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Drug Atlas · A8 Beta-blockers / β遮断薬 · 必修

アテノロール

atenolol

分類
Beta-blockers / β遮断薬
商品名(日本)
テノーミン
商品名(EU)
Tenormin
科目
Pharmacology
トピック
A8: β-receptor antagonists
禁忌疾患
徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)
副作用
めまい低血圧徐脈
対象疾患
糖尿病性自律神経障害

🧠 全体像:はβ遮断薬の中で唯一「が中心でをほぼ受けない」を持つ古典的なβ1選択薬である。この一点が、腎機能低下例でのの要否と、他の多くのβ遮断薬(・など、いずれも代謝が中心)との対比を生む。半減期は約6〜7時間と短く短時間作用型に分類される一方、高血圧のとしての位置づけは他剤との比較試験でむしろ劣るとの指摘があり、現行のガイドラインではβ遮断薬全体が高血圧の第一選択から外れつつある。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 特徴 主な適応
β1選択・標準/慢性 ・ (等)中心 高血圧・狭心症・・不整脈
β1選択・型 をほぼ受けずが中心。半減期6〜7時間で短時間作用型 高血圧・狭心症・後
β1選択・点眼特化 緑内障点眼
β1選択・ ・ 静注・分単位で効果消失 ・急性期SVT

⭐ との一番の違いは代謝経路。 がで高度にされるのに対し、はほぼ未変化体のまま腎から排泄される1。このため腎機能低下例では減量を要する一方、のや薬物相互作用の影響を受けにくいという対照的な性質を持つ。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atenolol'>アテノロール</span>が心筋・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞結節</span>のβ1受容体に結合"] --> B["Gs蛋白を介した<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>活性化を遮断"]
    B --> C["細胞内<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclic adenosine monophosphate'>cAMP</span>↓ → PKA活性↓"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞結節</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='automaticity'>自動能</span>↓(心拍数↓)"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atrioventricular (AV) node'>房室結節</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conduction velocity'>伝導速度</span>↓(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractory period'>不応期</span>延長)"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiomyocyte (cardiac myocyte)'>心筋細胞</span>:収縮力・興奮性↓"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial oxygen demand'>心筋酸素需要</span>↓"]
    E --> G
    F --> G

💡 そのものはと同じ機序だが、水溶性が高く中枢移行が少ないという性質が加わる。 脂溶性の高いと異なり血液脳関門を通過しにくいため、・不眠などの中枢性副作用が相対的に少ないとされる。

薬物動態

項目 値・特徴
約50%1
蛋白結合率 6〜16%と低い1
代謝 をほぼ受けない(・と異なる)1
排泄 が中心(吸収分の大部分が未変化体のまま)1
半減期 約6〜7時間と短時間作用型1
腎機能低下時 35 mL/min/1.73m²未満で有意な蓄積。15〜35は1日50 mgまで、15未満は1日25 mgまでに制限1

⭐ 半減期が短いことが、ので候補に挙がる理由になる。 就寝時に短時間作用型のβ遮断薬を投与すれば、翌朝の起立時には効果が減弱しておりを増悪させにくい。

適応

領域 使いどころ
循環器・一般 高血圧症1
循環器・ (狭心症)の長期管理1
循環器・ 血行動態が安定した患者での率低下1

⚠️ 高血圧の第一選択としての位置づけには議論がある。 とを比較した試験では・に有意差がなかった一方、と他の(利尿薬・Ca拮抗薬・阻害薬・など)を比較した試験のでは群の・脳卒中がむしろ多く、高血圧試験の基準薬とすることに疑義が呈された2(のLIFE試験はその代表例)。現行のガイドラインでもβ遮断薬は高血圧の第一選択の主要4系統(阻害薬・・・。阻害薬とをとしてまとめれば3群)に含まれず、狭心症・心不全・などのがある場合に追加する位置づけとされている3。

用法・用量

高血圧・狭心症では1日1回25〜50 mgから開始し、効果を見て最大100 mg/日程度まで増量する。後は血行動態が安定していることを確認したうえでを開始する。腎機能低下例ではが必須(15〜35 mL/min/1.73m²で最大50 mg/日、15未満で最大25 mg/日)1。実際の用量は適応・年齢・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:、第1度を超える房室ブロック、、、過敏症の既往1
  • ⚠️ 急な中止は禁物。 狭心症患者での急な中止は重篤な狭心症増悪・心筋梗塞・と関連しうる1
  • ⚠️ 性疾患では原則使用しない。 でも高用量ではβ2遮断作用が現れうるため、喘息患者では一般にβ遮断薬を避ける1
  • 腎機能低下例では減量が必須(をほぼ受けないため蓄積しやすい)1
  • (・)との併用で徐脈・房室ブロックが増強されうる1

副作用

頻度 内容
高頻度 倦怠感、めまい、
注意 徐脈、低血圧
重篤・まれ 、、急な中止による狭心症増悪・心筋梗塞

まとめ

  • β1選択薬の中で唯一、をほぼ受けずが中心というを持つ。腎機能低下例ではが必須。
  • 半減期約6〜7時間の短時間作用型。他の多くのβ遮断薬(代謝が中心)との対比が最大の個性。
  • 高血圧・狭心症・後のが適応だが、高血圧のとしての位置づけは他剤との比較試験で劣るとの指摘があり、現行ガイドラインでβ遮断薬は高血圧の第一選択の主要4系統から外れている。
  • 急な中止は狭心症増悪・心筋梗塞のリスク。禁忌は・・。
  • 短時間作用型であるため、ので就寝時投与の候補に挙がる。

出典

  1. 1.ATENOLOL tablet [package insert](RemedyRepack Inc. (DailyMed)・2026)アテノロール錠の適応が高血圧症・狭心症・血行動態が安定した急性心筋梗塞での心血管死亡率低下であること、経口投与量の約50%が消化管から吸収されること、血漿蛋白結合率が6〜16%と低いこと、"atenolol undergoes little or no metabolism by the liver, and the absorbed portion is eliminated primarily by renal excretion"(プロプラノロールやメトプロロールと異なりほとんど肝代謝を受けず吸収分は主に腎排泄される)こと、消失半減期が約6〜7時間であること、クレアチニンクリアランス35 mL/min/1.73m²未満で有意な蓄積が生じ用量調整を要すること、禁忌が洞性徐脈・第1度を超える房室ブロック・心原性ショック・顕性心不全であること、狭心症患者での急な中止が重篤な狭心症増悪・心筋梗塞・心室性不整脈と関連しうることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Atenolol in hypertension: is it a wise choice?(The Lancet・2004)高血圧患者を対象にアテノロールとプラセボを比較した4試験(6825例)では全死亡・心血管死亡・心筋梗塞に有意差はなく脳卒中もやや少ない傾向だった一方、アテノロールと他の降圧薬を比較した5試験(17671例)の統合解析ではアテノロール群の全死亡率が有意に高く(相対危険度1.13、95%信頼区間1.02-1.25)、脳卒中もアテノロール群でより多かったこと。アテノロールを高血圧アウトカム試験の基準薬とすることに疑義が呈されたこと閲覧 2026-09-08
  3. 3.2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension(European Society of Cardiology (ESC)・2024)一般成人高血圧の第一選択薬が「主要4系統」(ACE阻害薬・ARB・ジヒドロピリジン系Ca²⁺チャネル遮断薬・サイアザイド/サイアザイド類似利尿薬)であり、β遮断薬はここに含まれず、狭心症・心不全・心筋梗塞後・心拍数の調節などの場面で優先的に追加する位置づけとされていること。β遮断薬が第一選択でない理由は降圧効果の劣りではなく、心血管イベント(とくに脳卒中)抑制の劣りと忍容性の問題であると述べていること(2026-09-24にWayback Machine の id_ 付き出版社ページ20241029003534の本文で確認)閲覧 2026-09-24