症状ノート一覧へ

Symptoms · Published

骨盤痛

Pelvic pain

臓器系
生殖・産婦人科
科目
Gynecology
トピック
婦人科 32:骨盤痛婦人科学 24:卵巣機能性嚢胞
関連疾患
骨盤内炎症性疾患子宮筋腫子宮体癌子宮頸癌精巣捻転・卵巣捻転平滑筋肉腫卵巣炎卵巣癌卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍

🧠 全体像の診療は「どの臓器が痛いか」より先に急性か慢性かで分かれる。急性では、時間との勝負になる外科的緊急症(卵巣・卵管捻転、)を疑ったら、画像で確定する前に専門科へつなぐことが予後を決める。生殖年齢の女性である以上、はまず妊娠の可能性を織り込んで評価し、6か月以上続く痛みは急性期とは別枠のとして扱う。

発症様式で原因を絞る

手掛かり 代表病態
突然発症・片側性 悪心・嘔吐を伴う、波状に増悪することがある 卵巣・卵管捻転、
突然発症・妊娠関連 無月経、性器出血、ショック 、流産
亜急性・発熱を伴う での圧痛
周期性 月経前後に増悪、または周期中央の一過性
持続性・進行性 体重減少、腹部膨満、閉経後の新規発症

そのものが最初の絞り込みになる。突然発症かどうか、片側か両側か、妊娠可能性があるかを最初に聞く。

見逃してはいけない急性骨盤痛

⚠️ 次は確定診断を待たずに評価・対応を始める。

病態 手掛かり 対応の要点
卵巣・卵管捻転 突然発症の片側痛、悪心・嘔吐。間欠的な捻転‐復位で波状に増悪・軽快することがある が保たれていても否定できない。臨床的に疑えば画像結果を待たず緊急婦人科評価につなぐ
無月経、性器出血、循環不安定 妊娠可能年齢の全例でβ-hCGを確認する
発熱、両側下腹部痛、 確定診断を待たずを開始する。破裂はに至る外科的緊急症
卵巣・良性腫瘍の嚢胞内出血・破裂 鈍い片側から急激な増悪、大量出血による循環不安定まで幅がある 良性腫瘤でもになりうる。サイズの小ささだけで除外しない

💡 は「があるから否定的」という誤った安心につながりやすい。卵巣はのため、片方が保たれているだけで血流ありと判定される偽陰性が起こる。

亜急性・慢性の原因

急性のがなければ、婦人科臓器の病変を考える。発育で子宮腫大・を来し、では稀にによるもある。卵巣癌は初期症状が乏しいか非特異的で見過ごされやすく、進行するにつれが前景に出る。

⚠️ 新規に出現し、頻回・持続し、進行する・腹部膨満・は、非特異的でも卵巣癌の評価対象になる。「年齢のせい」「ストレス」で片付けない。

6か月以上持続する痛みは単一臓器の病変では説明できないことが多く、として扱いを切り替える。

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic pain'>骨盤痛</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamics'>循環動態</span>を評価"]
    B --> C{"妊娠可能性があるか"}
    C -->|"あり"| D["尿・血清β-hCG"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transvaginal ultrasound, TVUS'>経腟超音波</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ectopic pregnancy'>異所性妊娠</span>を除外"]
    C -->|"なし"| F["病歴・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaginal examination'>内診</span>・尿検査"]
    E --> G{"ショック・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritoneal signs'>腹膜刺激</span>・捻転疑いがあるか"}
    F --> G
    G -->|"あり"| H["輸液・緊急婦人科/外科評価"]
    G -->|"なし"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Onset'>発症様式</span>・周期性から鑑別を絞る"]

⚠️ でのは、いずれか1つでもあればPIDを疑う閾値を下げる所見であり、確定診断を待つ理由にしない。

まとめ

  • はまず急性か慢性かで分け、急性ではさらにの外科的緊急症を最優先で除外する。
  • 卵巣・卵管捻転はが保たれていても否定できず、臨床的疑いだけで緊急評価につなぐ。
  • 妊娠可能年齢のでは必ずβ-hCGを確認し、を除外する。
  • は確定診断を待たず、最小のいずれか1つでを開始する。
  • は初期無症状・非特異的なことが多く、新規・持続・進行するは評価対象になる。
  • 6か月以上持続する痛みはとして別枠で評価する。