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Drug Atlas · B33 Antineoplastics / 抗腫瘍薬

ヴィンデシン

vindesin

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
フィルデシン
科目
Pharmacology
トピック
B33: Drugs used in cancer treatment III (Topoisomerase inhibitors. Inhibitors of mitotic spindle)
承認適応
急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病悪性リンパ腫肺癌食道癌
副作用
骨髄抑制悪心嘔吐知覚異常便秘
監視検査値
絶対好中球数血小板数ビリルビンクレアチニン
相互作用
イトラコナゾールフェニトイン
解毒薬
ヒアルロニダーゼ
原因となる疾患
薬剤の血管外漏出

🧠 全体像的に改変した誘導体で、機序は同じとは正反対)。「の中間の毒性」としばしば紹介されるが、これは半分だけ正しい。性はより軽いが、は結局と同じ好中球減少であり、「両方の弱点を打ち消す」薬にはならなかった1。日本では1985年から承認・発売されているが、米国では研究段階にとどまり、承認薬として発売されたことはない(米国で承認されているの3剤)1

ビンカアルカロイド3剤の中での位置づけ

項目
由来 天然 天然
機序 同じ 同じ
末梢神経障害・ 好中球減少 好中球減少と同じ)1
末梢神経障害 強い 軽い より軽いができない程度
主な適応 など ・精巣癌 ・肺癌・
米国での承認 承認済み 承認済み 未承認(研究段階のみ)
⚠️・致死的 ⚠️・致死的 ⚠️同じく・致死的

「神経が泣く、骨髄が叩かれる」という対比に、は割り込めなかった。 性を減らそうとして作られただが、では骨髄抑制がむしろ増強され、性の明確な改善も得られなかった。これが、ほど特定レジメンの代名詞にならず、米国で承認されるに至らなかった理由と考えられている1

適応・用法・用量

添付文書上の効能・効果はを含む)、、肺癌、の4区分。

小児には1回0.07〜0.1 mg/kgを1週間間隔で静注する。年齢・症状により適宜増減する2

⚠️ 他のと同様、必ずのみ。 全体に対してFDAは、注射器ではなく静注用の柔軟性(ミニバッグ)で調製し「FOR INTRAVENOUS USE ONLY — FATAL IF GIVEN BY OTHER ROUTES」と明示するよう2020年に添付文書を改訂した。同日に薬(メトトレキサート・など)を投与するプロトコルでは、注射器の取り違え事故を避けるため物理的・時間的に隔離して扱う3

禁忌・慎重投与

  • ⚠️⚠️ 外国で製剤を誤ってに投与し死亡した報告があり、も例外ではない
  • 禁忌:本剤に対する重篤な過敏症の既往歴
  • 慎重投与:肝障害(排泄が遅延し血中濃度が上昇、副作用発現の可能性が高まる)、腎障害(本剤の一部は腎でも代謝されるため増悪しうる)、既存の骨髄抑制、感染症合併、神経・筋疾患の既往(末梢神経障害・筋力低下が強く出る)、症状が強く出うる)、水痘患者(細胞性免疫が低下し致命的な全身障害に至りうる)、高齢者2

相互作用

薬剤 内容
など 本剤の代謝を担うCYP3Aを阻害し、神経・筋系の副作用を増強しうる
フェニトイン 化学療法に伴うなどでフェニトインの吸収・代謝に影響が生じ、血中濃度が低下して痙攣が増悪しうる
他の抗悪性腫瘍薬・放射線照射 ともに骨髄抑制作用を持つため、骨髄抑制の副作用が増強する
C が発現しやすいとの報告がある(機序不明)

副作用

再審査終了時(評価対象2,868例、副作用発現率68.0%)の集計では、・血小板減少などの骨髄抑制が、脱毛や末梢神経障害よりもはるかに高頻度に報告されている2

頻度 内容
高頻度 骨髄抑制・血小板減少。頻度・件数とも最多)、脱毛悪心嘔吐便秘
重篤・まれ 誤投与による致死的脳・消化管出血、、アナフィラキシー、による

⚠️ 時の対応はと正反対で、冷却しない。 を含むは非DNA結合性のであり、の局所注射で組織内への薬液拡散を促すのが国際的な標準対応である(ONS/ASCO。詳細は薬剤のを参照)。

⚠️ ここは日本の添付文書と国際標準が食い違う。 国内のフィルデシン添付文書(2019年改訂第11版)は時の対応として「患部冷却」を挙げており、その根拠は2004年の国内ハンドブックである。本ノートは正本順(EU → 日本 → 米国)に従って国際標準のを主として書いているが、日本の添付文書は冷却であるという差は消さない。国内の施設でどちらが運用されているかは、その施設のプロトコルを確認すること。

まとめ

  • で、機序は同じ
  • 「中間的な毒性」と紹介されがちだが、実際は好中球減少がと同じくであり、性の明確な軽減も得られなかった薬。
  • 日本ではを含む)・・肺癌・に承認されているが、米国では研究段階にとどまり承認されていない
  • 全体に共通する致死的リスクで、静注用バッグでの調製が推奨される。
  • 時はと逆にで対応する(国際標準)。日本の添付文書は冷却を挙げており、この点で食い違う。

出典

  1. 1.医薬品インタビューフォーム 注射用フィルデシン1mg/3mg(ビンデシン硫酸塩)2019年4月改訂(第11版)(日医工株式会社・2019)効能・効果(急性白血病〈慢性骨髄性白血病の急性転化を含む〉・悪性リンパ腫・肺癌・食道癌)と用法・用量、禁忌(髄腔内投与、外国での死亡報告)、慎重投与対象(肝障害・腎障害・骨髄抑制・感染症合併・神経筋疾患既往・虚血性心疾患・水痘患者・高齢者)、相互作用(アゾール系抗真菌剤・フェニトイン・他の抗悪性腫瘍剤・放射線照射・マイトマイシンC)、代謝経路(肝CYP3A、胆汁排泄約76%・腎排泄約13%)、再審査時の副作用集計(白血球減少・血小板減少が脱毛・末梢神経障害より高頻度)を確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.The Vinca Alkaloids (Holland-Frei Cancer Medicine, 6th edition)(BC Decker / NCBI Bookshelf・2003)ビンクリスチン・ビンブラスチン・ビンデシンの毒性の質的な違い(ビンクリスチンは神経毒性が主要な用量制限毒性で血液毒性はまれ、ビンブラスチンとビンデシンは好中球減少こそが主要な用量制限毒性であること)と、ビンデシンが米国では研究段階にとどまり承認薬として発売されていないことを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.VINBLASTINE SULFATE injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2025)ビンカアルカロイド系薬剤に共通する「FOR INTRAVENOUS USE ONLY — FATAL IF GIVEN BY OTHER ROUTES」という警告表示と、注射器ではなく静注用の柔軟性プラスチック容器(ミニバッグ)で調製するようFDAが2020年に添付文書を改訂した経緯を確認した。閲覧 2026-08-03