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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬

エスリカルバゼピン

eslicarbazepine acetate

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬
商品名(EU)
ZebinixAptiom
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
A21: Antiepileptics. Adjuvant analgesics12: EpilepsyCore54: Drug-induced adverse reaction: Stevens-Johnson syndrome
承認適応
てんかん
禁忌疾患
徐脈性不整脈(第二度・第三度房室ブロック。英国の禁忌)
副作用
めまい傾眠頭痛
監視検査値
低ナトリウム血症

🧠 全体像:エスリカルバゼピン()は、カルバマゼピン・と同じカルボキサミド系ので、体内で速やかに活性体のエスリカルバゼピンに変わるである。のを安定させて、神経のを防ぐ。1日1回でよく、焦点(部分)発作の併用療法と一部ではに使う。カルバマゼピンと同じ系統のため、、重い皮膚反応(SJS/TEN・DRESS)、HLA-B*15:02、めまい・傾眠といった副作用の型を共有する。弱いCYP3A4誘導とCYP2C19阻害があり、フェニトインなどの濃度を動かす。日本のPMDAの電子添文検索では、この成分の品目を確認できなかった(2026年11月6日時点)。

薬効群の中での位置づけ

薬 系統 特徴
カルバマゼピン カルボキサミド系 の標準薬。皮疹・・薬物相互作用が多い
カルボキサミド系 カルバマゼピンの類縁薬。を起こす
エスリカルバゼピン カルボキサミド系() 1日1回。活性体はエスリカルバゼピン。が主
・ ・SV2A 追加療法で使う別系統の薬

てんかんの薬物療法のトピックでは、エスリカルバゼピンはへの追加療法の第二選択に挙げられ、発疹を起こしやすい薬の一つとされている。

機序

flowchart TD
    A["エスリカルバゼピン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetate ester'>酢酸エステル</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='first-pass'>初回通過</span>の加水分解で<br>活性体エスリカルバゼピンへ"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated sodium channel'>電位依存性ナトリウムチャネル</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='inactivated state'>不活性化状態</span>を安定させる"]
    C --> D["活性化状態へ戻れず<br>神経の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='repetitive firing'>反復発火</span>が抑えられる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='focal seizure'>焦点発作</span>の頻度が減る"]

英国のSmPCは、正確な作用機序は不明だが、in vitroの学の研究で、エスリカルバゼピンとその代謝物がのを安定させ、再び活性化状態に戻ることを妨げてを防ぐことを示している。ヒトでは主にのエスリカルバゼピンがを担う1。

薬物動態

項目 内容
吸収・変換 血漿中のはほとんど検出されない(米国での0.01%)。の加水分解でエスリカルバゼピンになり、最高濃度到達は2〜3時間(英国)、1〜4時間(米国)。尿中の代謝物が投与量の90%超で、は高い12
食事 食事の影響はない。してリンゴソースや水に混ぜてもは同等
分布 結合率は40%未満で、濃度に依存しない
半減期 定常状態まで4〜5日。有効半減期は20〜24時間(英国)。見かけの半減期はで10〜20時間、てんかん患者で13〜20時間
代謝・排泄 主にを受け、腎から排泄される。エスリカルバゼピンとそのが尿中代謝物の90%超。自らの代謝やクリアランスには影響しない
酵素への影響 CYP3A4を弱く誘導し(in vivoでの代謝を促進した)、も誘導しうる。CYP2C19を阻害する。投与の開始・中止・増減のあと、新しい酵素活性に落ち着くのに2〜3週間かかる
flowchart TD
    A["エスリカルバゼピンを併用"] --> B["CYP3A4を弱く誘導<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucuronidation'>グルクロン酸抱合</span>を誘導"]
    A --> C["CYP2C19を阻害"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='simvastatin'>シンバスタチン</span>など<br>CYP3A4基質の効果が弱まる"]
    C --> E["フェニトインなど<br>CYP2C19基質の血中濃度が上がる"]
    F["カルバマゼピン・フェニトインを併用"] --> G["エスリカルバゼピンの曝露が約3割低下<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucuronidation'>グルクロン酸抱合</span>の誘導)"]

英国のSmPCは、との併用の実測値を挙げている1。

併用薬 変化
カルバマゼピン 活性体エスリカルバゼピンの曝露が32%低下する。カルバマゼピン側は変わらない。・協調運動異常・めまいが増える
フェニトイン 活性体の曝露が31〜33%低下し、フェニトインの曝露が31〜35%増加する。エスリカルバゼピンを増やしフェニトインを減らす必要が出うる
の曝露が約15%低下(臨床的に意味のある場合もある)
の曝露が約18%低下

適応

国 内容
英国(EU) 成人の新規診断の部分発作(を伴うものも含む)の。6歳超の成人・青年・小児の部分発作の併用療法1
米国 4歳以上の部分発作2
日本 電子添文を確認できない

英国のSmPCによれば、1〜3剤のでも発作が続く成人1,703例を対象にした4件の第3相で、800 mgと1,200 mgの1日1回投与がより発作頻度を有意に減らした(とは併用が許されなかった)。

用法・用量

英国1 米国2
成人の開始量 400 mgを1日1回 400 mgを1日1回(必要性が高い患者では800 mgから開始することもある)
増量 1〜2週後に800 mgへ。反応に応じて1,200 mgまで 週ごとに400〜600 mgずつ増やす
・最大量 800〜1,200 mg。単剤で一部の患者は1,600 mg 800〜1,600 mg
CLCr 30〜60 mL/分は200 mgから開始(または400 mgを隔日)し、2週間後に400 mg。CLCr 30未満は推奨されない 中等度から重度では50%減量
軽度〜中等度は調整不要。重度は推奨されない
小児 6歳超は10 mg/kg/日から、週1〜2回の頻度で10 mg/kg/日ずつ増やして最大30 mg/kg/日 4歳以上。体重に応じる

食事の有無を問わない。割って服用することもできる。中止するときは、発作頻度の増加や重積状態を避けるために徐々に減らす。

禁忌・注意

国 禁忌
英国 過敏症(本剤、カルバマゼピン・などのカルボキサミド誘導体、)。第二度・第三度房室ブロック1
米国 エスリカルバゼピンまたはへの過敏症2
  • 重い皮膚反応:SJS/TEN・DRESSが市販後に報告されており、致死的なこともある。起こした患者には、どんな時点でも再投与しない。皮疹はで1.2%、も報告されている。
  • HLA-B*15:02:漢民族・タイ系などでカルバマゼピンによるSJSと強く関連する。エスリカルバゼピンは構造が似ているため、これらの集団では投与前に検査し、陽性なら利益がリスクを上回る場合に限って使うことを考える。保有率は漢民族とタイ系で約10%、フィリピンとマレーシアで15%超1。
  • :英国では1.5%で報告され、用量とともに増える。多くは無症状だが、発作の悪化・・意識低下を伴うことがある。腎疾患や、利尿薬・・カルバマゼピンなど低ナトリウムを起こす薬の併用では、投与前後に血清ナトリウムを測る。米国では血清ナトリウム125 mEq/L未満の臨床的に重要なとSIADHが報告され、投与中止で数日以内に正常化した2。
  • :でみられた。甲状腺ホルモンが低い、異常がある、を起こす薬を併用している患者では注意する。第二度・第三度房室ブロックは英国の禁忌。
  • 中枢神経系の副作用:めまいと傾眠が不慮の事故を増やしうる。運転や機械の操作に注意する。
  • ・行動:全般で報告されている。観察する。
  • 肝障害・:米国は、黄疸や明らかな肝障害があれば中止し、血液学的副作用では中止を考えるとしている。
  • :用量を調整する(上記)。

副作用

英国のSmPCによれば、の2,434例(成人1,983例、小児451例)の51%に副作用があり、多くは軽度〜中等度で投与の最初の数週間に起こった。併用療法との試験で最も多かったのは、めまい・傾眠・頭痛・悪心である1。

頻度(英国) 内容
非常に多い(10%以上) めまい、傾眠
多い(1〜10%) 頭痛、、振戦、、、、、不眠 など
まれ・頻度不明 貧血、過敏症、甲状腺機能低下症、電解質異常、SIADH様の症候群(・悪心・めまい・低下・嘔吐・頭痛・)、血小板減少・

米国の増量期の併用療法試験では、有害事象による中止が800 mgで14%、1,200 mgで25%、で7%だった。中止の原因は、めまい、悪心、嘔吐、、、傾眠、頭痛などだった。の試験では、推奨量(1,200 mg・1,600 mg)で13%が有害事象のために中止し、1%以上で中止の原因になった副作用はだった2。

まとめ

  • カルボキサミド系の。活性体がのを安定させる。1日1回で、の併用療法(EUではも)に使う。
  • 類縁薬と同じ副作用の型:めまい・傾眠、(血清ナトリウムを測る)、重い皮膚反応、HLA-B*15:02。カルバマゼピンやで過敏症を起こした人には使わない。
  • 弱いCYP3A4誘導とCYP2C19阻害がある。カルバマゼピン・フェニトインとの併用で活性体の曝露が約3割下がり、フェニトインは約3割上がる。
  • 房室ブロック(第二度以上)は英国で禁忌。に注意する。では減量する。
  • 日本の電子添文は確認できない。国ごとに適応・用量・禁忌の範囲が違う。

出典

  1. 1.Zebinix 200 mg tablets — Summary of Product Characteristics (SmPC)(BIAL - Portela & Cª, SA(electronic medicines compendium、英国)・2023)emcの最終更新2023年11月10日の英国SmPCで、適応が成人の新規診断の部分発作の単剤療法と6歳超の部分発作の併用療法であること、開始量400 mgを1〜2週後に800 mgへ増やし最大1,200 mg(単剤では1,600 mg)であること、禁忌が過敏症(カルバマゼピン・オクスカルバゼピンなどのカルボキサミド誘導体を含む)と第二度・第三度房室ブロックであること、CYP2C19阻害・CYP3A4の弱い誘導、カルバマゼピンとの併用で活性代謝物の曝露が32%低下、フェニトインとの併用でフェニトインの曝露が31〜35%増加、低ナトリウム血症(1.5%)・PR間隔延長・重篤な皮膚反応・HLA-B*1502への注意、有効半減期20〜24時間であることを確認した。閲覧 2026-11-06
  2. 2.APTIOM (eslicarbazepine acetate) tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/Sumitomo Pharma America, Inc.・2023)2023年11月10日有効の米国添付文書で、適応が4歳以上の部分発作であること、成人の開始量が400 mg(必要なら800 mg)で週ごとに400〜600 mgずつ増やし維持量800〜1,600 mgであること、禁忌がエスリカルバゼピンまたはオクスカルバゼピンへの過敏症であること、中等度から重度の腎機能障害では50%減量すること、増量期の併用療法試験で有害事象による中止が800 mgで14%・1,200 mgで25%・プラセボで7%であること、血清ナトリウム125 mEq/L未満の臨床的に重要な低ナトリウム血症とSIADHの報告、見かけの半減期が成人てんかん患者で13〜20時間であること、プロドラッグがほとんど検出されないことを確認した。閲覧 2026-11-06