内科学

内科学 · I-06

伝染性単核球症候群

Mononucleosis Syndrome

前提:病態
ヘルペスウイルス:EBウイルスヘルペスウイルス:サイトメガロウイルス
前提:正常
Tリンパ球と細胞性免疫応答
疾患
移植後リンパ増殖性疾患伝染性単核球症
症状
眼瞼浮腫点状出血

🧠 全体像:は、発熱、咽頭炎、リンパ節腫脹、を組み合わせた症候群で、代表はEpstein-Barrウイルス初感染である。検査では急性感染と既感染を区別し、、気道閉塞、血球減少などの合併症を見逃さない。1

原因と病態

は唾液で伝播し、潜伏期は通常4〜6週である。成人の90%以上は既感染だが、の初感染ではとして症候化しやすい。

原因 手掛かり
、扁桃炎、脾腫、
咽頭炎・リンパ節腫脹が比較的軽く、と肝障害
急性感染 発疹、、下痢、性・血液曝露。抗原抗体検査と
Toxoplasma gondii 曝露歴、リンパ節腫脹。免疫不全では中枢神経病変
HHV-6、など 臨床背景に応じて検査
薬剤反応、リンパ腫・白血病など

は口腔咽頭上皮とB細胞へ感染し、ウイルス抗原を提示するB細胞に対してが増殖する。この反応性T細胞が末梢血のとして見える。

flowchart TD
  A["唾液を介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Epstein-Barr virus'>EBV</span>初感染"] --> B["咽頭上皮・B細胞へ感染"]
  B --> C["感染B細胞が増殖"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CD8-positive T cell'>CD8陽性T細胞</span>が反応"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atypical lymphocyte'>異型リンパ球</span>・リンパ節腫脹"]
  D --> F["肝炎・脾腫"]
  C --> G["潜伏感染が生涯持続"]

臨床像

  • 発熱、強い、
  • 後頸部優位の全身リンパ節腫脹
  • 倦怠感、、
  • 肝脾腫、軽度〜中等度の上昇
  • アンピシリンまたはアモキシシリン曝露後のびまん性斑状丘疹

発疹は感染時の薬剤反応で、直ちに永続的なペニシリンアレルギーを意味しない。

診断

血算ではと、肝機能検査では・上昇を認める。は特異的ではない。

EBV血清学

抗体 出現と持続 解釈
VCA-IgM 早期に出現し、多くは数週〜数か月で低下・消失するが遷延することがある 急性初感染を支持
VCA-IgG 急性期に出現し生涯持続 単独では急性感染と既感染を区別できない
EBNA抗体 通常は発症約3か月以降に出現し生涯持続するが、測定系で前後する 急性初感染では通常陰性
EA-IgG 急性期に出現するが健常者でも持続することがある 単独でと断定しない

VCA-IgM陽性かつEBNA陰性は急性初感染を支持し、VCA-IgGとEBNA陽性は既感染を示す。ただしVCA-IgM・VCA-IgG・EBNAが同時陽性なら、最近の初感染と再活性化をこの組合せだけでは区別できず、IgG、イムノブロット、必要時 などを追加する。2

(heterophile antibody test、Monospot)は初期や小児で偽陰性、他疾患で偽陽性があり、感染を確定する検査ではない。非典型例では特異抗体を用いる。

リンパ節生検では、拡大、大型を認め、リード・がと紛らわしいことがある。非典型経過や悪性腫瘍疑いでは免疫染色・分子検査を含めて評価する。

治療

状況 対応
非合併例 水分、、休養。抗菌薬と抗ウイルス薬はルーチン不要
気道閉塞、重症溶血性貧血、重症血小板減少 副腎皮質ステロイドを検討
脾腫 腹部と強い腹圧を避ける。痛・・失神はとして緊急評価
肝炎 飲酒とを避け、重症度を追跡

スポーツ復帰では、発症から3週間は運動を避ける。以後の軽い非接触活動はと全身状態の回復後に段階的に判断するが、接触・高負荷・強い腹圧を伴う運動はが21日以後にも起こるため少なくとも約1か月は避け、競技特性と経過でさらに延長する。脾臓超音波だけで安全を保証できない。3

合併症

  • 、
  • 、血小板減少
  • 、(Guillain-Barré syndrome)
  • 心筋炎、肝不全

EBV関連疾患

疾患 関連
特に型で強い関連
一部の病型で陽性
、胃癌 一部で関連
鼻型NK/T細胞リンパ腫 と強く関連
T細胞免疫低下下で感染B細胞が増殖

PTLDでは病変生検と を含む評価を行い、免疫抑制の減量、リツキシマブ、化学療法、細胞療法などを病型・反応に応じて組み合わせる。免疫抑制減量だけで必ず治るわけではない。

まとめ

  • 単核球症候群ではだけでなく、急性、、を鑑別する。
  • 急性感染はVCA-IgM陽性・EBNA陰性が基本で、単独では確定しない。
  • 治療は支持療法が中心で、ステロイドや抗ウイルス薬をルーチン使用しない。
  • 、気道閉塞、血球減少、を安全管理の中心に置く。

出典

  1. 1.Infectious mononucleosis(2015)EBV伝染性単核球症の病態、診断、支持療法と合併症を確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Serological diagnosis of Epstein-Barr virus infection: Problems and solutions(2012)EBV特異抗体の時間経過、基本的解釈、三者陽性など判定困難例の追加検査を確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Association of Splenic Rupture and Infectious Mononucleosis: A Retrospective Analysis and Review of Return-to-Play Recommendations(2019)伝染性単核球症の脾損傷は発症21日後にも起こり、接触・高負荷運動再開をより慎重に判断すべきことを確認した。閲覧 2026-08-13