病理学

病理学 · B/30

高血圧性心疾患

Hypertensive heart disease

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High-yield / ポイント
応用トピック
高血圧II―治療と高血圧性心疾患
疾患
左室拡張機能障害

🧠 全体像:は「成人のはほとんど分裂できず、負荷には主に肥大で応える」という原則から出発すると理解しやすい。は最初は拍出量を保つだが、やがて障害・へと進み、・脳卒中・腎不全という一見バラな合併症も、すべてこの一つの機序から枝分かれする。

概念

はな → により生じる。成人のの新生はごくわずか(入れ替わりは25歳で年1%、75歳で年0.45%、生涯で全の50%未満)で1、過形成で負荷に応じる余地が乏しいため、負荷の増加には主に肥大(細胞サイズの増大)で応答する → 心臓の大きさと重量の増加。持続する高血圧 → 機能不全、拡張、、時に。

💡 「高血圧」の診断閾値は学会により異なり、揃ってはいない。 ()2024年版は、140/90 mmHg以上を高血圧、120〜139/70〜89 mmHgをとする2。この学科(ハンガリー)ではの定義を基準線として扱う。一方、米国のACC/AHAは2017年版で130/80 mmHg以上を高血圧(病期1は130〜139/80〜89 mmHg)とする低い閾値を採用し、2025年版の改訂でもこの閾値を据え置いた3。したがって2025年時点でも、欧州と米国の高血圧の定義には差が残っている。

肥大のパターン

全身性(左心系)高血圧性心疾患

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pressure overload'>圧負荷</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic hypertension'>全身性高血圧</span>)"] --> B["左室の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='concentric hypertrophy'>求心性肥大</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiomyocyte (cardiac myocyte)'>心筋細胞</span>の肥大、過形成なし)"]
    B --> C["壁の硬化 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='diastolic filling'>拡張期充満</span>の障害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left atrial enlargement'>左房拡大</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ischemic heart disease (IHD)'>虚血性心疾患</span>・脳卒中・腎不全・進行性心不全"]

肺性(右心系)高血圧性心疾患 = 肺性心

  • 原発性の肺疾患による肺高血圧からの+拡張(±右心不全)。
  • 急性 — 大量肺塞栓(の50%以上の閉塞)→ のみ。
  • 慢性 — COPD、、、嚢胞性線維症、反復性肺塞栓 → 。

💡 ポイント: = → 求心性(は主に肥大で応じ、分裂はごくわずか)。 → → 、合併症 = 、脳卒中、腎不全、心不全。 = (肺高血圧・肺疾患による)。求心性 = 圧、遠心性 = 容量。

まとめ

  • はなに対しが主に肥大(過形成ではない)で応答することで生じる。
  • では求心性→壁の硬化→障害→という経過をたどる。
  • 合併症は、脳卒中、腎不全、進行性の心不全、時に。
  • 肺性()=は、急性(→拡張のみ)と慢性(等→)に分かれる。

出典

  1. 1.Evidence for cardiomyocyte renewal in humans(Science・2009)冷戦期の核実験に由来する炭素14のDNAへの取り込みを利用してヒト心筋細胞の年齢を測定したところ、心筋細胞は25歳で年1%、75歳で年0.45%の速度で入れ替わり、通常の生涯で入れ替わるのは全心筋細胞の50%未満であった。成人の心臓にも心筋細胞を新生する能力があることを示した研究である(圧負荷への適応については扱っていない)。閲覧 2026-08-27
  2. 2.2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension(European Society of Cardiology (ESC)・2024)診察室血圧140/90 mmHg以上を高血圧、120〜139/70〜89 mmHgを血圧上昇域(elevated BP)と定義し、忍容性があれば診察室血圧120〜129/70〜79 mmHgを治療目標とする。従来の「正常・正常高値・I〜III度高血圧」という段階分けをやめ、非上昇・血圧上昇・高血圧の3区分に組み替えた。閲覧 2026-08-27
  3. 3.2025 AHA/ACC Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults(American College of Cardiology / American Heart Association・2025)病期1高血圧を収縮期130〜139または拡張期80〜89 mmHgと定義し、多くの成人で降圧目標は130/80 mmHg未満。2017年版から採用してきたこの低い閾値を2025年版でも維持した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.Wall stress and patterns of hypertrophy in the human left ventricle(The Journal of Clinical Investigation・1975)心臓カテーテル検査時に左室壁応力を測定した30例(圧負荷6例、容量負荷18例、対照6例)の検討。圧負荷群では左室収縮期圧が対照より高いにもかかわらず、壁厚が0.8cmから1.5cmへ増すことで収縮期壁応力は対照と有意差のない値に保たれていた(求心性肥大)。容量負荷群はh/R比が正常のまま内腔が拡大し(遠心性肥大)、拡張末期壁応力は対照より高いままであった。閲覧 2026-08-27