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Drug Atlas · A22 Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬 · 必修

ペルゴリド

pergolide

分類
Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬
商品名(日本)
ペルマックス
商品名(EU)
Permax
科目
Pharmacology
トピック
A22: Drugs of neurodegenerative diseases (extrapyramidal motoric system, nootropic drugs)
承認適応
パーキンソン病
禁忌疾患
心臓弁膜症
副作用
悪心低血圧幻覚傾眠
原因となる疾患
心臓弁膜症

🧠 全体像:はの中でもD1・D2受容体の両方を刺激する数少ない薬として登場したが、いま最も重要なのはそのではなく「なぜ米国市場から消えたか」である。のリスクが2002年以降相次いで報告され、2006年にがへ格上げし、2007年に製造販売元が米国・カナダ市場から自主的に撤退した1。原因はへの強い作動作用という、ドパミン受容体とは別のにある。この「効果とはな受容体への作用が全体の運命を変えた」という構図こそが、を学ぶ意味そのものである。⚠️ ただし「どこでも使われていない薬」ではない。日本ではパーキンソン病の治療薬ペルマックス錠として現在も承認・販売されており、電子添文は2026年7月に改訂(第2版、承継に伴う改訂)されている——ただし非が無効かできない患者に限るという限定と、心エコーによる監視が課されている2。

薬効群の中での位置づけ

は、への作動性の強さで弁膜症リスクが大きく分かれる。

世代・型 代表薬 5-HT2B作動性 現在の位置づけ
(弁膜症リスクが特に高い) 強い(D1/D2両方を刺激する数少ない薬) 2007年に米国・カナダで市場撤退1。一方日本ではペルマックス錠として現行(非に反応しない・できない患者の二次選択)2
(と同じ扱いを受ける) 強い(EMAは5剤のうちとがこの受容体をもっとも強く刺激するとする)3 治療では現役。パーキンソン病ではが使えないときの二次選択で、投与開始前と投与中の心エコー監視・1日最大3 mgが課される3
(弁膜症リスクの評価が別) 上の2剤ほど強くない EMAは弁の線維症リスクが増えるかを判定するだけの根拠が無いとし、投与中の定期的な心エコー監視も二次選択への限定も課していない。高用量・長期使用での線維症の、1日30 mgの上限、弁膜病変のある患者への禁忌はある3。添付文書上の弁膜症の頻度区分も very rare(・は very common)4
(現行標準) 、、 ほぼ持たない パーキンソン病治療の現行第一選択

⭐ 「かか」ではなく「への作動性の強さ」が弁膜症リスクを決める。 はの中でもとりわけ5-HT2B作動性が強い5。パーキンソン病でを服用中の155例と対照90例を心エコーで調べた研究では、いずれかの弁に臨床的に重要な逆流(中等度〜高度、グレード3〜4)を認めた割合が群23.4%・群28.6%で、群0%・対照群5.6%より有意に高かった6。⚠️ この23.4%・28.6%は服用者に占めるであって、「リスクが最大〜%」という意味ではない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pergolide'>ペルゴリド</span>が線条体のD1/D2受容体を刺激"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nigrostriatal pathway'>黒質線条体路</span>のドパミン伝達を模倣"]
    B --> C["パーキンソン病の運動症状を改善"]
    A --> D["心臓弁組織の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT2B receptor'>5-HT2B受容体</span>を強く刺激"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valvular interstitial cell'>弁間質細胞</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valvular interstitial cell'>VIC</span>)の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proliferative signal'>増殖シグナル</span>が活性化"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valve leaflet'>弁尖</span>の線維化・肥厚"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valvular regurgitation'>弁膜逆流</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mitral valve'>僧帽弁</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tricuspid valve'>三尖弁</span>・大動脈弁)"]

💡 「効いている受容体」と「害を出している受容体」が別物である点が、この薬を理解する核心。 治療効果はD1/D2受容体刺激から生まれるが、弁膜症は全く別系統の刺激から生じる。この構造は由来の薬剤(、片頭痛薬など)に共通し、の原因薬とは逆に、ドパミン系そのものではなくの副次的な作用が主要な安全性問題を生むという珍しい例になっている。

適応

⚠️ 「もう使われていない薬」と一括りにしない。現況は国で分かれる。

国・地域 現況
米国 2007年に市場撤退。 のを経て製造販売元が自主的に回収した1。撤退は自主回収で終わっていない——が21 CFR 216.24に定める「安全性または有効性を理由に市場から撤回・除去された医薬品」の一覧に、逐語で「Pergolide mesylate: All drug products containing pergolide mesylate」が収載され(81 FR 69668、2016年11月7日施行)、この一覧に載る薬はでも作れない7
カナダ 2007年に米国と同時期に市場撤退したとされる。⚠️ このノートではカナダ側のを確認していない
日本 現行。ペルマックス錠50μg/250μg(1994年8月販売開始、現在の製造販売元は大品工業)。効能又は効果はパーキンソン病のみで、5. 効能又は効果に関連する注意が逐語「非の治療効果が不十分又はに問題があると考えられる患者のみに投与すること。」と二次選択に限定する2
EU このノートでは判定していない。 加盟国ごとの登録簿を当たる必要があり、今回は確認できていない(→「未決」)
領域 使いどころ
神経 パーキンソン病の運動症状。日本の電子添文はL-dopa製剤との併用を用法の前提に置いており、/の補助という位置づけは現在も変わらない2

用法・用量

日本の電子添文(ペルマックス錠)は次のように定める2。薬に共通する「少量から始めてゆっくり上げる」の典型例である。

時期 用量
第1週 1日1回50 µgを夕に2日間。以後2〜3日ごとに1日量を50 µgずつ増量し、第1週末に1日150 µg
第2週 1日300 µgから開始し、2〜3日ごとに1日量を150 µgずつ増量して第2週末に1日600 µg
第3週以降 1日750 µgから始め、有効性・安全性を見て(標準1日750〜1250 µg)を定める

分割は1日100 µgなら朝・夕、150 µg以上なら毎。増量速度は随伴症状・年齢等で適宜増減する。⚠️ 米国では市場撤退のうえの撤回・除去医薬品一覧に収載されているため7、この用量は米国では歴史的な資料としての意味しか持たない。

禁忌・注意

  • ⚠️ :。 1つ以上の弁ののリスクが増加し、を要した例・死亡例も報告されている。全用量で報告例があるが、高用量でリスクが高い可能性が示唆される1
  • ⚠️ 投与開始前に心臓評価・を行い、その後も定期的にスクリーニングする。 と診断された場合は原則として中止する。中止後に症状・所見が改善した例が報告されている1
  • ⚠️ 日本の電子添文(ペルマックス錠)は禁忌を2項目に限って書いている2
    • に対し過敏症の既往歴のある患者
    • により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者(=弁膜症は「起こりうる副作用」であると同時に「既にあれば投与してはならない状態」)
  • ⭐ この禁忌に「長期投与では」という限定が付かないのはの特徴である。 EMAが2008年の審査で各国の添付文書へ書かせた 4.3 の文言は、とでは逐語 “For long-term treatment: Evidence of cardiac valvulopathy as determined by pre-treatment echocardiography” と長期投与に限定されるのに対し、だけは “For long-term treatment” が無い84。日本の電子添文が期間を限定せずに禁忌を置いているのはこれと整合する。同じ 4.4 は逐語 “valvulopathy and fibrotic reactions have been reported during treatment with pergolide at doses less than 0.5mg/day” とし、1日0.5 mg未満の低用量でも報告があることを明記する(=「低用量なら安全」とは書かれていない)8
  • ⚠️ 心エコーの間隔まで規定されている。 日本の電子添文 8.3 は、投与開始前に等の身体所見と心エコーで潜在する弁膜症の有無を確認し、投与開始後3〜6ヵ月以内、以降は少なくとも6〜12ヵ月ごとに心エコーを行うよう求める2。この間隔はに共通で、のノートにある日英の文書の対比も同じ数字である
  • 他の薬(・など)と同様、・のリスクもに共通する懸念として想定される。日本の電子添文も・胸水・・・・心膜滲出液・の既往がある患者を「特定の背景を有する患者」に挙げ、投与中は身体所見・X線・心エコー・等での観察を求める2
  • ⚠️ に共通する(・病的・強迫性購買・暴食)と、のない。 発現時は減量・中止し、患者と家族に説明する。また急激な減量・中止はや薬剤(・不安・うつ・疲労感・発汗・疼痛)を誘発するためする2

副作用

同じ薬でも文書ごとに集計の仕方と頻度区分が違うので、どの文書のどの区分かを添えて読む。

文書 区分 内容
(2008年Article 31審査が添付文書 4.8 に書かせた文言) very common(10人に1人超) (逆流を含む)と関連する疾患(・心膜滲出液)8
日本の電子添文 11.1(重大な副作用) 頻度不明 、、・胸水・・・・心膜滲出液、、、失神、黄疸2
同 11.1 5%以上 ・(国内長期試験314例では13.4%)2
同 11.1 0.1〜5%未満 せん妄、腸閉塞、血小板減少2
日本の電子添文 11.2(その他の副作用) 5%以上 悪心・嘔吐・胃部不快感・・、不安・興奮・感、、めまい・2
同 11.2 0.1〜5%未満 傾眠・ねむけ、不眠、頭痛・、振戦、、、・起立性低血圧、、不整脈、徐脈、便秘、口渇、 ほか2
米国の添付文書(PERMAX) (1つ以上の弁の。を要した例・死亡例を含む)1

⚠️ を「まれな副作用」として覚えない。 EMAの2008年Article 31審査は、製剤の添付文書 4.8 に逐語 “Very common: cardiac valvulopathy (including regurgitation) and related disorders (pericarditis and pericardial effusion).” と記載させており、患者向け説明文書の文言も逐語 “Very common side effect (affecting more than one person in ten)” である8。日本の電子添文は同じ弁膜症を 11.1 重大な副作用(頻度不明) として扱うが、💡 「頻度不明」は「手元のデータからは推定できない」という表示であって「まれ」ではない(11.1 で数字が付いているのは・5%以上、せん妄・腸閉塞・血小板減少0.1〜5%未満、・意識障害・0.1%未満だけである)2。同じ審査がに割り当てたのは逐語 “Very rare” であり、頻度区分は「」というクラスにではなく薬剤ごとに付いている4。

⚠️ 23.4%を、この頻度区分と同じ欄に並べない。 23.4% は Zanettini らの心エコー研究で服用中の64例のうち、いずれかの弁に中等度〜高度(グレード3〜4)の逆流を認めた人の割合()であって、文書が定める副作用の頻度区分でもなければ「リスクが最大〜%」でもない。対比の相手は群0%・対照群5.6%である6。上の頻度区分(very common/頻度不明)と、研究で測った(23.4%)は分母も集団も別の量である。

⭐ 日本の電子添文は「15. その他の注意」で、外国の研究において1日3000 µgより多い投与量では線維化によるのリスクが高いとの報告があるとも述べている(本剤の承認された標準は1日750〜1250 µgである)2。は高齢者でとくに問題になりやすく、電子添文も9.8で高齢者には用量に留意して慎重に投与するよう求めている2。

まとめ

  • はD1・D2受容体を両方刺激するとして登場したが、への強い作動作用がを引き起こし、2006年に、2007年に米国・カナダで市場撤退という経過をたどった。
  • 治療効果(D1/D2刺激)と最大の安全性問題(5-HT2B刺激による弁膜症)は全く別の受容体系から生じる——この「効果と害の分離」がこの薬を学ぶ核心。
  • 心エコーによる研究では、中等度〜高度(グレード3〜4)の弁逆流をいずれかの弁に認めた割合が服用者で23.4%、服用者で28.6%だったのに対し、薬(・・など)の服用者では0%、対照群でも5.6%であり、とは明確に一線を画す6。
  • ⭐ は「まれな副作用」ではない。 EMAの2008年Article 31審査が製剤の添付文書 4.8 に書かせた頻度区分は very common(10人に1人超)であり8、日本の電子添文では 11.1 重大な副作用(頻度不明)である2。同じ審査がに割り当てたのは very rare で、頻度区分はというクラスではなく薬剤ごとに付く4。⚠️ この上の頻度区分と、上の23.4%は別の量である(分母も測り方も違う)。
  • ⚠️ 「もう使われていない薬」ではない。現況は国で分かれる。 米国では2007年以降処方されず、の「安全性または有効性を理由に撤回・除去された医薬品」一覧(21 CFR 216.24)にも収載されている7が、日本ではペルマックス錠として現行(2026年7月改訂・第2版)であり、非が無効かできないパーキンソン病患者の二次選択として、投与前・投与開始後3〜6ヵ月以内・以降6〜12ヵ月ごとの心エコー監視付きで使われる。での流通状況はこのノートでは判定していない。

出典

  1. 1.PERMAX (pergolide) tablet [Label](DailyMed (NLM) / labeler Valeant Pharmaceuticals, Inc.・2007)枠組み警告として心臓弁膜症(1つ以上の弁の弁膜疾患、弁置換を要した例・死亡例を含む)のリスク増加が明記されており、全用量で報告例があるが高用量でリスクが高い可能性が示唆されていること、心臓弁膜症と診断された場合は原則中止すべきであり中止後に症状・所見が改善した例があること、投与開始前の心臓評価・心エコー検査と、その後の定期的な心エコースクリーニングが推奨されていることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.ペルマックス錠50μg/ペルマックス錠250μg 電子添文(2026年7月改訂・第2版、承継に伴う改訂)(医薬品医療機器総合機構(PMDA。大原薬品工業)・2026)電子添文の本文を取得して確認した。冒頭の作成又は改訂年月が2026年7月改訂(第2版、承継に伴う改訂)で、その前は2021年9月改訂(第1版)であること。製造販売元が大原薬品工業株式会社で、YJコードは50μg錠が1169008F1026、250μg錠が1169008F2022、販売開始は1994年8月であること。4. 効能又は効果が「パーキンソン病」のみであること、5. 効能又は効果に関連する注意が逐語「非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者のみに投与すること。」であること、2. 禁忌が麦角製剤に対する過敏症の既往と「心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者」の2項目であること、8.1 が「非麦角製剤と比較して、本剤を含む麦角製剤投与中の心臓弁膜症、線維症の報告が多い」とすること、8.3 が本剤の長期投与について投与開始前の聴診等の身体所見の観察と心エコー検査、投与開始後3〜6ヵ月以内・以降少なくとも6〜12ヵ月ごとの心エコー検査を求めることを確認した。6. 用法及び用量はL-dopa製剤との併用を前提に1日1回50μgの夕食直後投与から始めて漸増し、維持量を標準1日750〜1250μgとする。8.8 が病的賭博・病的性欲亢進・強迫性購買・暴食等の衝動制御障害を、8.9 が急激な減量・中止による悪性症候群と薬剤離脱症候群を挙げる。PMDAの一般名コード1169008F1の製品一覧に2026-09-17時点で掲載されている製剤はペルマックスのみであった閲覧 2026-09-17
  3. 3.Questions and answers on the review of ergot-derived dopamine agonists(European Medicines Agency (EMEA) / Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP)・2008)PDF全文(文書番号 EMEA/CHMP/319054/2008、2008年6月26日付)を取得して確認した。麦角系ドパミン作動薬5剤(bromocriptine、cabergoline、dihydroergocryptine、lisuride、pergolide)を対象とするArticle 31審査で、CHMPは販売承認は維持したうえで線維症のリスクを減らすための使用上の制限を導入すべきだと結論し、逐語で「線維症(心臓弁の線維症を含む)のリスクは5剤すべてで同じではないようだ」と述べている。カベルゴリンとペルゴリドについては、心臓弁の線維化のリスクが確立していること、両剤の添付文書には弁膜の病変がある患者への禁忌が既に置かれていること、パーキンソン病では他の治療を受けたことがあるか受けられない患者にのみ使うべきであることを確認したうえで、投与開始前と投与中の心エコーによる監視の警告、1日最大3 mgへの用量制限、cardiac fibrosis を very common(10人に1人超)の副作用として記載することを勧告した。対してブロモクリプチン・ジヒドロエルゴクリプチン・リスリドについては逐語 "there is not enough evidence to determine whether there is an increased risk of fibrosis of the heart valves" とし、高用量・長期使用での線維症の警告、ブロモクリプチンの1日30 mgへの制限、ブロモクリプチンとジヒドロエルゴクリプチンへの弁膜病変のある患者への禁忌の追加だけを勧告している(リスリドには同様の禁忌を勧告するだけの情報が無かった)。すなわち二次選択への限定・投与中の定期的な心エコー監視・1日3 mg・very common の記載はいずれもカベルゴリンとペルゴリドに対する勧告であってブロモクリプチンには掛かっていない。ただし処方者向けの勧告の節では、5剤に共通して心臓・肺・腹部の線維症の既往がある患者には使わないこと、投与開始前に心臓に線維症が無いことを確認することを求めている。機序としては5-HT2B受容体の活性化を挙げ、5剤のうちカベルゴリンとペルゴリドがこの受容体をもっとも強く刺激すると述べている閲覧 2026-09-17
  4. 4.Bromocriptine, dihydroergocryptine and lisuride Article-31 referral - Annex III (Amendments to the summaries of product characteristics and package leaflets)(European Medicines Agency / Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP)・2008)PDF全文を取得して確認した。同じ2008年のArticle 31審査が、ブロモクリプチン・ジヒドロエルゴクリプチン・リスリドについて添付文書へ反映させる文言を定めた附属書で、カベルゴリン・ペルゴリドとは別の文書として発行されている。ブロモクリプチンは 4.2 で1日最大30 mgへの制限、4.3 で逐語 "For long-term treatment: Evidence of cardiac valvulopathy as determined by pre-treatment echocardiography"、4.4 で長期・高用量投与における胸膜・肺・心膜・後腹膜の線維症の警告を定める。決定的な違いは 4.8 で、逐語 "Very rare: cardiac valvulopathy (including regurgitation) and related disorders (pericarditis and pericardial effusion)" とされ、カベルゴリン・ペルゴリドに割り当てられた very common とは頻度区分が2段以上離れている。心エコーは長期投与の開始前に求められるだけで、投与開始後3〜6か月以内・以降少なくとも6〜12か月ごとという定期実施の規定は無く(患者向け説明文書の文言は逐語 "If necessary he/she will have an echocardiogram taken")、パーキンソン病での二次選択への限定も無い。リスリドには禁忌も用量制限も課されていない閲覧 2026-09-17
  5. 5.Drug-Induced Valvular Heart Disease(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)ペルゴリド・カベルゴリンなど麦角系ドパミン作動薬が5-HT2B受容体の部分〜完全作動薬として弁間質細胞の増殖を誘導し弁膜症を来すこと、2007年の研究について総説が逐語 "A study conducted in 2007 showed an increased risk of valvular regurgitation of up to 23.4% in patients using pergolide and up to 28.65% in patients using cabergoline compared to users of agonists such as pramipexole and ropinirole" と要約していることを確認した。⚠️ ただしこの要約は原著(Zanettini R ほか、N Engl J Med 2007;356(1):39-46)と食い違う——原著の23.4%・28.6%は「中等度〜高度(グレード3〜4)の逆流をいずれかの弁に認めた人の割合」という有病率であって「リスクが最大〜%」ではなく、28.65%は総説側の桁の誤りで、対比の相手も非麦角系群0%と対照群5.6%である。本文ではこの数値を原著へ付け替えてある閲覧 2026-08-10
  6. 6.Valvular heart disease and the use of dopamine agonists for Parkinson's disease(The New England Journal of Medicine(Zanettini R, Antonini A, Gatto G, Gentile R, Tesei S, Pezzoli G. 2007;356(1):39-46、PMID 17202454)・2007)PubMed(PMID 17202454)で抄録全文を取得して確認した(NEJMの本文ページは403で未取得のため、判定は抄録の範囲にとどめている)。パーキンソン病でドパミン作動薬を服用中の155例(ペルゴリド64例、カベルゴリン49例、非麦角系42例)と対照90例を対象とした心エコーによる有病率研究であり、結果は逐語 "Clinically important regurgitation (moderate to severe, grade 3 to 4) in any valve was found with significantly greater frequency in patients taking pergolide (23.4%) or cabergoline (28.6%) but not in patients taking non-ergot-derived dopamine agonists (0%), as compared with control subjects (5.6%)."。すなわち23.4%・28.6%は「臨床的に重要な逆流(中等度〜高度、グレード3〜4)をいずれかの弁に認めた人の割合」という有病率であって「リスクが最大〜%」ではなく、非麦角系0%・対照5.6%との対比が結果の本体である。ペルゴリド群の中等度以上の逆流の相対危険は僧帽弁6.3(P=0.008)・大動脈弁4.2(P=0.01)・三尖弁5.6(P=0.16)、カベルゴリン群では4.6(P=0.09)・7.3(P<0.001)・5.5(P=0.12)。逆流の評価は米国心エコー図学会の勧告に従っている。グレード3〜4の逆流があった麦角系服用者は、より低いグレードの者に比べペルゴリドまたはカベルゴリンの平均累積投与量が有意に多かった閲覧 2026-09-17
  7. 7.Additions and Modifications to the List of Drug Products That Have Been Withdrawn or Removed From the Market for Reasons of Safety or Effectiveness(U.S. Food and Drug Administration / Federal Register(81 FR 69668、21 CFR 216.24)・2016)本文を取得して確認した。FDAが21 CFR 216.24として定める「安全性または有効性を理由に市場から撤回・除去された医薬品」の一覧(2016年11月7日施行)に、逐語で "Pergolide mesylate: All drug products containing pergolide mesylate" が含まれる。同規則は冒頭でこの一覧に載る薬は連邦食品医薬品化粧品法503A条・503B条の下で調剤(compounding)してはならないと定める。すなわちペルゴリドの米国での市場撤退は自主回収の事実にとどまらず、FDAの規則上の一覧に収載されている。この文書はカナダでの流通については何も述べていない閲覧 2026-09-17
  8. 8.Cabergoline and pergolide Article-31 referral - Annex III (Amendments to the summaries of product characteristics and package leaflets)(European Medicines Agency / Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP)・2008)PDF全文を取得して確認した。2008年のArticle 31審査が各国の添付文書へ反映させる文言そのものを、カベルゴリン製剤とペルゴリド製剤について定めた附属書である(同じ審査でもブロモクリプチン等とは別の文書として発行されている)。ペルゴリドは 4.2 で1日最大3 mgへの制限、4.3 の禁忌が逐語 "Evidence of cardiac valvulopathy as determined by pre-treatment echocardiography"(カベルゴリンとブロモクリプチンに付いている "For long-term treatment" という限定が無い)、4.4 で投与開始前の心エコーを含む心血管系評価と、逐語 "Following treatment initiation, the first echocardiogram must occur within 3-6 months, thereafter ... must occur at least every 6 to 12 months"、4.8 で逐語 "Very common: cardiac valvulopathy (including regurgitation) and related disorders (pericarditis and pericardial effusion)" を定める。4.4 はさらに、高用量・累積曝露が弁膜病変の危険因子である一方で逐語 "valvulopathy and fibrotic reactions have been reported during treatment with pergolide at doses less than 0.5mg/day" とし、低用量でも報告があると述べる。心エコーで新規または増悪した弁逆流・弁の可動制限・弁尖肥厚が見つかれば中止すべきとする閲覧 2026-09-17