Internal Medicine

Internal Medicine · L-01

心不全

Heart failure

前提:病態
心不全の原因と症状心不全(心機能不全)の病態機序うっ血と臓器所見
前提:正常
心臓のポンプ機能と心拍出量の調節
疾患
慢性心不全
症状
末梢浮腫労作時呼吸困難

🧠 全体像:心不全は、心臓の構造・機能異常によって心拍出量が需要を満たせない、または正常な心拍出量を保つために上昇を要するである。診療では「うっ血」「」「」の3軸で整理し、慢性期は予後改善治療、時は酸素化・灌流・うっ血解除を優先する。

定義と分類

分類 LVEF 診断上の要点
低下心不全 ≤40% 収縮機能低下が中心
軽度低下心不全 41–49% 症状・徴候に加え、または上昇を示す所見
保持心不全 ≥50% LVEFだけでは診断できず、拡張障害・などを統合

時間軸ではに分ける。・右心不全は排他的ではなく、進行例では両者が併存する。

原因と増悪因子

病態生理

flowchart TD
    A["心筋・弁・血管の構造/機能異常"] --> B["心拍出量低下"]
    B --> C["交感神経・RAAS・AVP活性化"]
    C --> D["頻脈・血管収縮・Na/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='water retention'>水貯留</span>"]
    D --> E["前負荷・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload'>後負荷</span>上昇"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular remodeling'>心室リモデリング</span>と心不全進行"]
    B --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='forward failure'>前方不全</span>:腎・脳・末梢の低灌流"]
    E --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='backward failure'>後方不全</span>:肺・体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous stasis'>静脈うっ血</span>"]

臨床像

病態 主な症状・所見
うっ血 、肺水腫
うっ血 、腹水、体重増加
低灌流 、乏尿、意識変容、、低血圧、乳酸上昇
全身症状 低下、食欲低下、

NYHA心機能分類

分類 と症状
I 日常ので症状なし
II 軽度制限。通常の活動で症状が出る
III 高度制限。通常以下の活動で症状が出るが安静時は無症状
IV 安静時にも症状があり、で増悪

診断

flowchart TD
    A["心不全を疑う症状・徴候"] --> B["病歴、診察、ECG、胸部X線、基本採血"]
    B --> C["BNP/NT-proBNP"]
    C -->|"低値で臨床的疑いも低い"| D["心不全以外を検討"]
    C -->|"上昇または強い臨床的疑い"| E["心エコー"]
    E --> F["LVEF、弁、壁運動、右心、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='filling pressure'>充満圧</span>を評価"]
    F --> G["原因・増悪因子・表現型を確定"]
  • BNP/は除外に有用だが、肥満では低め、腎機能低下・高齢・心房細動では高めになり得る。
  • 心エコーはLVEF、、壁運動、弁膜症、右室機能、肺高血圧を評価する中心的検査である。
  • 胸部X線では肺うっ血、胸水、を確認するが、正常像でも心不全を否定できない。
  • 原因検索として虚血評価、甲状腺機能、鉄欠乏、、冠動脈画像などを病態に応じて追加する。

慢性期治療

HFrEFの基本薬物治療

予後改善の中心は、(またはACE阻害薬/ARB)、エビデンスのあるβ遮断薬、、SGLT2阻害薬のである。を確認しながら早期に導入し、利尿薬はうっ血を解除するために用いる。

治療 主目的・注意
ARNI/ACE阻害薬/ARB RAASとリモデリングを抑制。血圧、K、腎機能を監視
β遮断薬 安定した慢性期に導入。急性ショック時の新規増量は避ける
MRA 死亡・入院を減らす。高K血症と腎機能に注意
SGLT2阻害薬 糖尿病の有無にかかわらず心不全イベントを減らす
うっ血と症状を軽減。体重、尿量、腎機能、電解質を再評価

HFmrEF・ではSGLT2阻害薬、うっ血への利尿薬、血圧・心房細動・虚血・肥満・糖尿病・腎疾患など併存症の治療が中心となる。

デバイス・介入

  • :十分な薬物治療後も重度の左室収縮不全が残り、予後が見込める症例で突然死予防を検討する。
  • :LVEF低下、幅広いQRS、特にを伴う症候性心不全で適応を評価する。
  • 原因となる冠動脈疾患、弁膜症、不整脈には、弁治療、などを検討する。

急性増悪時の評価と治療

プロファイル 解釈 初期方針
温暖・乾燥型 灌流良好、うっ血なし 誘因検索と慢性治療調整
温暖・湿潤型 灌流良好、うっ血あり 静注利尿薬。高血圧性ならを検討
・乾燥型 低灌流、うっ血なし を再評価し、真のなら慎重に補液
・湿潤型 低灌流とうっ血 ショック対応、必要時、うっ血治療を並行

酸素は低酸素血症に投与し、が高い肺水腫ではを検討する。ではノルアドレナリンを基本とし、持続する低心拍出では病態に応じを専門チームで評価する。

まとめ

  • 心不全はLVEFだけでなく、うっ血・灌流・原因・時間軸を統合して診断する。
  • HFrEFではARNI/ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬が予後改善の軸となる。
  • 急性期は温暖/・乾燥/湿潤(warm/cold・wet/dry)のプロファイルで整理し、酸素化、灌流、うっ血、誘因を同時に治療する。

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