけ処理したかは分からない。そこでNaと同時にクレアチニンという「濃縮の物差し」を測り、両者の比をとることで水分再吸収の影響を打ち消す。FENaは「濾過されたNaのうち何%が尿中に排泄されたか」であり、尿細管がNaをどれだけ再吸収できているかを裏側から見ている。

計算式と判定

FENa (%)=×血清Cr血清Na×尿中Cr×100\mathrm{FENa}\ (\%) = \frac{\text{} \times \text{血清Cr}}{\text{血清Na} \times \text{尿中Cr}} \times 100
FENa 示唆
1%未満 (尿細管がNaを再吸収できている)
2%超 (尿細管の再吸収機構が障害されている)
1〜2% 域。他の所見と合わせて解釈する

1%という閾値は、正常なでは1日あたり約26,000 mEqのNaが濾過され、FENa 1%はその1%=約260 mEq/日の排泄に相当し、通常の食事Na摂取量を上回るという考え方に基づく1

病態生理

ではの低下をRAA系とが感知し、でのNa再吸収を強める。が保たれている限り、この機序だけでFENaは低く保たれる。では虚血や腎によりそのものが障害され、の脱落やでこの再吸収機構が働かなくなるため、灌流が悪くてもNaが漏れ出てFENaは上昇する。

⚠️ 判定の前に確認すること

FENaは単独では診断を決められない。数字を見る前に、次の条件を確認しないとする。

利尿薬を使っていないか

系はでのNa再吸収を的に阻害するため、であってもFENaが偽って高値になる。利尿薬投与下ではFENaではなくを使ったFEUN(排泄分画)で代替する。

FEUN (%)=尿中×血清Cr窒素×尿中Cr×100\mathrm{FEUN}\ (\%) = \frac{\text{尿中} \times \text{血清Cr}}{\text{窒素} \times \text{尿中Cr}} \times 100

尿素はで水とともに受動的に再吸収されるため、遠位側に作用する利尿薬の影響を受けにくい。35%未満はを示唆し、利尿薬投与中の群でもFENa基準を満たしたのは48%にとどまる一方でFEUN基準を満たしたのは89%だったと報告されている2。ただし別の検討ではFEUNの特異度が利尿薬投与例で大きく低下したとの報告もあり、FEUNも万能ではない1

1%未満でも腎前性でないもの

次はいずれも尿細管のNa再吸収機構自体は保たれているために低FENaになるが、を戻せば治るではない。実務ではこの一覧を確認する価値が最も高い。

病態 低FENaになる理由
血管収縮が主体の初期には尿細管のNa再吸収機構が保たれる
・ヘム腎症 によるの初期も同様に保たれる
急性糸球体腎炎 尿細管ではなく側の障害でGFRが下がり、二次的にNa再吸収が強まる
機能性の血行でNa再吸収が強く保たれる
による圧低下でNa再吸収が強まる
でNa再吸収が強まる
早期の 閉塞初期は尿細管機能が保たれたままGFRのみ低下する

慢性腎臓病では判定できない

CKDでは残存あたりのNa負荷が既に増えており、基礎のFENaが健常者より高い。が重なっても低FENaにならないため、かどうかをFENaだけで判定できない。

乏尿がないと解釈が崩れる

FENaはAKIで検証された指標であり、の患者に同じ閾値をそのまま当てはめない。

評価の進め方

flowchart TD
    A["AKIを確認する"] --> B{"利尿薬を投与中か"}
    B -->|"あり"| C["FEUNを計算する"]
    B -->|"なし"| D["FENaを計算する"]
    C --> E["尿沈渣(円柱)と合わせて解釈する"]
    D --> E
    E --> F{"CKD・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonoliguric'>非乏尿性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spuriously low value'>偽性低値</span>の条件はないか"}
    F -->|"該当する"| G["FENa・FEUN単独で判定しない"]
    F -->|"該当しない"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prerenal'>腎前性</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular injury'>尿細管障害</span>かを推定する"]
    H --> I["画像で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postrenal'>腎後性</span>を除外する"]

FENa・FEUNは単独の数値では完結しない。尿沈渣(特にとしての)、尿浸透圧、画像所見と組み合わせて初めて解釈できる。

測定上の注意

⚠️ FENaもFEUNも、次の条件がずれると値そのものが信頼できなくなる。

  • 同時刻のスポット尿と血清で測定する。時間がずれた検体では濃縮度の前提が崩れる。
  • 利尿薬の最終投与から時間が経っていないと、薬剤の影響を残したままFENaが偽って高値になる。
  • 造影剤投与直後は、造影剤自体のでNa排泄が一時的に増え、FENaが偽って高値になり得る。
  • 検体の取り違え(別時点・別患者の尿と血清の組み合わせ)は値そのものを無意味にする。

まとめ

  • FENaは濃度をクレアチニンで補正し、濾過Naのうち何%が排泄されたかを推定する算出値である。
  • 1%未満は、2%超はを示唆するが、単独では診断を決められない。
  • 利尿薬投与下ではFENaでなくFEUN(35%未満で)を使う。ただしFEUNも研究間で特異度がばらつく。
  • 、急性糸球体腎炎、、早期閉塞では1%未満でもでない。
  • CKDとの患者には同じ閾値を当てはめない。尿沈渣・尿浸透圧・画像所見と組み合わせて解釈する。

出典

  1. 1.Significance of the fractional excretion of urea in the differential diagnosis of acute renal failure(Kidney International・2002)FEUN35%未満という閾値と、利尿薬投与下の腎前性群でFENa基準を満たしたのは48%にとどまる一方FEUN基準を満たしたのは89%だったことを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Fractional Excretion of Sodium (FENa): Diagnostic Godsend or Gimmick?(NYU Langone Health / Clinical Correlations・2012)FENa1%閾値の由来と、造影剤腎症・横紋筋融解症・肝腎症候群・心腎症候群・CKDでFENaが偽って低値になり得ること、利尿薬投与下ではFEUNの特異度も研究間でばらつくことを確認した閲覧 2026-08-03