Obstetrics

Obstetrics · 09

妊娠と腎疾患・尿路感染症

Pregnancy and kidney diseases. Urinary tract infections

前提:病態
急性腎不全の原因と全身的影響大腸菌
前提:正常
腎循環・糸球体濾過

🧠 全体像:妊娠ではGFRが増えるためは低下し、非妊娠時に正常範囲の値でも腎障害を示すことがある。CKDは高血圧・蛋白尿・腎機能で母児リスクを層別化し、UTIは妊娠初期の尿培養でを見つけ、上行性腎盂腎炎を防ぐ。

妊娠と腎疾患

  • 妊娠は・GFRを約40〜50%増加させる。
  • CKDでは、早産、、腎機能悪化のリスクが上がる。
  • リスクは基礎疾患名だけでなく、妊娠前の血清Cr、蛋白尿、高血圧、疾患活動性に左右される。
  • CKDによる高血圧・蛋白尿があるとの診断が難しく、急な、臓器障害、血小板・肝機能、胎児発育、必要時にを統合する。

急性腎障害

妊娠中のAKIは、出血・敗血症/HELLP、胎盤早期剥離、急性、尿路閉塞などから生じる。

分類 主な原因 病態・所見
出血、脱水、敗血症、心不全 。早期は尿濃縮・Na再吸収が保たれる
腎性 、糸球体腎炎、間質性腎炎、TMA 尿沈渣、蛋白・血尿、溶血・血小板など原因別所見
結石、両側尿管閉塞、手術関連損傷 水腎症。両側または閉塞でGFR低下

古典的にはで尿浸透圧が高く、尿Na低値、FeNa 1%未満、BUN/Cr比高値となる。一方、では尿濃縮不良、尿Na・FeNa上昇を示しやすい。ただし妊娠、CKD、利尿薬、敗血症で指標は変わるため単独で決めない。

急性皮質壊死

胎盤早期剥離、、敗血症、DICなどによる重度低灌流で起こりうる。痛を呈し、腎不全となることがある。

慢性腎臓病合併妊娠の評価

評価 方法
腎機能 の絶対値と推移
蛋白尿 尿蛋白/Cr比または尿アルブミン/Cr比
血圧 も活用し、個別目標を設定
疾患活動性 尿沈渣、補体、自己抗体など原疾患に応じる
胎児 発育、、胎盤、必要時ドプラ

⚠️ 妊娠中はeGFR式を用いない。蛋白尿定量にを必須とせず、uPCR/uACRが実用的である。

慢性腎臓病合併妊娠の管理

腎移植後の妊娠

妊娠前に、移植後少なくとも1年程度経過し、機能・血圧が安定し、がなく、蛋白尿が少なく、妊娠適合へ変更できていることを確認する。

移植後2年以上だけを固定条件とせず、臓器機能・拒絶歴・薬剤・併存症で判断する。

妊娠中の尿路感染症

、蠕動低下、子宮圧迫、膀胱により細菌が上行しやすい。大腸菌が最も多い。

病型 症状・診断 主なリスク
無症状、尿培養10^5 CFU/mL以上 腎盂腎炎、早産、
、頻尿、+尿培養
腎盂腎炎 38℃以上の発熱、痛/CVA、尿所見 敗血症、ARDS、DIC、早産

スクリーニング

  • 妊娠初期の健診で尿培養を1回行う。
  • 初回陰性後の反復スクリーニング、治療後の全例培養については十分な根拠がなく、個別判断する。
  • ASBは妊娠の約2〜10%であり、15%と固定しない。

下部UTIの治療

  • ASBまたはは、培養感受性に基づく抗菌薬を通常5〜7日投与する。
  • 経験治療では地域の耐性率を考慮し、アンピシリンアモキシシリン単剤は大腸菌耐性が多いため避ける。
選択肢 注意
下部UTIに有効。腎実質移行が乏しく腎盂腎炎には使わない。G6PD欠損・分娩直前に注意
などβラクタム 感受性に基づき使用
の選択肢。腎盂腎炎には使わない
TMP/SMX 他の適切な選択肢が乏しい場合に時期別リスクを検討。葉酸拮抗と分娩前の新生児リスクに注意

⚠️ 1回のUTI後は全員TMP/SMXで妊娠末期まで抑制とはしない。再発性UTIまたは腎盂腎炎後に、分離菌の感受性を基に低用量を検討する。

腎盂腎炎

  1. 原則入院し、培養採取後に腎実質移行のあるIV抗菌薬を開始する。
  2. 敗血症、呼吸不全、腎障害、子宮収縮を評価する。
  3. 臨床改善後に感受性に基づくへ変更し、合計14日間治療する。
  4. 48〜72時間で改善しなければ、耐性菌、膿瘍、結石・閉塞を評価する。

まとめ

  • 妊娠中の腎機能はeGFRでなく血清Crの絶対値・推移で評価する。
  • CKDの母児リスクは腎機能、高血圧、蛋白尿、原疾患活動性で決まる。
  • AKIは・腎性・に分け、妊娠特有の出血、/HELLP、AFLP、TMAも考える。
  • 妊娠初期に尿培養でASBをスクリーニングし、10^5 CFU/mL以上なら5〜7日治療する。
  • 腎盂腎炎は入院・IV抗菌薬で開始し、合計14日治療する。