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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬

セノバメート

cenobamate

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬
商品名(日本)
エキスコプリ
商品名(EU)
Xcopri
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
A21: Antiepileptics. Adjuvant analgesics12: Epilepsy
承認適応
てんかん
禁忌疾患
肝硬変(Child-Pugh分類C。日本の禁忌)
副作用
めまい傾眠複視

🧠 全体像:セノバメートは、既存ので発作が止まらないの追加療法に使う新しい薬で、GABA-A受容体のとの不活性化の促進という2つの作用を併せもつ。用量が増えるほど発作が大きく減り、400 mgでは日本の試験での発作が中央値で0回になった。その代償として、めまいと傾眠が非常に多く、急いで増やすと、まれに重い肝障害が起こる。そのため「12.5 mgから2週間以上かけて少しずつ増やす」ことが最重要の使い方になる。QTを短縮させる点も特徴的で、先天性は禁忌である。

薬効群の中での位置づけ

薬 主な 特徴
カルバマゼピン・・ の標準薬。皮疹・過敏症に注意
SV2A 追加療法の選択肢
セノバメート GABA-A受容体の調節+ 2つの機序。追加療法で発作が大きく減る。めまい・傾眠が多く、ゆっくり増量する

てんかんの薬物療法のトピックでは、セノバメートはへの追加療法の第二選択として挙げられている。

機序

flowchart TD
    A["セノバメート"] --> B["GABA-A受容体の複数の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Subtype'>サブタイプ</span>を<br>正に調節(抑制性の伝達を強める)"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated sodium channel'>電位依存性ナトリウムチャネル</span>の<br>不活性化を促進・持続性ナトリウム電流を抑える"]
    B --> D["神経の過剰な興奮を抑える"]
    C --> D
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='focal seizure'>焦点発作</span>の頻度が減る"]

日本の電子添文は、GABA-A受容体の複数のに対する作用と、の不活性化の促進・持続性ナトリウム電流の阻害を挙げている。の神経細胞の培養系で神経発火を濃度依存的に抑え、のキンドリング発作などを抑制した1。

薬物動態

項目 内容
吸収・食事 200 mgを食後に投与しても、空腹時と比べてCmaxは0.90倍、AUCは1.00倍で、食事の影響は小さい(外国人データ)。割って服用することもできる(米国)
分布 結合率は約60%
代謝・排泄 主にUGT2B7・UGT2B4などによるで、CYP2E1を含む複数のCYPによる酸化もある。14Cの400 mgでの88%が尿中、5%が糞中に出た(尿中に未変化体は6%)
半減期 日本人の単回投与で約10〜20時間(50 mgで9.68時間、200 mgで20.3時間)
蓄積 で14日以内に定常状態。50〜300 mgで係数は4.62〜5.85(外国人データ)
高齢者 に対するCmaxは0.96倍、AUCは1.06倍で、大きな差はない
肝・ 軽度〜中等度のでは最大200 mg、では最大300 mgに制限する

⭐ 自分のを誘導し、別の酵素を阻害する薬である。 セノバメートはCYP2B6とCYP3Aを誘導し、CYP2C19を阻害する。このため併用薬の血中濃度が動く1。

併用薬 変化 理由
カルバマゼピン、・(CYP3A基質)、(経口避妊薬)、(CYP2B6基質) 血中濃度が低下し、効果が弱まるおそれ CYP3A・CYP2B6の誘導
フェニトイン、、・・ランソプラゾール(CYP2C19基質) 血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれ。フェニトインの併用では、セノバメートの血中濃度が下がるおそれもある CYP2C19の阻害(セノバメート側の低下はフェニトインによるUGT・CYPの誘導)
N-脱メチルの血中濃度が上昇するおそれ CYP3A誘導とCYP2C19阻害
血中濃度が低下し、効果が弱まるおそれ 機序は不明

適応

  • 既存ので十分な発作抑制が得られない部分発作(発作を含む)(日本)1。
  • 成人の部分発作(米国)2。

日本人132例を含む519例の第Ⅲ相試験(24週)で、の28日あたりの発作回数(中央値)は、ベースライン期からにかけて、11.00→8.20回(変化率−25.86%)、100 mg群9.00→4.78回(−42.56%)、200 mg群9.50→2.73回(−78.29%)、400 mg群12.22→0.00回(−100%)だった。3用量ともと有意差があった(p<0.001)1。の(52週)でも、発作の減少は長期にわたり維持された。

海外の追加療法試験でもが確かめられている。中央値の発作頻度の変化は、−24.0%に対して100 mg −35.5%、200 mg −55.0%、400 mg −55.0%、50%以上の減少が得られた割合は25%、40%、56%、64%だった3。

用法・用量

日本1 米国2
開始量 12.5 mgを1日1回 12.5 mgを1日1回
増量 2週間以上の間隔で、12.5→25→50→100→150→200 mgと1段階ずつ 2週ごとに25→50→100→150→200 mg(週1〜2は12.5、週11以降は200 mg)
1日1回100〜200 mg 200 mg
最高量 400 mg(200 mgを超える増量は2週間以上の間隔で50 mgずつ) 400 mg
軽度・中等度は最大200 mg。は禁忌 軽度・中等度は最大200 mg
最大300 mg。中の機能障害は禁忌
中止 少なくとも2週間以上かけて徐々に減量 徐々に減らす

⚠️ 増量を早めない。 日本の電子添文は、短い間隔で増量するとが起こるおそれがあるため、増量間隔を守るよう求めている。米国の添付文書では、DRESSは週ごとまたはそれより速い増量で起こり、致死例が1例あった。12.5 mgから2週ごとに増量した(1,339例)では報告されなかったが、これが遅い増量で予防できる証拠ではないとも書いている。投与開始前に肝機能(ALT・AST・)を確認する。

禁忌・注意

禁忌(日本) 理由・補足
本剤の成分に対する過敏症の既往
を受けている機能障害 使用経験がなく、安全性に影響するおそれ
重度の(C) 血中濃度が上昇するおそれ
先天性 本剤はを短縮させる

米国の添付文書の禁忌は、過敏症との2つである2。や腎不全の扱いは国で異なる。

  • QT短縮:の試験で、200 mgでQTcFがより11 msec、500 mgで18 msec短縮した。QT短縮作用のある薬(など)との併用で増強するおそれがある。
  • (日本):重篤ながあらわれ、からに至った例も海外で報告されている。投与前と投与中は定期的に肝機能検査を行う。・悪心・嘔吐・倦怠感・黄疸などが出たら服用を中止して受診させる。
  • :発疹・発熱・リンパ節腫脹・などが現れたら中止する。
  • 精神症状:・などが現れ、に至ることもある。患者と家族に説明する。
  • 運転:傾眠・めまい・・・・があり得るため、危険を伴う機械の操作をさせない。
  • 併用注意:アルコール(精神の低下が増強)。
  • 妊婦・授乳:妊婦は有益性が危険性を上回る場合に限る。授乳は避ける。妊娠する可能性のある女性には、服用中と最終投与後14日間の避妊を説明する。

副作用

区分(日本) 内容
5%以上 (63.2%)、傾眠(40.4%)、、頭痛、、嘔吐・悪心、疲労、、、転倒、・好中球減少症
1〜5%未満 眼振、、構語障害、、、、記憶障害、振戦、うつ病、、、便秘・下痢、筋力低下、発疹、体重減少、低血圧、肝不全、回転性めまい、徐脈 など
重大な副作用 、(γ-GTP上昇19.9%、AST・ALT・Al-Pの上昇)

期の副作用の発現率は、100 mg群53.9%、200 mg群72.3%、400 mg群90.6%、プラセボ群39.2%で、用量に伴って増えた。は19.5%、36.9%、64.8%、傾眠は21.1%、26.9%、45.3%だった1。海外の試験でも、副作用による中止は5%()、10%、14%、20%と用量に伴って増えた3。

  • ・、傾眠・疲労(米国の添付文書は、十分に慣れるまで運転や機械の操作を控えるよう求める)。
  • 投与中止時:の増悪や重積状態のおそれがあるため、少なくとも2週間以上かけて減量する。

まとめ

  • GABA-A受容体の調節との不活性化促進という2つの機序をもち、既存薬で止まらないに追加する。に発作が減り、日本の試験の400 mg群ではの発作が中央値で0回になった。
  • 12.5 mgから2週間以上かけて1段階ずつ増やす。早く増やすとDRESSの危険がある。投与前と投与中に肝機能を確認する。
  • めまい(約6割)と傾眠(約4割)が極めて多く、運転は控える。
  • QTを短縮させるので、先天性は禁忌。日本では重度肝障害と中の機能障害も禁忌。
  • CYP2B6・CYP3Aの誘導とCYP2C19の阻害で併用薬の濃度が変わる。経口避妊薬の効果が落ち、フェニトインやの濃度が上がる。

出典

  1. 1.エキスコプリ錠12.5mg/エキスコプリ錠50mg/エキスコプリ錠100mg/エキスコプリ錠200mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)2026年9月作成(第1版)の電子添文で、効能が既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制が得られない部分発作(二次性全般化発作を含む)、用法が12.5 mgから2週間以上の間隔で段階的に増量し維持量100〜200 mg・最高400 mgであること、警告が重篤な肝機能障害であること、禁忌が過敏症・血液透析中の末期腎機能障害・重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)・先天性QT短縮症候群であること、薬剤性過敏症症候群への注意、CYP2B6・CYP3Aの誘導とCYP2C19の阻害による相互作用、日本を含む第Ⅲ相試験(519例)の結果、副作用の頻度(浮動性めまい63.2%・傾眠40.4%)を確認した。閲覧 2026-11-06
  2. 2.XCOPRI (cenobamate tablets), for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/SK Life Science, Inc.・2025)2025年8月25日有効の米国添付文書で、適応が成人の部分発作であること、初回12.5 mgを2週間ごとに増量し維持量200 mg・最大400 mgであること、禁忌が過敏症と家族性QT短縮症候群であること、DRESSが週単位以下の急速な増量で起こり致死例もあったこと、肝障害・QT短縮・自殺念慮・傾眠への警告があることを確認した。閲覧 2026-11-06
  3. 3.Safety and efficacy of adjunctive cenobamate (YKP3089) in patients with uncontrolled focal seizures: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, dose-response trial(The Lancet Neurology(Krauss GL ら)・2020)抄録(PMID 31734103)で、1〜3剤の抗てんかん薬でも発作が続く成人437例を対象とした追加療法の二重盲検試験で、焦点発作頻度の中央値の変化がプラセボ−24.0%に対し100 mg −35.5%・200 mg −55.0%・400 mg −55.0%、50%以上減少した割合がプラセボ25%・100 mg 40%・200 mg 56%・400 mg 64%であり、有害事象が最大用量で最も多く、200 mg群で重篤な薬剤性過敏症症候群(DRESS)が1例あったことを確認した。全文は読んでいない。閲覧 2026-11-06