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Drug Atlas · B6 Antihypertensives / 降圧薬

リシノプリル

lisinopril

分類
Antihypertensives / 降圧薬
商品名(日本)
ロンゲス
商品名(EU)
Zestril
科目
PharmacologyClinical Pharmacology
トピック
B6: Drugs acting on the renin-angiotensin-aldosterone-system (RAAS)19: Hypertension
承認適応
高血圧症慢性心不全
禁忌疾患
遺伝性血管性浮腫(血管性浮腫の既往)
副作用
乾性咳嗽血管性浮腫めまい
監視検査値
カリウムクレアチニン

🧠 全体像:は、活性型のACE阻害薬で、ではなく、そのまま作用する。ほとんど代謝されず、未変化体のまま腎から排泄されるので、腎機能が落ちると蓄積し、腎障害では用量を減らす。が低く(から21〜27%)、有効半減期は約12時間で1日1回で使う。ACE阻害薬の共通点として、の分解が抑えられて起こると、・腎機能悪化、(米国は)がある。日本の適応は高血圧症と(・利尿剤で効果が不十分な軽症〜中等症)で、米国はも適応に含む。との併用は禁忌で、切り替えは36時間あける。

薬効群の中での位置づけ

薬 特徴 代謝・排泄
最初のACE阻害薬。をもつ 活性型。腎から排泄
・・ 。体内で活性体に変わる 活性体が主に腎から排泄
活性型(でない)。代謝されない 未変化体のまま腎から排泄
・カンデサルタン・テルミサルタン ARB。を遮断し、咳が少ない 薬ごとに異なる

ACE阻害薬とARBの使い分けは、高血圧の薬物療法のトピックのACE阻害薬・ARBの節も参照する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lisinopril'>リシノプリル</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin-converting enzyme, ACE'>アンジオテンシン変換酵素</span>(ACE)を阻害"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin'>アンジオテンシン</span>Ⅱの産生が減る"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>の分解が抑えられる"]
    C --> E["血管収縮・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aldosterone secretion'>アルドステロン分泌</span>が減る"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive (blood-pressure lowering)'>降圧</span>・心不全での負荷軽減"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dry cough'>空咳</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angioedema'>血管性浮腫</span>"]

は、ACEを阻害してⅡの産生を減らす。ACEはも分解するため、阻害でが増え、これがとの一因とされる。日本の電子添文のの機序にも、「にの分解を抑制し、のリスクを増加させる」という説明がある1。

薬物動態

項目 内容
吸収 からみたは21〜27%(日本)。後、のピークは約7時間(米国)。食事では変わらない12
分布 血清蛋白結合率は約10%(10 ng/mL以上)。他の血清蛋白とは結合しない
代謝・排泄 本剤は活性体で、ほとんど代謝を受けない。主要な排泄経路は腎で、未変化体として尿中に出る
半減期 で有効半減期は12時間。終末相は延長するが蓄積には寄与しない(ACEとのの結合を反映)。

⭐ 型なので、腎機能で用量を調整する。 米国の添付文書は、が10 mL/分以上30 mL/分以下では通常の初回量を半分にし、10 mL/分未満または中の初回量を2.5 mgとしている2。日本では、腎障害を伴う高血圧症は5 mgから、の腎障害を伴う患者は2.5 mgから開始することが望ましい。

適応

国 内容
日本 高血圧症。(軽症〜中等症):製剤・利尿剤などの基礎治療で十分な効果が認められない場合にのみ追加する。単独での有用性は確立されておらず、重症のの有用性も確立されていない1
米国 成人と6歳以上の小児の高血圧症、心不全の、2

用法・用量

日本1 米国2
成人の高血圧 1日1回10〜20 mg。重症高血圧症や腎障害を伴う場合は5 mgから開始することが望ましい 初回10 mgを1日1回。通常20〜40 mgで、80 mgまで使われたが効果は増えない。利尿薬を服用中の患者は5 mgから
小児の高血圧 6歳以上で0.07 mg/kgを1日1回(1日20 mgを超えない) 6歳以上で0.07 mg/kg(5 mgまで)を1日1回、糸球体ろ過量30 mL/分/1.73 m2超の患者
心不全 5〜10 mgを1日1回(基礎治療と併用)。腎障害を伴う患者は2.5 mgから。高齢者は2.5 mgから 5 mgから開始し、耐えられる範囲で40 mgまで増やす
日本の適応にはない 発症24時間以内に5 mg、24時間後に5 mg、その後10 mgを1日1回

禁忌・注意

日本の禁忌は7つである1。

禁忌(日本) 理由
本剤の成分に対する過敏症の既往
を投与中、または投与中止から36時間以内 にの分解が抑えられ、のリスクが増える
の既往(ACE阻害薬などによるもの、遺伝性・後天性・特発性) 高度の呼吸困難を伴うを起こすおそれ
硫酸固定化などの吸着器によるの施行中 の産生が増え、ショック症状(血圧低下・・・呼吸困難など)が起こりうる
アクリロニトリルメタリルナトリウム膜(AN69)を用いたの施行中 同様にが増え、アナフィラキシー様症状が起こりうる
妊婦または妊娠している可能性のある女性 胎児・新生児に障害が出る
を投与中の糖尿病患者(他の治療でも血圧の管理が著しく不良の患者を除く) ・・・低血圧のリスクが増える

米国の禁忌は、(など)との併用(・との切り替えは36時間あける)、ACE阻害薬に関連したまたは過敏症の既往、遺伝性または特発性の、糖尿病患者でのとの併用である。はで、妊娠が分かったらできるだけ早く中止する2。

  • 慎重投与(日本):両側性またはでの・(治療上やむを得ない場合を除き避ける)、、重症の高血圧症・厳重な療法中・過度の血圧低下で心筋梗塞やの危険がある患者(少量から開始)、、低血圧、・、重篤な(30 mL/分以下など)・中の患者。
  • 手術前24時間は投与しないことが望ましい。
  • めまい・:高所作業や運転に注意させる。
  • 併用注意(日本):カリウム保持性利尿剤(など)・カリウム補給剤(の上昇)、利尿剤(が増強)、製剤()、非ステロイド性消炎鎮痛剤(の減弱、腎機能の悪化)、カリジノゲナーゼ製剤、・Ⅱ受容体拮抗剤(・・低血圧)。

副作用

頻度(日本) 内容
5%以上 咳嗽
0.1〜5%未満 AST・ALT・LDH・Al-Pの上昇、BUN・クレアチニンの上昇・、貧血・血小板減少、発疹・そう痒、咽頭部の刺激感・不快感、頭痛・頭重・めまい・、・過度の血圧低下
0.1%未満 ・、傾眠、・胸部不快感・頻脈
頻度不明 、の誘発・鼻炎・副鼻腔炎・嗄声、・・不眠・・抑うつ、失神

重大な副作用は、(呼吸困難を伴う顔面・舌・・喉頭の腫脹)、腸管(腹痛・・嘔吐・下痢)、、、膵炎、、溶血性貧血・血小板減少、・黄疸、(・低浸透圧血症など)である1。

💡 ()は、ACE阻害薬に共通の副作用である。 が増えることが一因とされ、の代謝に影響しないARBでは少ない。日本の電子添文でも、咳嗽は唯一、5%以上の副作用として挙げられている。ONTARGET試験のでは、の咳が4.2%で、ARBのテルミサルタンの1.1%より多かった(テルミサルタンを参照)。

まとめ

  • 活性型のACE阻害薬。ほとんど代謝されず、未変化体のまま腎から排泄される。有効半減期は約12時間で、1日1回。
  • 日本は高血圧症と、基礎治療で不十分な軽症〜中等症の。米国は高血圧症・心不全の・。
  • 日本の用量は10〜20 mg(重症や腎障害は5 mgから)、米国は10 mgから20〜40 mg。腎機能に応じて初回量を減らす。
  • との併用は禁忌で、切り替えは36時間あける。の既往、妊婦、(糖尿病)、AN69膜による透析なども禁忌(日本)。
  • ・・・腎機能悪化に注意し、手術前24時間は投与しないことが望ましい。

出典

  1. 1.ロンゲス錠5mg/ロンゲス錠10mg/ロンゲス錠20mg 電子添文(共和薬品工業/医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)2025年9月改訂(第4版)の電子添文で、効能が高血圧症と、ジギタリス製剤・利尿剤などの基礎治療で十分な効果が認められない慢性心不全(軽症〜中等症)であること、用法が高血圧症で成人10〜20 mg(重症または腎障害では5 mgから)、6歳以上の小児で0.07 mg/kg(1日20 mgを超えない)、慢性心不全で5〜10 mg(腎障害や高齢者では2.5 mgから)であること、禁忌が過敏症・サクビトリルバルサルタン投与中または中止から36時間以内・血管性浮腫の既往・特定の吸着器によるアフェレーシスやAN69膜による透析の施行中・妊婦・アリスキレンを投与中の糖尿病患者であること、尿中回収率からみた吸収率が21〜27%でほとんど代謝されず主に腎から未変化体で排泄されること、咳嗽が5%以上の副作用であること、重大な副作用の一覧を確認した。閲覧 2026-11-06
  2. 2.ZESTRIL (lisinopril) tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/Upsher-Smith Laboratories, LLC・2025)2025年1月2日有効の米国添付文書で、枠組み警告が胎児毒性であること、適応が成人と6歳以上の小児の高血圧症・心不全の補助療法・急性心筋梗塞であること、高血圧症の成人の初回量が10 mg(利尿薬投与中は5 mg)で1日40 mgまで、心不全は5 mgから開始し40 mgまで、急性心筋梗塞は発症24時間以内に5 mgであること、禁忌がネプリライシン阻害薬の併用(サクビトリル・バルサルタンの切り替えは36時間あける)・ACE阻害薬に関連した血管性浮腫の既往・遺伝性または特発性の血管性浮腫・糖尿病患者でのアリスキレンとの併用であること、食事でバイオアベイラビリティが変わらず、代謝されず未変化体のまま尿中に排泄され、反復投与での有効半減期が12時間であることを確認した。閲覧 2026-11-06