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Drug Atlas · B1 Hemostatics / 止血薬

アルブミン製剤

albumin human

分類
Plasma volume expanders / 血漿増量薬
商品名(日本)
アルブミナー
科目
PharmacologyClinical PharmacologyTranslational Medicine and Pathophysiology
トピック
B1: Drugs influencing blood coagulation I: Antiplatelet agents. Fibrinolytic drugs. Drugs inhibiting bleeding06: Fluid therapy, shock and hypertensive emergency2-10: Organ changes in chronic renal failure
承認適応
肝硬変ネフローゼ症候群熱傷
副作用
発熱悪寒顔面潮紅腰痛
監視検査値
アルブミンクレアチニン
対象疾患
特発性細菌性腹膜炎

🧠 全体像:アルブミン製剤は、の約60%を占め、の約80%を担うヒトをしたである。1 gでが約20 mL増えるため、循環血液量の確保が本来の役割になる1。等張の5%と高張の20〜25%があり、は腹水を伴う肝硬変で最も強く推奨される(・・の予防と治療)。逆に、単なるの数値の補正、栄養補給、敗血症やの第一選択としては使わない2。であり、必要最小限の使用にとどめる。

薬効群の中での位置づけ

製剤 濃度 主な使いどころ 注意点
等張アルブミン 5% や熱傷時の補充、。ただし晶質液が使えないときに選ぶ(推奨度は後述の表) 容量増加効果は投与量の70〜100%程度
高張アルブミン 20〜25% 腹水を伴う肝硬変、肺水腫の治療 間質から水を引き込むため・肺水腫に注意

の比較は輸液療法のトピックの表にまとめてある。・・免疫グロブリンと同じく・の仲間だが、凝固因子や抗体の補充ではなく、と容量の調節が役割である。

機序

flowchart TD
    A["高濃度のアルブミンを静注"] --> B["血漿の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oncotic pressure'>膠質浸透圧</span>が上がる"]
    B --> C["間質から血管内へ水が移動する"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circulating plasma volume'>循環血漿量</span>が増える<br>1 gにつき約20 mL"]
    D --> E["血圧・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal perfusion'>腎灌流</span>が保たれる"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid administration (bolus)'>急速投与</span>や心機能低下では<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='circulatory overload'>循環過負荷</span>・肺水腫"]
    A --> G["脂肪酸・ホルモン・薬物と結合して運搬する"]

25%製剤50 mL(アルブミン12.5 g)の輸注は、約250 mLのの増加に相当する1。

薬物動態

  • 濃度は思ったほど上がらない。 65 kgの成人で25%製剤50 mL(12.5 g)につき濃度は約0.2 g/dL上昇する程度で、必要量を算出して2〜3日に分けて投与する2
  • 慢性の(肝硬変など)では、投与してもへ漏出し、かえって分解が促進される。濃度が4 g/dL以上では内因性の合成が抑えられることもある1
  • 蛋白の喪失が原因のでは、原因が続く限り効果は一時的にとどまる3

適応

日本の電子添文の効能は、アルブミンの喪失(熱傷・など)とアルブミン合成低下(肝硬変症など)による、である1。ただしが2.5〜3.0 g/dLでも症状が出ないことが多く、数値の維持だけを目的にしないと明記されている。

日本の輸血療法実践ガイド(2026年)は、病態ごとに使う・使わないを推奨度つきで整理している2。

区分 病態
使うことを強く推奨() 腹水を伴う肝硬変:の管理、後の循環不全、、肝硬変に伴う(いずれも1A)。凝固因子を補う必要のない(1A)
使うことを弱く推奨 小児のでの(2B)
使わないことを強く推奨 (1A/1B)。では(晶質液が第一選択、1A)と敗血症(1B)
使わないことを弱く推奨 の難治性浮腫・肺水腫(緊急時以外、2D)、時の低血圧、、による浮腫や肺水腫、成人の使用心臓手術
不適切な使用 蛋白質源としての栄養補給、終末期の患者

💡 ガイドが「使わない」とするのは、数値や症候を補正するための使い方である。 敗血症でも、大量の晶質液が必要な場合に限っての安定のためにアルブミンを併用することは提案される(2C)。も、病態を考慮したの使用は提案される(2B)。

米国の添付文書の適応は、、、、、、、ARDS、肝硬変性腹水の穿刺後と、日本より広い3。用量は血漿アルブミン濃度ではなく、循環血液量が足りているかで決めると記載されている。

肝硬変での使い方

アルブミン製剤の根拠が最も厚い領域である。強く推奨されるのは、穿刺後の循環不全と(AKI)の予防・治療が中心で、アルブミンでを整えること自体は目的にならない4。

場面 用量 推奨
(5 L超の) 20〜25%を1 Lあたり6〜8 g(米国の添付文書は1000 mLにつき8 g。合意文書の原文は「5 L超」の表現で、量あたりと読む) とAKIを減らす
抗菌薬に加え、1日目に1.5 g/kg、3日目に1.0 g/kg AKIと死亡が減る。利益はビリルビン4 mg/dL超またはクレアチニン1.0 mg/dL超の患者で示された
HRS-AKI (が第一選択)と併用し、1日20〜40 g 診断後ただちに併用して開始する
flowchart TD
    A["腹水を伴う肝硬変でAKI"] --> B["AKIの別の原因がないか確認する"]
    B --> C["容量不足が疑わしければ補液<br>晶質液250〜500 mLまたは<br>20〜25%アルブミン1〜1.5 g/kg"]
    C --> D{"24時間で<br>クレアチニン・尿量が改善"}
    D -->|"はい"| E["容量不足によるAKI"]
    D -->|"いいえ"| F["HRS-AKIを考える"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='terlipressin'>テルリプレシン</span>と<br>20〜25%アルブミン<br>1日20〜40 gを開始"]
    G --> H["毎日<span class='jp-term jp-term-diagram' title='volume status'>容量状態</span>を評価<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='overload'>過負荷</span>・肺水腫の所見で中止"]

⚠️ 「体系的な投与」には反対の推奨がある。 次の使い方は、肺水腫の危険が上がる一方でAKIの発生も生存も変えないとして、強い推奨(グレードA)で反対されている。

  • SBP以外の感染でAKIを予防するためにアルブミンを使う
  • を3.0 g/dL超に保つことだけを目的に毎日投与する

⚠️ HRS-AKIの診断の前提として「48時間の体系的なアルブミン投与」を行うことにも反対されている(グレードD)。が正常か過剰な患者では、48時間の投与がを招き、の開始も遅らせるためである4。長期の外来投与は、試験の結果が割れており、AKIの予防として推奨するには根拠が足りない。

用法・用量

国・場面 用量
日本(通常) 成人1回20〜50 mL(5〜12.5 g)を緩徐に静注または。年齢・症状・体重で増減する1
米国: 初回25 g。15〜30分で血行動態が安定しなければ追加する3
米国: 50〜75 g。感染によるへのは初回50〜100 g
米国:ARDS 25 gを30分で投与し、8時間後に反復して3日間。利尿薬と併用する
米国: の前または最中に1 g/kg
  • 輸注速度を調節する。 急激なの増加で肺水腫・心不全を起こしうる1
  • 日本の添付文書は、参考の目標濃度を急性で3.0 g/dL以上、慢性で2.5 g/dL以上とする。ただし、投与の前後で濃度とを比べて3日間を目途に効果を評価し、漫然と続けない
  • ⚠️ この目標値は「数値を満たすための投与」の根拠にしない。 実践ガイドは急性期に目標アルブミン値を設けても有効性が示されていないとし、肝硬変の合意も「3.0 g/dL超を保つだけの投与」に反対している2
  • で薄めない。 溶血を起こしうる3。日本の添付文書も、混合してよいのは5%ブドウ糖液・など中性に近い輸液に限るとする

禁忌・注意

区分 内容
日本の禁忌 成分に対しショックの既往歴のある患者1
米国の禁忌 アルブミン製剤・への過敏症、正常または増加したを伴う重度の貧血または心不全3
慎重投与 (過敏反応)、、が正常〜過多の患者(で心・肺水腫)、溶血性・性貧血、免疫不全の患者、妊婦()
  • ⚠️ ・脳虚血では、予後の悪化のため原則使わない2
  • 血液を原料とするため、やvCJDなどの感染のリスクを完全には排除できない。として、投与した記録を使用日から少なくとも20年間保存する
  • 使い残しは使わない。 保存剤を含まず、細菌が増えやすい蛋白である

副作用

まとめ

  • アルブミン製剤はの約60%・の約80%を担う蛋白で、1 gでが約20 mL増える。5%(等張)と20〜25%(高張)がある
  • 最も強く推奨されるのは腹水を伴う肝硬変:後(1 Lあたり6〜8 g)、(1.5 g/kgと1.0 g/kg)、HRS-AKI(と併用、1日20〜40 g)
  • 使わないのは、数値の補正・栄養補給・敗血症やショックの第一選択。晶質液で足りる場面が多く、大量の晶質液が必要なときに限って併用を考える
  • HRS-AKIの診断の前提としての48時間投与や、血清3.0 g/dL超を保つだけの投与には反対の推奨がある
  • 最大のリスクはと肺水腫で、を毎日評価する。として必要最小限にとどめる

出典

  1. 1.アルブミナー25%静注12.5g/50mL 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/CSLベーリング株式会社・2026)電子添文(2026年3月改訂、第3版)の本文を開いて確認した。販売名アルブミナー25%静注12.5g/50mL、一般的名称は人血清アルブミン、販売開始は1988年、特定生物由来製品、禁忌は成分に対しショックの既往歴のある患者。効能は、アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)とアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショック。血清アルブミン濃度が2.5〜3.0 g/dLでは臨床症状を呈さない場合も多く、単なる濃度の維持を目的に使わず、肝硬変など慢性の低アルブミン血症では投与しても血管外へ漏出して濃度は期待ほど上がらずかえって分解が促進される。用法は成人1回20〜50 mL(5〜12.5 g)を緩徐に静注または点滴静注、50 mL(12.5 g)の輸注は約250 mLの循環血漿量の増加に相当し、肺水腫・心不全に注意する。参考の目標血清アルブミン濃度は急性で3.0 g/dL以上、慢性で2.5 g/dL以上、効果は3日間を目途に評価し、漫然と続けない。血清アルブミン4 g/dL以上では合成能が抑制されうる。慎重投与はハプトグロビン欠損症、心臓障害、循環血漿量が正常〜過多の患者、溶血性・失血性貧血、免疫不全の患者、妊婦(ヒトパルボウイルスB19)。重大な副作用はショック・アナフィラキシー、その他は発熱、顔面潮紅、じん麻疹、悪寒、腰痛(いずれも頻度不明)。1 gのアルブミンは約20 mLの血漿量を増やし、アルブミンは血漿蛋白の約60%・膠質浸透圧の約80%を担う。他剤との混合は5%ブドウ糖液・生理食塩液等の中性に近い輸液以外では避ける。閲覧 2026-11-05
  2. 2.輸血療法実践ガイド(日本輸血・細胞治療学会 ガイドライン委員会・2026)PDFを取得し「III 血液製剤の使用 4 アルブミン製剤」の章(57〜60ページ)を読んで確認した。使用目的は血漿膠質浸透圧の維持による循環血液量の確保。20〜25%の高張製剤と5%の等張製剤があり、等張製剤は循環血液量減少性ショックや熱傷、高張製剤は腹水を伴う肝硬変や肺水腫治療に適応となり、代用血漿剤が使えない場合に選ぶ。急性期に目標アルブミン値を設定しても有効性は示されておらず、単なる低アルブミン血症は適応とならない。表1では、高張製剤を使うことを強く推奨する病態として腹水を伴う肝硬変(難治性腹水、大量穿刺排液後循環不全、特発性細菌性腹膜炎、肝硬変に伴う急性腎障害、いずれも1A)と凝固因子補充を要しない治療的血漿交換療法(1A)、弱く推奨するものに小児の開心術(人工心肺充填液、2B)を挙げる。使わないことを強く推奨するのは頭部外傷(1A/1B)、等張製剤では循環血液量減少性ショック(1A)と敗血症(1B)。循環血液量減少性ショックは晶質液が第一選択だが病態を考慮した膠質液の使用は提案(2B)、敗血症では大量の晶質液が必要な場合に限り使用を提案(2C)。ネフローゼ症候群の難治性浮腫・肺水腫は緊急時以外推奨せず(2D)、透析時低血圧(2C)、重症熱傷(2C)、低蛋白血症による肺水腫・浮腫(2B)、成人の人工心肺使用心臓手術(2B)も推奨しない。栄養補給(2C)と終末期(2C)は不適切な使用。必要量を算出して通常2〜3日で分割投与し、65 kgの成人で25%製剤50 mL(12.5 g)につき血清アルブミン濃度は約0.2 g/dL上昇、投与後3日以内に前後の濃度と臨床所見を評価する。閲覧 2026-11-05
  3. 3.ALBUTEIN FlexBag 25% (albumin [human] U.S.P.) 25% solution — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/Grifols USA, LLC・2026)DailyMed SPL APIで同じsetidのXML(有効日2026年10月14日)を取得し、本文を読んで確認した。米国の適応は、循環血液量減少、人工心肺、急性ネフローゼ、低アルブミン血症、卵巣過剰刺激症候群、新生児高ビリルビン血症、ARDS、肝硬変性腹水の穿刺後の中心性循環血液量減少の予防。禁忌は、アルブミン製剤・添加物への過敏症、正常または増加した血管内容量を伴う重度の貧血または心不全。用量は、循環血液量減少で初回25 gを15〜30分で効果がなければ追加、低アルブミン血症50〜75 g、急性ネフローゼ25 gを利尿薬と併用して7〜10日、ARDS25 gを30分で投与し8時間後に反復して3日間、穿刺後は排液1000 mLにつき8 g、新生児高ビリルビン血症は交換輸血の前または最中に1 g/kg。用量は血漿アルブミン濃度ではなく循環血液量が十分かどうかで決める。滅菌注射用水で希釈すると溶血を起こしうる。閲覧 2026-11-05
  4. 4.Acute kidney injury in patients with cirrhosis: Acute Disease Quality Initiative (ADQI) and International Club of Ascites (ICA) joint multidisciplinary consensus meeting(Journal of Hepatology・2024)PMC11193657の全文(NCBI efetch)を読んで確認した。20〜25%アルブミンを、大量穿刺排液後と特発性細菌性腹膜炎のAKI予防に推奨(強い推奨、グレードB)。SBPでは抗菌薬に20%アルブミン(任意の用量で1日目1.5 g/kg、3日目1.0 g/kg)を加えるとAKIと死亡が少ないが、この利益は血清ビリルビン4 mg/dL超またはクレアチニン1.0 mg/dL超でしか示されていない。大量穿刺では、20〜25%アルブミン(原文は「6–8 g for every litre over 5 L of ascites removed」で、5 L超の穿刺での排液1 Lあたりの量と読んだ。米国添付文書は排液1000 mLにつき8 g)が穿刺後循環不全を減らす。SBP以外の感染でのAKI予防と、血清アルブミンを3.0 g/dL超に保つことだけを目的とした使用には、体系的な投与に反対(強い推奨、グレードA)で、肺水腫の危険が高く、AKIの発生も生存も変えない。HRS-AKIの診断の前提として48時間の体系的なアルブミン投与を行うことに反対(強い推奨、グレードD)。容量評価が難しいときは晶質液250〜500 mLまたは20〜25%アルブミン1〜1.5 g/kgの負荷を行い、24時間で改善しなければHRS-AKIを考える。HRS-AKIでは血管収縮薬(テルリプレシンが第一選択)を20〜25%アルブミンと併用して診断後直ちに開始し、アルブミンの用量は毎日容量状態に合わせて調節し、容量過負荷があれば直ちに中止する。現行の指針は1日20〜40 g、最適な用量と期間は定まっておらず、肺水腫の所見があれば中止する。重症患者でのRCTでは、アルブミンと晶質液で30日・90日死亡率にも腎代替療法の必要性にも差がない。閲覧 2026-11-05