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Disease Atlas · 神経 · 疾患

頸髄症

Cervical myelopathy (degenerative cervical myelopathy)

別名
頸椎症性脊髄症degenerative cervical myelopathyDCM
臓器系
神経運動器
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-21:脊髄障害の症候神経内科 G1-25:脊柱管・脊髄の占拠性病変神経内科 G1-38:神経根症候群(頸腕痛・腰坐骨神経痛)
鑑別疾患
亜急性連合性脊髄変性症筋萎縮性側索硬化症多発性硬化症
症状
頸部痛しびれ筋力低下歩行障害膀胱膨満
画像所見
神経根圧迫のMRI所見

🧠 全体像は、の変性が脊髄そのものを圧迫することで生じるである。同じ変性でも神経根だけを侵すとは臨床像もも異なり、運動障害・・膀胱直腸障害・という徴候の有無が両者を分ける最大のになる。成人脊髄機能障害の原因として世界的に最も頻度が高い病態であり、進行すれば不可逆な障害を残すため、徴候を早期に拾うことが臨床上の要になる。

神経根症との違い

によるは、部で神経根が圧迫され、性の疼痛・感覚障害と当該筋節の筋力低下・という徴候を呈する。はこれとは異なり、内で脊髄実質が圧迫され、圧迫より下で)という徴候を呈する1。同じ患者に両方が併存することもあるため(多椎間の変性が神経根と脊髄の双方を圧迫しうる)、反射パターンを丁寧に取ることが鑑別の軸になる。

病態

加齢に伴う変性、骨棘形成、黄色肥厚、の肥大がを狭小化し、静的な圧迫に加えて頸部の屈曲・伸展のたびに脊髄が引き伸ばされ圧迫される動的な要素が加わる。な圧迫・虚血と反復する機械的ストレスが脊髄実質の変性を進める。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intervertebral disc'>椎間板</span>変性・骨棘・黄色<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligament'>靱帯</span>肥厚・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zygapophyseal (facet) joint'>椎間関節</span>肥大"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vertebral canal'>脊柱管</span>の静的狭窄"]
    B --> C["頸部の屈曲・伸展で加わる動的圧迫"]
    C --> D["脊髄への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な圧迫・虚血"]
    D --> E["脊髄実質の変性"]
    E --> F["圧迫<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high'>高位</span>より下の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper motor neuron, UMN'>上位運動ニューロン</span>徴候"]

臨床像

  • 手指の運動障害:ボタンかけ・箸操作がしづらくなる、が乱れるなど、を疑う初期の手がかりになりやすい。
  • ・不安定な歩行。本人が「つまずきやすくなった」と表現することが多い。
  • :手指から前腕、あるいは体幹にかけて。
  • の亢進、Hoffmann徴候(を弾くと母指内転・軽度屈曲を誘発)、下肢の。Hoffmann徴候は感度59〜67%・特異度81%とされ、補助的な所見として有用である1
  • 膀胱直腸障害膀胱機能障害は進行例でみられ、重症度評価の一項目になる。
  • を伴うこともあるが、必発ではなく、の有無だけでの可能性を判断しない。

💡 逆行性が低下しているのに三頭筋反射だけ亢進していれば、C5/6レベルでの脊髄圧迫を示唆する所見として知られる。

重症度評価

modified Japanese Orthopaedic Association score(mJOA、満点18点)は上肢・下肢・上肢感覚機能・膀胱機能の4領域からなる重症度評価で、軽症15点以上・中等症12〜14点・重症11点以下に分類される2。この分類はの選択と経過観察に用いる。

診断

MRIでと脊髄の圧迫を確認し、画像所見との責任が一致するかを評価する。脊髄実質にT2高信号があれば、圧迫の程度だけでなく脊髄そのものの障害を示す指標になる。(感覚障害を伴わない進行性の徴候)、(ビタミンB12欠乏による後索・錐体路障害)、徴候を呈し鑑別に挙がるが、画像上の圧迫所見と責任の一致がを支持する決め手になる。

治療

軽症〜中等症では保存治療(の回避、の短期使用)を選択できるが、保存治療を行った軽症〜中等症例の20〜60%が3〜6年の経過で増悪するとされ、無治療のまま安心はできない1。中等症〜重症、急速進行例、保存治療に反応しない例では外科的(前方固定術、後方形成術・切除固定術など)が選択される。

⚠️ は不可逆な障害を残しうるため、症状の進行を「様子を見る」対象にしない。 mJOAスコアでの定期評価と、悪化時の早期の専門科紹介が重症化を防ぐ。

まとめ

  • 変性による脊髄圧迫で、徴候(・Hoffmann徴候・膀胱直腸障害)がとの分かれ目になる。
  • 手指の運動障害とが初期の手がかりになりやすい。
  • mJOAスコア(軽症15点以上・中等症12〜14点・重症11点以下)で重症度を評価し、の選択に用いる。
  • 軽症〜中等症でも3〜6年で20〜60%が増悪しうるため経過観察を怠らず、中等症以上・急速進行例では外科的を検討する。

出典

  1. 1.Degenerative Cervical Myelopathy: Recognition and Management(American Academy of Family Physicians (Am Fam Physician)・2020)頸髄症と神経根症を分ける決め手が反射パターンであり頸髄症では深部腱反射亢進、神経根症では反射低下を来すこと、Hoffmann徴候(中指を弾いて母指の内転・示指の軽度屈曲が誘発される所見)の感度が59〜67%・特異度81%であること、保存治療を行った軽症〜中等症例の20〜60%が3〜6年の経過で増悪しうることを確認した。閲覧 2026-08-12
  2. 2.Comparison of the Japanese Orthopaedic Association (JOA) Score and Modified JOA (mJOA) Score for the Assessment of Cervical Myelopathy: A Multicenter Observational Study(PLOS ONE・2015)頸髄症の重症度を機能評価するmJOAスコア(満点18点)が上肢運動機能・下肢運動機能・上肢感覚機能・膀胱機能の4領域から構成され、重症度分類として軽症15点以上・中等症12〜14点・重症11点以下という区分がFehlingsらにより示されていることを確認した。閲覧 2026-08-12