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Symptoms · Published

肩痛

Shoulder pain

別名
肩の疼痛肩関節痛
臓器系
運動器神経
科目
Traumatology and OrthopedicsInternal Medicine
トピック
外傷学 15:肩甲帯の軟部組織・骨・関節損傷内科学 R-15:関節炎の鑑別診断
関連疾患
横隔膜下膿瘍化膿性肩峰下滑液包炎胸郭出口症候群肩鎖関節症肩峰下疼痛症候群上腕骨近位部骨折神経痛性筋萎縮症石灰沈着性腱炎凍結肩腱板断裂腱板断裂性関節症

🧠 全体像:の鑑別は「肩そのものの疾患」と「肩以外が原因の」を最初に切り分け、次に肩そのものの疾患を部位(腱板・・・・)と動作との関係で群分けすると崩れない。同じ「肩が痛い」でも、可動域の/自動の差、の有無、外傷歴の有無を聞くだけで大半の頻度の高い鑑別がつく。⚠️ 見逃してはいけないのは、が肩の疾患ではないことがある点である——心筋梗塞・胆嚢炎・の、、悪性腫瘍のやを、頻度の高いやより先に除外できるかが鍵になる。

定義と用語の整理

は(・・・)とその周囲軟部組織に感じる痛みの総称である。では、①局在(肩の前方・外側・後方、あるいは肩以外に放散するか)、②誘発動作(挙上・外転・で悪化するか、安静時にも痛むか)、③(急性のか、数週かけて悪化した非か、から日を置いて痛みが始まったか)の3点を確認すると、下記の群分けに直結する。

病態生理:部位と機序で群分けする

肩そのものが原因のは、障害される構造でおおむね次の6群に整理できる。

群 代表病態 機序・特徴
腱板 腱板断裂、() を中心とした腱板の変性・または炎症。挙上・外転で疼痛が増強し、は低下するがは保たれることが多い
下 ・ での・腱板の摩擦・炎症。挙上の途中の一定の角度でだけ痛むが典型。⚠️ 非・非のものは別々の病名ではなく、現在は(SAPS)として一括りに扱われる。 ⚠️ 感染・・関節リウマチ・によるはSAPSの定義から外れるで、発熱を伴う急性例はと同じで扱う
() の線維化・により・自動ともに可動域が低下し、可動域低下はまずから始まり外転・・屈曲と続く1。⚠️ 糖尿病患者は非糖尿病患者より約3.7倍で罹患しやすく2、糖尿病のが長いほど治療成績も不良になりやすい1
・ 肩の最上部・に限局した圧痛。上肢を体幹の前で反対側へ引き寄せる()で誘発される3。⚠️ (手を背中へ回す+伸展)とは別の運動で、混同しない。⚠️ 画像上の変性所見は成人の13〜95%にあり大半が無症候なので、所見だけで痛みの原因と決めない3
肩の 加齢・によるの。安静時よりも運動後・荷重時に悪化するとこわばり
神経性() 、 肩そのものの構造ではなく、から出る神経根またはの異常が肩から上肢にかけての痛みとして現れる

頸椎症性神経根症と神経痛性筋萎縮症の区別

(・による)は、頸部の姿勢・運動で増悪する痛みと・脱力がほぼ同時に始まる。一方、は⚠️ なく始まる激烈な肩の疼痛が先行し、疼痛が和らぐ頃になって初めて脱力が現れるという時間差が特徴で、この一点だけで両者の鑑別が大きく進む。

⚠️ 緊急・見逃してはいけないもの

  • ():が共有するを介して、右肩の痛みは胆嚢炎(の合併症)を、左肩の痛みは()やによるを示唆しうる。⭐ 左肩の痛み()はを疑う所見であり、外傷後や(など)のの評価に直結する(の項)。肩そのものの診察・画像が正常なのに強いが続く場合は、を疑って発生源を系統的に評価する。
  • ():発熱・急性発症の強いと可動域制限を伴えば、による評価と緊急のドレナージ・抗菌薬治療を急ぐ。
  • 悪性腫瘍による:による・は非機械的な性質(動作に関係なく持続する)で疑う。の腫瘍(肺癌の)はへの浸潤により肩から上肢にかけての激痛とを来しうる。
  • の時間差:のない激烈な肩の疼痛が先行し、疼痛が和らぐ頃に脱力が出現するという経過を見逃すと、の腱板断裂と誤認されやすい。

身体診察:他動/自動可動域の差で絞り込む

⭐ との差が、頻度の高いとを分ける最も実務的な所見である。

  • は低下するがは保たれる:腱板断裂・を疑う(痛みまたは筋力低下により自力での挙上が妨げられるが、検者が的に動かせば可動域は保たれる)。
  • もも低下する:を疑う。特にの低下が最も鑑別に有用で、への注入後も可動域制限が改善しない点がと異なる1。
  • を指1本で示せるほど限局した+での再現:を疑う。
  • 発熱・安静時からの強い痛み・:を疑い、可動域評価より先に穿刺・培養を優先する。
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='shoulder pain'>肩痛</span>"] --> B{"発熱・急性の強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rest pain'>安静時痛</span>はあるか"}
    B -->|"あり"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septic arthritis of the shoulder'>化膿性肩関節炎</span>を除外"]
    B -->|"なし"| D{"肩の診察・画像は原因を説明するか"}
    D -->|"説明しない・危険因子あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='referred pain'>関連痛</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial ischemia'>心筋虚血</span>・胆嚢炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Ruptured Spleen'>脾破裂</span>)を評価"]
    D -->|"肩自体に所見あり"| F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='passive range of motion'>他動可動域</span>は保たれるか"}
    F -->|"保たれる:自動のみ低下"| G["腱板断裂・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rotator cuff tendinitis'>腱板炎</span>を疑う"]
    F -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='passive (movement)'>他動</span>も低下"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='frozen shoulder'>凍結肩</span>を疑う"]
    D -->|"頸部運動で増悪/脱力と同時発症"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical spondylotic radiculopathy'>頸椎症性神経根症</span>を疑う"]
    D -->|"激痛が先行し数日後に脱力"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuralgic amyotrophy'>神経痛性筋萎縮症</span>を疑う"]

まとめ

  • はまず「肩そのものの疾患」と「肩以外が原因の(・胆嚢炎・)」を切り分ける。
  • 肩そのものの疾患は、腱板・下・()・・・神経性()の6群で整理する。
  • ⭐ は低下するがは保たれれば、も低下すればを疑う。
  • ⚠️ は糖尿病患者で約3.7倍と罹患しやすく2、糖尿病のが長いほど治療成績も不良になりやすい1。
  • ⚠️ は激烈な疼痛が先行し疼痛軽快後に脱力が現れるという時間差が、腱板断裂との鑑別点になる。
  • 発熱を伴う急性の強いはを、非機械的なは悪性腫瘍のやを疑う。

出典

  1. 1.Adhesive Capsulitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)凍結肩(癒着性関節包炎)が一般人口のおよそ2〜5%に生じること、甲状腺疾患や糖尿病といった内分泌・自己免疫疾患を持つ人が発症しやすく糖尿病の罹病期間が長いほど治療成績が不良であること、他動・自動ともに可動域が著明に低下し可動域低下がまず外旋から始まり外転・内旋・屈曲と続くこと、この可動域制限は局所麻酔薬の注入後も改善しない点が腱板疾患・肩峰下滑液包炎との鑑別点になることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.The diabetic shoulder: association between diabetes mellitus and adhesive capsulitis — a systematic review and meta-analysis(International Orthopaedics・2026)糖尿病患者は非糖尿病患者と比べて凍結肩を発症するオッズが約3.7倍(オッズ比3.69、95%信頼区間2.99-4.56)に上昇するという系統的レビュー・メタ解析の結果を確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Acromioclavicular Joint Injection(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)NCBI Bookshelfのライブページで確認した(2025年2月19日更新)。肩鎖関節症の症状が限局した圧痛・頭上動作や体幹前で腕を交叉させる動作での疼痛・可動域制限であること("localized tenderness, pain during overhead or cross-body movements, and limited shoulder range of motion.")、系統的レビューで成人の13〜95%に肩鎖関節の変性性関節症の画像所見が認められその多くが無症候であることを確認した閲覧 2026-09-04