内科学

内科学 · R-02

全身性エリテマトーデスの診断と治療

Systemic Lupus Erythematosus: Diagnosis and Treatment

前提:病態
免疫薬理学I(細胞傷害性薬)免疫薬理学III(抗体・融合タンパク質)
前提:正常
自己抗体のスクリーニング法
疾患
全身性エリテマトーデス薬剤誘発性ループス
検査値
抗dsDNA抗体抗Sm抗体抗U1-RNP抗体抗ヒストン抗体抗核抗体
スコア
ACR/EULAR分類基準

🧠 全体像:SLEの診断は「陽性だからSLE」ではなく、臨床像、特異抗体、補体、臓器障害を統合してを除外する。治療はを土台とし、ステロイド曝露を最小化しながら臓器別に免疫調節薬を組み合わせる。

自己抗体と検査

検査 意義 注意点
感度が高く、2019 /ACR分類の入口 特異度は低く、陽性だけでは診断できない
抗dsDNA抗体 特異度が高く、腎炎・疾患活動性と関連 力価の変化だけで治療を決めない
SLEへの特異度が高い 感度は低い
抗Ro/SSA・ 、などと関連 妊娠時は胎児房室ブロックのリスク評価が必要
重複症候群、でも陽性 臨床像と合わせる
、抗、抗β2GPI抗体 持続性を再検で確認し、血栓・妊娠合併症を中心に微小血管・心弁膜・血液所見も含め臨床像と統合する1
C3・C4、抗dsDNA 活動性、とくに腎炎の追跡に有用 感染症との区別には症状・培養等も必要

基本評価には、腎・肝機能、尿検査・尿沈渣、尿蛋白/Cr比、補体、炎症反応を含め、症状に応じて心肺・神経・眼・画像検査を追加する。

2019 EULAR/ACR分類基準

分類基準は研究集団をするためのもので、臨床診断を置き換えない。2

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antinuclear antibody'>ANA</span> 1:80以上を一度でも確認"] --> B["臨床・免疫ドメインを評価"]
  B --> C["各ドメインは最高点のみ加算"]
  C --> D["少なくとも1つの臨床項目"]
  D --> E["合計10点以上"]
  E --> F["SLE分類基準を満たす"]

主な点は、増殖性、、神経病変、、、などである。感染、薬剤、悪性腫瘍、他の自己免疫疾患でよりよく説明できる所見は加点しない。

💡 旧ACR「11項目中4項目」やSLICC基準は歴史的・価値があるが、現在の標準的分類は2019 /ACR基準である。SLICCの「生検で証明された+または抗dsDNA」という考え方は、腎炎から発症する例を理解する助けになる。

治療の原則

  1. 、禁煙、運動、感染・骨粗鬆症・心血管リスク対策を行う。
  2. 禁忌がなければHCQを基本薬とし、体重に応じた用量と眼科スクリーニングを行う。
  3. グルココルチコイドは臓器障害を速やかに抑えるために用いるが、可能な限り短期・低用量化する。
  4. 目標は寛解または低疾患活動性であり、と不可逆的臓器障害を防ぐ。3
病態 主な肢
皮膚・関節中心の軽症 HCQ、局所治療、短期、必要最小限のステロイド;不十分ならなど
または中等症 、AZA、MMF、、などを病型に応じて追加
臓器・生命を脅かす病変 を含む迅速な治療とMMFまたはなど
血栓性APS 免疫抑制だけでなく、病型に応じた

ループス腎炎

  • 尿蛋白/Cr比が0.5 g/gを超える、または他に説明できない腎機能低下では腎生検を検討する。
  • 活動性III/IV型では、低用量化したステロイドにMMFまたは低用量静注を組み合わせる。腎・腎外活動性、蛋白尿、予後因子に応じ、またはを追加する併用療法を検討する。3
  • 純粋V型で蛋白尿が強い場合も、MMFを基盤とする治療、やの追加など複数の選択肢から個別化する。3
  • 尿蛋白は治療反応が得られるまで少なくとも3か月ごと、安定後も3〜6か月ごとに定量する。

薬剤誘発性ループス

は、、、、、などで起こり得る。古典的な薬剤誘発例では発熱、関節痛、が多く、腎・中枢神経病変は少ないが、臨床像と血清学的特徴は原因薬により異なる。関連例では抗dsDNA抗体やを伴うことがあり、を一律の指標にしない。原因薬中止と臨床経過を含めて判断する。4

まとめ

  • は入口であり、特異抗体・補体・臓器所見とが必要である。
  • 2019 /ACR分類はを入口とするスコアで、そのものではない。
  • HCQを土台にステロイドを最小化し、臓器別の免疫調節薬を早期に組み合わせる。

出典

  1. 1.The 2023 ACR/EULAR Antiphospholipid Syndrome Classification Criteria(American College of Rheumatology / EULAR・2023)APSの持続性抗体確認と臨床・検査ドメインを用いる加重分類を支持する閲覧 2026-08-13
  2. 2.2019 European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology classification criteria for systemic lupus erythematosus(Annals of the Rheumatic Diseases(EULAR/American College of Rheumatology)・2019)ANAを入口とする加重分類基準と、分類基準が臨床診断を置き換えないことを支持する閲覧 2026-08-13
  3. 3.EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update(European Alliance of Associations for Rheumatology(Fanouriakis et al., Ann Rheum Dis)・2023)HCQを基盤としたステロイド最小化、臓器別免疫調節、ループス腎炎の併用療法を支持する閲覧 2026-08-13
  4. 4.Drug-induced lupus: Traditional and new concepts(Autoimmunity Reviews・2018)薬剤誘発性ループスの臨床像が原因薬により異なることを支持する閲覧 2026-08-13