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Disease Atlas · 内分泌・代謝 · 先天性疾患

メチルマロン酸血症

Methylmalonic acidemia

別名
遺伝性メチルマロン酸血症孤立性メチルマロン酸血症メチルマロン酸尿症
臓器系
内分泌・代謝小児神経
科目
Medical BiochemistryPediatrics
トピック
生化学 7/5:ビタミンB12欠乏とメチルマロン酸血症小児科 2-10:先天代謝異常を疑う状況と初期評価小児科 3-64:先天代謝異常症
上位概念
先天代謝異常症
鑑別疾患
イソ吉草酸血症コバラミンC欠損症巨赤芽球性貧血尿素サイクル異常症
続発疾患
慢性腎臓病
治療薬
カルグルミン酸
症状
嘔吐筋緊張低下頻呼吸発作
検査値
メチルマロン酸アンモニアアシルカルニチン分析ホモシステインアニオンギャップ
適応薬
L-カルニチン

🧠 全体像:は、をへする反応が働かないために、上流のが体内に溜まるである。⚠️ 学習上まず必要なのは、「が高い=この病気」ではないという線引きである——同じ反応はビタミンB12()をとするので、後天性のB12欠乏でもは上がる。両者を分ける鍵はで、後天性B12欠乏ではとがそろって上がるのに対し、本症()ではは正常にとどまる。臨床の骨格は3つ——①急性(代謝性アシドーシス・・)を止めること、②(C3高値)で発症前に拾うこと、③生涯続く慢性腎障害を追うこと。

何が止まっているのか

(・)、、、、コレステロール側鎖の代謝はいずれもへ集まる。はを経てとなりへ入るが、この最後のを担うのがであり、としてを必要とする。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isoleucine (Ile)'>イソロイシン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valine'>バリン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methionine'>メチオニン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='threonine'>トレオニン</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='odd-chain fatty acid'>奇数鎖脂肪酸</span>・コレステロール側鎖"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propionyl-CoA'>プロピオニルCoA</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonyl-CoA'>メチルマロニルCoA</span>"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonyl-CoA mutase'>メチルマロニルCoAムターゼ</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coenzyme'>補酵素</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenosylcobalamin'>5-デオキシアデノシルコバラミン</span>)"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='succinyl-CoA'>スクシニルCoA</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='TCA cycle'>TCA回路</span>"]
    C -.->|"この反応が止まる"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonic acid (MMA)'>メチルマロン酸</span>が血中・尿中に蓄積"]
    B -.->|"上流にも滞留"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propionylcarnitine'>プロピオニルカルニチン</span>(C3)上昇<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='3-hydroxypropionic acid'>3-ヒドロキシプロピオン酸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='2-methylcitrate'>2-メチルクエン酸</span>"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high anion gap metabolic acidosis'>アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシス</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ketosis'>ケトーシス</span>"]
    F --> H["尿素サイクルの抑制を介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperammonemia'>高アンモニア血症</span>"]

⚠️ とのはこの1段階上にある。 が障害されるととなり、より上流で止まる。でとが同じように出るが、が上がるかどうかで両者が分かれる1。

病型

⭐ 「酵素そのものの欠損」か「の供給障害」かで、ビタミンB12への反応性が決まる。

病型 責任遺伝子 障害部位
mut0 MMUT ムターゼの完全欠損
mut− MMUT ムターゼの部分欠損 mut0より反応しやすいとされるが明確な証拠は乏しい1
cblA MMAA の輸送・合成 (大半が改善する)1
cblB MMAB の合成 反応する例は限られる(報告では約3分の1)1
cblD-MMA MMADHC 輸送蛋白
欠損 MCEE 無症状から重症代謝性アシドーシスまで幅がある

いずれもである2。⚠️ は「あり・なし」の二値ではない。 ガイドラインはcblAの大半が改善する一方、cblBで反応が報告されているのは約3分の1にとどまるとし、MMUT欠損例のなかではmut−が注射の恩恵を受けやすいとされるもののmut−の反応性を示す明確な証拠は乏しいと明記している1。

⭐ だから反応性は病型から推定せず、実際に試して判定する(推奨#9)。 提案されている手順は、①代謝的に安定し最近の治療変更がないこと、②評価前に少なくとも1か月を中止すること、③別の日に3回以上のベースライン尿または血漿(同じ検体で通す)を採取してを測定すること、④1 mgを3日間連続で筋注すること、⑤10日間にわたり1日おきに検体を採取すること、⑥の平均濃度が50%を超えて低下すれば有意な反応とみなすこと、である1。は筋注が理想的で、の形はが選ばれる1。

⚠️ 「」という限定が効いている。 は、・・を伴わないものを指し、cblCなどの・合併型は別の枠組みに属する2。

はケベックの尿スクリーニングで約1:80,000、米国の集計で1:159,614とされ、北米・欧州・アジア太平洋では1:100,000未満だが、中東・北アフリカ・日本ではより高いと報告されている2。

⭐ 後天性のメチルマロン酸上昇との区別

の測定値そのものの読み方(・・腎機能という)は検査ノートに譲る。ここで押さえるべきは「その高値が先天性か後天性か」を決める分岐である。

(本症) ビタミンB12欠乏(後天性)
血中・尿中 上昇 上昇
正常 上昇
血清ビタミンB12 正常 低値〜境界域
発症 新生児〜乳児期(病型による) 年齢を問わない。乳児では母体のB12欠乏が原因になる

出典はこの区別を扱っている2。

⚠️ 新生児のC3高値を見たら、まず母親のB12を疑う。 母体のビタミンB12欠乏は、乳児に重症の脳症からスクリーニングでの(C3)高値まで幅のある様の状態を起こす。の母の、不のがある母、後の母などが背景になり、母親の血清B12が著しく低いとは限らない2。この病態は筋注によるB12補充で可逆であり、と誤って生涯のを始めないために、C3陽性児では母児双方の血清B12・血中・を測る2。

臨床像

急性期:発症は「蛋白を飲み始めたとき」

⭐ 最多の表現型は乳児期発症・B12(mut0・cblB)で、蛋白を含む栄養が始まったところで発症する。 、頻呼吸、低体温、嘔吐、脱水で始まり、無治療ではによる昏睡へ急速に進行する2。

生化学的には、開大性の代謝性アシドーシス、、、がそろう1。頻呼吸は代謝性アシドーシスに対するであって、呼吸器疾患ではない。

⚠️ 誘因は感染・発熱・長時間の絶食といったを促す状況である1。「元気だった子が発熱の翌日に意識障害」という経過は、この病態の典型的な現れ方になる。

型・B12(mut−・cblA・cblD-MMA、まれにcblB)は生後数か月から数年で、・体重増加不良・・発達遅滞と、のエピソードとして現れる2。

慢性期:腎臓が長期予後を決める

⭐ は「ほぼに限られる」合併症である1。病理学的な対応は主としてとで、発症時期は分子病型と関連し、mut0がcblBより早く、cblAとmut−はさらに遅い1。それでもの患者は全員がのリスクを負うと考えられている。

⚠️ 腎機能の推定にクレアチニンを使わない。 これらの患者はが乏しいことが多く、クレアチニンでは腎機能を過大評価する。の影響を受けないによるを用いる1。ガイドラインは腎機能の監視を「強く推奨」しており、エビデンスの質も高いと評価している(推奨#15)1。腎機能低下はとして管理し、血圧の定期評価もの一部に組み込む1。

その他の長期合併症として、知的障害、急性時の「代謝性脳卒中」(両側基底核の)、膵炎、、易感染性、、、不整脈・心筋症(拡張型または、の10〜20%)、肝の・線維化・癌、が挙げられる2。

⚠️ プロピオン酸血症との書き分け

同じとして並べて扱われるが、長期合併症の出方が反対方向に偏る1。

合併症 どちらに多いか
ほぼに限られる
心筋症・不整脈・延長 主に
脳卒中様エピソード に多い
運動障害(など) に多い

💡 「MMAは腎、PAは心」と対にして覚えると、で何を測るかが自然に決まる。

診断

新生児マススクリーニング

一次スクリーニングはによるでの(C3)高値である。⚠️ C3は偽陽性が出やすい指標なので、C3の絶対値だけでなくC3/C2・C3/C0・C3/C16・C3/グリシン・C3/といった比を判定基準に組み合わせる2。

C3陽性ののち、で・・を測定し、および合併型と鑑別する2。

⚠️ 確定を待たずに治療を始める。 C3高値でが疑われた時点で、①と代謝性の評価と対処、②B12(よりを優先)の連日筋注、③の開始、④補充を直ちに始め、並行して診断を詰める2。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='newborn mass screening'>新生児マススクリーニング</span>でC3高値<br>(比の指標も併用)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dried blood spot'>乾燥血液濾紙</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonic acid (MMA)'>メチルマロン酸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='2-methylcitrate'>2-メチルクエン酸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total homocysteine'>総ホモシステイン</span>を測定"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonic acid (MMA)'>メチルマロン酸</span>が上がらない"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propionic acidemia'>プロピオン酸血症</span>を疑う"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonic acid (MMA)'>メチルマロン酸</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homocysteine'>ホモシステイン</span>がともに上昇"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homocystinuria'>ホモシスチン尿症</span>合併型(cblCなど)<br>または母体を含むビタミンB12欠乏を疑う"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylmalonic acid (MMA)'>メチルマロン酸</span>のみ上昇・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homocysteine'>ホモシステイン</span>正常"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isolated methylmalonic acidemia'>孤立性メチルマロン酸血症</span>を疑う"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary organic acids'>尿中有機酸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasma amino acids'>血漿アミノ酸</span>・血清B12で確認"]
    F --> G["遺伝学的検査(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multigene panel'>多遺伝子パネル</span>)で確定"]

確認検査

検査 典型的な所見
に加えて・・21
グリシン(時に)上昇、は正常2
血漿 (C3)上昇、C4DCの変動2
血清B12・血漿 いずれも正常(これが後天性B12欠乏との分岐)2
一般検査 、代謝性、、、時に低血糖2

確定診断はMMUT・MMAA・MMAB・MMADHC・MCEEのの同定による。⭐ 感度が高く侵襲がなく入手しやすいため、多くの場合は遺伝学的検査が酵素学的検査の必要性をなくす2。

⚠️ 急性・間欠的な増悪の鑑別に、とを強く考慮する(推奨#1)1。はを来す点で重なるが、開大性アシドーシスとを伴うかどうかが手がかりになる。と意識障害で発症するとして現れることもある2。

治療

急性代償不全

目標はを止めて中枢神経の障害を最小にすることにある。

  • 蛋白:24〜48時間以内の範囲で減量または中止する2。軽症の間欠疾患では溶液による緊急食を用い、蛋白を中止するか50%程度に減らすのが一般的な実践である1。
  • エネルギー:グルコースを中心に十分なカロリーを与える。⚠️ 大量のブドウ糖静注はの阻害を介してを伴いうる1。
  • :を50〜100 mg/kg/日で静注する2。
  • アシドーシスの是正:で補正し、・電解質・血糖・血液ガス・乳酸・・尿量を連続的に監視する2。
  • :()と静注を用い、治療不応時は・を考慮する2。⚠️ を第一のにしない——グルタミンを低下させ、を介したのを損なうおそれがある1。
  • ⚠️ の位置づけは「使われているが有効性の証明は不十分」である。 ガイドラインはが良好である一方、有効性の証明にはさらに系統的な研究を要すると評価している1。適応と用量の詳細はに譲る。

慢性期

  • ビタミンB12:と分かっている患者に補充する。よりが優先される2。
  • 食事:年齢相応の総蛋白必要量を踏まえた低自然蛋白食を提案する(推奨#7、エビデンスの質は低く推奨も弱い)1。プロピオン酸の前駆アミノ酸(・・・)を主に減らしつつ、を維持してを防ぐ2。⚠️ そのものが・を招くため、代謝専門医とによる個別化が要る。
  • :を通常100 mg/kg/日で補充する(推奨#8、エビデンスの質は低く推奨も弱い)1。
  • 腸内細菌由来プロピオン酸の減少:メトロニダゾールが用いられてきたが、⚠️ 末梢神経障害・延長・膵炎のリスクがあり適応は慎重に判断する。できない場合はアモキシシリンやが代替として用いられてきた1。
  • 移植:代謝が著しく不安定な例や腎不全例では・腎移植が考慮される2。⚠️ ただしが生存を改善するとは言い切れない——移植直後の生存に焦点を当てた研究しかなく、非移植患者との長期比較が存在しないため、エビデンスに基づく言明ができない1。
  • 監視:、血中・尿中、と遊離・、一般血液生化学、血算を少なくとも6か月〜1年ごと(乳児や不安定な例ではより頻回に)、腎機能と肝疾患の評価を少なくとも年1回、発達の評価を定期的に行う2。
  • 緊急時の備え:MedicAlertブレスレットと、最新の緊急時治療プロトコル・術前プロトコルを常に手元に置けるようにしておく2。

予後

で発見され早期から治療された患者では、早期死亡が減り、診断時の症状が軽く、短期の神経発達転帰が良好で、運動障害と不可逆的脳障害の頻度が低いことが報告されている2。⚠️ ただしmut0型の一部はスクリーニング結果が返る前に臨床的に発症する2。

死亡率は病型で大きく異なり、E-IMD/Network for Intoxication Type Metabolic Diseasesの報告ではmut型(mut−とmut0の合計)の死亡率が6%であるのに対し、B12のcblA型では100%であった2。

まとめ

  • は、→の障害によるで、。mut0・mut−(MMUT)、cblA(MMAA)、cblB(MMAB)、cblD-MMA(MMADHC)、欠損(MCEE)に分かれ、側の障害ほどビタミンB12になりやすい。
  • ⭐ 後天性のB12欠乏でもは上がる。分けるのはで、B12欠乏では両方が上がり、ではが正常。新生児のC3高値では母体のB12欠乏を必ず考える(母の血清B12が著しく低いとは限らない)。
  • 最多の表現型は乳児期発症・B12(mut0・cblB)で、蛋白を含む栄養の開始とともに・頻呼吸・嘔吐・脱水で発症し、無治療ではへ進む。誘因は感染・発熱・長時間の絶食。
  • では・・・。が上がらない同じパターンなら。
  • ⚠️ はほぼに限られる合併症で、心筋症・不整脈は主に。腎機能はクレアチニンでなくで推定し、監視は「強く推奨」される。
  • 急性期は蛋白の中止・・静注・、にはと、不応なら。は第一選択にしない。
  • 慢性期はB12へのB12補充、低自然蛋白食、、腸内細菌由来プロピオン酸の抑制(メトロニダゾールは副作用に注意)。移植は選択肢だがの長期的な生存改善は証明されていない。

出典

  1. 1.Guidelines for the diagnosis and management of methylmalonic acidaemia and propionic acidaemia: First revision(Journal of Inherited Metabolic Disease(Forny P, Hörster F, Ballhausen D, et al.)・2021)全文をPMC(PMC8252715)で閲覧して確認した。GRADE手法により2019年秋までの全エビデンスを再評価して21の推奨をまとめた改訂版であること、推奨#1として急性または間欠的な神経学的増悪の鑑別にメチルマロン酸血症・プロピオン酸血症を強く考慮すべきこと、尿中有機酸でメチルマロン酸の上昇に3-ヒドロキシプロピオン酸と2-メチルクエン酸を伴えばメチルマロン酸血症、メチルマロン酸の上昇を欠く同じパターンならプロピオン酸血症と診断されること(チグリルグリシン・プロピオニルグリシンもしばしば検出される)、慢性腎不全が「ほぼメチルマロン酸血症に限られる」合併症である一方で心筋症・不整脈・QTc延長は主にプロピオン酸血症に多く、脳卒中様エピソードはメチルマロン酸血症に多く運動障害はプロピオン酸血症に多いこと、腎障害の発症時期が分子病型と関連しmut0がcblBより早くcblAとmut−はさらに遅いこと、腎の病理学的対応がおもに尿細管間質性腎炎と尿細管性アシドーシスであること、糸球体濾過量の推定に筋肉量の影響を受けないシスタチンCを用いるべきこと、推奨#15として慢性腎臓病の合併を理由に腎機能の監視を強く推奨すること(エビデンスの質は高い)、推奨#7として代謝の安定のために年齢相応の総蛋白必要量を踏まえた低自然蛋白食を提案すること(エビデンスの質は低く推奨の強さも弱い)、推奨#8としてレボカルニチン(通常100 mg/kg/日)の補充を提案すること(エビデンスの質は低く推奨の強さも弱い)、フェニル酪酸ナトリウムをアンモニア除去薬として第一に用いることはグルタミン低下を介してTCA回路のアナプレロシスを損ないうるため避けるのが適切と考えられること、カルグルミン酸が高アンモニア血症治療の一環として試みられ忍容性は良好であるものの有効性の証明にはさらに系統的な研究を要すること、大量のブドウ糖静注がピルビン酸脱水素酵素の阻害を介して乳酸アシドーシスを伴いうること、腸内細菌由来プロピオン酸を減らす目的のメトロニダゾールが末梢神経障害・QTc延長・膵炎のリスクから慎重に適応を判断すべきでアモキシシリンやコトリモキサゾールが代替として用いられてきたこと、感染・発熱・長時間の絶食が代謝性代償不全の誘因となり軽症の間欠疾患ではグルコースポリマー溶液による緊急食と蛋白の中止または50%程度への減量が一般的な実践であること、肝移植の生存改善については移植直後の生存に焦点を当てた研究しかなく非移植患者との長期比較がないためエビデンスに基づく言明ができないこと、コバラミン反応性についてcblAの大半が改善しcblBでは約3分の1に反応が報告されている一方でMMUT欠損例のうちmut−はコバラミン注射の恩恵を受けやすいとされるものの明確な証拠は乏しいこと、推奨#9として非経口ビタミンB12への反応性の評価を推奨し「代謝的に安定し最近の治療変更がないこと」「評価前に少なくとも1か月ヒドロキソコバラミンを中止すること」「別の日に3回以上のベースライン尿または血漿検体を同一の体液で採取すること」「ヒドロキソコバラミン1 mgを3日間連続で筋注すること」「10日間にわたり1日おきに検体を採取すること」「尿または血漿メチルマロン酸の平均濃度の50%超の低下を有意な反応とみなすこと」という手順が提案されていること、投与経路は筋注が理想的でヒドロキソコバラミンが好ましい形であることを確認した。なお本ガイドラインには2022年の訂正(J Inherit Metab Dis. 2022;45(4):862、doi 10.1002/jimd.12535)があり、訂正内容そのものは取得できなかったため本ノートでは表中の細かな数値を引かず推奨の内容に限って用いた閲覧 2026-09-03
  2. 2.Isolated Methylmalonic Acidemia(GeneReviews(University of Washington, Seattle)(Manoli I, Sloan JL, Venditti CP)・2022)全文をEurope PMCのbookXMLで取得して確認した(Revision History最終更新2022年9月8日)。孤立性メチルマロン酸血症が「高ホモシステイン血症・ホモシスチン尿症・低メチオニン血症・マロン酸などの他の代謝産物異常を伴わずに、ミトコンドリア基質でのメチルマロニルCoAからスクシニルCoAへの異性化障害により血中・尿中メチルマロン酸が上昇する先天代謝異常の総称」であること、原因がメチルマロニルCoAムターゼの完全欠損(mut0)・部分欠損(mut−)、補酵素5-デオキシアデノシルコバラミンの輸送・合成障害(cblA・cblB・cblD-MMA)、メチルマロニルCoAエピメラーゼ欠損であること、責任遺伝子がMMUT・MMAA・MMAB・MMADHC・MCEEで常染色体潜性遺伝であること、乳児期発症・B12非反応型(mut0・cblB)が最多の表現型で蛋白を含む栄養の開始とともに嗜眠・頻呼吸・低体温・嘔吐・脱水を来し無治療では高アンモニア血症性脳症による昏睡へ急速に進行すること、部分欠損・B12反応型(mut−・cblA・まれにcblB・cblD-MMA)が生後数か月〜数年で哺乳障害・体重増加不良・筋緊張低下・発達遅滞と代謝性代償不全のエピソードとして発症すること、新生児マススクリーニングで発見され早期治療された例では早期死亡・診断時の症状の重さ・運動障害と不可逆的脳障害の頻度が減ること、二次的合併症として知的障害・尿細管間質性腎炎による進行性腎機能障害・急性代償不全時の「代謝性脳卒中」(両側基底核のラクナ梗塞)・膵炎・成長障害・易感染性・骨髄不全・視神経萎縮・不整脈および心筋症(拡張型・肥大型、孤立性MMAの10〜20%)・肝の脂肪化/線維化/癌・腎癌が生じうること、新生児マススクリーニングがプロピオニルカルニチン(C3)に基づきC3/C2・C3/C0・C3/C16・C3/グリシン・C3/メチオニンの比を併用すること、C3陽性後に乾燥血液濾紙でメチルマロン酸・2-メチルクエン酸・総ホモシステインを測定してプロピオン酸血症およびホモシスチン尿症合併型と鑑別すること、確認検査で尿中有機酸にメチルマロン酸・3-ヒドロキシプロピオン酸・2-メチルクエン酸・チグリルグリシンを認めること、血漿アミノ酸でグリシン(時にアラニン)上昇・メチオニン正常を示すこと、血清B12と血漿ホモシステインが正常であること、ビタミンB12欠乏では血中メチルマロン酸とホモシステインがともに上昇すること、母体のB12欠乏(完全菜食の母の母乳栄養児・不顕性悪性貧血・胃バイパス術後の母など)が乳児に重症脳症からC3高値までの幅を持つMMA症候群を起こしうるが母体の血清B12が著しく低いとは限らないこと、筋注B12補充で代謝異常が可逆であること、治療の原則がB12反応型へのB12補充・プロピオン酸前駆アミノ酸を中心とした自然蛋白制限と高カロリー維持・カルニチン補充・腸内細菌由来プロピオン酸の減少・急性代償不全時の緊急治療であること、急性期に24〜48時間以内の蛋白の減量または中止・グルコース・L-カルニチン静注50〜100 mg/kg/日・重炭酸による是正を行いアニオンギャップを含めて連続的に監視すること、高アンモニア血症にN-カルバミルグルタミン酸(カルグルミン酸)と安息香酸ナトリウム静注を用い治療不応時は血液透析・血液濾過を考慮すること、代謝が不安定な例や腎不全例では肝移植・腎移植が考慮されること、罹患率がケベックの尿スクリーニングで約1:80,000、米国の新生児マススクリーニング集計で1:159,614であり北米・欧州・アジア太平洋では1:100,000未満だが中東・北アフリカ・日本ではより高いと報告されること、E-IMD/Network for Intoxication Type Metabolic Diseasesの報告でmut型MMA(mut−とmut0の合計)の死亡率が6%・B12反応型のcblA型の生存率が100%であることを確認した閲覧 2026-09-03