病理学

病理学 · A/27

浮腫の原因と分類

Causes and types of edema

タグ
Mechanism / 機序High-yield / ポイント
応用トピック
小児の浮腫
疾患
肺水腫
症状
浮腫

🧠 全体像:浮腫は毛細血管のStarling平衡が崩れることで生じ、機序は・・透過性亢進・の4つに集約される。低タンパクな(CHF・ネフローゼ)と高タンパクな滲出液(炎症)を見分ければ、原因の絞り込みに直結する。

定義

  • 浮腫 = 微小循環のバランスの乱れによる、間質組織・体腔への異常な液体貯留。
  • 規定因子: の低下、の亢進、静脈の上昇、リンパ管の障害、Na⁺・水の貯留。
  • 体腔の呼称:胸水()、、腹水()、(皮下、全身性)。

浮腫液の種類

滲出液
タンパク質 少ない 多い
性質 非炎症性 炎症性
比重 < 1.012 > 1.012
原因 圧・容量の、低下 炎症、透過性亢進

💡 上表の比重による分類は古典的な指標である。実地(特に胸水)ではLightの基準——胸水/血清蛋白比0.5超、胸水/血清比0.6超、胸水が血清の2/3超のいずれかを満たせば滲出液と判定する——が標準的に用いられる。ただし3つ目の項目は後年の書き方で、1972年の原著は胸水を絶対値(200 IU超)で定めていた。原著の150例の胸水では、滲出液は1例を除いていずれかの項目を満たし、で満たしたのは1例だけだった1。

病態生理学的な型

⚠️ 古典的な4機序(・・透過性亢進・)は試験で問われる骨格として変わらない。一方で、のを担うのは内皮細胞膜ではなく内皮(内皮)であるとする「改訂Starling原理(revised Starling principle)」が2010年の総説で整理された。この枠組みでは毛細血管の吸収はほとんどの組織で一過性にとどまり、定常状態では側でもわずかな濾過が続くとされ、持続的な吸収は腎臓・腸粘膜など上皮の分泌を伴う特殊な部位に限られる2。

局所性

全身性

  • ・: (尿へのタンパク喪失)、肝硬変、栄養不良 → まず、次いで全身へ。
  • 右心不全・: 、、腹水、。
  • ・感染: → 。

形態と臨床

  • 皮下(): 性、、無痛性の圧痕。
  • : 下肢(立位)・(臥位)— CHFに典型的。
  • 肺: 肺重量が2〜3倍、泡沫状・血性の液体 → 。
  • 脳: 脳重量の増加、の・の狭小化 → → 死。
flowchart TD
    A["脳浮腫"] --> B["脳重量増加・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulcus'>脳溝</span>の狭小化"]
    B --> C["頭蓋内圧の上昇"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='foramen magnum'>大後頭孔</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tonsillar herniation'>扁桃ヘルニア</span>"]
    D --> E["死"]

💡 ポイント: 4つの機序 = 、、透過性亢進、(+Na⁺貯留)。(低タンパク、比重<1.012、CHF・ネフローゼ)と滲出液(高タンパク、炎症)。脳浮腫 → ヘルニアは致死的。

まとめ

  • 浮腫の機序は、、、の4つに大別される(+Na⁺・水の貯留)。
  • は低タンパク・比重<1.012で非炎症性(圧・、低下)、滲出液は高タンパク・比重>1.012で炎症性。
  • (腫瘍・放射線・手術・)はを来す。
  • 脳浮腫は(BBB破綻)と細胞傷害性(低酸素・外傷)に分けられ、進行するとで死に至る。
  • はに分布し、CHFでは下肢(立位)・(臥位)にとして現れる。

出典

  1. 1.Pleural effusions: the diagnostic separation of transudates and exudates(Annals of Internal Medicine・1972)抄録(OpenAlex収載)で、胸水150例の前向き検討において、滲出液の70%超にみられ漏出液には最大1例しかみられない特徴として①胸水/血清蛋白比0.5超、②胸水LDH 200 IU超、③胸水/血清LDH比0.6超の3つを挙げ、滲出液は1例を除きいずれかを満たし、漏出液でいずれかを満たしたのは1例だけだったことを確認した。原著の第2項目は絶対値(200 IU超)で、「血清LDH基準上限の2/3超」はこの論文の表記ではない閲覧 2026-09-23
  2. 2.Microvascular fluid exchange and the revised Starling principle(Cardiovascular Research・2010)総説で、毛細血管壁の半透層は細胞膜ではなく内皮グリコカリックス(内皮糖衣)であること、この改訂版Starling原理のもとでは毛細血管の吸収はほとんどの組織で一過性にとどまり、定常状態では細静脈側でもわずかな濾過が続くこと、持続的な吸収は腎臓・腸粘膜など上皮の分泌を伴う特殊な部位に限られることを複数の実験データを統合して確認した総説。閲覧 2026-08-27