Internal Medicine

Internal Medicine · E-05

内分泌性二次性高血圧・原発性アルドステロン症・褐色細胞腫

Secondary endocrine hypertension primary aldosteronism phaeochromocytoma

前提:病態
副腎の機能異常・腫瘍レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)作用薬
前提:正常
副腎皮質の機能副腎髄質の機能。環境ストレスへの適応
疾患
原発性アルドステロン症
症状
蒼白発汗不安
検査値
メタネフリン分画

🧠 全体像は「治療可能な原因」を見つける診療である。では低レニン、ではを入口にし、画像は原則として生化学的根拠を得た後に使う。

二次性高血圧を疑う場面

の原因には、腎実質・、薬剤・物質、心と内分泌疾患がある。

原因群 代表例
腎性
呼吸・血管
薬剤・物質 NSAIDs、経口避妊薬、グルココルチコイド、、アルコールなど
内分泌

特に、若年発症、急な発症・増悪、重症または、低K血症、、睡眠時無呼吸、高血圧・脳卒中の家族歴では積極的に検索する。では臓器障害を直ちに治療し、原因検索を並行する。

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reduced renal perfusion'>腎灌流低下</span>・交感神経・遠位Na低下"] --> B["腎から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renin secretion'>レニン分泌</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensinogen'>アンジオテンシノーゲン</span>からAng I"]
    C --> D["ACEによりAng II"]
    D --> E["血管収縮"]
    D --> F["副腎<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zona glomerulosa'>球状帯</span>からアルドステロン"]
    F --> G["遠位<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nephron'>ネフロン</span>でNa・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='water reabsorption'>水再吸収</span>"]
    F --> H["K・H排泄"]
    G --> I["循環血液量・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elevated blood pressure'>血圧上昇</span>"]
    I --> J["レニンを負にフィードバック"]

では、この調節から自律したによりレニンが抑制される。

原発性アルドステロン症

病態と臨床像

原因は片側、両側副腎過形成、家族性PA、まれななどである。Na貯留による高血圧とK・H排泄による低K血症・を来し得るが、正常K血症の患者が多い。

PAは同程度のより心房細動、脳卒中、冠動脈疾患、心不全、腎障害のリスクが高く、特異的治療の意義が大きい。

スクリーニング

2025年内分泌学会ガイドラインは、医療資源や実施可能性を考慮した条件付き推奨として、高血圧患者全員へのPAスクリーニングを提案している1。少なくとも、低K血症、、睡眠時無呼吸、若年発症・家族歴では優先度が高い。

朝に座位で血漿または血清アルドステロン、または直接レニン濃度、Kを測定し、を求める。

  • 低K血症はアルドステロンをにするため補正する。
  • 数日前から極端な食塩制限を避ける。
  • 、利尿薬、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬などの影響を評価する。
  • 中止が危険な薬剤を無理に止めず、薬剤下での解釈または安全な変更を行う。
  • ARRの閾値は測定法・単位・地域検査室で異なるため、アルドステロン値とレニン抑制を合わせて判断する。

確認と病型診断

flowchart TD
    A["アルドステロン高値+レニン抑制+ARR高値"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clinical (pretest) probability'>臨床確率</span>と手術希望を評価"]
    B --> C["中間確率で手術を希望"]
    C --> D["食塩水負荷など抑制試験"]
    B --> E["明白な生化学所見/手術を希望しない"]
    E --> F["抑制試験を省略できる場合がある"]
    D --> G["副腎CT"]
    F --> G
    G --> H["手術候補は原則AVS"]
    H --> I["片側性:副<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nephrectomy'>腎摘</span>除"]
    H --> J["両側性:MRA治療"]

食塩水負荷後アルドステロンのは測定法と試験条件に依存する。古い単一の「5 ng/dL超なら確定」を普遍的基準として使わない。スクリーニング結果から片側性PAの確率が高く手術適応評価へ進む場合は抑制試験を省略でき、手術を希望しない場合も確認試験を経ず薬物療法へ進める1

副腎CTは大きな腫瘍を除外し解剖をするが、を区別できない。は左右副のアルドステロン/コルチゾール比を比較して片側性を判定する標準法である。35歳未満、著明なPA・低K血症、片側1 cm超の典型的腺腫など、ごく選択された例では省略を考える。

治療

病型 治療
片側性で手術適格・希望あり 片側副
両側性、病型不明、手術不能・希望なし

MRAはまたはなどを用い、血圧、K、腎機能、レニン反応を監視して調整する。ではなどに注意する。

褐色細胞腫・パラガングリオーマ

は副腎髄質の由来、由来の腫瘍で、まとめてと呼ぶ。カテコールアミン過剰は発作性または持続性の高血圧を起こし、時に正常血圧でもある。

臨床像

  • 頭痛、、発汗の
  • 顔面蒼白、振戦、不安、胸腹痛、体重減少
  • 発作性または
  • 高血糖
  • 心筋症不整脈、肺水腫、、脳卒中などのクリーゼ

手術・麻酔、腫瘍圧迫、分娩、グルココルチコイド、一部の薬剤、α遮断前のβ遮断などがクリーゼを誘発し得る。

古い「10%則」を使わない

の遺伝性割合は約30~40%に達し、両側性・多発性・副腎外発生も10%に固定されない。すべてのは転移能を持つと考え、悪性は組織への転移で定義する。MEN2のRET、のVHL、のNF1、SDHxなど多くの遺伝子が関与するため、全例で遺伝・遺伝学的検査を検討する2

診断

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pheochromocytoma and paraganglioma'>PPGL</span>を疑う症候・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adrenal incidentaloma'>副腎偶発腫</span>・遺伝リスク"] --> B["血漿遊離または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary fractionated metanephrines'>尿中分画メタネフリン</span>"]
    B --> C["採血条件・薬剤・ストレスを確認"]
    C --> D["明らかな生化学的陽性"]
    D --> E["CT/MRIで局在"]
    E --> F["必要時に機能画像・転移評価"]
    F --> G["遺伝学的評価と周術期計画"]

は十分な安静臥位など適切な条件で採血し、または24時間を測定する2。「24時間尿で血漿を測る」という混同をしない。軽度上昇では採取条件、薬剤、、急性疾患を見直して再検する。

画像は通常、生化学的根拠を得た後にCTまたはMRIで行う。として既に画像がある場合やクリーゼなどの緊急時は、この順序に固執しない。転移・多発・遺伝性が疑われる場合は核医学的機能画像を選択する。

周術期管理

は手術である。カテコールアミン分泌性では一般に手術7~14日前からを開始し、血圧・起立症状を調整する。高食塩摂取と十分な水分で収縮した循環血液量を回復させる2

⚠️ 頻脈にβ遮断薬を使う場合は、十分なα遮断の後に追加する。先にβ受容体だけを遮断すると、無拮抗のα刺激で重症高血圧・肺水腫を誘発し得る。術中は腫瘍操作による高血圧と摘出後の低血圧・低血糖の両方に備える。

まとめ

  • 若年、急な増悪、治療抵抗性、低K血症、ではを強く疑う。
  • PAは低レニンと不適切なアルドステロン高値を捉え、測定条件・薬剤・Kを含めARRを解釈する。
  • 手術を考えるPAではCTだけで左右を決めず、原則AVSで片側性を確認する。
  • で生化学診断し、古い10%則を捨てて遺伝性・転移能を評価する。
  • 手術ではα遮断を先行し、β遮断を単独で先に投与しない。

出典

  1. 1.Primary Aldosteronism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline(Endocrine Society・2025)高血圧患者へのPAスクリーニングを提案し、片側性PAの確率と手術希望に応じてアルドステロン抑制試験を選択する診断戦略を示した。閲覧 2026-08-09
  2. 2.Pheochromocytoma and paraganglioma: an Endocrine Society clinical practice guideline(Endocrine Society・2014)PPGLの初期生化学検査、全例での遺伝学的検査の検討、機能性PPGLの術前遮断と容量補充を推奨した。閲覧 2026-08-09