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Drug Atlas · B13 Steroids / ステロイド · 必修

モメタゾン

mometasone

分類
Steroids / ステロイド
商品名(日本)
アズマネックスナゾネックス
商品名(EU)
AsmanexNasonex
科目
Pharmacology
トピック
B13: Mineralocorticoids. Topically applied glucocorticoids. Adrenocortical antagonists, inhibitors of corticosteroid synthesis
承認適応
アレルギー性鼻炎鼻茸(18歳以上。日本の効能・効果には無い)気管支喘息アトピー性皮膚炎
副作用
嗄声
対象疾患
アスピリン増悪呼吸器疾患掌蹠膿疱症尋常性白斑虫刺され放射線皮膚炎
原因となる疾患
鼻出血

🧠 全体像:はと同じ「局所は強く、吸収分は肝で速やかに片付ける」設計の型グルココルチコイド(GC)で、機序・注意点はの項がほぼそのまま当てはまる。両者を分けるのは全身への移行の少なさ——ハンガリーのSmPCは経鼻投与後の全身を1%未満(定量下限0.25 pg/mL)と明記しており1、この特性を活かしての点鼻薬として広く使われている。もう一つ押さえるべきは、同じ成分でも承認されている適応・年齢が国で違うことで、()の適応は欧州・米国にはあるが日本の効能・効果には無い123。

フルチカゾンとの違い

項目
全身暴露を抑える主な仕組み 高い局所親和性+による速やかな代謝 そのものが極めて低い(経鼻で1%未満、飲み込まれた分もでほぼ代謝される)1
最も頻用される製剤 吸入(喘息・の基盤) 経鼻(の点鼻薬として第一線)
吸入適応 喘息・の代表格 喘息の吸入にも使われるが、ほど基盤薬としての存在感はない
阻害薬との相互作用 ⚠️などでの報告あり 同じ懸念はあるが、の低さゆえほど症例報告が蓄積していない
外用(皮膚) 湿疹など 湿疹など、同様に使われる

⭐ 点鼻薬としての使いやすさを支えているのはの低さである。 経鼻投与後にへ回る量が1%未満にとどまるため、小児や長期使用が前提の治療で全身性副作用への懸念を小さくできる1。⚠️ ただしとの直接比較はどちらの添付文書も行っていないので、「よりが少ない」と断定はできない。また全身性副作用が無いわけではなく、後述のとおり・・小児の・・緑内障が文書に列挙されている13。

適応・用法

領域 使いどころ
耳鼻科 (経鼻、の一つ)と、成人の(18歳未満での有効性・安全性は確立していない)。対象年齢と適応の範囲は国で違う(下表)13
呼吸器 喘息の吸入
を要する炎症性・そう痒性の皮膚疾患。ハンガリーのSmPCは・・を例示し、ローション剤は頭皮の乾癬とに限って適応がある4。米国のELOCONは「反応性皮膚炎」と包括的に書き、2歳未満には推奨しない5

経鼻製剤の適応・用量は3極で違う

項目 ハンガリー1 日本3 米国(処方箋用)2
季節性・の症状の治療(3歳以上) (季節性・を区別しない) 現行の処方箋用ラベルは予防のみ(12歳以上)。症状の治療はOTCへ移っており、そちらは2歳未満に使用しない6
18歳以上に適応あり 効能・効果に無い 18歳以上の「を伴う」
成人の用量(鼻炎) 各鼻腔2噴霧1日1回(200μg)。改善したら100μgへ減量、不十分なら400μgまで増量可 各鼻腔2噴霧1日1回(200μg) 各鼻腔2噴霧1日1回(200μg)
小児の用量(鼻炎) 3〜11歳は各鼻腔1噴霧1日1回(100μg) 12歳未満は各鼻腔1噴霧1日1回(100μg)。3歳未満を対象とした国内は実施していない ―
の用量 各鼻腔2噴霧1日1回で開始し、5〜6週で改善しなければ1日2回(400μg)へ ― 各鼻腔2噴霧1日2回(1日1回でも有効な患者がいる)

⭐ 「2歳以上」は米国OTCの線、「3歳以上」はハンガリーの線である。 日本の電子添文は下限年齢を用法に書かず、3歳未満の国内が無いことを9.7.2で述べる形をとる613。

💡 米国の「2歳以上」は文書が入れ替わった結果である。 2011年の処方箋用NASONEXの添付文書は「の治療(2歳以上)」「の予防(12歳以上)」「(18歳以上)」の3つを並べていた7。現行の処方箋用ラベルに治療の適応は無く、同じ内容はOTCのDrug Factsに置かれている26。

💡 では効果を待つ期間と見直しの時期が決まっている。 1日1回で5〜6週みて改善しなければ1日2回へ増量し、その用量でさらに5〜6週改善しなければを見直す。に対する有効性・安全性の試験の期間は4か月である1。

吸入:重症度に応じた用量。⚠️ 日本ではアズマネックスツイストヘラー100μg/200μgが「供給停止および基準からの削除」を希望する品目として2025年10月の中央社会保険医療協議会に報告されている8。外用:1日1〜2回患部に塗布。実際の用量は年齢・重症度・製剤で変わるため、手元の添付文書で確認する。

禁忌・注意・副作用

⚠️ 経鼻製剤の禁忌欄も国で違う。

  • ハンガリー:①過敏症、②を含む未治療の(など)、③創傷治癒が終わるまでの鼻の手術後・鼻外傷後(が創傷治癒を妨げるため)の3項目1

  • 日本:①有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身性の真菌症(症状を増悪させるおそれ)、②過敏症の既往。や鼻手術後という書き方はしていない3

  • 米国(処方箋用):成分への過敏症のみ2。OTCのDrug Factsは別に「治癒していない鼻の外傷・手術後には使わない」「喘息の治療には使わない」と書く6

  • ⚠️ 活動性またはの呼吸器結核、未治療の真菌・細菌・全身性ウイルス感染のある患者では慎重に投与する。ステロイドで免疫が低下しうる患者には水痘・麻疹への曝露の危険を伝える1

  • ⚠️ と同様、強い阻害薬との併用では全身性ステロイド症状のリスクが理論上上がる

  • ⚠️ 小児では成人以上に全身性副作用に注意する。 長期使用時は身長の伸びを定期的に確認し、成長が鈍ればへ減量し小児科へのコンサルトを考慮する。鼻噴霧用・吸入用・外用いずれも緑内障・・・、、、骨密度低下のリスクが文書に列挙されている13。外用では、生後6〜23か月の乳幼児97例の試験で治療前に副腎機能が正常だった患者の約16%にが観察された5

  • 副作用(経鼻):ハンガリーのSmPCの表では、高頻度(common、1/100以上1/10未満)が咽頭炎・頭痛・・鼻の灼熱感・鼻の刺激感・鼻の潰瘍・咽頭の刺激感で、に対する1日2回投与でのみが非常に高頻度(very common、1/10以上)の欄に入る。頻度不明として過敏症反応(アナフィラキシー・・気管支けいれん・呼吸困難)・緑内障・・・・・味覚/嗅覚異常が挙がる。はの試験で5%(対照とした他のは15%以下)、小児では6%でと同程度だった1。日本の電子添文は重大な副作用としてアナフィラキシー(頻度不明)を挙げる3

  • 副作用(吸入・外用):口腔カンジダ・嗄声(吸入、うがいで予防)、(外用)

まとめ

  • 機序・全身性副作用を避けるはと共通(詳細はの項を参照)。
  • 分ける一点はの少なさ——経鼻投与後の全身は1%未満(との直接比較は添付文書に無い)1。
  • この特性ゆえに、小児や長期使用が前提ので点鼻薬として使いやすい。
  • 吸入適応もあるが、喘息・の基盤薬としての位置づけはに譲る。日本ではアズマネックスが基準からの削除品目として報告されている8。
  • の適応は欧州(18歳以上)と米国(18歳以上、を伴う)にあり、日本の効能・効果には無い。 鼻炎の下限年齢もハンガリー3歳・米国OTC 2歳と割れる1236。
  • 禁忌欄も国で違う:ハンガリーは過敏症+の未治療の+治癒前の鼻手術・外傷、日本は有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身性真菌症+過敏症、米国の処方箋用は過敏症のみ。
  • 副作用は局所刺激系(・鼻の灼熱感/刺激感・口腔カンジダ・嗄声・)が中心だが、緑内障・・・・小児のは文書が明記する全身性の懸念である135。

出典

  1. 1.NASONEX 0,05% szuszpenziós adagolt orrspray — Alkalmazási előírás(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(ハンガリー OGYÉI)・2021)ハンガリーの経鼻モメタゾンの適応は「成人および3歳以上の小児の季節性またはアレルギー性(通年性)鼻炎の症状の治療」と「18歳以上の成人の鼻茸の治療」の2つ。用量は鼻炎が成人・12歳以上で各鼻腔2噴霧1日1回(200μg、症状改善時は100μgへ減量、効果不十分なら400μgまで増量可)、3〜11歳は各鼻腔1噴霧1日1回(100μg)、鼻茸は各鼻腔2噴霧1日1回から始め5〜6週で改善しなければ1日2回(400μg)へ増量。4.3の禁忌は過敏症、鼻粘膜を含む未治療の局所感染(単純ヘルペスなど)、および創傷治癒が終わるまでの鼻手術・鼻外傷後の3つ。5.2は経鼻投与時の全身バイオアベイラビリティを1%未満(定量下限0.25 pg/mL)とし、4.8は鼻出血を鼻炎試験で5%と記載している。改訂表示は2021年6月2日閲覧 2026-09-17
  2. 2.MOMETASONE FUROATE spray, metered — Full Prescribing Information (Apotex Corp.)(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載)・2025)米国の現行の処方箋用経鼻モメタゾンの適応は「12歳以上の季節性アレルギー性鼻炎の鼻症状の予防」と「18歳以上の成人の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療」の2つで、鼻茸の用量は各鼻腔2噴霧1日2回(一部の患者では1日1回でも有効)。禁忌は成分への過敏症のみ。印刷された改訂表示は Revised 4/2025閲覧 2026-09-17
  3. 3.モメタゾン点鼻液50μg「タカタ」56噴霧用/モメタゾン点鼻液50μg「タカタ」112噴霧用 電子添文(高田製薬(医薬品医療機器総合機構 電子添文)・2025)日本の経鼻モメタゾンの効能・効果は「アレルギー性鼻炎」のみで鼻茸は含まれない。用法は成人が各鼻腔2噴霧1日1回(200μg)、12歳未満の小児は各鼻腔1噴霧1日1回(100μg)、12歳以上の小児は成人と同じ。禁忌は有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身性の真菌症・過敏症の既往。9.7.2は3歳未満の乳幼児を対象とした国内臨床試験は実施していないとし、8.2は全身性の作用としてクッシング症候群・副腎皮質機能抑制・小児の成長遅延・骨密度低下・白内障・緑内障を挙げる。2025年8月改訂(第2版)閲覧 2026-09-17
  4. 4.Elocom 0,1% kenőcs / krém / oldat — Alkalmazási előírás(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(ハンガリー OGYÉI)・2021)ハンガリーの外用モメタゾン(軟膏・クリーム)の適応は、外用コルチコステロイド治療を要する炎症性・そう痒性の皮膚疾患で、例として尋常性乾癬・アトピー性皮膚炎・刺激性/アレルギー性接触皮膚炎を挙げる。ローション剤は頭皮の乾癬と脂漏性皮膚炎に限って適応がある。改訂表示は2021年6月2日閲覧 2026-09-17
  5. 5.ELOCON (mometasone furoate) Cream 0.1% — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載。Schering Corporation の処方情報を Physicians Total Care, Inc. が再ラベルしたSPL)・2004)2004年3月改訂(Rev. 3/04)の処方情報で確認した。外用モメタゾンはコルチコステロイド反応性皮膚炎(アトピー性皮膚炎を含む)の炎症・掻痒症状の緩和に用いられ、生後6〜23か月の乳幼児97例の非盲検試験で、治療前に副腎機能が正常だった患者の約16%に副腎抑制が観察されたと述べ、小児では成人以上に成長遅延・体重増加遅延・頭蓋内圧亢進のリスクに注意するよう明記している。2歳未満の小児への使用は推奨されない閲覧 2026-09-17
  6. 6.NASONEX- mometasone furoate spray, metered — Drug Facts (L. Perrigo Company)(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載、OTCのDrug Facts)・2026)米国で現在 NASONEX の名称で流通しているのはOTCのDrug Facts製品で、用途は花粉症その他の上気道アレルギーの鼻閉・鼻汁・くしゃみ・鼻のそう痒の一時的緩和に限られ、2歳未満・喘息の治療・治癒していない鼻の外傷や手術後には使用しないと明記する。文書本体に印刷された改訂表示は無く、DailyMedの掲載更新日は2026年8月19日閲覧 2026-09-17
  7. 7.NASONEX (mometasone furoate monohydrate) Nasal Spray — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載)・2011)経鼻モメタゾンの適応年齢はアレルギー性鼻炎症状の治療が2歳以上、季節性アレルギー性鼻炎の予防投与が12歳以上、鼻茸の治療は18歳以上に限られ18歳未満での有効性・安全性は確立していないと明記し、小児での成長速度モニタリングおよび鼻用・吸入用ステロイドに伴う緑内障・白内障のリスクに注意喚起している閲覧 2026-08-03
  8. 8.中医協 総-1 薬価基準から削除する品目について(令和7年10月29日)(厚生労働省(中央社会保険医療協議会 総会資料)・2025)供給停止および薬価基準からの削除を希望する506品目の別添に「アズマネックスツイストヘラー100μg60吸入」「アズマネックスツイストヘラー200μg60吸入」が含まれている閲覧 2026-09-17