泌尿器科学

泌尿器科学 · U-15

膀胱炎と尿道炎

Cystitis and urethritis

前提:病態
尿路の最も重要な病原微生物(一覧)淋菌。モラクセラ属クラミジア・トラコマチスとクラミジアによる呼吸器感染症
疾患
尿路感染症
症状
排尿痛

🧠 全体像:膀胱炎は「単純性かか」、尿道炎は「性感染症由来(一次性)か医原性(二次性)か」で整理する。膀胱炎は圧倒的に女性に多い疾患で、宿主側のリスク因子(糖尿病、免疫抑制、解剖学的異常など)があればとして扱う。尿道炎は原因菌によって治療薬が異なるため、淋菌とクラミジアの検査、未除外時の適切な併用治療が臨床上の要である。

膀胱炎

  • 膀胱の炎症で、通常は感染が原因。
  • 女性に圧倒的に多い。

急性単純性膀胱炎

  • 好発:閉経前・非妊娠の女性。
  • 再発は、治療後に同一菌が再び検出されると、別菌による新たなに分ける。時間だけで機械的に二分しない。
  • 危険因子:性交渉の頻度、の使用。
  • 主な起因菌:大腸菌が中心で、Staphylococcus saprophyticus、Proteus、Klebsiellaなども原因となる。
  • 症状:感染から24時間以内に出現。、頻尿、が中核で、を伴う。血尿を伴うこともある。発熱は通常なく、あればを疑う。
  • 診断:症状と尿検査(試験紙法)で白血球・赤血球・塩を確認する。再発、妊娠、、治療反応不良では尿培養とを行う。1
  • 治療:
選択 薬剤例
第一選択 、、
第二選択(局所耐性が低い地域) /ST合剤
通常は推奨されない (、など)

⚠️ 出典では/TMP-SMXを第一選択、フルオロキノロンを次点として挙げていたが、現行のガイドラインではに対するフルオロキノロンの使用は推奨されない(化、・リスクなどの副作用を理由に温存する)。第一選択は、、であり、TMP-SMXは地域の感受性を確認して選ぶ。1

女性の再発性単純性膀胱炎

  • 定義:過去12か月で3回以上、または過去6か月で2回以上の再発。2
  • 危険因子:性交渉の頻度、の使用。
  • 予防:非抗菌薬的対策を先に検討し、適応を選んで性交後または継続的なを行う。2

複雑性膀胱炎

  • 宿主側の要因(糖尿病、免疫抑制など)や尿路の解剖学的・機能的異常(閉塞、機能障害による不完全排尿など)により、単純性感染より根治が困難と考えられる感染。
  • 危険因子:高齢、男性、妊娠、糖尿病、免疫抑制、尿路への処置歴、、院内感染。
  • 主な起因菌:大腸菌、Proteus、緑膿菌、Serratia、Enterococcus。
  • 症状:、、頻尿、側腹部痛、、発熱。
  • 診断:
    • 画像:全例に一律には行わず、閉塞、結石、尿路異常、膿瘍、治療反応不良などの疑いに応じてUSまたはを選ぶ
    • 検査:尿検査+培養、血液検査(、肝・腎機能)
  • 治療:重症度、局所耐性、既往培養、・リスクを基に経験的薬を選び、培養後に狭域化する。安定例では感受性のあると外来管理も可能で、全身症状や敗血症では静注βラクタム系、アミノグリコシドなどを患者背景に応じて選ぶ。1

尿道炎

  • 尿道の炎症。

分類

分類 特徴 主な起因菌
性感染症が主体。性行動歴と曝露部位を評価する 淋菌、Chlamydia trachomatis、Ureaplasma urealyticum、Trichomonas vaginalis、
泌尿器科的処置(、)や後に生じる 大腸菌、緑膿菌

症状

  • 陰茎からの・
  • 刺激症状:排尿時・時の灼熱感・ヒリヒリ感

診断

  • 初回尿または尿道検体を用いた()で淋菌・クラミジアを検索する
  • 分泌物があれば鏡検・培養を追加し、淋菌では薬剤感受性が必要な場合に培養を行う。3

治療

⚠️ 出典はの治療として「セフトリアキソン+」の併用を挙げていたが、淋菌は化が進んでおり、は現在の治療には用いられない。また、クラミジア合併を前提とした一律のアジスロマイシン併用も、現行の性感染症治療ガイドラインでは見直されている。現行の標準治療は以下の通り。

病原体 現行の標準治療
淋菌 セフトリアキソン500 mg筋注単回(体重150 kg以上では1 g)。クラミジア合併が除外できない場合はドキシサイクリン100 mgを1日2回、7日間併用する
ドキシサイクリン100 mgを1日2回、7日間(妊婦はアジスロマイシンを選択)
メトロニダゾールなどの
  • セックスパートナーの評価・検査・治療を行い、本人とパートナーの治療完了まで性交を避ける。3

まとめ

  • は若年女性に多く、は・・で、フルオロキノロンは温存すべきである。
  • は・解剖学的異常を背景とし、重症度・・に応じて経口または静注治療を選ぶ。
  • 尿道炎は一次性と二次性(医原性)に分け、淋菌は現在セフトリアキソン単剤治療が標準、クラミジア合併が除外できなければドキシサイクリンを併用する。
  • STD由来の尿道炎ではパートナーも評価し、必要な検査・治療を同時に進める。

出典

  1. 1.European Association of Urology Guidelines on Urological Infections: Summary of the 2024 Guidelines(2024)単純性・再発性膀胱炎の診断、第一選択抗菌薬、培養と耐性に基づく治療、および複雑化因子に応じた評価を確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Recurrent Uncomplicated Urinary Tract Infections in Women: AUA/CUA/SUFU Guideline(2019)再発性単純性尿路感染症の定義と、各症候性エピソードで尿培養・感受性を確認して不要な抗菌薬を減らす方針を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021(Centers for Disease Control and Prevention(MMWR Recommendations and Reports)・2021)男性尿道炎では淋菌・クラミジアのNAATを中心に診断し、淋菌には体重別セフトリアキソン単回投与、クラミジア未除外時にはドキシサイクリンを追加し、パートナー管理を行うことを確認した。閲覧 2026-08-13