Anesthesiology

Anesthesiology · B-20

疼痛管理

Pain management

前提:病態
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
前提:正常
痛覚の生理学体性内臓感覚系
症状
侵害可塑性疼痛神経障害性疼痛疼痛

🧠 全体像:疼痛はの強さだけで決まらず、感覚・情動・認知・背景を含む個人的体験である。安全なでは、痛みの機序と機能障害を評価し、、オピオイドを組み合わせ、鎮痛効果と呼吸・意識・活動性を反復評価する。

疼痛の定義と生理

疼痛は、実際または潜在的なに関連する、またはそれに似た不快な感覚・情動体験である。患者の訴えを尊重しつつ、原因検索と安全評価を並行する。

疼痛体験の成分 内容
部位、強度、性状、
情動 不安、恐怖、不快、抑うつ
自律神経 頻脈、発汗、血圧変化、睡眠障害
認知 意味づけ、予測、注意、過去の経験
運動 反射、防御姿勢、

侵害受容の段階

flowchart TD
    A["機械・熱・化学刺激"] --> B["変換"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='A-delta fiber'>Aδ線維</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C fiber'>C線維</span>で伝導"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dorsal horn'>脊髄後角</span>で修飾"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ascending tracts'>上行路</span>から視床・大脳"]
    E --> F["知覚"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='descending inhibition'>下行性抑制</span>・促進"]
    G --> D
線維 特徴 伝える痛み
細い、伝導が速い 鋭く局在しやすい
、伝導が遅い 灼ける・うずく、局在しにくい
  • 損傷組織からプロスタグランジン、、H+、ATP、サイトカインなどが放出され、の閾値が下がるが起こる。
  • 強い・持続する入力はの興奮性を高め、通常なら痛くない刺激も痛む、刺激以上に痛むを生む。これをという。
  • 内臓痛はびまん性で自律神経症状を伴いやすく、体性入力と同じへ収束してを生じる。
  • と、からセロトニン・ノルアドレナリン系を介するが入力を弱める。オピオイド、抗うつ薬、触刺激などは異なる位置でこの調節に関与する。

疼痛の分類

分類 機序・特徴 代表例
が活性化 術後創、骨折、関節炎、内臓痛
の病変・疾患
明確な・神経病変だけでは説明できない処理異常 など
複数機序が併存 、術後遷延痛

は損傷や手術に伴い機能を持つが、治療不足は呼吸、睡眠、離床、回復を妨げる。は通常3か月を超えて持続・反復し、生物心理要因そのものが病態を維持する。

疼痛評価

問診

  • 発症、誘因、部位・放散、性状、強度、、増悪・軽減因子を確認する。
  • 睡眠、咳・深呼吸、歩行、食事、仕事など機能への影響を評価する。
  • 既往治療の効果・副作用、腎肝機能、出血、OSA、精神疾患、を確認する。
  • 痛みの、神経脱落、発熱、循環不安定、、虚血などのを先に除外する。

評価尺度

患者 尺度
自己申告可能
小児 年齢に応じフェイス尺度、FLACC
挿管・意思疎通困難

数値をゼロにすることだけを目標にせず、深呼吸・咳・離床が可能かという機能的目標を患者と共有する。介入後は同じ尺度で効果と副作用を再評価する。

多角的鎮痛

異なる部位・機序へ作用する治療を組み合わせ、単一薬の高用量と副作用を減らす。

flowchart TD
    A["疼痛の機序・強度・機能を評価"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Non-pharmacological'>非薬物療法</span>"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-opioid drug'>非オピオイド薬</span>"]
    A --> D["局所・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regional anesthesia'>区域麻酔</span>"]
    A --> E["必要最小限のオピオイド"]
    B --> F["効果・鎮静・呼吸・活動を再評価"]
    C --> F
    D --> F
    E --> F
    F --> G["継続・減量・変更"]

非薬物療法

  • 説明、安心、睡眠環境、体位調整、を行う。
  • では運動療法、、自己管理教育、社会・職業支援を治療の中心に置く。
  • は薬の代替に限定せず、薬物療法と同時に用いる。

非オピオイド薬と補助薬

選択肢 適する病態 主な注意点
多くの急性・の基礎薬 肝障害、、アルコール、配合薬との重複
NSAID/COX-2阻害薬 炎症性・骨性・ 腎障害、消化管出血、心血管リスク、止血、骨癒合を個別評価
浸潤、 、運動遮断、
手術時の鎮痛補助・PONV予防 高血糖、感染リスクを個別評価
、強い要素 精神症状、交感神経作用、監視が必要
α2作動薬 による鎮痛補助 徐脈、低血圧、鎮静
選択された 傾眠、めまい、呼吸抑制、腎機能で調整。周術期に一律投与しない
抗うつ薬 など セロトニン作用、、心伝導、離脱

フェニトインは一般的な疼痛治療として一律に用いない。も適応・製剤・法規・精神神経副作用を踏まえて専門的に判断し、標準的な急性術後鎮痛の代わりにはしない。

オピオイドを用いるとき

  • 多くの急性・では非オピオイド療法を最大限活用する。中等度〜重度ので利益が上回る場合は、製剤を最小・必要最短期間で用いる。
  • 用量は年齢、オピオイド未使用/耐性、OSA、腎肝機能、・鎮静薬を踏まえてする。
  • 呼吸抑制は標準量でも生じ得る。特に高齢、OSA、肥満、肺疾患、腎不全、鎮静薬併用、オピオイド未使用患者では高リスクである。
  • 性代謝物が腎機能低下で蓄積し、興奮・けいれんを起こすため、一般的鎮痛には避ける。
  • 病院内では、呼吸数、SpO2を監視し、高リスクまたは非挿管患者のではを検討する。
  • 過量時は気道開通と換気を優先し、を換気回復に必要な最小量でする。に備えて監視を続ける。

慢性オピオイド療法では、、機能改善、副作用、処方薬モニタリング、提供を定期評価する。利益が乏しくても突然中止せず、患者と合意した緩徐な減量を行う。、鎌状赤血球症、には一般とは異なる専門指針を適用する。

患者自己調節鎮痛

は患者自身が設定範囲内ででき、鎮痛を迅速に調節する方法である。

設定 意味
1回の
追加投与できない時間
一定時間内の最大量
オピオイド未使用患者では呼吸抑制を増やすため原則避ける
  • 患者が装置を理解し、自分でボタンを押せることが前提である。家族や医療者による代理押し( by proxy)は危険である。
  • だけでなく、鎮静、呼吸、悪心、掻痒、尿閉、を評価する。
  • 患者では通常設定が不足することがあり、疼痛チームと個別化する。

区域麻酔と介入

  • 局所浸潤、は強い局所鎮痛を与え、全身オピオイドを減らす。
  • カテーテル使用中はブロック範囲、、低血圧、尿閉、感染、毒性を監視する。
  • では留置・と投薬時刻を計画する。進行する神経障害やではを緊急評価する。
  • の注射・は、明確な診断と機能目標のもと、保存療法との比較、合併症、を検討する。

ICUの疼痛管理

  • 覚醒患者には自己申告尺度、意思疎通困難患者にはCPOTまたはBPSを使い、だけで痛みを判定しない。
  • 吸引、、ドレーン処置などな痛みには処置前鎮痛を行う。
  • を基本とし、痛みを治療せず鎮静だけを深くしない。
  • 腎肝機能、せん妄、人工呼吸離脱、腸管運動を毎日評価し、不要なオピオイド・鎮静薬を減量する。

参考ガイドライン

まとめ

  • 疼痛は、侵害の機序と急性・慢性の時間軸で評価する。
  • 強度だけでなく、睡眠、呼吸、離床など機能目標を定め、介入後に同じ尺度で再評価する。
  • 、必要最小限のオピオイドを組み合わせる。
  • オピオイド呼吸抑制は標準量でも起こり得るため、患者リスクに応じて鎮静・呼吸・換気を監視する。
  • は本人だけが操作し、は特にオピオイド未使用患者で慎重に扱う。